Sword Art Masked Rider 作:通りすがりの幻想
大変遅くなりました…………
500mlのRE〇LGOLDを片手に(本当に今更ですが)アインクラッド編のプロットを書いては直して、書いては直しての繰り返しの日々を送っていました…………
プロットって大事ですね。大まかな構想を把握できるので。
やっぱり、行き当たりばったりの執筆は良くない。
今回と次回オリジナルエピソード挟んでから、第1層フロアボスへ行く予定です。
言い忘れてましたが、SAO本編でのSAOの設定と大きく異なる場合がありますので、ご注意ください。
今回初変身&オリキャラ出ます。
━ゲーム開始から1か月。
俺は目撃していないが、茅場のデスゲーム宣言の後、多くのプレイヤーがパニックに陥り、これからの事を考え始めるために数日を要したと聞く。
そしてプレイヤーは、大きく4つのグループに分かれた。
1つ目。これは約半数を占めたらしいが、外部からの救助を待ったグループ。彼らの気持ちはよく分かったが、結論から言うと結局その救助は来ず、初期の資金(この世界の通貨は「コル」で、「1コル=1円」ほどだと踏んでいる。)も尽きたので、彼らも何らかの行動を起こさざるを得なくなった。
2つ目。これは全体の約3割ほどだが、協力して前向きにサバイバルを目指そうという集団。この巨大集団にはしばらく名前は無かったが、全員に共通の制服が支給されてからは、「軍」という、物騒な名前が付けられた。
3つ目。推定1000人程だが、無計画な暴食でコルを使い果たし、でも、モンスターを倒して稼ぐこともしない、食い詰めた者たちだ。そんな人たちの大半は「軍」に入ることになった。指示に従えば、少なくとも食糧は至急されるからだ。だが、「人の指示に従いたくない」という者は、はじまりの街のスラム街を拠点として、強盗に手を染めるようになった。これが後の「オレンジギルド」と思われる。
4つ目。簡単に言えば、その他の人たちだ。
その他1つ目。攻略は目指すが、「軍」に参加しなかったプレイヤーたちが作った小集団がおよそ50個、人数にして500人。その集団は相称して『ギルド』と呼ばれた。
その他2つ目。ごく少数の職人、商人クラスを選択した者たち。せいぜい2、300人の規模だったが、彼らも独自のギルドを形成し、スキルの修行を開始した。
その他3つ目。残った100人足らず(俺やキリトもそこに属したが)が、「ソロプレイヤー」と呼ばれた者たちだ。
「…昨夜はこの辺りのマップデータを収集してきた。」
はじまりの街を出発して1か月後のある日。俺は「トールバーナ」と呼ばれる街で前の日の「訓練」の成果を、ある人物に渡していた。
「毎度ご苦労サン。…そういえば、この前カイ坊が集めたデータを見て、キー坊が悔しがってたぞ。」
「はは、まあ、そりゃ」
「『夜に出てればあの素材手に入ってたのか!』だってさ。」
「…………ああ、そっちか。全く、相変わらずキリトは生粋のゲーマーだな。」
「カイ坊も大概ダゾ。『やっぱりキリトの攻略早すぎねえか!?』って言ってただろ。」
「…………記憶に、ございません。」
俺とやり取りしている人物は、情報屋の「アルゴ」だ。彼女は通称「鼠のアルゴ」と呼ばれている。その名は伊達ではなく、様々な情報を最速で入手してくる。どうやら、俺とキリトはお得意様らしく、キリトのことを「キー坊」、俺の事を「カイ坊」と呼んでいる。…………少々、依頼料が張るのが難点だが。
「…………それで、例の物は使いこなせるようになったのか?」
「…………まだまだだ。やっぱりライジングホッパー……黄色いバッタのフォームだが、あれのジャンプ力を生かしきれてない。」
そう、俺が行っている「訓練」とは、毎日夜中に人気の無い森に潜り込み、実際にゼロワンドライバーを使用した戦闘を行うということだ。
余談だが、現在、レベルが上がった事により、基本形態であり、キック、ジャンプ力に優れた「バッタ」の「ライジングホッパー」以外に、
空中戦を展開できる「タカ」の「フライングファルコン」
