Sword Art Masked Rider   作:通りすがりの幻想

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第10話です。(やっとだ…)

うう…1月中に出せなかった無能な自分をお許し下さい…。

暇つぶしにこれまでの話見返してたら、一番グダグダだと思った初変身の回(第4話)が飛びぬけてUA多くて不思議に思った…
変身シーンが人気かと思ったけど、違うだろうな…変身一番最後だけだし…。


フェイタル・バレットめっちゃおもろいです。←1月中に出せなかったのは全てこいつのせい()
自分はメインアームをソードにしており、そのソードがサブアームのアサルトライフルの約5倍の攻撃力になってる上に、STR-AGI型という、超近接特化仕様にしておりますw





Ep.10 鍛冶屋のカノジョと鉱石と

 

(カイタside)

 

 

カイタ「……あー、剣が欲しい。」

 

レンコ「藪から棒だねぇ…。」

 

 

━━2024年6月24日。

 

現在の最前線は第63層。

 

この日は、レンコと共に広場で朝食を食べながら、彼女に問いかけた突拍子もない願望から始まった。

 

カイタ「…いや、ね?言葉通り、剣がほしいなぁって。」

 

レンコ「持ってないの?」

 

カイタ「あるにはあるんだけど、そろそろガタが来そうなんだよ…新しいのを買おうにも、現状NPCの武具屋で売ってる片手剣は、こいつが一番いいスペックなんだよ…それに、もし新しい剣を手に入れるなら、出来ればこいつと同等のスペックか、或いはそれ以上がいいんだよな…」

 

俺は、少し下の層のNPCの武具屋で買った「センチュリオン・ブレード」と、アタッシュカリバーを掲げながらそう言った。

 

レンコ「うーん…」

 

カイタ「…まあ、いいや。ちょっくらレアドロップの剣狙いに…」

 

レンコ「あ!そうだ!」

 

カイタ「おわっ!…どしたよ、大声だして。びっくりした。」

 

レンコ「ご、ごめん…」

 

しょんぼりしながら謝る彼女。…可愛い。

 

っと、いかんいかん。

 

俺は一体何を考えてんだか。

 

レンコ「え~っとね。実は、知り合いに鍛冶を営んでいる人がいるの。」

 

カイタ「へぇ~そうなんだいや待て待て。知り合いって、いつ知り合ったんだ?」

 

レンコ「数か月前に、カイタが38層での用事が長引いた事があったでしょ?」

 

カイタ「ああ、あったな。(まあ、実際は47層なんだけどな。)」

 

レンコ「その時に、私はアスナのクエストを手伝っていて、そこで知り合ったの。その人は、アスナの親友でもあって、ゲーム開始当初から鍛冶スキルを磨き続けているベテランなんだよ。」

 

カイタ「へぇ~、そりゃ期待できそうだな。」

 

レンコ「…あ!そういえば…!」

 

カイタ「ん?今度は何だ?」

 

レンコ「あの時、カイタは何やってたの?」

 

カイタ「え、いや、だから野暮用があって…」

 

レンコ「ふ~ん。あんな意味不明な(・・・・・)異常ステータスが付くほどの野暮用って何なの?」

 

レンコがジト目になりながら、俺に詰め寄る。

 

…まさか。

 

いや、そんなはずはない。

 

あの事を彼女が知っているはずは…

 

カイタ「…え?い、異常ステータス?な、何の事だ?」

 

レンコ「とぼけないで。クラインさんから聞いたんだから。」

 

カイタ「」

 

……あンの野郎。

 

レンコには心配かけたくないから黙っておいてくれと、あれほど言ったのに…!

 

 

実は、ロザリア事件の解決後、ちょっとした、いやかなりの大騒動があったのだ。

 

事の発端は、4か月前の事件解決直後にさかのぼる。

 

 

 

(2024年2月23日)

 

カイタ「…さて、すっかり遅くなっちまった。帰るか。」

 

無事にピナの蘇生を見届けた俺は、シリカの部屋がある宿を後にして、52層の宿屋に帰ろうとしていた。

 

 

 

その時、(悪い意味で)不思議なことが起こった…。

 

 

 

カイタ「っ!?」

 

俺の体が突如として硬直したのだ。

 

そしてその直後、人形のように倒れた。

 

口は動くが手足が全く動かず、俺は歩くポーズのまま地面に倒れているという珍妙な状態になっていた。

 

カイタ(……はぇ?)

