アラバスタに到着。
暑い、暑すぎる。
私はどうでもいいけど、ウタが日焼けしてしまうのは可哀そうだ。
クロコダイル相手に人質にされても困るし。
せっかくだから歌姫として活躍してもらおう。
現在のアラバスタではダンスパウダー事件が原因で国が割れている。
こんな不安定な国では真っ当な娯楽が栄えない。
そんな状況でも歌姫として名を上げることが出来れば、ウタは本物だ。
あと、修行も頑張るように。
まあウタウタの実があればよっぽど大丈夫だろうし、ビブルカードも交換した。
いざとなれば駆けつけよう。
あと、作戦の為に一つお願いをしておいた。
能力の有効活用だ。
ウタの犯行だとバレると賞金首だからバレないようにね。
ウタワールドの中なら無敵なんだから変身するなりなんなりしてね。
さて、行くか。
レインベースへ。
レインベースへ到着。
いやー結構時間かかった。
なんだかんだ2週間以上歩いたわ。
本当に暑いんだもん。
ペースも遅くなるさ。
思わず陽射し対策に武装色使っちゃったよ。
取りあえず力づく、が座右の銘だからね。
今決めた。
でもまさか私がレインベースに到着するより先にウタが仕事を終えるとはね。
あの子やっぱすげーわ。
歌が届けばあの子の領域だから、強いのは当たり前だが、
更に凄いのはその歌唱力だ。
あっという間に王にも知られる人気者になるとは。
びっくり。
さーて、私も仕事をしますかね。
念のため、ちょいちょいっと小細工をしてからカジノへ。
ルーレットを遊ぶ。
100万負けた。
まあカジノなんてそんなもんか。
負けて怒った客のふりをしてガードマンをぶっ飛ばして奥へ。
見聞色でクロコダイルの位置を確認して、壁と床を破壊。
海楼石の牢に閉じ込められることなく相対した。
となりにはニコロビン。
丁度いい。
「海賊、じゃねえな。
ただのチンピラか。
七武海であるおれの店で暴れるとは、
いかれてんのか?」
私がミス・ダブルフィンガーであることは把握してるはず。
それでも名乗らないか。
まあ当然だよね。
革命を起こそうってんだから。
身元がバレる訳にはいくまい。
「しがない賞金稼ぎですよ。
ここに悪魔の子がいるという情報を掴みましてね。
どうやら正解だったようです」
クロコダイルが舌打ちをする。
大義名分ゲットだぜ。
「いくら七武海でもオハラの生き残りを匿えば政府は黙ってないでしょう。
大人しく渡してもらえますか?」
「断る、と言ったら?」
「痛い目見てもらいます」
「クハハハ、やってみろ」
砂に体を変えて襲い掛かってくる。
当然、武装色で攻撃。
「がはっ!?」
「え!?」
吹っ飛ぶクロコダイル。
びっくりするロビン。
良い光景だ。
「どうしました?
まさか攻撃を貰うのは初めてですか?」
「海楼石……じゃないな。
覇気使いか。
面倒だが、それなら戦い方を変えるだけだ」
覇気を使う様子はないが、存在は知っているようだ。
まあ海軍中将は使えるからね。
当たり前か。
クロコダイルは砂嵐に身を変えて、ロビンを連れて外へ。
当然追いかける。
即追いつき、木刀を叩きこむ。
が、手ごたえがない。
これは、クロコダイルが操っているただの砂か?
「なめるなよガキ。
ロジャーと事を構えたことだってあるんだ。
ロギアの実体を捕える力を使うやつなんざ珍しくもねえ。
その力を得て、調子に乗って挑んでくる雑魚を何人も殺してやったもんだ。
こんな風になあっ!」
クロコダイルは私から距離をとり、砂の斬撃を飛ばしてくる。
それを木刀で防ぐが、クロコダイルにダメージはない。
なるほど、自分が砂になれるし、砂も操れるのか。
確かに漫画ではエネルが生み出した雷をルフィは無効化していたが、
別に殴れはしなかった。
本体と現象は別、ということか。
やっぱり厄介だね、自然系。
まあ、それでも勝つけど。
追いかけっこの末、
砂漠まで逃げられてしまった。
しかし、そこで立ち止まった。
「逃げるのは終わりですか?」
「逃げちゃいないさ、
場所を変えただけだ」
クロコダイルが砂に変わり、同化する。
「
辺り一帯が砂に囲まれた。
まるで砂嵐の中だ。
木刀を振るが、手ごたえがない。
「その力の法則は分かってる。
自然系の実体を捕える。
攻撃力が上がる。
防御力が上がる。
感覚が研ぎ澄まされる」
思いのほか理解してた。
ちょっとびっくり。
「確かに、自然系にとって脅威だ。
能力にかまけた雑魚なら訳も分からず殺されていただろう。
だが、おれは違う。
お前が捕えられるのはあくまでおれの体。
おれが操作する砂を攻撃しても意味はねえ。
いくら感覚が研ぎ澄まされようと
そして……」
瞬間、手が目の前に現れた。
危ねっ!
私は咄嗟に武装色でガードする。
が、狙いは木刀だったようだ。
一瞬で砂に変えられてしまった。
「おれに触れられたら最後。
ミイラの出来上がりだ」
いやー、強いねクロコダイル。
全力の一撃で瞬殺しなかったせいで結構ピンチだ。
冬島とかならそうでもないかもしれないけど、アラバスタではちょっとヤバいわ。
ルフィよく勝てたな。
「とはいえおれは慈悲深い。
降伏するなら許してやろう。
その力、おれの為に使え」
なるほどね、ここで降伏させればMr.0と名乗らなくても結果は同じ、
ということか。
無策でつっこんだら負けないまでも逃がしてたかもな。
準備しておいて良かった。
「まだ油断してますね七武海。
有名人のあなたを相手取るのに、覇気を使えるってだけでつっこむわけないでしょう?」
「……なに?」
私は繋げておいた小型の電伝虫に号令をかける。
「今です!」
それと同時に大量の水が空から降り注ぐ。
雨、ではない。
海水だ。
砂の霧は解け、クロコダイルが姿を現す。
「なにごとだ!?」
この国で水は貴重だが、島である以上海水の確保は容易い。
大量の海水を準備してホースで撒くように指示したのだ。
「ダブルフィンガー様、今です!」
「ご苦労、ビリオンズ」
そう、指示したのはビリオンズ。
私の強さを知っている彼らはクロコダイルが匿っている賞金首を捕まえる為に、
やつを嵌める作戦を伝えたら喜んで協力してくれた。
まさかそいつが自分のボスとも知らずに。
強い海賊なんてのは嫌われるのさ。
しかも政府の犬。
無法者ばかりを集めたのが災いしたようだな。
誰も信用しないがゆえに部下に嵌められて負ける。
おあつらえ向きだね。
「てめえら、おれが誰だとっ!」
ビリオンズに叫ぶクロコダイル。
はっはっは、もう遅いよ。
「お休みボス。
秘密主義もほどほどに、ですよ」
「貴様、なぜ知って……!?」
本気で覇気を込めたグーパンでKO。
クロコダイル、破れたり。
クロコダイルは覇気の存在を知ってるが、使えない。
使えない理由は次回。
でも、別に使えなくても強いよね。
エネルだって武装色の存在を知ってさえいれば、
能力と心網だけで四皇幹部相手でも全然勝てそうだし。