Sword Art Masked Rider 作:通りすがりの幻想
お待たせしました!
小説執筆より、レポート執筆の時間が長かった…
これも全部、大学ってやつの仕業なんだ()
先日、SAOIF75層をようやくクリアしました!
総力戦のスカルリーパーさんマジ強し…
完全ソロの自分は瞬殺されて、とても太刀打ちできましぇん…
でもストーリーは相変わらずよかった…
ようやくフロアボス戦までこぎつけた…
ここまで長かった…といっても、俺の文才が無いせいですが。
いつも通りの超長文の上に、毎度おなじみ原作改変が入ります。
なんか、前回のUAがこれまでの半分以下になってる…
まあ、毎回無駄に長くて読みにくいのが原因だろうけど…
(カイタSide)
━12月2日。
俺たちはフロアボス戦に向けて、迷宮区への道を歩いている最中だ。
先頭はディアベル、俺とレンコは、キリトとこの前の赤ずきんの女性(と思われる)プレイヤーと共に、列から少し離れ最後尾を歩いていた。
キリト「…よし、手順を復習するぞ。あぶれ組の俺たちの役目は、ボスの取り巻き、ルイン・コボルト・センチネルを叩く事だ。奴らの攻撃が来たら、ある程度反撃して、頃合いをみて『パリィ』で弾いて隙を作る。その後は『スイッチ』で入れ替わりながら攻撃する。奴らの攻撃は単純だから、よく見極めればうまくいくはずだ。」
レンコ「分かりました。」
カイタ「りょーかい。…しかし、噂には聞くけど、そんなに強いのか?フロアボスってのは。」
キリト「まあ、曲がりなりにもその階層のボスだからな。俺もβ期間中の最初は苦労したよ…」
素人の俺でも、キリトの作戦は理にかなっていると思った。
…ただ一人を除いて。
赤ずきんのプレイヤー「…すいっち?」
カイタ・レンコ「「…え?」」
キリト「ま、まさか、パーティー組むの、これが初めてか!?」
赤ずきん「うん。」
カイタ・レンコ・キリト「「「」」」
躊躇いなく答える彼女。
キリトが肩を落としている。
…どうやら、ボスまでの道のりは、ある意味遠そうだ。
━━━━紆余曲折あったが、なんとかボス部屋の前にたどり着いた。
部屋の前で、ディアベルの最後の伝達事項が伝えられる。
ディアベル「みんな、聞いてくれ。ついにボス部屋だ。」
彼が俺たちを含むレイドの全員を見まわして、こう言い放った。
ディアベル「俺から言う事は一つ…勝とうぜ!」
『おおぉ!!!』
全員が気合を入れる。
カイタ「レンコ…行こうぜ。」
レンコ「…うん、頑張ろう!」
ディアベルが前を向き、部屋の扉を押し開けた。
中は薄暗かった。
だが、ディアベルは警戒を怠らず、慎重に進んでいく。
その後ろを皆がついていくが、中ほどまで進んだところで、
ディアベル「!!!」
突如部屋が明るくなった。
そして、部屋の中央に、体長が2メートルはあろう赤い牛のようなモンスター『Illfang the Kobold Lord』が、その周りに、3体の取り巻き、『Luin Kobold Sentinel』が出現した。
カイタ「デ、デケエ…」
レンコ「あれが、フロアボス…」
俺たちは、そのあまりの大きさに茫然としていると、
ディアベル「…攻撃、開始ーっ!!」
ディアベルの号令で、全員が突撃していく。
キリト「…行くぞ!」
カイタ「お、おお!」
キリトに声を掛けられ、我に返った俺は、事前の作戦通り取り巻きの一体へ向かった。
━そこからは文字通り、命がけの戦いだった。
ディアベルが各小隊に指示を出し、ボスに向かう者も、取り巻きを捌く者も、皆必死になって戦っていた。
もちろん、それは俺たち4人も例外ではなく、
カイタ「そらよっと!レンコ頼む、スイッチ!」
レンコ「分かった!」
俺とレンコはパリィとスイッチを繰り返し、センチネルと互角に渡り合っていた。
だが、キリト達の方は、
キリト「ぜえああぁっ!!スイッチッ!」
赤ずきん「ハアアァァァッ!!」
カイタ「……」
まさしく圧巻の一言だった。
キリトは分かる。元βテスターとしての確かな腕前を遺憾なく発揮し、センチネルに攻撃を叩き込んでいる。正直、あいつ一人でセンチネル一体を捌けるのではないかと思うほどだ。
しかし、赤ずきんの方は、あのキリトの動きに付いて行っている。というより、動きがあまりにも早すぎる。見たところ、彼女はレイピアを使っているようだったが、そのレイピアの剣筋が見えないのだ。
カイタ(…この2人、この先とんでもない強さを身に付けるんじゃ。)
そう思わずには居られなかった。
しばらくして。
レンコ「よし、倒した!」
カイタ「じゃ、他のパーティーの援護に…」
「ボスの武器が変わるぞー!」
カイタ・レンコ「「!!」」
ボスの方を見ると、4段あったボスのHPゲージが3本は無くなり、残りの1本もレッドゾーンになっていた。そしてボスは、持っていた斧とバックラーを放り捨てた。
キバオウ「どうやら情報通りのようやな!」
ディアベル「全員、退却!あとは俺が決める!」
キリト「え?」
カイタ「どうした?」
キリト「いや、こういったボスモンスターとの戦いは、基本的にパーティーで囲んでとどめを指すのが定石だと思うんだが…」
カイタ「…なるほど。まあ、なにか考えがあるんだろ。」
キリト「……」
ディアベルは、ソードスキルの構えをすでにとり、剣が輝いていた。
そしてボスは、情報通り、背中に差してあった(全く気付かなかったが)武器を取り出していた。
…取り出していたが、
カイタ(…ん?)
