因縁の相手は階段   作:さくらいJAN

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6話 ゾロ&モブ海兵視点

「えー!?

それってあの刀鬼のくいなのことかよ!?」

 

「なんだ、知ってんのか?

というかトウキ?なんだそれ?」

 

シモツキ村を出た俺は色々あってルフィと出会い、海賊になった。

それから色々な奴と戦い、海上レストランで休んでいた。

酒を飲んで昔話をしていると、化け物じみた幼馴染のくだりでウソップが叫んだ。

くいなのこと知ってるみたいだ。

あいつ有名なのか?

まあ当然だが。

 

「あのねえ、どれだけものを知らないのよ!

刀の鬼と書いて刀鬼。最年少海軍本部中将よ!

この間だって四皇の幹部を捕まえたって記事になってたのよ!

化け物よ化け物!」

 

「そーだそーだ!

噂じゃあ一振りで山を斬るらしいぞ!

クロなんかよりよっぽど怪物だ!

おれ様でも勝てるかどうか・・・」

 

「無理に決まってんでしょ!」

 

「・・・へー、

まあ元気そうでなによりだ」

 

 

そうか。

海軍に入ったことは知ってたが、中将ね。

あいつなら一気に元帥にでもなってるかと思ったが、

思いの外世界は広いらしい。

 

 

俺が初めてあいつに会ったのは6歳のころ。村の道場の娘だった。

それからあいつが村を出るまでの12年。

一度だって勝てたことは無かった。

 

 

冗談みたいに強いやつだった。

木刀で鉄の塊を粉々にするし、刀を握れば森を一瞬で坊主にできた。

 

後ろどころか、空に目でもあるのかってくらい感覚がするどいし、

本気になると腕や刀が黒くなって力が何倍にもなる。

 

俺も一緒に修行したから似たような真似はできるが、全然手は届かない。

あの頃のあいつの歳は超えたが、未だ海を斬るなんてことはできない。

 

 

それなのに、あいつは村を出る時に俺に刀を渡してこう言った。

 

 

「この刀はゾロに上げるよ。私にはちょっと大きいし。

ゾロなら私より強くなれるかもしれないしね。

どっちが世界一の大剣豪に成れるか競争しよう」

 

 

ふざけた話だ。

だが、燃える。

 

 

男だ女だは関係ねえ。

剣士として、俺はくいなに勝ちてえ。

 

このレストランに来たのもそれが理由だ。

 

最強の剣士

七武海

鷹の目の男

ジュラキュール・ミホーク

 

あいつが中将ってことはミホークはそれ以上に強いんだろう。

少なくとも俺よりは強いに違いない。

世界と俺との距離を測るいい機会だ。

 

酒を飲み干して立ち上がる。

 

 

「便所行ってくる」

 

「おおっ」

 

 

さて、船長がバイトしてる間に探すかね。

最強の剣士とやらを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ローグタウンの新人海兵視点】

 

 

俺は海賊王が生まれ、処刑された町、ローグタウンで生まれた。

この町に生まれたやつは海賊か海軍になるケースが多い。

ロジャーに憧れたやつは海賊に。

そんなロジャーを捕まえた海軍に憧れたやつは海軍へ。

 

俺は後者だった。

 

だから18歳になると共に海軍の入隊試験を受けた。

そこで俺は鬼に会った。

 

 

初めて会った時の印象は華奢な女だな、というだけだった。

しかし、海兵は戦闘員だけではない。

事務志望なのだろうと思っていた。

巻藁を斬る試験までは。

 

試験は筆記試験か戦闘能力試験かを選べた。

もちろん両方受けることもできる。

俺は試験の対策をしていたので、幹部候補を目指すため、

両方でいい成績を残そうと思い、両方を選択した。

 

先に戦闘能力試験だった。

剣で巻藁を斬るか拳で木の棒をへし折るか。

要は刃物の扱いか腕力か。

どちらかを示せとのことらしい。

 

個人的には模擬戦などで技術も測ってほしかったが、

まあ文句を言っても仕方ない。

俺は剣を手に取って巻藁を斬った。

 

もちろん難なく切り裂けた。

練習していたからな、当然だ。

 

今日は年に一度の本部中将が視察に来る日だ。

今回はヤマカジ中将が来ている。

 

募集は毎月あるが、このタイミングで試験を受けると、

成績次第ではいきなり本部配属もありえるという噂だ。

 

周りと比較しても俺の巻藁は断面が綺麗だ。

これでいち早く出世できるぞ!

俺は心の中でほくそ笑んだ。

 

あの女が腕を振り下ろす直前まで。

 

 

 

ドンッ!

と大きな音がした。

 

音の先は試験会場の奥。

中将から一番近い場所、場所の振り分けは試験官が行ったので偶然だろう。

 

まるで大地震でも起きたかのように大地が裂けており、

その裂け目は中将の目の前まで広がっていた。

まるでこのまま島が割れてしまうのを中将が防いだかのような光景だ。

 

巻藁が有ったであろう場所には短い木の棒がポツリとあるだけ。

藁は跡形もなく消し飛んでしまったのだと思われる。

 

その手前、この惨劇の犯人の位置に、先ほどの女がいた。

相変わらず華奢だ。

使っている剣も配られた剣。

俺たちが使っているものと同じだ。

 

 

試験はそのまま終了。

俺は無事合格。

そのままローグタウン配属になった。

 

そしてあの女は中将に連れていかれた。

恐らく、次会う時は上司になっているだろう。

 

今回の件で俺は学んだ。

 

ロジャーみたいになる奴。

ロジャーを捕まえる奴。

それはあの女みたいな奴だ。

 

技術の試験なんて必要ない。

この世には圧倒的な力ってものがある。

 

カイドウ。

ビッグマム。

赤髪。

そして、白ひげ。

 

みんなそんな圧倒的な存在なんだ。

努力で何とかなる範囲を超えている。

 

俺なんかが首を突っ込んだら命がいくつあっても足りない。

俺はおとなしく生まれた町の治安を守ることにするよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え?

他に何かないかって?

 

あー、そういえばあの女階段から落ちてたな。

あれだけ力があるのに何でもない階段から転げ落ちてた。

なんかの呪いかもな。

力の代償的な。

まあ安いもんじゃないか?

無傷だったし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ゾロパートは未来の話です。
今のくいなは原作2年前ですね。

原作開始時のゾロの強さはパシフィスタに単独でギリ勝てない感じです。
見聞色も使えるのでMr.3の蝋は斬れちゃうし、Mr.1も瞬殺です。
でも、物語の展開が大きく変わるほどではありません。
鷹の目からしたらまだまだ子供です。
海楼石も斬れません。
つまり結果は原作通りです。


試験の場所は偶然じゃないです。
本部海兵が一番強そうだと判断しました。

あと、ヤマカジ中将はなにもしてません。
くいながギリギリで止まるように制御しました。
イカレてるぜ。

ヤマカジ中将の心の中を描写するなら、
「こいつワシより強くねー?」
です。

モブの言ってることは正解です。
くいなは階段から落ちる呪いを受けてます。



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