漆黒の鋼鉄   作:うづうづ

1 / 59
適当にネタが浮かんできたので初投稿です



第一章 ジュニア級
第一話 転生と入学と


 目が覚めたら真っ白な空間だった。正直どうなっているのかわからない。

 

 夢か現かはわからないけれど、ふわふわとした感覚で、

自分が今どのような状況なのかいまいち理解できない。

ふわふわと浮かんでいるうちに、唐突に声のようなものが聞こえてくる。

 

『何か望むものはあるか』と。

 

 正直どうなっているのかわからない。(二度目)

少し考えこんでいると、考えたことに対して声のようなものが返答してくれるようなので、いろいろと質問してみた。

 

 そこで分かったことを簡潔にまとめると、

曰く、自分は死んでウマ娘?というものに転生するらしい。

曰く、気紛れに何か加護を与えてみてその結果を観察したい。

他にもいろいろ言っていたが、正直ふわふわとしていてよく覚えていない。

 

 要するに、そのウマ娘?とやらに転生させるから何か特典を選べ、ということだ。

ウマ娘、とやらがどんなものなのか思い出せないが、馬なら思い出せた。

娘ということは、きっと牝馬に転生するということだろうか。

 

 競走馬になるか乗馬になるかはわからないけれど、その線で望むものを考えてみよう。

誰も追いつけない、圧倒的なスピードだろうか?

それとも、どれだけ走っても疲れないほどの、無尽蔵のスタミナだろうか?

 

――いや、違う。きっとそうじゃない。

スピードも、スタミナも、トレーニングを積めば身に付けることができるだろう。

他人より優れたものを持っていたとしても、それを十全に活用できなければ意味がないものだ。

 つまり、ここで望むものは、自分ではどうにもならない、天稟のものであるべきだ。

馬に限らず、人間でもそうだ。アスリートに最も大事なもの。

 それは、故障をしないことである。

どんなに将来を期待された天才であろうが、怪我をしてしまえば潰れてしまうのだから。

他人よりハードなトレーニングを積んでも、他人では出せないほどの出力を出しても、絶対に故障しない才能。

こればかりはトレーニングではどうにもならない。柔軟や食事などで『故障しにくい身体』を作ることはできても、『絶対に故障しない身体』を作ることはできないのだから。

 

 そういうわけで、私は『絶対に故障しない身体』を得てウマ娘なるものに転生することになったのだった。

 

 

 

――と、いうのがこの私、ウマ娘『ブラックプロテウス』である。

転生するまでは牝馬の別称か何かだと思っていたウマ娘だが、生まれつき別世界の名前を持ち、人間の身体に馬の耳と尻尾が生えた種族である。ただし、その走る速度は時速60㎞を優に超え、パワーも人間とは隔絶したものを持つし、聴覚や嗅覚にも優れている。

 

 そんなウマ娘に生まれ変わった私だが、物心付いたころには裏山を駆け回っていた。

何といっても、走るのが楽しいのだ。前世のことは正直、自分が男性だったのか女性だったのかすら覚えていないのだが、それでも、前世ではこんな速度では走れなかったことは覚えている。

平たい地面だろうが、急斜面だろうが気にせず駆けまわって、今までにシューズをどれだけ破壊したのかわからない。

 そして、私がもらった『絶対に故障しない身体』は、とてつもないものだということが分かった。

 何せ、どれだけハードトレーニングをしても一切脚が消耗しないのだ。走っている途中に斜面で転んで滑落したこともあるが、多少の擦り傷と打撲を負った程度だったし、ウマ娘専用レーンを走っていた時に居眠り運転のトラックに正面衝突された時も、ほぼ無傷で済んだ。(両親には泣かれた)

 ウマ娘は人間に比べれば幾分か頑丈だが、それにも限度がある。流石にぶっちぎった耐久性に精密検査を受けさせられたこともあるが、とても頑丈だということ以外はわからなかった。

 私も変な特典を貰ったなどとは言いだせずにいたので、真相は謎のままである。まあ、両親は無事之名バだと笑っていたが。

 

 そんな私だが、新年度の今日から日本ウマ娘トレーニングセンター学園、通称トレセン学園の中等部に入学する。トレセン学園には2000人近くのウマ娘が通う、とても大きい学園だ。

中央にある学園ということで、入学に至っては走力のみならず、学力、人品に至るまで求められる。(人品が良ければ他がダメでも合格できるウマ娘もいるらしいが)

 私はというと、走力――入学時の試験レースでは他をぶっちぎってゴールしたので上々な方だろう。学力は中の中程度だと思うので割愛するとして、それなりに評価は悪くない……と、思いたいところだ。

 人品については自分では何とも言えない。気性難ではないとは思いたいが、基本的に駆け回っていないと落ち着かないし、とあるものを収集する趣味もある。

 レースに出るためにはトレーナーについてもらう必要があるので、評価については気にしていかないといけないだろう。

そんな少々の不安を抱えながらも、トレセン学園の校門をくぐるのだった。

 

 




オリジナルウマ娘紹介
ブラックプロテウス(Black Proteus)
身長160cm、体重微減(ホームシック気味)。
スリーサイズは90/56/87。ダイワスカーレットと似た感じ。

黒鹿毛の髪はライスシャワーのような漆黒とも言っていいような黒色。
肌は色白で、日焼け止めを忘れるとすぐヒリヒリとしてしまう体質。
日焼けは故障ではないらしい。

走ることが大好きで、幼少期からひたすらトレーニングをしていた。
友達と遊ぶよりトレーニングを優先していたため、基本ボッチであり、その影響か両親や祖父母に対して依存に近いほど懐いている。
祖父の真似をしてとあるものを集めている。

とても優しく穏やかなウマ娘であり、垂れ目なのも相まって他人にはぽわぽわとした雰囲気を与えるし、見た目通りかなり天然が入っている圧倒的マイペースのやべーやつである。

好きなことはトレーニング。苦手なことは夜更かし(日付が変わるまで耐えられない)

バ場適性は芝A/ダートB。距離適性は短距離C/マイルB/中距離A/長距離A。
脚質適性は逃げA/先行B/差しB/追込G。
本来は芝向きのウマ娘であったが、幼少期から山道を走り回っていた影響でダートも走れる。

基本自分のペースでぶっちぎり、ハードトレーニングで積んだ圧倒的スタミナで逃げ切る爆逃げウマ娘。好位追走くらいなら出来るが、最後方にいると掛かりに掛かって序盤に全員ぶち抜いてしまうので追込は苦手。

プロット時点での名前は『ロンズデーライト』というダイヤモンドより硬い鉱物から取るつもりだったが、実在馬だったので別の名前に。
プロテウスはヨーロッパで発見された絶対に切断できない合金から。ブラックは毛色から名付け。ロックバンドに同名のグループがあるそうですが無関係です。
体格や毛色については全ウマ娘の中からランダムで選択して組み合わせたものを採用しています。

掲示板形式や他者視点とかはあったほうがいいですか?

  • あったほうがいい
  • ないほうがいい
  • どっちでもいい

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。