何か違和感を感じた。
カイタ(確か、情報では曲刀に変わるんだったよな。)
曲刀は、ゲーム初日にクラインが使っていたが、その見た目は分かりやすく言うと、海賊が持つような「カトラス」だ。
だが、今目の前のボスが持っている武器は、
カイタ(…真っすぐだ)
あんな真っすぐな剣も曲刀に入るのか?
…あれじゃまるで、「曲刀」というか、江戸時代の武士が持っていそうな「刀」だ。
カイタ「…なあ、キリト。」
キリト「なんだ?」
カイタ「あのボス、曲刀を使うんだよな。」
キリト「ああ。「タルワール」っていう曲刀だ。全長は大きいが、攻撃パターンは単純だから、トチらなければ簡単に避けれるはずだ。」
カイタ「なるほど…いや、それはいいんだが、何かあの武器、曲刀にしちゃ真っすぐ過ぎねえか?あれじゃまるで武士が持つような「刀」だ。」
キリト「…え?」
俺の指摘にキリトが首を傾げ、ボスの方を見た。途端に、彼の顔が青ざめる。
キリト「…う、嘘、だろ」
カイタ「どうした!?」
キリト「タルワールじゃない…あの武器は、カタナカテゴリーの「ノダチ」だっ!」
カイタ「なっ…!?」
それはつまり、βの時と武器の仕様が異なっているということに他ならない。
カイタ「ディアベルっ、その攻撃止めて退がれーっ!!」
キリト「急げ!後ろに向かって飛べーっ!」
キバオウ「っ!?」
ディアベルも異変に気付いたのか、ソードスキルをキャンセルしようとする。だが、キャンセルしたとて、硬直時間が発生してしまう。動けないディアベル目掛け、ボスが攻撃を繰り出す。
カイタ(このままじゃ、ディアベルが…)
ディアベルは、この先もプレイヤーを導ける、リーダーの器を持った男だ。
ここで死なせるわけにはいかない。
カイタ(今動かなかったら…あいつが死ぬ!)
救う。絶対に救う!
カイタ「うおおおおぉぉぉぉっ!!!」
キリト「カ、カイタっ!」
レンコ「な、何を!?」
俺は片手剣を持ち、バーチカルのモーションを発動させながらボスとディアベルの間に飛びこんだ。
(ガアァンンッ!ギリギリギリ…)
ディアベル「…?」
カイタ「ぐ、ぐおおおぉぉ…!」
間に合った。
間一髪で、俺の片手剣がボスのカタナを受け止めた。
だが、長くは持ちそうにない。
カイタ「デ、ディアベルっ…早く、退がれっ!!」
ディアベル「っ!す、すまないっ、助かった!」
硬直時間が解けたディアベルが、後ろに下がった。
そして、俺もボスの力に押し負けて、後方に吹き飛ばされた。
…同時に、俺が持っていた片手剣も、耐久地が0になったのか、消滅してしまった。
カイタ「ぐううううぅぅぅぅっ!!」
キリト「カイタっ、大丈夫か?」
カイタ「あ、ああ…」
レンコ「よ、良かった…」
ディアベル「す、すまない…俺が勝手な行動をしたせいで…」
キリト「ディアベル、あんたどうして…」
ディアベル「…元βテスターの君なら、分かるだろ。」
キリト「元βテスター?…ま、まさか、お前もβテスターだったのか!?」
ディアベル「…ああ。ボスのラストアタックボーナスによる、レアドロップを狙っていた。」
カイタ「キ、キリト、その『ラストアタック』ってのは、そんなに大事なのか?」
キリト「ああ、当然だが、ボスモンスターは一度倒されたら二度と出現しない。だから、ボスがドロップするアイテムは、非常に価値があるんだ。」
カイタ「…そういう事か。」
ディアベル「カイタ君、といったね。本当にすまない。結局俺は、仲間の安全より自分の欲を優先してしまった。下手をしたら君までも…」
カイタ「ディアベル、懺悔なら後でいくらでも聞いてやる。今は、皆をまとめるのが先決じゃねえのか?…リーダーさんよ。」
俺の言う通り、ディアベルが死にかけたことで全員が動揺していた。
ディアベル「!!…皆、俺は無事だ!全員、一度ボスと距離を取れ!!」
ディアベルの指示で、全員が一度退く。
しかし、ボスは依然として猛威を振るっている。
俺はストレージから予備の片手剣を取り出しながらキリトに尋ねた。
カイタ「…なあ、キリトさんよ。武器が違うという事は、対策の仕様がないって事でせうか…?」
キリト「いや、上の階層で何度かカタナを使うモンスターと戦ったから、何とかなると思う。ただ、やつの動きに付いていける奴がいるかどうかが…」
カイタ「それはあとでいい。とにかく対策は出来るんだな?」
キリト「…ああ。」
カイタ「分かった。なら、指揮はお前に任せる。何とか付いて行って見せるよ。」
キリト「…本気なんだな?」
カイタ「これ以上、βテスター様にいいカッコさせるわけにゃいかんからな。」
キリト「全く、お前というやつは…なら、頼んだぜ。」
俺はキリトと拳を突き合せた。と、同時に、
赤ずきん「私も行く。」
レンコ「わ、私も、手伝います!」
キリト「…お前ら」
