あの野良レース以来、みんなから避けられてしまった。
見た目に反して悪魔のような、怪物と言われても仕方ない走りだと。
「困ったわねぇ…」
絡んできたウマ娘を下したことで、様々なトレーナーからチームに入らないかと誘いが来るようになった。
因みに、絡んできたウマ娘はあれ以来見ていない。
「私は怖くないのにね」
どちらかというと可愛らしいお顔に産んでもらったはずなのだが。
プニ、と頬を持ち上げる。
「お前がステルラレックスか?」
「!!!?」
誰もいないから良かれと思って頬をムニムニしたのが見られた。
「…間が、悪かったか?」
「……忘れろ、いいな?」
「お、おう…」
目の前の黄色のシャツに黒ベストの、男のトレーナーだった。
「なあ」
「何よ」
「触っていいか?」
「随分と積極的なセクハラ発言じゃない、ぶっ飛ばすわよ」
なんだこいつ。
ここは変なやつしかいないのか。
「だよな。まあ触らなくてもかなり完成されてるが」
「たづなさんに投げ渡すわよ」
もういっそ、ブーちゃんのいるリギルとやらにしようか。
多数のウマ娘を見てきているから、そこら辺はしっかりしているだろう。
もうこの際、隙を見て逃げよう。
「クラシック三冠、お前なら夢じゃないぜ」
「……あら、それはどうして?」
「走法に関しちゃまだ少し改善点があるが…、何よりも特筆すべきは、心を折らせかねない圧と…お前、何かやってるな?」
「何、ね…。多分客席からじゃ人間の聴力じゃ聞こえないはずだけど」
「あの日、対戦したウマ娘がブツブツと言っていたんだよ…お前の口から大きな呼吸の音が聞こえたってな」
「ああ…呼吸ね。これでしょ?」
シィィィィ…
独特な、空気の音が聞こえた。
これは、二人よりも体の発達と本格化が遅れていた私が、少しでも二人に追いつくように、と苦心しながら会得した呼吸。
例えば、漫画。
友達から少し借りた漫画では、呼吸によって身体能力を強化していた。
そしてルクスの本を買いに歩いていた時に見つけた、呼吸による身体能力の改善と健康について書かれた本。
なので、ランニングがてら酸素の薄い山に全力で走り込み、整備されていない獣道よりも酷い、道ですらない───を全力で走り込み、腹に力を入れて。
ひたすら走って、走って、走って繰り返して。
こうして身につけた先が、スタミナゴリラおばけになったのだ。
「…肺活量か」
「ええ。勿論、スピードとパワーだって、山の獣道すら酷いところで走ったもの。負けないわ」
走法は少し大雑把かもしれない。
今までやってきたものは全部、基礎トレーニングだ。
二人では何もかも、劣っていたのだから。
がむしゃらに、泥まみれになろうが、培ったものだ。
「…お前は、なんのために走る?」
「怪物だろうが、皇帝だろうがなんだろうが。私は強い人と戦いたい。ミスターシービーのような、魅せる走りをして、妹が誇れるようなカッコイイ姉を目指すわよ」
「そうか。なら、俺のチームには?」
「入るわ、ええ。私の技を見抜いたんだもの!気に入ったわ、よろしく。トレーナー!」
トレーナーと私はニヤリと笑って、互いの手をパン、とぶつけ合った。
「イッテェ!?」
「あらごめんなさいね」
こうして、チーム・スピカの一員になったのだった。
メイクデビューまでの道のりが近くなった。
レックスちゃんのチーム入りがスピカな理由とチームにしたわけ
・ブライアンと完全に対になるようにしたかった(チームリギルだから)
・ハヤヒデを倒したテイオーがいるため
・オリトレ思いついたものはいいが、この小説じゃなくて寧ろブライアンとかハヤヒデ、ルドルフ、タキオン用になってしまった(つまり別の夢小説になってしまった)。夢女生成機は伊達ではなかった。しかも設定がガチガチに固まっちゃった
・オハナさんの方針とレックスちゃんの方針が合わなさそう(レックスちゃんは血反吐吐いてでもトレーニングをやる)
正直めちゃくちゃ悩みました