 

俺は全く訳が分からなかった。

 

しかも最悪な事に、大通りのど真ん中で倒れてしまった。

 

当然ながら、そのあたりにいた人々全員が、俺に注目する。

 

カイタ(な、何だこれ…!?一体何が…)

 

「すまない!ちょっとどいてくれ!」

 

その時、人込みの中から、聞き覚えのある声がした。

 

「……おいおい。見覚えのある奴が見えたから、まさかとは思ったが…何やってんだお前は…」

 

カイタ「キ、キリトォ~…う、動かねぇんだよ…」

 

敵討ちの報告を終えたのであろうキリトが、倒れ伏す俺の前にしゃがみこんだ。

 

キリト「…とりあえず、お前をどっかに運ぶぞ?52層でいいか?」

 

カイタ「……面目ねぇ。」

 

そう言ったキリトは、恐ろしいほどの筋力パラメータ値で俺を担ぎ上げ、鍛え上げたAGI値に物を言わせたスピードで、その場から離脱した。

 

 

 

キリト「…それで、何があった?」

 

52層の人目のつかない場所に来てから、キリトが俺に聞いた。

 

俺は今だ動けないままだ。

 

カイタ「わ、分からねぇ…いきなり体が動かなくなって…」

 

キリト「…ステータスは?」

 

カイタ「へっ?」

 

キリト「ステータスだよ。麻痺毒とか、なんか変なの付いてないか?」

 

カイタ「…それがあったか。」

 

言われて俺は、左上のHPバーを見た。なにか異常ステータスが発生した場合は、バーの付近にアイコンが表示される。

 

カイタ「……んん?」

 

キリト「あったか?」

 

カイタ「…あった。あったが…なんだこりゃ?」

 

キリト「何がついてた?」

 

 

カイタ「筋肉痛。」

 

 

キリト「…」

 

カイタ「……」

 

キリト「………Pardon?」

 

カイタ「筋肉痛。」

 

キリト「…筋肉痛って、あの筋肉痛か?」

 

カイタ「うん。あの筋肉痛。」

 

キリト「…そんな異常ステータス初耳だぞ。いや、そもそもβの時も無かったような…」

 

カイタ「え、マジかよ。」

 

キリト「そもそもなんでそんなのが…」

 

カイタ「…それなんだが、たぶん原因分かったかも。」

 

キリト「なんだよ。」

 

カイタ「……さっき俺が使った、ゼロワンのあれ(・・)。」

 

キリト「………え。」

 

そう。

シャイニングホッパーの特徴である、演算処理装置「シャイニングアリスマテック」を用いた高速演算を用いた、先読み戦法。

問題は、どうやらシャイニングホッパーには、変身者の潜在能力を強制的に引き出す能力も備わっているらしい。いわゆる、「力の前借り」というやつだ。それによって、敵を上回る戦力を発揮できるが、当然それは、システムによって強制的に体の限界を超えて動かしている。そんなのがある程度の時間続けば、筋肉痛にもなろうという物だ。実際、ゼロワン本編でも、シャイニングホッパーのフィードバックに苦しむ様子が多々見られた。

…もっとも、仮想世界で同じ様な現象が起こるとは思わなかったが。

幸いだったのは、これが起きたのが、戦闘後だったという事だ。さらに長時間戦い続けた場合、敵の目の前で動けなくなる可能性だってあった。

 

 

カイタ「…あんな人間を越えたスピードで動けば、そうなるのも納得だけど…ここ仮想世界だぞ?」

 

キリト「それだけ茅場がリアルにこだわったって事じゃないか…?」

 

カイタ「それにしたってここまでこだわる必要あったのかね…おのれ茅場めぇ…」

 

キリト「…それで、どうするんだ?」

 

カイタ「…分からん。けど、レンコには目を付けられないようにしないと。目を付けられたら最後、追及されるに決まってる。あまりあいつに心配かけたくないからな…」

 

「お?誰かと思ったらお前らか。何してんだ?」

 

ふと、聞き覚えのある声が聞こえた。

 

キリト「…クラインじゃないか。久しぶりだな。」

 

ギルド「風林火山」を引き連れたクラインが、そこにいた。

 

