Sword Art Masked Rider 作:通りすがりの幻想
先日、映画のプログレッシブを公開初日に見てきました。とにかく凄かった。それしか言えない。
あと、今回また原作改変が入ります。
どうでもいいですが……暇になって執筆時間が出来た時に限ってやる気が出ないのは、どうしてなんでしょうね?
(カイタside)
12月2日、第1層攻略会議が始まった。
俺たちは今、その会議に出席し、周りから距離をとって座っている。
???「それじゃあ、そろそろ始めさせてもらいまーす!」
1番前で手を叩き、大きな声を出しているのは、高い背に青いロングヘアー、盾と剣を背負っている剣士だった。
???「今日は、俺の呼びかけに応じてくれてありがとう!まずは簡単な自己紹介から!俺の名はディアベル!職業は気持ち的に、ナイトやってます!」
「ジョブシステムなんてねーだろー!」等のツッコミが飛び交う。
でも、俺はディアベルという男の、巧みな話術に感心していた。
清聴者の心を掴み、発言できる雰囲気を作らなければ、進む会議も進まなくなってしまう。
そういう点で言えば、この男は、元の世界では人前で何かをしゃべることが得意だったのかも知れないと、俺は思った。
そんな中、ディアベルの顔が真剣な面持ちになり、こう告げた。
ディアベル「…昨日、俺たちのパーティーが、あの塔の最上階でボスの部屋を発見した!」
その一言に周囲のプレイヤーもその顔色を変える。
ディアベル「俺たちはボスを倒し、この第2層に到達して、このデスゲームもいつかはクリアできるってことを、はじまりの街で待っている他のプレイヤーに伝えなくてはならない!それこそが!今ここにいる俺たちの義務なんだ!そうだろ!みんな!」
(パチパチパチ…)
周りから拍手が起こる。
ディアベル「よし!それじゃあ、早速攻略会議を始めさせてもらおうと思う!まずは6人の『パーティー』を組んでみてくれ!」
周りを見ると、もうすでにパーティーを組んでいるところが殆どだった。
だが、俺は動かずじっとしていた。
レンコ「えーっと…どうしようか?」
レンコが俺に問いかけた。
カイタ「いや、大丈夫だ。この人数じゃ、どのみち余りは出る事になる。」
レンコ「どういう事?」
カイタ「今この会議に出席しているのが、46人。そこから6人パーティーを組もうと思ったら、パーティーが7つで42人。余りは4人。それに、見たところ、そもそもパーティーで会議に参加しているところが多かった。だから、どのみち俺たちみたいな少数があぶれていたよ。」
レンコ「あ、あぶれるって…他の言い方無かったの…?」
カイタ「そ、そう言われても、事実だからしょうがないだろ。」
レンコ「あれ?4人って言ってたけど、2人は私たちだとして、残りの2人は?」
カイタ「おそらく、彼らだ。」
俺が目を向けた先には、キリトと、昨日の赤ずきんのプレイヤーがいた。
どうやら、あの2人でパーティーを組むようだ。
レンコ「それじゃあ、私たちも二人でパーティー組もっか。」
カイタ「…へっ?」
レンコ「え?」
…まさか、この娘。
カイタ「…会議に行く前に組んだだろ?」
レンコ「…………えぇっ!?いつの間に!?」
やっぱ分かってなかったか。
カイタ「おいおい…ウィンドウ見てなかったのかよ…」
レンコ「…あ、あまり見てなかった…」
カイタ「全く…ちゃんとウィンドウ見てから操作しろよ…その内下手すると、変な条件飲まされて大損するぞ?ましてや君はオンラインゲームのニュービーなんだから、変に脅されたりしたら取り返しのつかない事になるぞ…?まあ、俺もオンラインゲームは初めてだから、人の事は言えねえけどな。」
レンコ「うう…き、気を付けますぅ…」
…この娘、意外とおっちょこちょいなのか?なんか心配になってきたぞ。
カイタ(そうだ。キリトにも少し話をしておこう。)
そう思った俺はレンコを連れ、キリト達のそばに移動した。
カイタ「よう。キリト。」
キリト「ああ、カイタか。…ひょっとして、お前たちもあぶれたのか?」
カイタ「おうよ。まあ、人数的に、あぶれそうにはなってたけどな。だから俺たち2人でパーティーを組んだ。」
キリト「そうか。」
キリト達のそばに2人で座り、会話を交わす中、赤ずきんのプレイヤーがこちらをちらちら見ている事に俺は気づいていた。
ディアベル「よーし!そろそろ組みおわったかなー?」
しばらくして、ディアベルが全体の雰囲気を見計らい、声をかけた。
ディアベル「じゃあ、これかr」
「ちょっと待ってんか~!?」
カイタ「んあ?」
キリト「ん?」
背後から突然、関西弁の叫び声が聞こえた。俺たちを含めた全員がそちらへ視線を向けた。
逆光になっていてよく分からないが、イガイガ頭の誰かが会議場の階段の上に立っていた。
その人物は、階段を一段ずつ飛び降り、ディアベルの斜め前に降りたった。
「ワイはキバオウってんや。ボスと戦う前に、1つ言わせてもらいたいことがある。」
キバオウと名乗る男に皆の視線が集まる。
キバオウ「こん中に!今まで死んでいった2000人に詫び入れなアカン奴がおるはずや!」
カイタ(な、んだと…!?一体誰が?なんでだ?)
