星の王は果てへ臨む   作:龍覇

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第8R

私の部屋は殺風景だった。

物はあまり持たないようにしていたし、物を捨てるのが好きな故に、何も無かった。

「アンタの部屋、本当に何も無いな」

「なんというかまあ…高校生にしては物が無さすぎるな」

「…そう?一応美容品はあるのだけれど」

ブラシ、テールオイル、ヘアオイル…あくまで身だしなみに必要なものである。

ハヤちゃん程ではないけど、髪もまあフワフワしているので付けている。

必要なものがあればそれでいいのだ。

服も3、4着あれば充分なもの。ダメになれば新しいのを買いに行けばいい話だ。

「まあ確かにそうだな」

「…………まったく」

ハヤちゃんは深いため息をついた。

「ブライアン、お前あれから服買っているのか?」

「…は?」

「まさかとは思うが…私のお下がりと前買った服だけとは言わないよな?」

面倒なことになった。

一度こうして火のついたハヤちゃんは誰にも止められない。

「服、買いに行くぞ。今週末にな」

「…今ので十分なんだけど」

「服がだいぶヨレヨレなんだが?」

「……ぐ…」

「…チッ、めんどうな…」

これは着せ替え人形になるしかない。

二人は決意する他なかった。

 

 

 

 

 

 

ショッピングモール。人が多い。

結局引きずられる形でショッピングモールに入ることになった。

「……おい、なんで手を繋ぐ必要があるんだ」

「お前たちは勝手にどこかに行くからな」

「すごい目立つ…いい歳した高校生が…」

最強姉妹と有名な二人は目立つ。それプラス、前のウイニングライブで軽業をした私である。絶対に悪い意味で目立つ。

「……くそっ」

ブーちゃんはもう機嫌が斜めである。私も異議申し立てしたい。

「…はあ…」

「よし、早速いくぞ」

だがここからは地獄だということを、私たちは知らなかった。

「着ろ」

「着ない」

「着ろ」

「着ない…!!」

ハヤちゃんは完全に別の方向で火がついた。

今、私が来ている服はフリフリだ。昔着ていたので最早何も思わないけどやはり、年齢的なものできつい。

しかも未だに親からもフリフリの服が送られる。

サイズも全然合わないので、申し訳ないが捨てている。そういえば最後に会ったのいつだろうか。

「…しょうがない、入るぞブライアン」

「!?おい、テル!!この頭でっかちを止めろ!!!」

「……諦めなさい」

「私の頭はでかくない。全く、お前は昔から…」

「待て…おい、やめろ!〜〜〜っ!!!!!」

試着室に入る2人を見届けた。

これもまあ目立つ目立つ。有名人は辛い。

ドタバタドタバタと試着室が揺れている。狭いのに暴れるからだ。

「ちょっとブーちゃん。試着室で暴れないのー」

「テルのバカ野郎!!!」

「こらブライアン!!服が破けるだろ!!!」

「バカ姉貴!どこ触ってるんだ!!」

その無意味な攻防はどこまでも続いた。

シャ、とカーテンを開かれた。

「…………」

完全に怒っている。耳が後ろに伏せられている。

服は私の色違いと言ったところか。

私が赤に対して、ブーちゃんはピンク。かつ髪型もポニーテールからツインテールにされている。

ハヤちゃんはもう着替えていた。色は黄色。

「ふむ、さすが私の妹だ。よく似合っている」

「ヒラヒラしやがって…!」

「ライブ衣装も着てんだからこれぐらい平気でしょ?」

「それとこれとは訳が違う…!」

しかしこれは双子コーデならぬ3つ子コーデだ。

なんかそれはそれで恥ずかしくも可愛い。

しかしここで、暗雲が立ちこめる。

「あれー?ブライアンさんだー!」

オレンジ髪の小さい子…マヤノトップガンがブーちゃんの名前を呼ぶ。

「マヤノ…!」

サッ、と青ざめた。

「…ハヤヒデ、レックス、あんたらどうしたの…」

「……タイシン??」

「ああ、これは…ハヤちゃんが変なスイッチ入っちゃって」

「ああ…」

我に返ったハヤちゃんはピシッ、と固まる。

タイシンは察したのか、哀れみの目でこちらを見る。

どうもここは知り合いの子も来るようで。

「おや、偶然だね」

「………なんだこれは」

会長と副会長が集結した。何これ。

ブーちゃんにとってはさらなる地獄だろう。

「ブライアンさんどうしたのその格好?かわいいー!!」

「ちが、これは姉貴が…!」

「タ、タイシン…何故ここに…!」

「ゲーセンで新しい音ゲーのやつ出たから遊んでたなんだけど。…ごめん、大分目立ってたから」

「君もそんな格好するんだな」

「ハヤちゃんが変なテンションになってたので。ああ、でも小さい頃は似たようなの着てましたよ」

「あまりはしゃぎすぎるなよ。こうして他の生徒も遊びに来ているからな」

「肝に銘じますわ。…あーあ、これは地獄絵図ね」

ふっ、と横を見ると、気を使って去ろうとするタイシンをハヤちゃんは必死に止め、マヤノトップガンの口を必死に抑えるブーちゃん。

事態を収拾するのに、副会長が止めにかかったのだった。

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