カイタ「それで、どうすればいいでしょうか?剣士様。」
俺がおどけたようにキリトに問いかけると、キリトは不適に笑いながら言った。
キリト「…ボスの倒し方は、取り巻きのセンチネルと同じだ!合図で行くぞ!」
俺たち3人は頷き返した。
キリト「…今だ、行くぞ!」
その言葉と共に俺たちは駆け出した。
キリト「せあああぁぁぁ!!」
カイタ「おぉらああぁぁぁぁ!」
まず手始めに、俺とキリトがそれぞれバーチカルで切り込む。
カイタ「レンコ、スイッチ!」
レンコ「はああぁぁ!!」
すぐさまレンコが、短剣使い特有の素早さで、ボスを攪乱させつつ攻撃する。
レンコ「キリトさん!スイッチ!」
キリト「ああ!…はあああぁぁぁぁ!!」
その後、レンコに気を取られたボスの背後を、キリトが連撃を叩き込む。
キリト「アスナ、スイッチ!」
キリトが赤ずきんのプレイヤー…アスナにスイッチを要請。
アスナと呼ばれたプレイヤーが、レイピアを構え、ボスに向かう。
と、思ったら、目にもとまらぬ速さで、連続突きが放たれた。
だが、ボスも負けじと武器を振り上げ、アスナに向かって振り下ろしてきた。
レンコ「危ないっ!」
キリト「アスナっ、避けろ!」
遅れてアスナが気づくが、無常にも武器が振り下ろされた。
…いや、間一髪で避けていた。
その時に、彼女が纏っていたローブがボスの武器に巻き込まれ、消滅した。
キリト・カイタ・レンコ「「「っ!」」」
俺たちは露わになった彼女の姿を見て、息をのんだ。
栗色の長いストレートヘアに、ボスを見据える強い視線を放つ、はしばみ色の瞳。
文字通りの美人だった。
だが、気を取られている場合じゃない。
キリト「…カイタ、行くぞっ!」
カイタ「…ああ!」
キリトに声を掛けられ、俺たちは奴に向かって突進した。
だが、注意を疎かにしたのが仇となった。
ボスが技を発動しているのに気づかずに突撃してしまったのだ。
カイタ「んなっ!?」
キリト「しまっ…!!」
時すでに遅く、俺たちはボスの攻撃をモロに受けてしまった。
カイタ「うああぁぁぁっ!」
キリト「ぐううぅぅぅっ!」
レンコ・アスナ「「きゃああっ!」」
レンコやアスナを巻き込みながら、そのまま後ろに吹き飛ばされた。
カイタ(く、くそ…油断した…)
ふとHPゲージを見ると、レッドゾーンに突入していた。
キリトも起き上がれないでいた。それほど、衝撃が強かったのだ。
レンコ「カ、カイタ、大丈夫!?」
レンコとアスナが俺たちに声をかける。
不可抗力とは言え、巻き添えにしてしまった。あとで謝っておこう。
そんな事を考えていると、いきなり周囲が暗くなった。
レンコ「…ぇ?」
レンコが上を見て掠れた声を出した。
気力を振り絞り、顔を上げると、ボスが飛び上がり、今にもこちらに向かって攻撃を繰り出そうとしていた。
カイタ(これは…ヤバいかも…。)
身体を動かそうにも、先ほど直撃した攻撃の反動で、体が動かない。
カイタ(万事休す、か…。)
━そう思ったその時、
「うおりゃああぁぁぁ!!」
なにかとてつもなく重い一撃が、ボスの攻撃をはじいた。
その衝撃の際にできた土煙から出てきたのは、
エギル「一旦下がれ!回復するまで俺たちが支える!」
両手斧を構えた、エギルだった。
カイタ「!すまねぇ、エギル!助かった!」
エギルに礼を言って一度後退し、回復ポーションを飲んだ。
カイタ「あ、あぶねぇ所だった…」
キリト「カイタ、このままじゃ持久戦になる。次の突撃で勝負に出ようと思うんだが、行けるか?」
カイタ「了解…ちなみにだが、失敗したら?」
キリト「…強硬突撃。」
カイタ「へっ、上等だ。」
キリトの答えに、俺は不適に笑った。
カイタ「エギル、もう大丈夫だ!スイッチ頼む!」
エギル「おお!分かった!あとは頼むぞ!」
ここまで攻撃をパリングで防いでくれていたエギルや彼のパーティーメンバーに向けて声をかけ、俺たちは攻撃態勢に入った。
エギル「今だ頼む!スイッチ!」
カイタ「行くぞ、キリト!」
キリト「ああ!」
エギルが退がると同時に、俺とキリトは前へ出た。
キリト「ぜああああぁぁ!」
まずキリトが、ボスの武器をかいくぐって切り込んだ。
キリト「カイタ、スイッチ!」
そしてボスがキリトに気を取られているすきに、ボスの背中に回り込んだ俺が、そのまま背中にバーチカル・アークをお見舞いする。
イルファング「グオオオオォォォォ!!」
ボスが少しよろめいた。
カイタ(たたみかけるなら今だ。)
そう思った俺は、すかさず、
カイタ「キリト、スイッチ!」
キリト「ハアアァァァァ!」
硬直時間が解けたキリトがそのままホリゾンタル・アークを発動。
1撃目はボスの横腹を駆け抜けながら切り付け、ボスを通り過ぎた後、振り向きざまに2撃目を放った。
キリト「スイッチ!」