水中戦や斬撃に優れた「サメ」の「バイティングシャーク」(もっとも、SAOで以上の2つを使って水中戦や空中戦をする事はまず無いと踏んでいるが。)
耐熱や炎をまとった攻撃に優れた「トラ」の「フレイミングタイガー」
パンチや冷凍術、(微弱だが)回復力に優れた「シロクマ」の「フリージングベア」
他のフォームと違い、超重量の鎧を装備し、機動力を犠牲にして、パンチ、キック、防御に優れた「マンモス」の「ブレイキングマンモス」、これらのフォームが使用できるようになった。
話を戻すと、昼と夜では出現するモンスターの種類や割合が変わるらしく、夜のモンスターの情報を調査していたアルゴに俺が変身する様子や戦闘を見られてしまっていた。翌日、さっそく追及され、最初は白を切っていたが、彼女が記録結晶(写真やスクリーンショットのようなもの)で撮った俺の様子を見せてから、俺はあっさりと陥落した。彼女から交換条件として、「夜のモンスターの情報を集めてくれれば、君の事は公表しない」と言われ、不服ながらも彼女にこき使われている次第である。
つまるところ、昼の情報をキリトが集め、夜の情報を俺が集めているといった感じだ。
「しかし、あの飛電インテリジェンスがナーヴギアの他にそんな物を開発してたなんてナ。ひょっとして、戦争でもするつもりだったとか…………」
「おい、アルゴ、それ以上言ったら…………分かってるな?((o^―^o)ニコ)」
そういいながら俺は、腰に差した片手剣に手をかけた。飛電は決して戦争のためにゼロワンを作ったのではなく、「人類と人工知能との共存」を夢見て、このシステムを作った。それを「戦争のためでは」と言う輩は実に不愉快だ。仮面ライダーは戦争の道具じゃない。平和を守るための手段だ。そういう訳で、本音を言うとアルゴに掴みかかりたいが、仮にそんな事をしてしまえば、(アルゴの背が低いため)大の大人が幼女に抱き着いているように見えるという、構図的にやばいことになってしまうので、この程度で済ませている。
「ぴいっ……!?わ、分かってる、冗談だってバ。」
そういいつつも、冷や汗だらけの様子のアルゴであった。
「…………じゃ、俺は行くわ。また何かあったらよろしく。」
「はいよー、オネーさんに任せなって。」
そういいながら、俺は昼食を食べに行こうと思い立ち、動いた。
「さって、今日はどうしましょうかね……?ん?」
【はちみつパン限定30個】
(…………ああ、一度は食べたいな…あれ?残ってる?)
そう、一日30個限定のはちみつパンがあと1つ残っていたのだ。そのパンは「パンは固いが、まるでパンケーキのような風味だ」と噂になっており、「キー坊が好んで食べている」という情報をアルゴから買い、(ちなみに500コルだった、こんなくだらない情報に500円も取るのかと悔しくなった。)俺も食べたいと思っているのだが、いつもすんでのところで売り切れになり、硬くて味のしない黒パンを一工夫して食べていた。
だが、今は千載一遇のチャンス!
「「すみません!はちみつパン、1つ!」」
…………へ?
隣からも声がした。横を向くと…………
(サイドテールの女性side)
私は今日もおやつの「はちみつパン」を買おうと思った。明日の命があるかもわからないこの世界で、この時間は私の唯一の楽しみだ。
私はこの春に女子大に入学ばかりだ。そして、10月になり、この「ソードアート・オンライン」の「優先販売券」の一般抽選に当選したのだ。この時は思わず舞い上がり、友達にも自慢した。
あんなことが起きるともしらずに。
「ゲームでの死は、現実の死と同義だ」そう言われた時、最初は何を言われたのか分からなかった、いや、理解したくなかった。その後2日は宿からも出ずに泣いてばかりだった。でも、(どうせ死ぬのなら、この世界で限界まで生き抜いてから死にたい。)そう思い、装備を整え、ここ、トールバーナに着いたのが、その2日後だ。その日の内に、はちみつパンに出会い、それまで不安と恐怖しか無かったこの世界に楽しみを見出し、それからは毎日食べている。
そして、今日も食べようと思い、売店へ向かった。
「「すみません!はちみつパン、1つ!」」
…………え?