クライン「おう!相変わらず元気でやってるみたいだな…と言いたいが、カイタは何やってんだ?」

 

キリト「それがだな…カクカクシカジカ。」

 

クライン「ナルホドサンカク。…そりゃまあ、災難だったな…。」

 

カイタ「てめぇ、他人事みたいに…」

 

クライン「い、いや、何でそうなる!?」

 

俺がクラインを睨むと、クラインが慌てる。

 

クライン「それはそれとして…ほんとにそれ、どうするよ?」

 

キリト「…解毒結晶で戻らないのか?」

 

カイタ「手が動かない状況でどうやって取り出せと?」

 

キリト「…あ、そうか…じゃあ、俺が持ってる結晶使おう。あとでお前が持ってるやつを一つくれ。」

 

カイタ「…もう治るならなんでもいいです…」

 

そう言ってキリトは、解毒結晶を取り出し、俺にかざした。

 

キリト「………」

 

カイタ「………」

 

クライン「………どうだ?」

 

クラインに聞かれ、俺は身体が動くか確かめた。

 

…だが。

 

カイタ「…だみだこりゃ。」

 

以前として、身体は動かないままだった。

 

キリト「…まじかよ。」

 

クライン「結晶で治らないって、まずくないか?」

 

確かに、クラインの言う通りだ。このSAOでの状態異常は、大抵の事はこの「解毒結晶」で何とかなるものだ。だが、それが結晶で治らないとなると、かなりまずい。

 

キリト「…となると、あとは時間経過か…。」

 

カイタ「…だな。」

 

さすがに時間経過でも治らないなんてことは無いはずだ。

 

…無いよな?

 

 

~3分後~

 

カイタ「…動いたぁ!」

 

クライン「うぉっ!びっくりした…!」

 

キリト「…どうやら時間経過で治りそうだな。でも…」

 

カイタ「問題はその所要時間だな…。今回の場合だと、大体1、2時間か…こりゃ、うかつにシャイニングホッパーは使えんな…」

 

キリト「…まあ、そこはお前次第だ。それで、帰れそうか?」

 

カイタ「ああ。…二人とも、すまねぇな。忙しいだろうに、手間かけさせちまった。」

 

キリト「いや、別に大丈夫だ。」

 

クライン「おうともさ!これからも何かあったら言えよ?」

 

カイタ「…そうさせてもらう。あ、そうだ、クライン。今回の事…レンコには黙っておいてくれねぇか?…あまり余計な心配はさせたくないからさ…。」

 

クライン「…ん。分かったぜ。」

 

 

 

 

そして、今に至る。

 

カイタ(クラインの野郎、いつか締め上げてやる…。)

 

俺はレンコに追及されながら、そう心に決めた。

 

 

 

 

 

カイタ「え~っと、『リズベット武具店』…っと、ここみたいだな…」

 

数時間後、苦し紛れの言い訳をして、なんとかレンコに解放してもらった俺は、彼女に教えられた、48層のリンダースという街にある「リズベット武具店」の前に立っていた。

 

そもそも48層自体が、言うなれば職人街であり、数多くの職人用プレイヤーホームが構えられている。その内の一つ、小川のそばに立地し、大きな水車が付いた一軒家が、件のリズベット武具店だ。

その景観に驚嘆しながら、俺は店の中に入った。

 

カイタ「…ごめんくださーい。」

 

(…シーン)

 

カイタ「…ありゃ、留守か?」

 

「は~い、今行きまーす!」

 

カイタ「あっ…工房にいたのか。ずいぶん仕事熱心だな。こりゃ期待できそうだ。」

 

しばらくして、奥の扉から出てきたのは、おおよそ鍛冶屋とは程遠い服装にピンク色の髪とそばかすが特徴の女の子だった。

 

「リズベット武具店へようこそ!今日はどんなご用件で?」

 

カイタ(接客もちゃんとできてる。…この人が店主のリズベットさん、かな?)

「え~っと、片手剣を見繕ってくれるかな…?」

 

リズベット「あ、片手剣はこちらの棚です。」

 

カイタ「あ、いや、そうじゃなくて…オーダーメイドを頼みたいんだけど…」

 

そう言った途端、彼女の顔が怪訝そうな表情になる。

…なにか気に障る事を言ったのだろうか。

…ひょっとして、俺の予算を気にしてるのか?