俺の横に来たキリトが、俺と入れ替わる形で下がる。
と、同時に、ボスが反撃と言わんばかりに、動けないキリトに向かってカタナを振り下ろしてきた。
入れ替わりで出てきた俺は、それをファイア・スラントで迎え撃つ。
カイタ「う、うおおお!」
つば競り合いの様になったが、何とかはじき返すことに成功した。
だが、ここで誤算が発生した。
俺にはじき返され、後方に下げられたボスが、すぐさま2撃目の構えを取ったのだ。
カイタ「っ!?」
キリト「はああぁぁぁ!」
その瞬間、キリトが俺の前に切り込み、俺がまだ使えない、4連撃技のホリゾンタル・スクエアを放った。
一撃目でボスの武器をはじき返し、残り3撃は全てボスに命中した。
キリト「そろそろ決めるぞ!」
カイタ「ああ!」
俺たちは顔を見合わせ、ボスへ最後の攻撃を開始した。
キリト「はあああぁぁぁ!」
キリトが斬る。
カイタ「おりゃぁぁぁぁぁ!」
すぐさま俺が斬る。
キリト「ぜあああぁぁぁぁっ!」
斬る。
カイタ「はああぁぁぁぁぁ!」
斬る。
キリト・カイタ「おおおぉぉぉらあああぁぁぁぁ!」
斬って、斬って、斬りまくる。
━━━━そして、ついに。
カイタ・キリト「でぇぇあぁぁぁぁぁ!」
何度放たれたか分からないキリトと俺のホリゾンタルが、ボスに命中した、その瞬間。
「グオオオオォォォォォォォ!」
ボスの動きが一瞬硬直したかと思いきや、
『…ガシャーン!!』
ポリゴンの粒になって消滅した。
「「「「……………」」」」
皆が静まり変える。
「…や、」
「「「「「「「「やったぁぁぁぁぁ!!!!」」」」」」」」
途端に、歓声に包まれる。
嗚咽、感涙、そして互いの健闘を称える声が響き渡る。
キリト「はぁ…はぁ…」
カイタ「キ、キリト…生きてっか…?」
キリト「な、何とか…」
カイタ「はは…お疲れさん…。」
キリト「ああ…」
俺とキリトは、息も絶え絶えにお互いの安否を確かめた。
カイタ「…それで、なんかドロップしたのか?」
キリト「ん?ちょっと待ってくれ…」
そう言ってウィンドウを見たキリトの顔が少しこわばる。
キリト「…あった。『コート・オブ・ミッドナイト』か。」
カイタ「『闇夜のコート』ってか?かっこいいじゃねぇか。俺も欲しかったな…」
キリト「悪いな。一着限定だ。」
キリトがどや顔をしてきた。
カイタ「…ちくしょうめ。」
レンコ「カイタ、大丈夫!?」
レンコが俺に抱き着いてくる。
カイタ「ああ、…って、おい…く、苦しいぞ…」
レンコ「…ごめんね。」
カイタ「…ん?どうした?」
レンコ「私、ほとんど役に立てなかったから…。取り巻きの対処で精一杯だったし、ディアベルさんが殺されかけたのを見たら、怖くて足がすくんじゃって…それに、そのままあなたまで死んじゃったらと思うと…」
カイタ「…しょぼくれてるからどうしたかと思いきや、なーにバカな事言ってんだか。」
レンコ「え?」
俺はレンコの頭に手を置いてこう告げた。
カイタ「俺はそんなあっさり仏様になったりしねぇよ。パーティーメンバーを置いていく訳にゃいかねえだろ。」
レンコ「…!うん!///」
アスナ「二人とも、お疲れ様。」
エギル「お前ら、すごい連携だったな!congratulation!この勝利は、アンタ達の物だ!」
アスナとエギルも、俺たちに労いと賞賛の言葉をかける。
キリト「…そんなんじゃないさ。この勝利は、今日ここで戦った皆の物だ。」
ディアベル「いいや、キリト君、カイタ君、この攻略は君たちの連携があってこそ、成し遂げられたんだ。俺が出る幕も無かったよ…。本当に素晴らしかった。」
ディアベルが、拍手で俺たちを称える。
「そーだそーだ!」
「いよっ、MVP!」
それにつられて、周りに居たレンコたちだけでなく、全員が拍手や指笛で俺たちを賞賛した。
俺は照れ臭くなり、そっぽを向いてしまった。
キリトも同じらしい。
キリト「…なんか恥ずかしいな。」
カイタ「お前が変な事言うからだろ…。」
キリト「だ、だって事実だし…」
カイタ「まあ、そうだけどな…」
キリト「…カイタ。」
カイタ「ん?」
キリト「……お疲れ様。『相棒』。」
キリトが拳を突き出してきた。
カイタ「!…へへっ、おめぇも、ごくろーさん。今後とも頼りにしてるぜ。『相棒』。」
それに俺も、拳を突き合せて答えた。
周囲の歓声がMAXになる。
こうして、紆余曲折あったが、俺たちは、無事にアインクラッドの第1層ボスを無事に攻略できた。
「なんでや!」
一つの叫び声が聞こえるまでは。
全員が声の出どころを見る。
━━そこには、涙を流すキバオウと、彼のパーティーメンバーであろう4、5人が同じく涙を流していた。
キバオウ「なんでや…なんでディアベルはんを、ワシらを騙したんや!なんでホンマの情報を教えんかったや!」
本当の情報?
