因縁の相手は階段   作:さくらいJAN

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42話 そして英雄へ

○月〇日

 

 

 

 

オロチをチョンパした後は鬼ヶ島を襲撃。

お玉と接触してからは彼女のきび団子をギフターズに食べさせる活動をしてた。

 

この海賊団に来てからプレジャーズにも優しくしてたし、ドフラミンゴがやられてから冷遇されていたウェイターズに戦い方を教えたりしてロビー活動を行っていた。

 

つまり、敵はギフターズ以外の真打ちと飛び六胞、

大看板を潰せば残るはカイドウとマムのみ。

 

 

という訳で占い野郎をぶっ飛ばす。

海楼石の釘なんて便利アイテムはこういう奴の為にある。

これで当分起きれまい。

 

そしてヤマトに声をかけた。

エースの弟が来ていることと、エースもその内来るはずだと。

だから大人しく待っているようにと伝えた。

 

続いてジャックを潰す。

強いが、タフネスを売りにしてる奴は相性がいい。

私は素早さと攻撃力特化。

悪いが蹂躙させてもらった。

部下も覇王色と爆発で一蹴。

ギフターズはなるべく潰したくないし、優しくね。

 

あとは飛び六胞とキング、といきたいがそろそろカイドウが来るだろう。

さっさと逃げる。

こんな感じで嫌がらせしつつ二日間逃げ回って、

討ち入りの時には疲れ果てたことにして雑魚狩り。

これが私の作戦だ。

 

希美の北の方にでも行こうかな。

と思い鬼ヶ島から飛び出して港へ、爆発ジャンプで逃亡しようとすると、

 

 

「雷鳴八卦!!!」

 

 

あっぶね。

どこにいたんだよ。

間一髪で避けてカイドウと向き合う。

 

カイドウとキングか。

厄介だな。

 

鬼ヶ島の中だったらカイドウも龍にはならなかっただろうに。

もう出ちゃったしな。

根性出して逃げなきゃ。

 

 

「おい水雉、

裏切ったことを責めるつもりはねえ。

裏切りは海賊の花だからな。

だがそのまま見送るなんてこともあり得ねえのは分かるな?」

 

 

相変わらず言い方がねちっこいな。

裏切者は死ね、で良いのよ。

そんなもんは。

 

 

「あなたは弱者に厳しすぎる。

世界の人の大半は弱者なのに、バランスが悪すぎます。

そのやり方は天竜人と同じで要らぬ恨みを生む。

それでは今の世界をひっくり返せない」

 

 

とはいえ私も時間を稼ぎたいので会話にのる。

本音だしね。

 

まったく、この世界の強者は極端すぎるんだよな。

兵藤会長の名言を知らないのかよ。

 

公平である必要はないが少なくとも公平感は客に与えねばならんのだ、ってやつ。

政治だってそうだ。

平等である必要はないけれど、不平等感が強いと軋轢が生まれる。

カイドウのやり方は長続きしない。

 

 

「弱者なんぞ必要ねえ。

強いやつ以外は奴隷にして使い潰せばいい」

 

「そのやり方でロジャーや白ひげにも勝てますか?」

 

「そいつらは死んだだろうが」

 

 

そんな簡単に死なないのよ。

偉人の意思ってのは。

宗教の教祖がいい例だ。

 

 

「意思は生きています」

 

「なんだと?」

 

 

よし、時間稼ぎは十分。

そろそろ逃げよう。

 

足に力を籠める。

ここから2日はチキンレース。

まあ逃げれるだろう。

伊達にワノ国をウロウロしてない。

オロチとその部下を始末した以上、地の利はこちらにあるぞ!

 

って、うん?

あれは・・・

 

 

「水雉様~!!

助けに来ました~あははは!!」

 

 

プレジャーズ!?

ウェイターズもいるぞ!

何しに来たの?

 

 

「水雉様!!

乗ってください!!

あいつらが抑えてくれている間に急いで逃げましょう!!」

 

 

後ろからは船が来た。

九里の人達が乗ってる。

おいおい。

なんで来たんだ。

足手まといだぞボケ。

 

 

「なんだこいつら、

おいっ」

 

「消えろ雑魚ども」

 

 

カイドウの指示でキングがプレジャーズ達を薙ぎ払う。

あっ馬鹿。

私の目の前で死ぬな。

死ぬなら関係ないとこで死ねよ。

 

 

「うぎゃー!」

「痛いなああははは!」

「根性入れろ!水雉様を助けるんだ!」

「水雉様はこれまで俺たちの為に頑張ってくれたんだ!