何か隣からも聞こえた。横を見ると……
「…………えーと、ひょっとして、買おうとしてた?」
短めの黒髪に、少しとがった鼻。そして、不思議なことに光彩が青い(私も生まれつき光彩が緑だから人の事は言えないけど)男性プレイヤーがいた。
(カイタside)
「…………えーと、ひょっとして、買おうとしてた?」
俺がそう声をかけた相手は、ローズブラウンのサイドテールに、光彩が緑色の女性プレイヤーだった。
…………確かに、このパンは、特に(人数は少ないが)女性プレイヤーに人気だと聞いた。
…………食べたい。しかし、悩んだ末、結局この女性に譲ることにした。
「買っていいですよ。俺、別の店いくんで。」
と、俺が言うと、
「で、でも、あなたも楽しみにしていたんじゃ……」
「いや、君だってそうじゃない?それこそ、そうだな…………毎日の楽しみ、とか?」
女性にとって、「おやつは別腹」というらしい。だから、適当に推測して言ってみた。
「う…………そ、それは、その……」
あれ、目が泳いでいる…………まさか図星か?まあいいや。
「ほら、遠慮しなくていいから。」
「で、でも…」
ほう、なかなかしぶといな。こうなったら…………
「じゃあ、こうしよう。俺はそれを買う。でも、あくまでも買うだけ。俺の出す料理…あれを料理と言っていいか分からないけど、とにかくそれを食べてみて、まずかったら俺が買ったはちみつパンを食べていい。うまかったらどっちも食べていい。これでイーブン。どうだ?」
「…………わかりました。」
ありゃ、意外とあっさり承諾したぞ。
「よし、決まりだ。」
…………今更だが、この子は、「知らない人に着いていかない」という事を知らないのだろうか。ましてやここは、裏切り、策略なんでもありのMMORPGだ。引き込んだ俺が言った所で、説得力は皆無だが。
数分後、俺たちは、トールバーナの中央広場にいた。
「…………さて、俺が薦めるのは…」
そういいながら、俺はストレージから黒パンを出した。
「え、黒パン?私も食べたことあるけど、あまり美味しくなかったよ?」
女の子(なんか同い年に見えた)が少し睨んでいる。
「普通に食べたらな。でも、これを使えば、」
俺は、小瓶を取り出した。この小瓶は、トールバーナの近くにある村で受けられるクエストの報酬だ。
「…………なにこれ?」
「こいつはこうやって食べるんだ。」
そう言って俺は、小瓶の口に指を近づけた。すると、指の周りが白く発行する。それを黒パンに塗るようにすると、まるで、クリームが塗られたようになる。それをそのまま食べる。お世辞にもうまいとは言えないが、まるでクリームパンのような味わいになる。
「ん。うまい。」
「…………」
女の子も見よう見まねでやって、食べた。と、思いきや、すごい速度でほおばり始めた。そんなにうまかったのだろうか。…………それにしても…
(…………なんか、小動物みたいだな)
彼女がほおばる姿がまるでリスみたいに見えた、と思ってしまったのは内緒だ。
あっというまに、黒パンを平らげた。
「うまかったか?」
「(もぐもぐ)」(コクン)
「よかった。」
実はこの食べ方、キリトがおすすめする食べ方らしい。メッセージで先ほどのクエストのコツや食べ方等を教えられて試した結果、見事にはまってしまった。
(キリトは意外と食い意地があるのか?)そう思わざるを得ない一件だったのを覚えている。
「…………さてと、」
メインのはちみつパンを食べようとした。…………したのだが、
「じぃ~…………」
(な、何かめっちゃ見てるんですが!?あ、そういえば、)
“おいしかったら両方食べていい”と言ったのを忘れていた。
「…………えっと、食べていいよ?」
「え、いいの?」
「じっと見てるってことは食べたいってことでしょ?……それにそもそも、おいしかったら両方食べていいって約束したし。ほら。」
「え、う、うん…!ありがとう!」(ぱあっ)
「っ!///」
(え、何、この子。めちゃくちゃ可愛い。)
っと、いけないいけない。思わず気を取られていた。
「……そ、そうか。じゃ、じゃあ、俺は行くわ。」
そういって、俺は逃げるようにそこから離れた。
(サイドテールの女性side)
(…………おいしい!黒パンにこんな食べ方があったなんて!)