ボスが武器を変えるという情報はすでに提示があったはずだ。
これ以外にどんなイレギュラーが起きt
カイタ(あ。)
あった。
精神的に疲れていた為、頭から抜け落ちていたが、一つだけあった。
ここまでの突撃を慣行するはめになった、大本の原因。
キリト「本当の…情報?」
キリトが聞き返すと、キバオウは、
キバオウ「そや!おどれら二人はボスの武器が情報と違うっちゅう事を知っとったやないか!最初からその事を伝えとったら、ディアベルはんが死にかける事も、ワシらが危険に晒される事も無かったんや!」
そう俺とキリトに言い放った。
キバオウ「特にお前や!何が初心者や、何が『情報は平等に手に入る』や!そんな事抜かしながら、結局お前は情報を隠した!その証拠に、お前は最初にディアベルはんを止めた!大方、ディアベルはんに手柄を横取りされたくないからやろうけどな!」
ついでに、俺を指さしながら付け加えていた。
確かに、最初にディアベルを引き止めたのは俺だ。
悔しいが、そんな誤解を与えられても仕方ないかもしれない。
レンコ「そんな…!カイタはディアベルさんを助けて、キリトさんと一緒に、ボスを倒したんですよ!どうしてそんな言い方をするんですか!?」
レンコがキバオウに反論する。
キバオウ「それは結果論や。結局この2人は、ディアベルはんを囮にして、手柄の横取りでボスを倒したんや!」
不穏な空気が広がるのを感じる。
「きっとあの2人、元βテスターだ!ボスのパターンも全部知ってて、手柄を奪う気だったんだ!」
まずい。
「じゃあ、ガイドブックを書いた奴らも、最初から2人のグルで…!」
この空気はまずい。
「ほかにも居るんだろ!β上がりの奴が!出てこい!」
一度生まれた疑念は簡単には消えない。そればかりか、疑念は確信を生み、確信はさらなる疑念を引き起こす。
現に、今この大広間では、お互いがお互いをβテスターかと疑う空気が広がっている。
アスナ「ちょっと、あなたたちねぇ…!」
ディアベル「皆、待ってくれ!違うんだ、彼らは…!」
事情を知るアスナとディアベルが、懸命に止めようとする。
なんとかしなければ。
そう思った俺は、口を開く
キリト「ッハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
事はなく、キリトの笑い声が遮った。
俺は驚いてキリトを見つめる。
キリト「元βテスターだと…?俺をあんな素人連中と一緒にしないでくれ。言っておくが、こいつはβテスターじゃない。俺の策略にまんまと乗ってくれた間抜けだよ。」
キバオウ「な…なんやと!?」
キリト「βテスターに当選した1000人の内、ほとんどはレベリングのやり方も知らない初心者同然だったよ。でも、俺はあんな奴らとは違う。」
カイタ(キリト…いきなり何を…)
演説を始めたキリトに、俺は困惑する。
…何か意図があるのか、それとも、本気でそう思っているのか。
キリト「俺はβテスト中に、他の誰も届かなかった層まで登った。ボスのカタナスキルを知っていたのは、上の層で、カタナを使うモンスターと散々戦ったからだ。」
…まてよ?
キリト「まあ、まさか第1層でお目にかかるとは思わなかったがな…」
まさか、キリトの奴。
キリト「でも、隣にいるコイツが、己が身をかけて馬鹿みたいに突撃してくれたおかげで、喰らわずに済んだばかりか、うろ覚えだったパターンも完全に把握できたから、一石二鳥だったよ。」
レンコ「キ、キリトさん…!」
俺の予想が正しければ…
あいつは、自ら悪役になるつもりだ。
おそらく、他のβテスターに被害が及ばないようにする為だろう。
…だが、
お前はどうなる?
一人で悪役を引き受けた、その先に何がある?
『ビギナー』を見捨てたという、その重責を一人で背負うつもりか?
カイタ(…いくらなんでも無理がある。)
現に、キリトの体が、わずかながら震えている。
見たところ、キリトはまだ中学生かそこらだろう。
そんな子供にその重責を背負わせるわけにはいかない。
カイタ(このままだと…!)