ディアベルが続ける。
ディアベル「キバオウさん、君の言う『ヤツら』とはつまり、元βテスターの人たちの事…かな?」
キバオウ「そや!決まってるやないか!奴らはゲームが始まった日にビギナーを見捨てたばかりか、情報を隠して自分たちだけ強くなった!だからそいつらに、謝罪をしてもらうんと同時に、ため込んだアイテムを全部吐き出してもらうんや!」
キバオウのその発言に、周りの人たちは、空気が重くなり、何も言い返せずにいた。
横を見ると、件の元βテスターの一人であるキリトが辛そうな顔をしていた。
それを見た途端、
「ふざけんじゃねえぞ…」
気づけば俺は、重苦しい声でそう呟いていた。
キバオウ「あぁん!?誰や!今『ふざけるな』とか言った奴は!出てこいや!」
レンコ「ちょ、ちょっと…!」
カイタ「レンコ、大丈夫。ちょっと待ってろ。キリト、レンコを頼む。」
キリト「お、おい、カイタ…!」
俺はゆっくり階段を降り、キバオウの前に立った。
キバオウ「なんやお前!ワイに文句がある上に、女連れで来るとはいい度胸やな!?」
…さすがにカチンと来た。前に出た俺を責めるのはまだいい。だが、今この話題に無関係なレンコを巻き込むのは許さない。
俺は一瞬でキバオウに詰め寄った。
カイタ「…おい、俺を責めるのはいいが、俺のパーティーメンバーを責めるのは頂けねえな。」
余りに速く詰め寄ったので、キバオウが驚いている。
キバオウ「い、今はそんなことどうでもいいんや!とにかく、お前はワイのどこに文句があるんや!まあ、文句があるってことは、どうせお前も元βテスターなんやろ!」
カイタ「…はぁ。あのな、あいにくだが俺はβテスターはおろか、このゲームが初めてのオンラインゲームなんだよ!それを自分の意見だけで判断してんじゃねえぞ!」
キバオウ「な、なんやと!?」
カイタ「本題に入る。…さっきから聞いてりゃ、元βテスターがどうの、謝罪や弁償がどうのって、よくもまあ、そんな下らん理由でしゃしゃり出てきたもんやな!」
…おっと、つい関西弁が出てしまった。まあ、いいか。
キバオウ「く、くだらんやと!?」
カイタ「ああ、全くもって笑止千万や!このゲームに、先に始めたとか後に始めたとか、そんなの関係無いやろ!先に死んでいった2000人のプレイヤー達だって、死にたくて死んだわけじゃない!この世界から生きて帰ろう、なんとかしよう、そう思ったからはじまりの街から出てモンスターと戦ったんじゃねぇのか!?…そりゃ、死ぬのは誰だって怖いさ。でもよ、だからって、生きる事に必死になっちゃいけないって事はねぇだろ!その意思はβテスターだろうが、ビギナーだろうが同じはずだ!」
キバオウ「そ、そやかて、βテスターの奴らを野放しにするっちゅうんか!?奴らに弁償させな、死んでいった皆が浮かばれへんやろ…!」
カイタ「お前は、βテスターに謝罪と弁償をさせる事で、これまでに死んだ人達の事を慮り、βテスターは悪者、自分たちの様な他のプレイヤーは正しいと認めさせようとしたのかも知れない…!だがな、こんな事言ってるやつがいるんだ。『見返りを期待したら、それは正義とは言わない。』ってな。」
キバオウ「…ッ!」
カイタ「それに、そもそもの話、βテスターは俺たちみたいなビギナーを見捨ててはいない!…この本、お前ももらったろ?」