今私の隣にいる男の子(なんだか同い年に見えた)から、黒パンにクリームを塗ったものを薦められた。正直、黒パンは固いから、どっちみち美味しくないと思った。だが、実際にこの食べ方で食べてみると、クリームパンのようで、とてもおいしかった。
私は、あっというまに黒パンを平らげた。
「うまかったか?」
と聞かれ、私は
「(もぐもぐ)」(コクン)
と、口にパンが入っていたので、頷いただけだった。だが彼は、
「よかった。」
と、まるで我が事のように喜んでいた。
この時に私は、「彼はこの世界で一人の人間として生きている。」と気づいた。【ゲームオーバーになると死ぬ】という現実をきちんと受け入れ、その上で日々の生活に向き合っている。そう感じた。
そして、無意識のうちに、「彼ともっと話したい。」とおもった。
と、その時、彼がはちみつパンを差し出して、
「…………えっと、食べていいよ?」
と言ってきた。私としては大歓迎だが、これはもともと彼が買ったもの。私は
「え、いいの?」
と聞き返した。すると彼は苦笑しながら
「じっと見てるってことは食べたいってことでしょ?……それに両方食べていいって約束したし。ほら。」
そういいながら、パンを差し出した。どうやら、パンをじっと見つめすぎていたようだ。悪いことをしたと思った。だけど同時に、心があたたかくなるのを感じた。その時に私は久しぶりに、「見せかけではない本当の優しさ」に触れた気がした。
自然と顔がほころび、
「え、う、うん…!ありがとう!」
と言ってパンを受け取った。食べながら、(フレンド登録しておこう。)と思い、彼にフレンド申請をしようとした。が、彼はあたふたしながら去ってしまった。…………なぜか顔が赤いように見えたが、急ぎの用事でも思いだしたのだろうか。
(…………また、会えるかな。)
そう思いながら、私はパンを食べ終えた。
(カイタside)
「…………」
俺は無言で歩いていた。さっきの彼女のまぶしいほどの笑顔が頭から離れなかった。
そのため、「考え事をしながら歩いていると、高確率でなにかにぶつかる」という人類の共通の悪い癖が発動してしまった。
「いてっ、チョット、どこ見て…………って、カイ坊か。どうした?」
だが、俺は不覚にもアルゴの声に気づかなかった。その所為で、最大の失態を犯すことになった。
「…………あの子やっぱ可愛かったな…///」
「お?お?お~?カイ坊、じっくり話を聞こうか?」
「…………はっ!ア、アアアアルゴ!?い、いや、な、何でもない!」
「可愛いってだれの事かニャー?」
「だまらっしゃい!!///」
「そう言われると余計知りたくなるナー。ま、それはおいおい聞くとして。」
「いや、聞くのかよ!プライバシーって知ってる?」
「今夜の訓練場所なんだけど、」
「俺の意見は無視ですかそうですか」
「うーん…この辺りとかで頼むヨ。」
「はいはい、分かりました、やればいいんでしょ、やれば。」
俺はやけくそぎみに話を聞いた。
その夜。
「さてと、いっちょ始めますか。」
俺はアルゴに指定された訓練場所(表向きは調査地)へやってきた。
「しかしまあ、なんとも静かだ事。人っ子1人居な」
キン!ギン!
「!」
(今のは、剣劇音!?しかもここから近い!…………だれかがモンスター狩りにやってきてるのか…?少し様子を見にいくか。)
(サイドテールの女性side)
私は無我夢中で短刀を振り回しながら逃げていた。
最初はなんてことない、夜の散歩だった。だが森のなかで、トールバーナの村人に出会った。夜間限定のクエストか何かだと思い、近づいた。でも、その村人は私を見るなり、
『滅亡迅雷.netに接続・・・』
とつぶやいたかと思うと、ベルトのバックルのような物を取り出し、腰に巻き付けた。そして、手のひらサイズの長方形の何かを取り出し、上部のボタンを押した。
【ベローサ…!】
そして、ベルトに装填し、左横のボタンを押した。
【ゼツメライズ……!】
そして、村人がカマキリのモンスターに変身した。私は最初、あっけにとられていたが、そのモンスターが攻撃してきて、これは夢ではないことを知った。夢中で短刀のソードスキルである、下段からの突き上げ技「ケイナイン」を放ったが、あっさりはじかれた。その直後、
もう一度ベルトのボタンが押され、
【ゼツメツ!ノヴァ…!】
そいつの攻撃が私に直撃し、何とレベル7の私のHPが残り2割までけずられた。
私はパニックになって、逃げまわった。
(怖い…………怖いよ…!このモンスター、すごく強い!)
だが、今、木を背中にして追いつめられた。
しかも、腰が抜けてしゃがみこんでしまった。
(私…ここで死ぬの?)