 

カイタ「ああ、予算なら気にしなくていいから。今君が作れる最高の剣を作って欲しいんだけど…」

 

リズベット「…と、言われましても、具体的な方針といいますか、プロパティの目標値とかを出してもらわないと…」

 

…言われてみればそうだ。

 

一口に片手剣と言っても、パワー型やスピード型など、多種多様だ。

 

カイタ「ああ、そうだったな。それじゃあ…」

 

そういって俺は、

 

カイタ「こいつと同等、もしくはそれ以上のスペックの剣を頼みたい。」

 

迷わずアタッシュカリバーを、店のカウンターの上に置いた。

 

 

(リズベットside)

 

カイタ「こいつと同等、もしくはそれ以上のスペックの剣を頼みたい。」

 

あたしにプロパティの目標値を聞かれた目の前の客は、店のカウンターに剣を置いた。

 

黒のベースカラーに黄色のラインが入った本体に、輝く銀色の刀身の片手剣。パッと見た所、そこまで強そうな剣に見えなかった。しかも、安っぽい簡素な作りになっている。これなら何とかなりそうだ。そう思った。

 

だが、実際に持ってみると、意外とずっしりきた。そこそこ高い要求筋力値だ。

 

そして何より、剣のプロパティメニューを出したあたしは、この剣の異常さに気づいた。

 

通常、メニューには、その武器のカテゴリが明記されている。また、武器の固有名や、武器の制作者の銘がある場合はそれも明記される。

 

例えば、あたしの商売知り合いのエギルは、両手斧を使う。つまり、カテゴリー《アックス/ツーハンド》と言った具合だ。

 

だが、今回の剣には、こう書かれていた。

 

 

Category《ミドルソード/ワンハンド/アタッシュウェポンシリーズ》

Name《アタッシュカリバー》

 

 

リズベット(アタッシュウェポン…?聞いたこと無いわね…しかも「シリーズ」って事は、他にも同じような武器があるという事?)

 

おまけに、メニューの下の方に、今まで見たことがない表記もあった。

 

 

Ability《Sword Skill》

※この武器には、以下の固有ソードスキルが付与されています。

「カバンストラッシュ」

「カバンダイナミック」

「バーチカル・ツインストラッシュ」

「ホリゾンタル・ツインストラッシュ」

「バーチカル・フォースストラッシュ」

「ホリゾンタル・フォースストラッシュ」

 

 

リズベット(武器固有のソードスキルですって!?…この人、どんな剣を持ってんのよ!)

 

おそらく、というか確実にこの武器は、ドロップ等で手に入れた一品物だろう。もっとも、モンスターのドロップ品で、固有のソードスキルが付与されている武器など聞いた事ないけど。

 

分からない事が多かったが、何よりやる気が出てきた。

 

鍛冶屋の意地にかけて、ドロップ品の剣に負けるわけにはいかない。

 

…さすがにこの、「固有ソードスキル」には敵わないかもしれないけど。

 

あたしは、片手剣が置いてある棚に向かい、そこから一振りの剣を取り出した。

 

鞘から抜いた刀身は金色に輝き、まるで雷を纏っているかの様に見える。この剣は、少し前にあたしが作った、おそらく現状での最高傑作だ。

 

リズベット「こちらはどうでしょう?…予算を気にしないなら、今のところうちの最高の品ですが…」

 

彼は剣を取り出し、二振りほど振って……首を傾げた。

 

「…悪くない。悪くないけど…ちょっと軽いかな?」

 

やはりダメか。

 

まあ、使ったインゴットが、スピード系だし…そこは仕方ない。

 

この剣が敵わないとなると、あたしでは応えきれない。

 

悔しいが、他の店に行ってもらおう。

 

あたしはこれまで、大抵の顧客の要望には応えてきた。だからこそ、余計に悔しかった。

 

リズベット「……すみません。要望に応えられなくて…」

 

「いや、こっちも無理難題を言ってスマンかった…」

 

あたしは、知り合いの鍛冶屋に紹介状を書こうと思い、カウンターに足を向けた。

 

…その時だった。

 

「…いや~、しかし、ベテランだって聞いたから期待したが…骨折り損だったかな…」

 

リズベット(……は?)