そう言って俺が取り出したのは、道具屋で配布しているガイドブックだ。このフロアの基本的な情報の他に、昨日配布された最新版のそれは、匿名の目撃者(レンコの事だが)の証言に基づいた新しいモンスター、マギアの情報等が載っている。
カイタ「この本、作ったんは誰か分かるか?」
キバオウ「…誰や」
カイタ「聞いて驚け、元βテスター達だ。」
キバオウ「なっ!?」
周囲もどよめきを挙げている。
カイタ「情報は独占されてなんかいない。全員が平等に手に入れる事が出来たんや!きっとβテスターの人たちだって、ゲームをクリアしたいと思ってる!だからこそ、情報を公開した!この世界から生きて帰りたい、先にこのゲームを経験している自分たちの知識を役立てたい、そういう思いの結晶が、このガイドブック、そして、この攻略会議なんや!」
キバオウ「………」
カイタ「でもお前は今まさに、その思いを踏みにじろうとしている!今この場で一番自分勝手なんは、βテスターなんかじゃない、キバオウ、お前やろ!お前がやってんのは、皆の努力を無に帰すって事やぞ!そこまでして自分の安全を確保したいってか!?それじゃあ、お前はβテスター、いや、βテスターに限らない!他のプレイヤーが目の前で死にかけてるときに、そのまま見殺しにするのか!?少なくとも俺には、そんな真似は絶対に出来ない!目の前で助けを求めているのに、助けられなかったら、俺だったら一生…」
???「おい、その辺にしてやれ。」
カイタ「後悔する…へっ?」
ハッと我に返った。後ろを見ると、背中に斧を背負った、屈強な体格をした外人顔の黒人が俺の肩に手を置いて俺を制していた。
???「落ち着いて目の前の奴を見てみろ。もう言い返せなくなってるぞ。」
キバオウ「………」
確かにキバオウは、返す言葉が無いのか黙り込んでいた。
カイタ「あ、ああ…済まない、つい…止めどころが分からなくて…」
???「まあ、大丈夫だ。周りを見てみろ。少なくとも、お前の言葉を聞いていた連中は全員お前の意見に賛成の様だぜ?」
キバオウ「…ふんっ!」
おそらく、その場の雰囲気にいたたまれなくなったのだろう。キバオウは鼻息を荒く吹き、俺から顔をそらし最前列の列に座り込んだ。
???「さっ、お前も戻れ。この会議の本題が始まるぞ。」
カイタ「そうだな。すまない、ありがとう。えっと…」
???「エギルでいい。お前には興味が沸いた。あとでまた話そう。」
カイタ「そっか。分かったぜ、エギル。また後で。」
そう言って俺は、レンコ達が待つ席に戻った。
カイタ「…悪い、急に動いて。」
レンコ「う、ううん…大丈夫…」
ディアベル「それじゃあ、会議を再開する!…先ほど、彼が言っていた例のガイドブックの最新版が配布された!それによると…」
その後も会議は進み、ボスの詳細情報等が語られた。
ボスの名は「イルファング・ザ・コボルト・ロード」。そして、ボスの取り巻き「ルイン・コボルト・センチネル」がいる。武器は斧とバックラー、そして4段あるHPゲージの最期の一段がレッドゾーンになると、曲刀カテゴリーの「タルワール」という武器に変わり、攻撃パターンが変わるとの事だった。
ディアベル「攻略会議は以上だ!最後に、アイテム分配についてだが、コルは全員で自動的に均等に割る。経験値はモンスターを倒したパーティーの物。アイテムはゲットした人の物とする。異存はないかな?」
異を唱える人は居なかった。
ディアベル「よし!では、それぞれの準備もあると思うので、出発は明日の午前10時30分とする!では、各自解散!」
