星の王は果てへ臨む   作:龍覇

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第7R

後日案の定怒られた。

というよりも、エアグルーヴに怒られている。

会長も出る幕がないようだ。ブーちゃんは呆れた顔でこちらを見ている。

「…で、聞いているのか」

「すみませんでした…」

こういう時は黙って聞くに限る。というよりも八割…いや二割は自分も悪いのだけれど。

啖呵を切っといてウイニングライブは軽業である。

拍子抜けもいいとこだ。だがこれしか出来ないのだ、しょうがない。

「ごめん、カイチョー。さすがのボクたちでも間に合わなかったよ〜…」

「あのトレーナー…蹴っ飛ばす…」

正座で足が痺れて前のめりに倒れる。

新聞には大々的に私の記事ばかり。ひれ伏す走者と私、更に大きい写真でウイニングライブを軽業で披露。なにこれ。

ふみ

「ヴ…ッ!!!」

足痺れたところをブーちゃんに踏まれた。鬼畜生である。

野太い声はご愛嬌に。

「でもアンタの軽業、久しぶりに見たな」

「いつぶりだったかしらね…?」

呻き声しか出ない。

足の感覚が戻るまで、何時になるのやら。

「…確かブライアンとレックスは幼馴染だったかな?」

「ああ。家が隣同士でな」

つんつん、と私の頭をつっつく。人の頭で遊んで楽しいのだろうか。

「思い出した…確か雨の日でかけっこ出来なくて、ブーちゃんたちの家のバランスボールの上で歩いたんだった」

「え、そんなことしてたの…?」

「ええ。その後逆立ちにも挑戦していつの間にか…」

「人の家の物で何をやっているんだ…」

「結構大ウケだったわよ。怒られたけど」

あの時はみんな、やんちゃだったもので。

最初は止めていたハヤちゃんは、楽々とバランスボールの上を歩く私に興奮して。

走れなくて拗ねていたブーちゃんは、自分もやると言い出して。

「あの驚異の体幹の良さはそこから来ていたのか…」

そこからどこから用意したのかビニールテープで綱渡りの代わりをして。

いつの間にか、軽業師・ステルラレックスの誕生に繋がってしまったのである。もちろん、危ないのでマネはしないように。

「まあでも流石に次のウイニングライブの練習はしてるから…その…すみません…」

「そういえば、次のレースはどこに出るのー?」

「朝日杯フューチュリティステークスね。その後にホープフルステークスにでるわよ」

「え、随分とスケジュールがハードじゃない?」

「私も思ったけど…走法の改善を少しやればいけるってトレーナーが」

「ええ…」

トレーナーのトレーニングプラス、自主トレ。

トレーニングは走法の改善、自主トレは呼吸を常にできるようにすること。

これは前から行っていたことであり、両方とも大分タイムが改善された。

この分なら行けるとのこと。

「まあでも、次の並走でスケジュールは変えるかもしれないわね。ダメだったらホープフルは止めて、朝日杯の前にサウジアラビアロイヤルカップにするし…ブーちゃん?」

「無理はするなよ」

「私をいったい幾つの子供だと…まあでも、今までの例があるものね。分かったわよ」

「ブライアンってレックスの事になると過保護になるよね…というかブーちゃんって呼ばれて…ぶっ!?」

「いたっ!?」

ブーちゃんと呼ばれていたことにからかったテイオーは口を引っぱたかれ、私も叩かれた。

「可愛いじゃないか、ブーちゃん…」

笑いこらえているエアグルーヴに…いや、最早堪えきれていない。

「……お前のせいだぞ、テル…!」

「まあまあ、ブライアン。喧嘩はするものじゃないよ…お」

ピン、と会長の耳がたった。なんだろうか。

「喧嘩…喧嘩。うん。ケンカはしちゃいけんか。ふふ」

「……さすがです、会長………」

生徒会室の空気が冷えきった。

エアグルーヴのフォローが、痛かった。

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