 

さすがにカチンときた。

 

リズベット「何ですって!?そこまで言うんなら試し切りしてみなさいよ!」

 

「え…じゃ、じゃあ、試してみていいかな?」

 

リズベット「…何をよ。」

 

「何って、耐久値だよ。」

 

リズベット「ええ!どうぞご自由に!その剣、耐久値もうちの剣では一番だからね!」

 

「いや、それはいいんだが…本当にいいんだな?」

 

リズベット「あらぁ?怖いのね?散々大口叩いた後で、あたしの剣の性能を知るのが!」

 

「いや、お前がいいならいいんだけどさ…どうなっても知らねぇぞ?」

 

そう言って彼は、件のアタッシュカリバーをカウンターに置き、あたしの剣を振りかぶった。

 

「セイッ!」

 

 

(バキーン!!)

 

リズベット「」

 

そしてあっさり折れた。

 

カイタ「…ウワッ!折れたァ!」

 

…あたしの最高傑作の剣が。

 

「…ほら。言わんこっちゃ…」

 

リズベット「ぎゃああああ!!!」

 

あたしは絶叫しながら彼の右手に飛びつき、剣の残骸をもぎ取り、眺めまわした。

 

…だが、すぐに修復不可能と分かった。それと同時に、持ってた残骸が音を当てて消えた。

 

リズベット「…な…な…何すんのよ~っ!!!折れちゃったじゃない!!」

 

「…い、いや…まさかあそこまで簡単に折れるとは思わなくて…」

 

リズベット「…それはあれなの?あたしの剣が思ったよりヤワっちかったって意味!?」

 

「え~、まあ、その……そうとも言います、はい…」

 

リズベット「開き直るなぁ!!言っときますけどね、あたしが本気出せば、あんたのその剣がポックリ逝っちゃう剣をいっくらでも作れるんですからね!」

 

「…ほぉ?こいつがぽっくり逝く剣、ねぇ…?」

 

 

(カイタside)

 

カイタ「…ほぉ?こいつがぽっくり逝く剣、ねぇ…?」

 

SAOに規定されている武器ならともかく、このアタッシュカリバーが折れる所など、想像がつかない。

そう思いながら、俺は彼女に言い返す。

 

リズベット「ムッキ~!!そこまで言うなら、最初から付き合ってもらうわよ!」

 

カイタ「…え~っと、それはつまり、あれか?採掘系のクエストに付き合えと?」

 

リズベット「そんなもんじゃ済まさないわよ?インゴット取りに行く所から付き合ってもらうんだから!」

 

カイタ「…一応聞く。それって、どこのだ?」

 

リズベット「55層のドラゴンからインゴットが手に入るって噂があるの。」

 

カイタ「…ああ、なんか聞いたことはある。」

 

リズベット「そのクエストに付き合ってもらうわよ!」

 

カイタ「…それだったら、俺だけが行った方がいい気がするんだけど?」

 

リズベット「あら、『インゴットのドロップには、マスタースミスがパーティーに居る必要がある』って条件が付いてるクエストは、少なくないわよ~?」

 

カイタ「はいはい、さいですか…(ぼそっ)メンドクセェ…」

 

リズベット「ふふん!あんたには、きりきり働いてもらうわよ!覚悟してなさいよね!」

 

そう言ってリズベットは、支度をする為、工房へ入っていった。

 

…彼女が入ったのを確認して、俺は小声で呟いた。

 

カイタ「…オホーツクババァ。」

 

(がちゃっ)

 

 

リズベット「何 か 言 っ た ?((⌒∇⌒))」

 

 

カイタ「ヴェッ!マリモ!Σ(・□・;)」

 

……ドアあるよね?

 

何で聞こえてんの?

 

 

 

 

数時間後。

 

俺たちは、件の鉱石が採れるドラゴンがいるという、55層へやってきていた。

 

そこにある村で、長老から話を聞く事で、ドラゴンのクエストの受注をした。

 

ちなみに、その際に、長老からバカみたいに長い話を聞かされた。

誰だって一度は経験したであろう小、中、高校の校長先生の長い話の方が、よっぽどマシというレベルだった。

 

何とか話を聞き終え、クエストフラグを立て終えた頃には、もう日は傾いていた。

 

リズベット「つ、疲れた…」

 

カイタ「フラグ立てで半日かかるなんて…はぁ…バカバカしいったらありゃしねぇ…」

 