せめて半分。半分でも、俺が背負わなければいけない。
…はたから見れば、この選択は狂ってるように見えるだろう。
「自分のことだけ考えればいい。」そういう人が多いだろう。
だが、俺は「仮面ライダー」だ。
助けが欲しいのに、それを叫ぶ事も出来ない。
そんな人がいるなら、なおさら手を差し伸べるべきだ。
…それがたとえ、悪者に見えても。
キリトを見ると、ウィンドウを操作し、先ほど入手したコートを装備していた。
漆黒のコートが翻る。
キリト「正攻法の突撃バカが知らないことを、他にも知ってるぜ?それこそ情報屋なんか、必要ないくらいに…」
俺は決意を固め、キリトに話しかける。
カイタ「あのぉ、キリトさんよ、いくら何でも、そこまで言うこたぁねえだろ。本気で傷つくぞ。」
そして、キリトとすれ違いざまに、こうつぶやいた。
カイタ「おめぇの嘘に俺も乗る。一人で背負わせやしねぇぞ?」
キリト「!!!」
カイタ「まあ、それは置いといて…キリトもあんま事態をややこしくしないでくれ。俺の事を初心者だって抜かしやがって。報酬を一人占めする気か?」
レンコ「…え?」
キバオウ「な、何を言うてるんや…?」
カイタ「何って…簡単な事だ。」
カイタ「あんたは、俺の嘘に乗せられたんだよ。キバオウさん。キリトはあくまでも、俺の協力者だ。」
キバオウ「う、嘘やと?やっぱりワシらを騙したんか?βテスターは最低な連中って事か!?」
カイタ「いいや、まるっきり騙したわけじゃない。8割がたは真実さ。それが人をうまく騙すためのコツだ。」
キバオウ「8割?」
カイタ「ああ。俺が初心者って話と、『情報は平等に手に入る』ってのが嘘だ。情報なんざ、金とアイテムでどうとでもなる。まあ、ディアベルを騙すのが、一番厄介だったがな。なにせ、あの会議の後で、しつこく俺に追及してきたからな。『一体何を企んでいる!』ってな。のらりくらり誤魔化すのも骨が折れたぜ。」
ディアベル「…っ!?」
ディアベルが面食らっている。当然だ。今言った事はただのハッタリ。ブラフ。大嘘だ。そんなことは一度も無かったからな。
カイタ「ただ、これだけは言わせてもらう。俺やキリトの様なせこい真似をせずに、キチンとビギナーたちに向き合ってプレイしてるβテスターだっている。ディアベルがその一人だ。」
キバオウ「な!?デ、ディアベルはんが、元βテスター…!?」
カイタ「ああ、そうさ。でも、ディアベルはお前らを見捨てたか?違うだろ。このレイドを率いて、皆を守り抜いた。」
キバオウ「そ、それはそうやが…」
カイタ「もしディアベルがアンタらを見捨てるつもりなら、あの会議でバカ正直にガイドブックの話を持ち込んだりしないはずだ。」
キバオウ「……………」
カイタ「まあ、その元βテスターのディアベルでもつかみきれなかった情報がいろいろあったみたいだけどな。…いい機会だ。その一つを教えてやる。後学のために、耳穴かっぽじってよく聞けよ?」
キバオウ「!?」
カイタ「フロアボスに最後の一撃を与えた奴には、『ラストアタック』というボーナスが付く。そのボーナスによって、特殊なアイテムをドロップすることがある。さっきキリトが手に入れたそのコート『コート・オブ・ミッドナイト』がその一つだ。」
キバオウ「…そうか、だからおどれらだけでとどめを刺したんやな!?」
カイタ「ご名答。まあ、結果は見ての通り、レアアイテムはキリトに渡っちまったがな。でも、ここからが肝心。この情報は、ディアベルはおろか、ひょっとしたらキリトも知らないかもな。」
キリト「!?」
キリトが驚いている。当然だ、そんなもん無いからな。
だが、嘘をつく際に大事なのは、どれだけ相手を欺くかではなく、どれだけ自分の情報の信憑性を高めるかにかかっていると、俺は考えている。
カイタ「どうやらあの時、ボスにとどめをさしたのはキリトだけじゃなくて、俺たち二人という風に認識されたらしい。」
キバオウ「ど、どういう事や!」
俺はストレージからあるアイテムを実体化しながらキバオウに答えた。
カイタ「それはつまり、」
「アタッシュカリバー!」
カイタ「こういう事だ。おそらくこの武器は、ボスのレアドロップと同じく、このゲームで1品物だぜ。」
信憑性が高ければ、どんな嘘も真実になる。
「俺しかもっていない武器」という時点で、信憑性は高くなったと思う。
実際、キバオウたちはまんまと信じてくれた。
キバオウ「な…なんやそれ…そのコートといい、その武器といい、そんなもん、もうレアアイテムどころやない!チートや、チーターやろそんなもん!」
「あいつら、ベータのチーターだから、ビーターだ!」
誰かがそう言った。
…キリトが頭数に含まれているのは気に食わないが、仕方ない。
カイタ「おお、お前さん、いいあだ名じゃねぇか。…そうだ、俺たちは『ビーター』だ。という事で、第2層の転移門は俺たちがアクティベートしとくぜ。ついてくんのは勝手だが、初見の敵に殺される覚悟しとけよ?」
そう言い放った俺は、キリトの肩を掴み、
「ちょっと来い。」
と呟いた。
カイタ「ほんじゃな~。」
そして俺たちは、第2層へと続く階段を上り始めた。
━━━━しばらく登って。
カイタ「やれやれ、どうなる事かと思ったが…」
キリト「…なんでだ」
カイタ「ん?」
キリト「なんでβテスターじゃないお前が俺を庇うんだ…?」
カイタ「…逆に聞くが、お前、あの重責を一人で背負いきれるのか?」
キリト「…余裕だ。」
カイタ「なら…なんでお前、震えてたんだ?」
キリト「っ!!」
カイタ「…怖かったんだろ?」
キリト「………」
カイタ「まあ、お前が決めたことだ。これ以上とやかくは言わないよ。…ただ、これだけは言わせてくれ。」