スマイルが来なくなって見捨てられた俺たちを鍛えてくれた!

遠征で殺されそうになったときも捨て身で助けてくれた!

恩返しをするんだ!」

 

 

おいばか、やめろそういうの。

要らないから。私強いから。

ほっとけって。

というか優しくして無いし。

それっぽく扱っただけだし。

私には簡単なことだったからやっただけで身を削ったりしてないし。

軽自動車に轢かれそうだった子供を戦車が助けたようなもんだ。

何もリスクを冒してない。

その程度のことに命を懸けるな。

バランスが悪いだろ。

 

 

「水雉様、早く!」

「水雉様のおかげで俺達は人として生きれたんだ!死んでも惜しくねえ!」

「水雉様が以前話してくれたボートも作りました!これで逃げてください!

わたしたちと彼らで足止めします!」

 

 

九里のやつらもいい加減にしろ。

そんな作りのボートで新世界を渡れるか。

船職人じゃないんだ、無理するな。

 

ほっときゃルフィが倒してくれる。

大人しくしてろよ。

何の為に頑張ったと思ってるんだ。

おこぼれ町が襲われる理由を無くしたのに、ここで死んでどうする。

 

 

「ウオロロロ、随分慕われているようだな水雉。

全員お前の大好きな弱者だ。

そいつらが何か助けになるのか?」

 

 

うっざ。

ニヤニヤしやがって。

適材適所って話をしてるんだ私は。

こいつらが立派な労働力になるってことはお前も理解しただろうが。

揚げ足取って悦に入ってるなボケ。

 

あーでも反論できない。

こいつら邪魔。

でもほっといて逃げることも出来ない。

それができたら東の海に引きこもって暴君やってるわ。

 

 

 

 

・・・うーーーーーーん、

あー、もう!

仕方ないなあ!

 

 

 

「みんなありがとう!

ボートはお借りします!

私は逃げるのでみなさんも逃げてください!」

 

 

こうするっきゃない。

私は速攻逃げる。

そうすればカイドウは私を追うだろ。

 

 

「ウォロロロロ!逃げるか水雉。

じゃあ仕方ないな。

おい、こいつら全員殺せ」

 

「はい」

 

「うぎゃあああ!!」

 

「なにを!?」

 

 

なんでそうなるんだ!

ニヤニヤしやがって!

どうせ逃げないと思ってるな?

馬鹿にするなよ!

そんなやつらは名前も覚えてないモブよ!

いちいち助けるか馬鹿!

自分で死地に来たんだ。

覚悟はしてるだろ。

 

 

「水雉様が逃げるまで耐えろ!」

「痛え、あはは、死ぬかもはは!」

「そのまま逃げてください!

俺たちは大丈夫ですので!」

 

「裏切り者が。

どのみち居ても居なくとも一緒。

処分するいい機会だ」

 

 

キングがプレジャーズとウェイターズを倒して回る。

カイドウも龍の姿になり九里の人達の乗った船に対して口を開ける。

熱息だ。

 

関係ない関係ない。

どうせモブ。

この先の世界には関係ない

 

 

「水雉様逃げてーー!」

 

 

 

 

・・・モブ、モブねえ。

モブってなんだよ。

ワンピースという物語を大きく左右しない人間。

だから重要じゃない。

じゃあ私にとって大事なのはワンピースという物語ってこと?

 

いや、そんなもの関係ない。

この世界で好き勝手するって決めた。

 

好き勝手ってなんだっけ?

 

私は強くなりたい。

この世界を楽しみたい。

前世は楽しくなかった。

楽しむ方法はあったんだろうけど、私が楽しむ努力を怠った。

だからこそ今世では努力して精一杯楽しもうと思ったんだ。

 

そして、今。

私は楽しいか?

 

カイドウの部下の立場は楽だった。

こいつらが無茶苦茶だから普通に接すれば好かれるし、強ければ尊敬される。

 

でもこいつはルフィに負ける。

それに、ちょっと過激すぎて肌に合わない。

弱者に厳しすぎる。敵対してるわけでもないのにそこまでする?