リズベット「…どうする?ドラゴンは明日にする?」

 

カイタ「いや、ここまで来たんだ。さっと行ってさっと終わらせよう。」

 

 

(リズベットside)

数時間後、あたしたちは山の頂上にいた。

 

先に進もうとするとカイタに止められ、こう言われた。

 

カイタ「…一応、転移結晶の準備しとけ。」

 

彼の目があまりにも本気だった為、あたしはおとなしく従った。

 

カイタ「…あと、ここからは俺一人でやる。リズベットはそこらへんの水晶の陰に隠れてろ。絶対に顔を出すなよ?」

 

リズベット「リズでいいわよ。知り合いからもそう呼ばれるし。…それより、あたしも手伝うわよ。そこそこレベル高いんだから…」

 

カイタ「ダメだっっ!!!」

 

いきなりカイタが振り返り、鋭い視線でこちらの目を射抜いた。その威圧感に圧倒され、あたしは立ちすくみ、何も言い返せずに頷く。

その瞬間だけ、空気が変わったように感じた。それほどまでに、彼が醸し出す雰囲気が一変したのだ。

 

<グオオオォォォォ…!>

 

カイタ「おいでなすったか…リズ、隠れてろ!」

 

そうこうする内に、どこからか咆哮が聞こえた。

 

アタッシュカリバーを取り出したカイタの指示に従い、あたしは水晶の陰に隠れた。

 

同時に、ドラゴンが攻撃モーションに入った。

 

リズベット「ブレスよ、避けて!」

 

と、あたしが言うと同時に、カイタが剣を構えた。…まるで、狙いを定めるように。

 

リズ(…何をするつもり?)

 

構えられているカイタの剣から、飛行機が飛び立つ直前の様な甲高い音が聞こえだした。

 

カイタ「…そこだっ!」

 

その瞬間、ジェットエンジンの如く猛烈なスピードで、空中のドラゴンへ向けて飛び出した。…いや、あのスピードは、もはや弾丸だ。

 

あのソードスキルは、確か「ヴォーパル・ストライク」とか言ったか。

 

だが問題は、その攻撃の向きだ。自らブレスの中に飛び込んでいくように見える。

 

案の定、彼の体は、猛スピードでブレスの中に飲み込まれた。

 

リズベット(何やってんのよ…!?このままじゃ死んじゃうって…)

 

そう思いかけたあたしは、カイタのHPバーを見て考えを改めた。

 

確かに彼のHPは確実に減っていく。だが、5秒に一回ほど回復が発生しているようで、減ってもすぐに満タン近くになっている。

 

…あれは確か、超高レベルのバトルスキル《バトルヒーリング》だったはずだ。だがその回復量が異常すぎるほど多い。なにしろ、あのスキルの成長には、継続して大ダメージを受け続ける必要があり、現実的に安全に修行する事は不可能と言われているからだ。

 

ともかく、彼の攻撃は見事にドラゴンの腹に命中し、ドラゴンがノックバックした。

 

カイタ「…からのぉ…これで、どうだっ!」

 

そしてあろうことか、カイタが空中で次のソードスキルを発動した。

 

(ヒュン、ヒュンヒュン、ヒュンヒュンヒュン!ヒュン、ヒュン、ヒュン!)

 

カイタ「おら、おら、おら、おら、おらおらおらおらおらぁぁ!!!」

 

…速すぎる。速すぎて剣筋が見えない。その上、ものすごい連撃だ。

 

カイタ「もひとつオマケだ!持ってきな!」

 

(ザンッ!)

 

結局カイタは、10連撃のソードスキルを一発も外さずに命中させ、地面に降り立った。

その時点ですでに、相手の体力の2割弱を削っていた。

 

その後も、ヴォーパル・ストライクによる突進と、10連撃のソードスキルの繰り返しであっという間に、ドラゴンのHPは残り3割を切った。

 

リズベット「その調子よ!」

 

あたしは思わず身を乗り出した。

 

カイタ「このバカたれ!まだ出てくんな!」

 

リズベット「何よ。もう終わりじゃ…」

 

その瞬間、ドラゴンのターゲットがあたしに向いた。そして、翼をはばたかせた。

 

リズベット(しまった…!突風攻撃…!)