その言葉を最後に会議は終了した。
キリト「…カイタ」
カイタ「おろ?どうした、キリト?」
キリト「…さっきのβテスターの話だが…ありがとな。俺、怖くて…何も言えなかった。」
カイタ「よせやい。俺はただ、思った事を言っただけだ。」
キリト「というか、お前、関西弁話すことあるんだな。」
カイタ「ま、まあ…一時、関西地方に住んでたからな。その名残が、つい…」
そう、俺は中学、高校の青春時代を、関西で過ごしていた。
大学に進学するにあたって、関東地方に出てきたのだが、そこで事故にあい、この世界へ転生したという次第だ。
キリト「じゃあ、俺はこれで。」
カイタ「おう…って、あれ?お前と一緒に居たあのプレイヤーは?」
キリト「ああ、彼女なら会議が終わった途端、さっさと街に戻っていったよ。明日の段取りとか説明しようと思ったのに…」
カイタ「あれま。まあ、出発までに伝えれりゃいいだろ。」
レンコ「…ん?『彼女』?あの人、女性プレイヤーなんですか?」
キリト「いや、まだ確実じゃないんだ。あの声と、プレイヤーネームから推測しただけさ。」
カイタ「そっか。まあ、分かった。じゃあ、また後でな。」
キリト「おう。」
そう言って、キリトは街に戻っていった。
レンコ「じゃあ、私たちも一度街に戻ろうか。」
カイタ「あ、ちょっと、待ってくれ。実はこの後…」
エギル「よお、さっきぶりだな。」
カイタ「お、え~っと、エギル、だっけか。悪い、わざわざここまで来させて。」
エギル「いや、気にしなくていい。」
先ほど、周りが見えなくなっていた俺を止めてくれたプレイヤー、エギルが話しかけてきた。
カイタ「あ、まだ自己紹介してなかったな。俺はカイタだ。」
レンコ「わ、私は、カイタのパーティーメンバーのレンコです。」
エギル「はっはっ、そんなにかしこまるな。これから一緒に戦うんだ。今回に限らず、これからも仲良くしてくれ。」
カイタ「おう!改めて、よろしくな!エギル!」
俺はエギルと、固い握手を交わした。
エギル「そうだ。さっきは助かったぜ。実は俺も発言しようとしたんだが…お前のおかげで、俺が出るまでもなかったな。お前の演説には感動した。改めて礼を言わせてくれ。」
カイタ「い、いや…そんなつもりで言ったわけじゃないんだ…ただ思った事を言っただけで…」
エギル「そう謙遜するな。さっきも言ったが俺を含め、あの会場に居た他のプレイヤーはお前の意見に賛成している。自信を持て。…おっと、すまない。俺のパーティーメンバーが呼んでる。じゃあ、明日は頼むぜ。」
カイタ「分かった。またな。」
そういって、エギルは仲間の元へ向かった。
レンコ「…さて、これからどうする?」
カイタ「ポーションが足りないから、それを補充しようと思ってる。
レンコ「うん、分かっt
(ぐぅ~)
レンコ「…ふふっ。」
カイタ「……と、とりあえず飯にしようぜ?」
レンコ「そうだね。何にする?」
カイタ「まあ、朝の内に買ったコイツがあるけど…」
レンコ「は、はちみつパン!?じゃあ、それにしよう!!」
カイタ「お、おう…というか、てっきりあのはちみつパンしか食べないかと思ったけど…」
レンコ「そ、そこまでじゃないよ!?」
カイタ「…必死に否定するところが怪しいな。」
レンコ「むうぅ…!」
なぜか真っ赤な顔で頬を膨らませながら睨まれた。
カイタ(あ、あれ?怒らせた?)
