因縁の相手は階段   作:さくらいJAN

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34話 身を切らない改革

○月〇日

 

 

 

カイドウと戦ってから一週間。

やっと完治した。

 

いやーまさか私に覇王色の才能があるとは。

これは壁を越えた感覚があるぞ。

 

土下座謝罪したからってのもあるかもしれんが、カイドウも怒ってなかった。

酔ってたから無礼講だ。

計画通り。

 

 

これだけ強くなれば新世界ゾロにも一方的に負けることはないだろう。

あとはゆっくり覇王色を纏う練習をするかな。

コントロールが雑だとカイドウに笑われちゃうしね。

 

 

 

 

 

○月〇日

 

 

 

 

 

あれから1年。

地道に覇王色のコントロールを練習しつつ鍛錬も続けつつ遠征しつつ領民に優しくしつつ。

いやー忙しかった。

 

覇王色のコントロールは良い感じになってきた。

武装色も持続時間が伸びたし込められる量も増えた。

見聞色はゾーンの維持時間が伸びた。

農場も拡大した。拡大した箇所の品質は未だ微妙だが、

これは分かっていた事なのでよし。

 

まだ団子屋に菊の丞は現れてない。

新世界編はまだ先。

 

うーん。

いわゆるあれだ。

暇になってきた。

 

 

結局、あれから白ひげの残党は落とし前戦争を仕掛けなかったらしい。

恐らくどこかに隠れて力を蓄えているのだろう。

エースが生きているからだ。

 

黒ひげは順当に四皇に。

でもカイドウの縄張りには現れないので喧嘩は売れないまま。

強くはなったが、トットランドに単独潜入するほどではない。

 

うーん、多分あと半年ほどで麦わらの一味が再会するはずだ。

でも私は未だワノ国から大きく離れることを許されてない。

シャボンディ諸島に行くのは駄目だよなあ。

 

 

駄目かな?

とカイドウに聞いたら駄目だと言われた。

てめえは逃げるだろ、と。

あははは、そんなバカなあ。

 

 

・・・うーん。

そうだな、せっかくだし今まで放置してた工場関連に手を出すか。

工場は兎丼なので私の管轄外ではあるが、九里の領民が駆り出されることも多いのだ。

どうせ百獣海賊団の面々はワノ国の人間のことなんてどうとも思ってないだろうし、

生産性が上がるなら許してくれるだろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○月〇日

 

 

 

 

 

カイドウは普通に許してくれた。

オロチはぶつぶつ文句を言ってたが、私が怖いようで口出ししてこない。

聞いた話では九里の人間の生活がマシになってしまったので、

八つ当たり気味に花の都の人達が一部虐げられているらしい。

可哀想。

 

でもまあ死ぬほどではないらしいし、あと半年ちょいだ。

カイドウはオロチの所業も許しているし、私に口出しする権限は無い。

仕方ないね。

 

 

というわけで兎丼へ。

まずは武器工場から流れる汚水をちょいとマシにする計画だ。

昔汚水処理場を見学させられた記憶を呼び覚ます。

 

なんか見聞色を習得してからこういうの得意になった。

結構経ってるのに原作のことめっちゃ思い出せるし。

 

 

さて、まずは汚水を直接川に流している所を改造。

間に大きな池を作り、下水に含まれてる大きなゴミと砂を取り除く。

んで次に流れが穏やかな池を作り小さなごみや砂を沈むようにして取り除く。

 

次は汚れを食べる微生物が入ってるタンク作成だ。

微生物は汚い水に空気を送り込んでおけば勝手に増える。はず。確か。

 

次にその微生物を処理する池を作る。

先程と同様、流れがゆっくりな池を作れば沈んでくれる。

 

本来ならこの先で有機物や窒素、リンを処理したり薬品消毒したりするんだけど、

それはこの世界では無理、というかやり方が分からないので省略。

気休めかもしれんが、特効薬だという邪含草を入れた薬草プールのようなものを作る。

 

そして最後に煮沸消毒して終わり。

燃料はパンクハザードから取り寄せた。

消えない炎というチートだ。

 

これで飲めるようになったはずだ。

まあ将来的に何かはあるかもしれんが、直ちに影響はないだろ。

これでok。

 

