因縁の相手は階段   作:さくらいJAN

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40話 オロチ&錦えもん視点

【黒炭オロチ視点】

 

 

カイドウから麦わらの一味がワノ国に現れたと聞いた。

その際に麦わらの一味に協力する侍をあの霜月水雉が殺したとも。

 

一瞬安心した。

だが、明らかにおかしい。

カン十郎から連絡が無い。

 

まさか殺されたのはカン十郎か?

霜月水雉はスパイの存在に気付いていた?

ということは奴はおれとカイドウを裏切る気か?

それとも偶々か?

いや、斬られたのは別の奴でカン十郎が裏切った可能性もあるか?

 

おれは決して手を出すなと伝えて霜月水雉に監視を付けた。

赤鞘の捜索も平行して行った。

 

しかし、赤鞘の情報は出てこない。

20年もたっている。

奴らに会ったことがある手駒は少ない。

人相描きで見つけるのは困難だ。

しかし、おれが直接動くなんて危険な真似は嫌だ。

 

もし九里を拠点にされていた場合、

おおっぴらに探すと霜月水雉に因縁をつけられる可能性もある。

 

くそくそくそくそ!!

どうしてこうも上手くいかない!

 

小紫は死ぬし、カイドウは霜月水雉を重用する!

ワノ国を滅ぼす為におれがどれだけの苦労をしたと思ってる!

 

イライラしながら風呂に浸かっていると、福ロクジュから連絡があった。

霜月水雉が麦わらの一味の船長とNo.3と戦闘を開始したらしい。

 

裏切るつもりはないのか?

ということはカン十郎は偶々斬られたか、カン十郎が裏切ったか。

いや、やはりそれは無い。

やつに裏切るような自主性は無い。

 

ということは偶然か。

使えないやつめ。

 

しかし、こうなると困った。

赤鞘がワノ国で戦力を集めるのを妨害する手立てが無い。

 

カイドウがいる以上、負けは無いがおれが生き残れるか、、、

くそっ!

 

 

 

 

 

翌日、霜月水雉に付いていた忍びが途中で何故か気絶して見失ったらしい。

やはり怪しい。

とはいえおれに奴を倒す力はない。

カイドウに連絡して任せるしかない。

 

くそっ、気持ちだけが焦る。

赤鞘だって捨て置けない。

スパイが居ない以上、どうやって見つけるか。

 

福ロクジュを呼んで、対策を会議しようとすると、城が揺れた。

この感覚は覚えがある。

あいつが来た時だ。

 

まさかと思い福ロクジュに忍びを集めるように命令する。

福ロクジュはうなずいて消えた。

もし、あの時の再来だとしたらいつでも逃げれるようにしなくては。

 

しかし、遅かった。

次々と響き渡る悲鳴。

部下の忍びと侍は下手人に襲いかかったのだろう。

知ってる奴らしい悲鳴も聞こえて来る。

 

くそくそくそ!!

福ロクジュはいつ帰ってくる!?

 

 

部屋の隅で怯えていると、部屋が勢いよく空いた。

扉が蹴り飛ばされて吹っ飛んだのだ。

 

現れたのは予想通り。

霜月水雉。

その両手には福ロクジュとホテイの首が。

 

くそっ!この異常者め!

やはり裏切っていたか!

 

おれは怯えながらも、怒る。

 

 

「なぜだ!

なんでワノ国の外で育ったお前がおれを討つ!?

おれが、黒炭がワノ国から受けた仕打ち!お前は知ってるだろう!

これは正当な復讐だ!

一方的におれだけを悪だと決めつけるのか!

この偽善者めっ!」

 

 

なんでおれがこんな理不尽な目にあう!?

おれの復讐は正しい!

おれこそがワノ国の支配者なんだ!

なのに、外で育った霜月の性を持つだけのこいつは、

おれの支配を侵食するだけでは飽き足らず、

今まさにおれを殺そうとしている。

こんな理不尽があるか!?

 

すると、目の前の女は2つの首を捨てて、答えた。

 

 

「なんでか教えて上げます。

私には関係ないからです。ワノ国の歴史も、あなたの復讐も。

 

あなたは私を殺そうとした。

ワノ国の人たちは私を歓迎した。

違いなんて、そんなものですよ。

 

私は善行を行いません。

私に好意的な人間を助けて、敵を殺す。

それだけです」

 

 

まあ、あなたが私に好意的だったとしても、

倫理観的に好まないので斬っていたでしょうが、と言って刀の柄を握った。

 

 

・・・ははは、なんだそれは。

ワノ国の歴史が関係無いだと?

そんな奴がおれを殺すのか。

そんな事が許されるのか?