レンコ「そんな事言うならあなたの分も食べようかな…」
カイタ「すみませんでしたごめんなさいです勘弁してくださいませ」
俺は彼女に向かって、それはそれは美しい土下座を慣行した。
レンコ「ふふっ、冗談だよ。」
カイタ「いや、君の場合冗談じゃない気が…」
レンコ「な に か い っ た ?」
カイタ「何でも無いですすみませんでしたお慈悲をくださいませ」
温厚な人ほど怒ると怖いとは、よく言ったものだ。
…何か男としての尊厳が消えていってる気がするが、気にしないでおこう。
???「ふふっ…」
カイタ・レンコ「「?」」
???「あ、笑ったりしてごめんなさい。あなた達がにぎやかで、なんだか楽しくなっちゃって…」
カイタ「今の会話のどこに楽しさを感じたんでせうか…」
???「ごめんなさい。なんていうのかな、私が言いたいのは、モンスターやクエストの事じゃなくて、なんてことの無い普通のお話ができるっていいなぁって事で…」
レンコ「…あれ?あなた、いつもここにいるよね?ずっと一人なの?」
???「ううん、リアルの仲間と一緒にギルドを組んで行動しているんです。…今は別行動ですけど。…あの、少しお話してもいいですか。私たちの間で、話題になっているんですよ?特にあなたが。」
そういって彼女は、レンコの方を向いた。
レンコ「…えっ?わ、私!?」
???「はい。この第1層でとても頑張っている女性プレイヤーがいるって噂で聞いたんです。私、すごいなぁって思って。…私、戦うのが怖いんです。モンスターが来ると、いつも足がすくんで皆に迷惑をかけるんです。だから、戦いになれるまでは、相手と距離をとれる両手槍を使った方がいいねってなって、他の皆は私の武器を買うお金を稼ぎに行ってるんです。…でも、そもそもの話、私が怖がりじゃなかったら、皆の足を引っ張ることも無かったんですけどね。」
…おそらく彼女は、今だ仲間の力になれていない自分に焦りと罪悪感を感じているのだろう。
カイタ「…確かにそうかもしれない。」
レンコ「ちょ、ちょっと…!」
カイタ「でも、それでいいんじゃないかな?」
???「えっ?」
でも、だからこそ、俺は彼女に、この言葉を送りたい。
カイタ「『Nobody’s Perfect.』こんな事を言った人がいる。」
???「…えっと、どういう意味ですか?」
カイタ「完璧な人間なんて一人もいないって事だよ。人間はだれしも、何かしらの弱点を抱えている。でも、それは一人だからそうであって、誰かと一緒なら色んな事が出来る。君はモンスターが怖い、それなら、少しずつでもいい。君の仲間と一緒に戦う。そうやって慣れていく。…簡単な事じゃないのは百も承知だ。でも、だからってここで止まっていたら永遠に変われない。変わるためには、仲間の力が必要不可欠だ。人は誰とも関わらずに生きていく事は出来ない。互いに支えあって生きていく。それは人生っていう一つのゲームと同じなんじゃないかと、俺は思うぜ。」
???「…………」
カイタ「…っと、スマン。長々と語りすぎた。まあ、つまりだ。今は力になれなくても、これから頑張って皆を支えていけばいいって事だ。」
レンコ「…うん。私も、落ち込むよりは、今自分にできる事は何かを考える方がいいと思う。」
???「…そうですよね。せっかく皆が私のために頑張ってくれているのに、ここで私が頑張らなきゃダメですよね!」
カイタ「へへっ、そーゆー事。伝わって良かった。」
???「あっ、自己紹介がまだでしたね。私は『サチ』って言います。」
レンコ「私はレンコ。よろしくね。サチ。」
カイタ「俺はカイタだ。今は彼女とパーティーを組んでる。」
レンコ「…ねえ、サチ。今サチの仲間は、武器を買うためのお金を稼いでいるんだよね?私たちにも手伝えることはないかな?」
サチ「うーん…今は無いですk…あっ、ちょっと待ってください。」
そう言ってサチは後ろを向いてウィンドウを操作し始めた。おそらくメッセージが来たのだろう。
と思ったら、顔色を変えてこっちを振り向いた。どうしたのだろう。
サチ「ど、どうしよう…!」
カイタ「な、何だ、どうした!?」
レンコ「サ、サチ、落ち着いて!何があったの!?」
サチ「い、今メッセージが来て、初見のモンスターに遭遇して、戻るのが遅くなるって…!」
カイタ「ぐう、初見か…そりゃ苦戦するわな。」
サチ「わ、私、様子を見てきます!」
カイタ「おお、そうか…って、はい?」
レンコ「み、見に行くって、だ、大丈夫なの?」
サチ「正直まだ怖いです。でも、皆が居なくなる方がもっと怖い。だから、私行きます!」
カイタ「…」
レンコ「…(コクッ)」
レンコを見ると、彼女も俺を見て頷いてきた。…どうやら考えてる事は同じの様だ。
カイタ「サチ、ちょっと待て。」
サチ「と、止めないでください…!」
カイタ「おいおい、誰がお前を引き留めると言った?…俺たちも行く。」
サチ「で、でも、2人は…」
レンコ「大丈夫。この周辺のモンスターはあらかた相手にしてるから、大体の情報は分かってる。…多分。」
カイタ「おい、今不安要素が聞こえたんだが。」
レンコ「うう、わ、私だってまだほんの少し怖いんだから…」
カイタ「まあ、それもそうか。じゃあ、レンコはサチの援護をしてくれ。俺が前線に出る。サチ、レンコが援護に回るが、出来るだけ戦う様に努力できるか?」
サチ「は、はい、やってみます。片手直剣なら少しは使えるから…」
カイタ「よし、それで行こう。サチ、お前さんの仲間は今どこに?」
サチ「あ、えっと…この街の外れの森です!」
カイタ(…ん?)