ちなみに全て私一人の手作業。

池を作るのにはボムボムの新技を使った。

これはかなりヤバい。

覇王色と合わせればワンチャン単独でカイドウいけるかも。

でもちゃんと制御を練習しないと危険だな。

日課にいれよう。

 

 

 

次は工場の生産性向上だ。

囚人の方は無視。そこに手を加えるのは立場的に無理。

クイーンに妨害される。

ただでさえこの間の件で嫌われてるしね。

 

 

侍たちが手作業で武器を作ってるらしいので、そこを改善。

昔流行ったトヨタ式を採用する。

所謂7つのムダってやつだ。

 

1.作りすぎのムダ

2.手持ちのムダ

3.運搬のムダ

4.加工そのもののムダ

5.在庫のムダ

6.動作のムダ

7.不良を作るムダ

 

これの改善だ。

ホワイト化とかはしない。

変に自由を与えると新たな不満が生まれる。

その矛先が私に向いてもつまらん。

どれだけ環境が良くなっても、常に心が満たされるなんてことが無いのが人間だ。

 

ただ、効率的な生産さえできれば無駄にハードな労働を強いられることは減るだろう。

きっと。

 

 

 

 

取り敢えず作りすぎのムダってのは気にしないで良いかな。

世は大海賊時代。

明らかに需要が上回ってる。

 

 

手持ちのムダ。

これは職人が一つ一つ武器を作っているので、工程を分けることから始めよう。

武器を作る工程をフェーズごとに分けて職人の腕も考慮して振り分ける。

同じ作業を繰り返す方が人は効率よく作業できるのだ。

 

んで、暇な人間がいたら仕事を振り分ける人間を1人作る。

所謂管理職だ。

これは侍にやらせる。

海賊だと無駄に高圧的になりそうだし。

 

運搬のムダ。

これは作業の際に移動が多いと無駄って話なのだが、

今さっき工程分けしたので、そこは効率の良い部屋割りをしておけばいい。

何かの事情で工程が変わった時に効率が悪くならないようにだけ、管理職に伝えた。

 

 

加工そのもののムダ。

必要ではない工程は無いか、ということだが、

これも今回工程分けしたので未だムダな工程は無い。

有っても分からん。

ここも管理職に任せよう。

 

 

在庫のムダ。

ここは使わない工具や武器を廃棄して作業場所を増やすことくらいかな。

 

 

動作のムダ。

これは決まった場所に印をつけ、工具や部品を必ずそこに戻すというルール作りで改善しよう。

すぐ使うからってそこらへんに置くと、それを忘れた時に探す手間が思いの外無駄なのだ。

 

 

不良を作るムダ。

今工程分けしたので、新しい仕事になったとも言える。

こういう時にミスは起こりやすい。

それぞれの作業順や使う部品を紙に記して作業場に張り付ける。

基準となる完成品も1つ作業台に置いておく。

 

 

 

 

よし、こんなもんだろ。

これで生産性もかなり上がったはずだ。

飲み水もマシになったし。

 

生産性さえマシになればカイドウもワノ国の人間の命を大切にするかもしれん。

人間は育つのに時間がかかる、先行投資型の資産だ。

オロチが死ねばわざわざ虐げる理由もないしね。

 

 

・・・いや、ルフィに負けるじゃんあいつ。

じゃあこんなことしなくてもよかったか?

 

まあいいや。

良い暇つぶしになったし。

 

 

 

 

 

 

 

 

領民にめっちゃ感謝された。

水が美味いってさ。

いやー、良いことしたね。

もっと褒めろ。

 

カイドウも生産性が上がってご満悦だ。

てめえの思い通り多少は労働環境を良くしてやる、ってさ。

よかったね侍たち。

健康に長生きできる範疇で馬車馬のように働きなよ。

 

 

 

 

 

 

 




閑話、つまり無駄話です。
まあ下水の浄化は必要なことなんですが。
あとちょちょいと伏線も。

トヨタ式って一時期めっちゃ流行りましたよね。
ガイアの夜明けとかの番組で良く耳にしました。


来週休載かあ。
早くルフィvsカイドウ見たいな。
覇王色を纏った技、ゴムゴムの、なんなんだろう?
気になる。

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