目の前の怪物は、ベルトに手をかけていた。もう一度、あの必殺技を繰り出す気だ。
至近距離であれを受けたら、絶対に死ぬ。
(アア…ワタシ、ホントウニ、シヌンダ…)
私は完全に絶望して、死を受け入れようとしていた。
が、その時、昼間に出会った彼の顔が浮かんだ。他人を気遣う優しい心の持ち主にして、同時に、現実を受け止め、前を見据える強い心の持ち主である彼が。その瞬間、(彼にもう一度会いたい。)という思いがあふれ出した。
(…………いやだ、死にたくない!まだ死にたくない!死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!)
「…………助けて……誰か、助けて!」
私は震えて泣きながら、か細くそう口にした。
だが、そんなことはありえない。
今は夜中で、プレイヤーは皆寝ている。仮に起きている人がいたとしても、こんな人気のない森までは来ない。
もう、助からない。
…………でも、もしも、この世界に、我が身を顧みず誰かを守る、そんな人がいたら。
…………もしも、この世界に、「助けて」という声に颯爽と駆けつける、そんな英雄(ヒーロー)がいたら。
(…………なんてね。いる訳ないよね、自分の安全が一番のこの世界に、そんなお人よしな人…)
【ゼツメツ!ノヴァ…!】
(ひっ…………!)
私は来たるべき痛みに備えて目を瞑った。
【アタッシュカリバー! ブレードライズ!】
【(ガシュン)チャージライズ!(ガチャン)フルチャージ!】
【カバンストラッシュ!】
「吹っ飛びなっ!」
「…………え?」
(カイタside)
俺は茂みから顔をのぞかせた。
「…あ」
そこには、昼間に出会った彼女がいた。
その右手には短刀が握られている。どうやら、さっきの剣劇音は彼女のようだ。
だが、彼女は何かに追いつめられている。
「あ、あいつは!?」
そいつを見た俺は驚愕した。
そいつは、見た目はカマキリのモンスターだった。それ自体に何らおかしい所はない。だが問題は、そいつの腰にあるベルトのようなものだ。俺は一目見て、すぐに気づいた。
(あれは、ゼツメライザー!?それに、あのカマキリ野郎は、ベローサマギア!?)
マギアとは、「仮面ライダーゼロワン」に登場する怪人だ。
以前、「飛電インテリジェンスは、AI搭載人型ロボット『ヒューマギア』を製造・派遣する会社だ」と説明した。だが、ヒューマギアも当然ロボットなので、暴走するし、ハッキングだってされる。それを利用したのが、ゼロワンに出てくる敵組織の、人類滅亡を目論むテロリスト集団「滅亡迅雷.net」だ。自我を獲得したヒューマギアの元へ赴き、「ゼツメライザー」を装着させ、そのヒューマギアの内部データを改窮、つまり書き換え、暴走プログラムをダウンロード、インストールさせる。そして、俺が持つ「プログライズキー」と対になる「ゼツメライズキー」を使用し、絶滅種のデータイメージ「ロストモデル」を自らに付与する「ゼツメライズ」を行い、ヒューマギアの表層コーティング、外装を破壊することでマギアに変貌、暴走プログラムに従い人類を滅亡へと導くために暴れまわる。
それがマギアだ。
(ちぃっ…!ゼロワンシステムがこの世界にあるから、まさかとは思ったが、マギアもいるなんて…!)
俺は舌打ちしながらそう思った。
その時、
「…………助けて……誰か、助けて!」
か細い声だが、たしかに聞こえた。
目の前の彼女が、震えて泣きながらそう言ったのだ。
その時、俺は改めて、「仮面ライダー」の責務を思い出した。
強きものを挫き、弱きものを救う。
助けを求める声に、応える。
手が届く限りの全てを守る。
誰かの涙を止め、自由と愛と平和を守る。
この力は壊すためではない、守るための力だ。
…………彼女を救う。救って見せる!
俺はストレージを呼び出した。
【アタッシュカリバー! ブレードライズ!】
俺はゼロワンの基本武器、「アタッシュウェポン」の1つ、「アタッシュカリバー」を出現させ、ブレードモードを展開した。
【(ガシュン)チャージライズ!(ガチャン)フルチャージ!】
さらに、一度アタッシュモードに戻し、再度ブレードモードにする。
これで必殺待機状態になった。
【ゼツメツ!ノヴァ…!】
ちょうど向こうも必殺技を発動した。
(間に合えっ!!)