 

気が付くと、あたしは吹き飛ばされていた。

かなり吹き飛ばされて、雪吹雪が晴れた時、

 

 

あたしは大穴の真上にいた。

 

 

リズベット「……うそ…」

 

 

あたしは無意識に手を宙に伸ばした。

 

…その手を、黒い手袋に包まれた手が掴んだ。

 

 

カイタ「リズ!俺に掴まれ!離すんじゃねえぞ!」

 

カイタの声がすぐ近くで聞こえ、あたしは無我夢中で彼に抱き着いた。

 

そのまま二人で穴を落ちていく。

 

 

(~数分前~カイタside)

 

俺は、左手を前にかざし右手の剣を肩の上で大きく引いて、片手直剣単発重攻撃「ヴォーパル・ストライク」の構えを取った。

 

今やこの技は、俺のお気に入りのソードスキルになっていた。何しろこの技は、刀身の倍以上の射程を持ちながら、両手槍に匹敵する威力を持っている、とても有能な技なのだ。そして俺は、あの超スピードの突進で、敵を一撃で倒す、或いは吹き飛ばす瞬間が最高に気持ちいいと思っている。…レンコには呆れられたが。

当然、突進方向がわずかでもずれると、敵のすぐ横をすり抜けた状態で硬直してしまい、かなりの隙を作ることになってしまうため、慎重かつ迅速に狙いを定める必要があるが。

 

それはともかく、俺はドラゴンの腹を定めて構えを取った。そして、ドラゴンがブレスを吐こうと体をのけぞらせた瞬間、

 

カイタ「…そこだっ!」

 

溜めに溜めた推進力を一気に解放し、俺は奴の腹目がけて、拳銃が発砲されるが如く飛び出した。

 

その直後、俺の体はブレスの中に飲み込まれた。

 

普通なら、こんな状態になればすぐにお陀仏になってしまうだろう。

 

だが、俺にはそうならない確信があった。

 

というのも、俺にはバトルスキルの《バトルヒーリング》の、上位版である《ハイバトルヒーリング》を習得しているからだ。効果は、数か月前のロザリア襲撃事件の時よりも上昇し、当時は5秒で250回復だったのが700回復。ブレス攻撃のダメージを完全に相殺する事はさすがに出来ないが、それでもかなり軽減する事が可能となっている。

 

そんな訳で、俺はダメージを軽減させつつ、なおも奴に向かって突進を続けた。

 

そして、狙いは外れなかったようで、奴の腹に俺の剣が命中し、ノックバックさせることに成功した。

 

カイタ「…からのぉ…これで、どうだっ!」

 

そのまま俺は空中で、最近身に付けたもう一つの切り札を発動させた。

 

…剣を構え、システムの作動を感じたら、あとはそれに身を任せる。

 

かつて、ゲーム初日に、キリトから教わった事だ。今ならあいつの言ってた意味が分かる。確かにこれは、力技でどうにかなる技ではない。

 

(ヒュン、ヒュンヒュン、ヒュンヒュンヒュン!ヒュン、ヒュン、ヒュン!)

 

カイタ「おら、おら、おら、おら、おらおらおらおらおらぁぁ!!!」

 

そう思いながら俺は、流れに身を任せ剣を振った。

 

カイタ「もひとつオマケだ!持ってきな!」

 

(ザンッ!)

 

そのまま最後の一撃を放ち、地面に降り立った。…ここまでの攻撃でHPを2割ほど削れた。やはり、「奥義技」の名は伊達では無かったという事だ。

 

俺のもう一つの切り札。それは、片手直剣の最上位ソードスキルである「ノヴァ・アンセンション」だ。その連撃数は、驚愕の10連撃だ。さらに1撃目の上段斬りは発動が速いため、素早い流れに持ち込むことが出来る。この技は、キリトから、あるスキル(・・・・・)の練習に付き合う代わりにコツを教わった。通称「奥義技」と呼ばれるだけあって、その威力も格別だ。

 

この「ヴォーパル・ストライク」の突進によるノックバックと、「ノヴァ・アンセンション」による怒涛の連撃。この繰り返しで、俺は奴のHPを残り3割ほどまで削ることに成功した。

 

 

 

その時、誤算が起こった。

 

リズベット「その調子よ!」

 

なんと、リズベットが顔を出してきたのだ。

 