レンコ「分かった!それじゃあ、行こう!」
カイタ(街外れの森?いや、まさかな…)
レンコ「?どうしたの?」
カイタ「い、いや、何でも無い。行こうか。」
━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
サチ「み、皆…!」
メッセージで示された場所に着くと、4人のプレイヤーがモンスターの集団に囲まれていた。
幸いだったのは、マギアではなく、普通のモンスターだったことだ。というのも、この森で2度もマギアに遭遇しているので、まさかまた襲われてる人がいるのか、と不安に思っていたのだ。
???「さ、サチ!どうしてここに!?」
サチ「皆が危険な目に遭っているのに、一人で待つことなんて出来ないよ!」
???「で、でも危ないぞ!離れろ!」
サチ「大丈夫、助けを呼んできたよ!」
カイタ「…と言う訳だ!大丈夫か!?」
???「な、何とか…」
カイタ「レンコ、俺が切り込む。合図したら、スイッチ頼んでいいか?」
レンコ「わ、分かった!」
カイタ「サチは念のため、隠れてろ!」
サチ「うん!気を付けて!」
2人にサムズアップで答えた。
カイタ「…さてと、いっちょやりますか!」
ともかく、囲まれてる4人の元へ行かないといけない。
…また速攻作戦で片付けるか。
カイタ「15秒耐えてくれ!そしたら俺がそっちへ行く!」
???「え、さ、15秒!?」
驚愕の声をよそに、俺は剣を肩に乗せて走り出した。
モンスターが2体向かってきたが、ホリゾンタル・アークで切り捨てた。
硬直時間中の俺にもう3体が襲い掛かる。
カイタ「レンコ、スイッチ!」
レンコ「オーケー!」
俺の合図で、レンコがスイッチを発動し、「ケイナイン」で3体を吹き飛ばした。
「スイッチ」。
それは、このSAOにおける重要な動きの一つだ。
ソードスキルを発動した直後は一定時間硬直とクールタイムが発生する。
動けない状態では、敵のいい的になってしまう。それを回避するために作られたのが、「スイッチ」と呼ばれるシステムだ。一人がスキルを発動し、硬直している最中に、もう一人が即座にスキルを発動させる。そうすることで、理論上は、敵に攻撃をさせる事なく連続攻撃を行う事が出来る。
話を戻そう。
レンコが上空に吹き飛ばした3体は、ポリゴン状になって消滅した。
また2体が突進してきたが、ホリゾンタル・アークで一気に2体を撃破した。
その隙に、囲まれていた4人の方へ一気に詰め寄った。
カイタ「待たせたな、伏せろ!」
???「え、ええ!?」
他の4人に合図を送り、俺は3連撃ソードスキル「シャープネイル」を発動、4人それぞれに襲い掛かっていた4体のモンスターを切り捨てた。
カイタ「ふい~、何とかなった…」
サチ「皆、大丈夫!?」
???「あ、ああ!俺たちは平気だ!」
サチ「良かった…良かったよ…!」
サチとレンコがこちらに来る。どうやら、向こうも片付いたようだ。
???「あ、あの…危ない所をありがとうございました!」
カイタ「いやいや、こっちも正直ギリギリだったよ…でも、無事でよかった。」
サチ「カイタさん、私からもお礼を言わせて下さい。ありがとうございました。」
???「カイタさん、ですか。俺は『ケイタ』、片手棍を使っています。あなたと同じく片手剣を使っているのは『ダッカー』、メイスを持っているのは『テツオ』、槍を持っているのが『ササマル』です。そして、そちらに居るサチを加えた5人で「月夜の黒猫団」っていうギルドを組んでいます。」
カイタ「そっか。じゃあ、こちらも。先ほど紹介があった『カイタ』だ。こっちは俺とパーティーを組んでいる『レンコ』だ。」
レンコ「初めまして。」
ケイタ「レンコさんも、ありがとうございました。…噂どおり、すごい腕前でした。」
レンコ「そ、そんな事無いよ。ただカイタについていってるだけで…」
カイタ「いや、ナイスアシストだったよ。この分なら、明日のフロアボス戦も大丈夫そうだな。」
レンコ「あ、ありがとう…」