俺は飛び込みながらトリガーを引いた。
【カバンストラッシュ!】
「吹っ飛びなっ!」
彼女を庇うようにマギアの前に立ちふさがると同時に、俺の刀身から放たれた黄色いエネルギーをまとった斬撃が奴が命中した。
「…………え?」
彼女は目を開けたが、何が起こったか分からず、茫然としている。
「ふい~、間に合った。…………おい、大丈夫か?これでも飲んどけ。」
そういって俺は、回復ポーションを彼女に渡した。
「あ、ありがとうございます…………って、あなたは昼間の!どうしてここに!?それにその武器は!?」
「話は後で!少し離れてて!」
「ダ、ダメです!あのモンスター、すごく強いですよ!あなたまでやられてしまいます!」
泣きながら俺を止めようとしがみつく彼女。
…………って、すごい密着してるんですが!?
(や、やばい、む、胸が…………///)
…って、そんな事考えてる場合じゃない!
「大丈夫、俺は負けない。いや、負けるわけにはいかない。……このくそったれなゲームをクリアして、ゲームマスターの茅場晶彦の野望を止めるまで………俺は、戦い続ける。何があっても。そして、守るべきものを守り抜く。…………戦えない全ての人のために、俺が戦う!」
俺はマギアの方を向きながら、俺を止めようとする彼女に向かって決然と言い放った。
「な、なんで…」
彼女は目に涙を浮かべて、言った。
「なんで、そこまでして、戦うの?」
なんで、だと?…………決まってるじゃないか。
「だって俺は…………“仮面ライダー”だからな。」
【ゼロワンドライバー!】
俺はドライバーを装着した。
そして、右手に持ったライジングホッパープログライズキーの上部のボタン「ライズスターター」を押した。
【Jump!】
キーのアビリティが読み上げられ、認証待機状態になった。それをベルト右側にある認証装置「オーソライザー」にかざした。
【Authorize!】
すると、上空から黄色いバッタの巨大なデータイメージ「ライダモデル」が降ってきた。
(ゼロワン本編でも、飛電インテリジェンスの通信衛星「ゼア」からライダモデルが地上に転送されていたが、マニュアルによると、今回は、同じく飛電インテリジェンスの通信衛星「ウィア」(本編では最終決戦後に打ち上げられた衛星)からSAOのサーバーにデータが圧縮、暗号化されて転送されているらしい。)
俺はプログライズキーを「カードディスクモード」から「キーモード」に変形。腕をクロスしてポーズをとり、自分に異形の力を与える言葉を放ち、ベルトにキーを装填した。
「変身!」
【Progrize!】
【飛び上がライズ!ライジングホッパー!】
【A jump to the sky turns to a rider kick.(空へのジャンプはライダーキックへと変わる。)】
光が収まった時、俺は仮面ライダーゼロワンに変身が完了していた。
(サイドテールの女性side)
「だって俺は…………“仮面ライダー”だからな。」
【ゼロワンドライバー!】
必死に止める私に、彼はこう言い、ベルトのようなものを付けた。
(本当に大丈夫かな…………?)
そう思いながら、彼の背に隠れ、彼の服の裾を握った。その瞬間、
━彼が不適に笑った気がした。
彼は右手にもった長方形の物体(モンスターが持ってたのに似てる気がした。)を起動させ、ベルトにかざした。すると、空から巨大なバッタが降ってきた。
(え!?バッタ!?なんで空から!?)
そう思っているうちに、彼は物体を変形させ、鍵のような形状に変えた。
そして、この先忘れることはないであろうあの言葉を放った。
「変身!」
そして、アイテムをベルトに装填した。途端に、彼が光に包まれた。
不思議な音声が聞こえ(最後英文も聞こえたが、よく聞き取れなかった。)、光が収まった。
目を開けると、そこに彼はおらず、代わりに黄色と黒の姿で、赤い複眼の異形の何かが立っていた。
彼はポーズをとると高らかに宣言した。
「ゼロワン、それがおれの名だ!…………お前を止められるのはただ1人、俺だ!」
いかがだったでしょうか。
新たにお気に入り登録していただいた、かわりょうさん、torin Silverさん、ヒリュウさん、ma_mo225さん、ハレンチさん、ありがとうございます!
まさかここまで長くなるとは思わなかったので、次回に続きます。(今回約10000字弱)
申し訳ございません…………。
また、誠に勝手ながら、大学の関係で今後の投稿頻度が低下する事が予想されます。
最低でも月1回投稿を目標にしますが、何卒ご了承ください。
次回のオリジナルエピソードが終わったら、第1層フロアボスへ行く予定です。
それでは、また。