 

おれが呆然としていると、釘が飛んできた。

力が抜ける、海楼石か?

そりゃそうか。

こいつは海外の人間だ。

ひぐらしのように、悪魔の実の能力に詳しくてもおかしくない。

 

おれが最後に見たものは、まるで蟲を潰すような表情の霜月水雉だった。

せめて、ワノ国を愛する奴に恨まれながら死にたかった。

そうであれば、おれの復讐は成功と思えたのに。

 

 

 

くそったれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【錦えもん視点】

 

 

 

 

 

ゾロ殿と再会した。

カン十郎が殺されて以来だ。

 

そして、その時聞かされた話はとても信じられない内容だった。

カン十郎が間者だと?

そんな訳があるかと怒った。

あいつはおでん様の処刑の時に一緒に死ぬはずだった。

そんな男が裏切り者な訳が無い。

 

しかし、詳しく話を聞くと、嫌に具体的だった。

あの女、霜月水雉が九里の大名だというのは既に調べが付いている。

 

ゾロ殿と共に来たお菊が言った通り、

オロチとカイドウからワノ国の民を守るような統治をしているらしい。

実力もカイドウと引分けるほどだという。

 

そんな女が、こっちの味方につくらしい。

本当なら助かる話だ。

 

そして、その女がオロチから聞き出した情報が、

カン十郎がスパイという事実らしい。

しかも、カン十郎が黒炭家の者だと。

 

確かにあいつは迫害されていた。

しかし、それはあいつが髪を集める変態だからで、、、

 

 

でも確かに、怪しいことはあった。

 

何故おでん様との討ち入りがバレた?

 あの日のことを知っていたのは我々とおでん様のご家族のみだった。

 

何故カイドウは雷ぞうがゾウに居ると知っていた?

 雷ぞうがゾウ付近で逸れたことは拙者とモモの助様とカン十郎のみしか知りえなかった。

 

何故ゾウまでジャックはたどりつけた?

 ゾウは常に移動する島。ビブルカード無しではたどり着けない。

 

何故ドフラミンゴに捕まっていたカン十郎は無傷だった?

 見るからに怪しいやつだ。なんで玩具にされなかった。

 

 

 

拙者が頭を抱えていると、

カン十郎の遺体にオロチへの手紙があるかも知れないという話になった。

遺体はおでん城の敷地に埋めた。

辱めるようで嫌だが、疑惑を払拭するためでもある。

 

皆と相談して調べることに決めた。

 

 

 

 

結果は、

黒だった。

 

 

拙者たちの気持ちを分かる者などいないだろう。

共に育ち、共に死ぬと誓った仲だ。

 

あの女が懐に仕込んだのではないかとすら疑った。

しかし、この字は確かにカン十郎のもの。

 

涙もろいお菊など、先程から一言も発さない。

拙者とて、親友と思っていた。

 

 

何故だ。

カン十郎。

 

 

その後、霜月水雉はルフィ殿とお菊たちと共に兎丼の牢獄を襲撃し、勝利した。

そしてその日に続けてオロチを始末したという情報が入ってきた。

 

拙者は、あの女に何を思えばいいのだ。

事実だけを書き連ねれば、

獅子身中の虫を斬り、仇の1人を討ってくれた恩人だ。

 

しかし、心情では、

親友を斬り、自らの手で討ち取りたかった仇を取られた相手だ。

 

 

 

・・・いや違う。

おでん様の話を聞いて、ワノ国の歴史を知って、

ここまで親身になってくれるルフィ殿たちが変わっているのだ。

普通は私欲の為、自身の目的の為に動く。

水雉殿には彼女の目的があって、カン十郎とオロチを討ったのだろう。

 

彼女の方が強く、動くのが早かった。

それだけのこと。

 

 

 

拙者たちはカイドウを討つ。

それだけを考えよう。

 

水雉殿が強いのなら土下座してでも助力を乞おう。

おでん様の仇をとる。

それだけが拙者たちの生きながらえた意味なのだから。

 

 

 

 

 

 




ワノ国の歴史を知ってるか?
という質問に対して百獣海賊団の面々は知ったこっちゃねーよって言うでしょう。
そこは主人公も同じです。

ただ、ゾロは友達だし、というかカイドウ負けるし、
ワノ国の人達は私のこと女神とか言って慕ってくれるし。
という感情で動いている味方です。


カン十郎の手紙はご都合主義です。
まあこれくらいはね?許してください。

オロチには懸賞金的にゾロがNo.3だと思われてます。


今週のジャンプも激アツでしたね。
ゾロカッコいい。これにはくいなもニッコリ。
合併号なので来週は無いのが寂しいです。
モチベアップの為に感想、高評価頂けると嬉しいです。

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