キリト「……」
カイタ「逃げ場のないこの世界で敵視されるのは、死につながる可能性がある。…俺は、お前に死んでほしくない。お前がいたから、俺は今日ここで剣を振るう事が出来る。だから、おせっかいでもいい。お前が背負おうとしていた重荷を、俺も背負う。」
キリト「………」
カイタ「何でも一人で抱え込むな。お前は一人じゃない。仲間がいる。クラインやエギル、アスナにレンコ、そして俺が。」
キリト「………」
カイタ「つらい時は連絡してくれ。…俺に出来るのは、ここまでだ。」
その言葉がキリトに届いたのかは分からない。
だが俺は、キリトにつらい思いをさせたくないという本心を伝えたつもりだ。
カイタ「ほんじゃ、俺は行くわ。」
そう言って、俺はキリトに背中を向けた。
道中、ずっとキリトの視線が刺さってる気がした。
そして、第2層の入り口にたどり着いた俺は、メニューを呼び出し、あるウィンドウを呼び出した。
カイタ「………」
それは、パーティー解除の確認画面だった。
俺はレンコの事を考えていた。
カイタ(…これから俺は、全プレイヤーの目の敵にされる。無関係の彼女を巻き込むわけにはいかない。)
そう思いながら俺は、『OK』のボタンを押した。
その瞬間、視界の左上にあった彼女の名前とHPゲージが消えた。
カイタ(…これでいい。これでいいんだ。)
彼女には、嫉妬、妬みなどの醜い感情が渦巻くゲームじゃなく、ちゃんとしたゲームをしてほしい。
…それに、一人なら、心置きなくゼロワンシステムを使える。
……昔から、一人で居る事には慣れてる。別に寂しくは無い。
………寂しくない、はずだ。
…………でも、なんだ。この感覚は。
何かが心にひっかかる感覚があったが、それを無理やり振り切り、そのまま
「待って!!」
カイタ「っ!!」
一歩を踏み出そうとした俺を止めたのは、聞き覚えのある声。
なぜか振り向くのが怖かった。
振り向いたら、自分の決心が揺らぎそうで。
カイタ「…なんだ?」
それでも、俺は意思を振り絞って声の主を見た。
カイタ「…俺は薄汚いビーターだぞ?その俺に、何の用だ?」
そこには、息を少し切らした、レンコがいた。
(レンコside)
キリトさんとカイタが、突然キバオウさんに向かって反論を始めた。
でも、彼らの言っていることが耳に入らなかった。
ただ一つ分かったのは、二人が嘘をついている事。
それも、自分たちが悪役になるだけの、悲しい嘘。
でも、キバオウさんや他の皆はそれを信じていた。
そして、彼らが、『ビーター』と呼ばれた。
分からなかった。
なぜ彼らが嘘をついたのか。
そして、彼らが去り、他の人たちは消耗の具合を確認しはじめた。
今、私の近くには、一緒に戦ったエギルさんと、アスナさんがいた。
レンコ「…どうして?」
私は誰に聞かせるでもなく、呟いた。
レンコ「どうしてあの二人はあんな嘘をついたの…?これじゃあ、2人が悪者に…」
私の小さな声の問いに答えたのはエギルさんだった。
エギル「…あの場には、悪者が必要だった。」
レンコ「え?」
エギル「もしもあの状況で、誰かが『汚いビーター』にならなければ、全ての元βテスターが目の敵にされかねない。」
レンコ「!!」
アスナ「…だから、彼らは命を狙われる危険を背負う事を決めたのね…でも、一つ分からない事がある。」
エギル「なんだ?」
アスナ「最後に彼が取り出したあの武器、あれをどう説明するの?ほかの人達は、彼の話に流されて、あれをボスのレアドロップだと思ってるみたいだけど…私はそうは思わない。」
レンコ「あれはレアドロップじゃなくて、正真正銘、彼の持ち物です。何度か見たから知っています。」
アスナ「そう。分かったわ。」
エギル「…おっと、俺の仲間が呼んでる。お二人さん、今日はありがとうな。今後ともよろしく頼む。」
レンコ「はい、エギルさんも、あの時援護してくれてありがとうございました!」
アスナ「私も、ありがとうございます。…それじゃあ、私は彼の…二人とも黒の装備だからややこしいわね…黒いコートの彼のもとに行くわ。」
レンコ「あ、私も一緒にいいですか?私もカイタの所に行きたいので。」
アスナ「ええ、いいわよ。一緒に行きましょう。」
エギル「なら、お前さんたち、あいつらに伝言を頼みたい。第2層のボス攻略も、一緒にやろうってな。」
アスナ「…分かったわ。ちゃんと伝える。」
レンコ「エギルさん、また会いましょう。」
そう言って、私はアスナさんと、第2層へ続く階段を上った。
階段を上りながら。
アスナ「…あの、レンコさん。」
レンコ「レンコでいいですよ?」
アスナ「…じゃあ、そう呼ばせてもらうわ。あなたも、私にはタメ口でいいわよ。…それで、あなたのパーティーメンバーの彼が出していたあの武器なんだけど…本当に、彼の所有物なの?」
レンコ「どういう事?」
アスナ「なんだか見た事がある気がして…私、ダンジョンで敵に囲まれていた所を、今日パーティーを組んだあの人に助けられたの。それで、なんとかその囲みから抜け出す事は出来たけど、その後で変なモンスターに出会ったの。そのまま戦おうとしたけど、三日三晩でダンジョンに籠ってたツケが回ってきて、返り討ちにされた挙句、気絶しちゃったの…」
レンコ「…!」
アスナ「でも、気絶する寸前に、誰かが助けにきたのが見えた。…でも、不思議な見た目だった。黄色と黒の出で立ちに、赤い複眼。そしてその手に、あの武器が握られている気がした。…あれは、彼だったの?」
レンコ「……うん。その異形の戦士は、間違いなくカイタだよ。」
アスナ「…あの装備、どこで手に入れたのかしら?」
レンコ「…ごめん。それは私の口からは言えない。彼から、他言無用って言われてるから。」