カイタ「このバカたれ!まだ出てくんな!」

 

急いで彼女に顔を引っ込めるように言うが、時すでに遅く、ドラゴンがターゲットを彼女に向けた。

 

と、その瞬間、ドラゴンが翼をはばたかせ、突風を巻き起こした。

 

リズベット「何よ。もう終わりじゃ…」

 

その言葉が終わらないうちに、リズベットが突風の中に飲まれて吹き飛ばされる。

 

その行く手を見て、俺は心臓が凍るかと思った。

 

というのも、その先は大きな穴だったからだ。

 

なんでこんなところにあるのか分からない。が、おそらく、トラップ用かもしれない。

 

気が付くと、俺はドラゴンを足場にして、彼女に向かって跳んでいた。

 

そのまま彼女の手を掴み、自分の方へ引き寄せる。

 

カイタ「リズ!俺に掴まれ!離すんじゃねえぞ!」

 

すぐにリズベットが俺に抱き着く。

 

そのまま二人で落下していく。

 

だが、このままではどちらも落下で死んでしまう。

 

そこで俺は、

 

カイタ「リズ!少しだけ我慢してくれ!絶対に離すなよ!」

 

リズベットに確認を取り、彼女が俺にしっかり抱き着いているかを確認した後に、さっきまで持ってたアタッシュカリバーをしまい、センチュリオン・ブレードを取り出して、前方に打ち出した。その一撃は壁に当たり、その瞬間俺たちは反対側の壁に向かって落下の角度を変えた。ぶつかる直前、俺はもう一度剣を壁に突き立てた。ガリガリと音を立てて壁が削れながら失速していくのが分かる。だが、同時に突き立ててる剣の耐久値も長くは持たない事も分かった。

 

地面に着くまで剣が持ってくれるか、否か。

 

カイタ(頼む!間に合えっ…!)

 

そして━。

 

 

背中に衝撃が走った。

 

カイタ「ぐうっ…!」

 

どうやら底に着いたようだ。恐る恐る目を開けると、俺のHPゲージはレッドゾーンで何とかとどまっており、さらに、さっきと変わらずリズベットが俺にしがみついていた。そして、視界の隅で、センチュリオン・ブレードが音を立てて消滅するのが見えた。…どうやら間に合ったようだ。

 

少ししてからリズベットが顔を上げて、俺と目が合った。

 

俺は、引きつった笑みを浮かべながら、彼女に言った。

 

カイタ「…なんとか生きてるな。」

 

(リズベットside)

 

…あたしを守るように抱きしめていたカイタが、引きつりながら、しかし安堵の笑みを浮かべて言った。

 

カイタ「…なんとか生きてるな。」

 

リズベット「う、うん…あの、ありがとう…。助けてくれて。」

 

カイタ「当然の事をしたまでだよ…俺はこの手が届くなら、必ず救う主義なんだ。たとえ、それで自分が死んでも。…それより、」

 

カイタが上を向いて言った。

 

カイタ「…ドラゴンを撒いたのはいいが、どうやって脱出しましょうかねぇ…?」

 

ほんの少し前まで見ていた空は、頭上の遥か上だった。

 

 

 

 

 

━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━

Sword Art Masked Rider

 

「…あたしもカイタも、仮想世界のデータなのに…」

 

希望を見出した彼女を救う為、

 

「…彼女の道に…手ぇ出してんじゃねえぞ!!」

 

今、輝きの戦士が━

 

【ハイパージャンプ!】

 

限界を超えて跳躍する!

 

次回、『心の温度はソコにある』

 

 

「…助けを求めている人の盾になって守れるなら本望だ。それがリズみたいな女の子なら、なおさら、な。」

 

 

 

 




いかがだったでしょうか。

お気に入り登録していただいた、ハルト0さん、如月 遥さん、ガンダムファフニールさん、ありがとうございます!

本作の武器は、基本的に原作遵守ですが、オリ武器だったり「SAOIF」からの登場だったりします。
なお、今回の作中にあったヴォーパル・ストライクで敵を吹き飛ばす云々は、本当に作者がフェイタル・バレットでフィールドのエネミー相手にやっていることですwマジでヴォーパル・ストライク最高っすわ。


感想、評価お待ちしてます。

それでは、また。


どうでもいいですが、twitter始めました。(詳細は活動報告で…)

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