多少私が待遇を改善しても、別の所で蹂躙する。

 

根本の価値観が違うのだ。

その違い故に、楽だけど楽しくは無い。

もやもやする。

それが私の正直な感想。

 

だから裏切った。

せっかくだからなるべく人が死なない方法を取ろうと思い、オロチとカン十郎を殺した。

それは、その2人より、その2人を殺すことで生き延びる人達の方が好ましいと思ったからだ。

そして、殺さなければ止まらない2人だと知っていたからだ。

 

生き延びる人には所謂モブキャラも含まれる。

オロチとカン十郎はモブじゃあない。

 

ということは、私にとって大事なのは好ましい人間。

つまり、私に対して友好的な人間だ。

 

だが、あくまで好ましいというだけ。

私の命より大事という訳じゃない。

 

なので。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「覇王抜刀術・奈落の神(タルタロス)

 

「ぐおっ!?」

 

「無間【爆】

無間大紅蓮地獄・玖涯」

 

「ぐああああっ!!」

 

 

剃【爆】で接近してキングを斬る。

覇王色を纏った一撃。

こいつは無駄に硬い。

ゾロとルフィとやった時は多少加減したが、今回は全力だ。

高威力の一撃で背中の炎が消えた瞬間にボムボムの実の能力で即納刀し、

連続技をぶち込む。

 

タイマンだったらこんな大技あっさり決まらないが、

キングの意識が私から外れていたのが幸いした。

残念ながら殺せなかったが、3日は立てまい。

 

 

「みなさん、ありがとうございます。

ただ、今回は逃げてください。

私はここでカイドウを倒しますので」

 

「水雉様!俺たちも、

 

「逃げろっ!!」

 

 

一喝。

まごまごしてる暇はない。

この隙をつかれたら終わりだ。

 

 

「私を信じて、逃げてください」

 

「・・・分かりました!

必ず帰ってきてください!」

 

 

私の声掛けでプレジャーズとウェイターズ達は九里の人達の船に乗って逃げて行った。

これで一安心。

 

 

「ウォロロロロ!やはり帰ってきたか。

そういうところだけはウチの海賊団には合わなかったな」

 

「冷静ですね。

キングを潰したんですよ?

さっきはジャックを潰しましたし、昨日はクイーンを潰しました。

これで大看板は全部ぺちゃんこですね」

 

「だが死んではない。

あいつらを殺すのはおれでも手間だしな。

クイーンも救助した。

後はお前を殺せば終わりだ」

 

 

チッ、脳筋のくせに冷静なんだよなこいつ。ちょっとは怒れよ。

あーあ、厄介なことになったな。

でもしょうがないな。

これが私のやりたいことだし。

 

 

「ウォロロロロ、愚かな奴だ。

弱者はお前を守れない。むしろ足を引っ張る。

どれだけ大事にしようとな。

だからお前はここで死ぬんだ」

 

「だれが死ぬかボケ」

 

「あ?」

 

 

呼吸を整える。

大丈夫。私ならやれる。

 

 

「あいつらを助けた上で私も生き残る。

余裕だよ。

最強だのなんだの持ち上げられちゃいるが、所詮は時代の敗北者だろ?

何度も海軍に負けたくせに偉そうなんだよ牛ゴリラ!」

 

「それが本性か。

ウォロロロロ!面白い!生き残って見せろ!」

 

 

まったく、あいつらのせいで予定が崩れた。

でも、まあ、悪くない。

命懸けで守られるなんて、私も捨てたもんじゃないな。

私も命を懸けても良いなんて、思ってしまった。

無事逃げ切れたらあいつらと一緒に海に出よう。

きっと楽しいはずだ。

 

 

覇気を振り絞り、刀に込める。

ぶっ倒してやるよ、最強。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




あけましておめでとうございます。

やっと人として少し成長しました。
これからは本当の意味で彼らの為に頑張ることでしょう。

とはいえワノ国の歴史とかに興味ないのは変わってないです。
あくまで自分を慕ってくれている人と向き合うことを決めただけです。

この場に助けに来た人数は約300人です。
しかし、もしカイドウが倒されれば殆どのプレジャーズとウェイターズが主人公に着いてくるでしょう。


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