サチ「…え?2人とも、明日のフロアボスに参加するの?」
カイタ「ああ、そのつもりだけど…」
サチ「…やっぱり2人は強いですね。私たちは…まだそんなに強くないから…」
ケイタ「何言ってるんだよ、サチ。確かに俺たちはまだまだ弱い。フィールドのモンスターとも渡り合えないほどにな。でも、手をこまねいていても何も変わらない。俺たちも強くなって、いつか攻略組の一員になろうぜ。…それまでは、後方で俺たちにできる事をしよう。」
テツオ「できる事って言ったって、どうするんだよ?」
ケイタ「それはだな…え~っと…」
ダッカー「ノープランか…」
黒猫団他メンバー「あははっ!」
ケイタ「わ、笑う事無いだろ!?え~と、あれだ、あれ…そうだ、情報収集、とかさ!」
ササマル「情報?」
ケイタ「そうさ、俺たちがモンスターの情報を集めて、それを情報屋に渡して、はじまりの街に居るプレイヤーの役に立ててもらうんだ!」
サチ「…そうだね。」
レンコ「…サチも皆も、前向きに話している。」
カイタ「ああ、そうだな…さて、俺たちはそろそろ戻るよ。」
サチ「あ、あの、2人とも!」
カイタ・レンコ「「?」」
サチ「…よかったら、私たちとフレンド登録してくれませんか?」
カイタ「ああ、いいぜ。レンコも、いいよな?」
レンコ「うん、もちろん。」
俺たちは彼らとフレンド登録をした。
サチ「それと約束してほしい事があって…」
レンコ「何かな?」
サチ「絶対に、生き延びてください。」
レンコ「サチ…うん、わかった!」
ケイタ「…俺からも言わせてください。俺たち、必ず強くなって、カイタさんたちに追いつきます!」
カイタ「ははっ、そうか。楽しみにしてるぜ。…でも、無茶はすんなよ?」
ケイタ「はい、分かっています!」
そして、俺たちは別れた。
レンコ「…ねえ、カイタ。」
カイタ「ん?」
レンコ「…明日は頑張ろう。絶対に生き延びて、この先に進もう!」
カイタ「…ああ、明日は頼んだぜ。」
レンコ「うん!」
俺たちはそう話しながら、トールバーナの宿へ戻っていった。
カイタ「…あ、ポーションの補充忘れてた。」
レンコ「もう!」
━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
「Sword Art Masked Rider」
「俺から言う事は一つ…勝とうぜ!」
ついに始まるフロアボス戦
(今動かなかったら…あいつが死ぬ!)
襲い掛かる危機
「なんでや!」
広まる疑心暗鬼
「俺をあんな素人連中と一緒にしないでくれ。」
(このままだと…!)
剣士が下した決断とは━
「これは仮面ライダーの宿命みたいなもんだ…これ以上、お前を巻き込むわけにはいかない。」
いかがだったでしょうか。
お気に入り登録して頂いた、CLOSEEVOLさん、岡闇煉獄さん、神條 暁さん、ニントという人さん、ありがとうございます!
今回出てきた「スイッチ」の解釈って、これで合ってますかね?
もし違ったら、ご指摘いただけると幸いです…
途中の内容が薄っぺらくなった気がする…(汗)
また、今回から次回予告風な演出(?)入れてみました。
なお、今回の投稿日11月6日は、原作で今から1年後の今日、「ソードアート・オンライン」が発売された日付です。原作の様なデスゲームになるのは御免こうむりますが、もしも将来本当に、現在のVRを越えた、「フルダイブ」の様に五感で遊べるゲームが作られたとしたら、遊んでみたいなと思う、今日この頃です。
毎回の事ですが、この作品の更新速度はナメクジよりも低速です。
最低でも月に1回は投稿するように心がけてはいますが、何卒ご容赦ください。
それでは、また。
※12月19日追記 お気に入り登録していただいた「神條 暁」さん、今の今まで名前の表記を間違えていました!!何たる不覚…恥をさらしてしまいました…申し訳ございません!!修正を行いましたので、今後はこのような事が無いよう、文章作成後のさらなる厳重な見直しを行っていきたいと思います。誠に申し訳ございませんでした!!