アスナ「…なら、これ以上は聞かないわ。」
レンコ「………」
アスナ「そういえば、あなたは彼とどういう風に出会ったの?」
レンコ「私も、彼に助けられたの。夜中に森を散歩していたら、あなたが出会ったモンスターと同じタイプのモンスターに襲われたの。…こんな森の奥深く、しかも深夜になんて、誰も来ないって思って、すごく怖かった。ここで死ぬんだって思った。…でも、その時に彼が来てくれた。彼がいたから、私は今ここにいる。」
アスナ「…ごめんなさい。嫌な事思い出させたかしら…」
レンコ「ううん、大丈夫…ところで、アスナはなんでそんなにダンジョンに籠ってたの?」
アスナは、一息置いて、こう告げた。
アスナ「…私が、私でいるために。」
レンコ「?」
アスナ「…我ながら無茶をしたと思ってるわ。でも、私には必要な事だった。最初の街の宿屋に閉じこもって、ゆっくり腐っていく位なら、最後の瞬間まで自分のままで居たい。例え怪物に負けて死んでも…この世界にだけは、どうしても負けられない。そう思っていた。…でも、あの人は2年、3年かかってもこのゲームをクリアするつもりだった。強い人間だと思った。だから私は彼に付いていく事にした。…彼と一緒に居れば、つかめそうな気がするの。この世界で生き抜くための、『強さ』を…。」
レンコ「…そっか。」
アスナ「ごめんなさい。ちょっとしゃべりすぎたわね。」
レンコ「ううん。大丈夫。私も、同じ様な理由だから。…私も、カイタの様に強くなりたい。あの日、彼が私を守ってくれたように、私も彼を守りたい。彼の隣に立てるだけの強さを身に付けたい。そう思ったから。…………あれ、あそこにいるのって、」
私たちが歩く先に、ゆっくりとした足取りで歩くプレイヤーがいた。背景で分かりにくいが、黒のコートを羽織っていたので、すぐにキリトさんだと分かった。
アスナ「…やっと見つけた。」
キリト「………なんだ?」
レンコ「じゃあアスナ、私はもう行くね。」
アスナ「ええ…って、ちょっと待って。今更ながら気づいたけど、何で私の名前知ってるのよ?」
レンコ「え?え~っと、キリトさんがそう呼んでいたから…」
私はそう告げて去った。
アスナがキリトさんに問い詰める声が聞こえる。
アスナ「…どうして分かったの?」
キリト「左上に自分以外の表示が…」
少し歩くと、何か通知が入った。
レンコ「………え!?」
ウィンドウには『Kaitaがパーティーを解除しました。』と書かれていた。
急がないと、彼に追いつけなくなる。
そう思った私は、走り出した。
…幸いにも、1、2分走ると、目の前に光が見えた。きっとあそこが第2層の入り口だろう。
そして、そこに彼は立っていて、今にも一歩を踏み出そうとしていた。
レンコ「待って!!」
カイタ「っ!!」
少し息が切れたけど、追いついて良かった。
カイタ「…なんだ?」
カイタがこちらを振り返って睨みつける。
カイタ「…俺は薄汚いビーターだぞ?その俺に何の用だ?」
レンコ「…私も一緒に行く。それに、あれはあなたがキリトさんを守るためについた嘘でしょ…?」
カイタ「本気で言ってんのか?確かに俺はわざと奴らを焚きつけたよ。でもな、これから俺が多くのプレイヤーから目の敵にされる事に変わりはない。…そんな俺と行動を共にする事の意味、分かるだろ?」
……そんな事、分かってる。
カイタ「…それに、「仮面ライダー」っていうのは、単独で行動する方が性に合うんだよ。なにしろ、はたから見れば、異形の怪物同然だからな。」
…違う、そんな事無い。
そう言いたいのに、口が動かない。
だから、と一息置いて、彼はこう続けた。
カイタ「これは仮面ライダーの宿命みたいなもんだ…これ以上、お前を巻き込むわけにはいかない。」
そう言って、彼は背を向けて、歩き出そうとした。
レンコ(…言わないと、言わないと!)
これまでの私は、ただ臆病なだけだった。
自分が嫌な事から目をそらして、安全な方ばかり選んできた。
…でも、それも今日まで。
レンコ(誓ったんだ…!強い人間になるって!彼を支えるって!)
レンコ「…あのね、」
レンコ「…昨日からずっと考えてた。私は、何のためにここにいるのか、これからどうするべきか、どうしていきたいのかを。…さっきのフロアボスとの戦いで、ようやく分かった。私は、あなたと一緒に戦う。あの夜にあなたが私を守ってくれたように、私もあなたを守る…ううん、大した事が出来ないのは分かってる。それでも、せめてあなたのそばにいる事は出来る。どれだけあなたが卑怯だと言われても、たとえ世界の全てがあなたの敵になったとしても、私はあなたのそばに居続ける。…だってあなたは、私の「
カイタ「………」
(カイタside)
カイタ「………」
俺はレンコの決意を聞いていた。
カイタ「…バカだな、お前は」
本当にバカだ。
俺なんかと一緒にいたら、どうなるのかは火を見るよりも明らかだというのに。
カイタ「…でも、」
…でも、
カイタ「…ありがとう。」
その覚悟に答えなくてはと思っている自分もいる。
気づけば俺は、再びウィンドウを操作していた。
レンコ「…あっ!」
カイタ「…こんな俺でよければ、よろしく…頼む。」
レンコ「!…う、うん!!」
レンコが嬉しそうにウィンドウの承諾ボタンを押す。
俺の視界の左上に、再び彼女の名前とゲージが加わる。
カイタ「…じゃあ、行こうか。……レンコ。」
レンコ「うん。」
俺たちは、歩き始める。
まだ空の彼方(実際は天井だが)にある、第100層へ向けて。
この先に、どんな危険や困難が待ち受けているのかわからない。
ひょっとすると、途中で俺たちの内どちらかが、あるいはどちらも力尽きてしまうかもしれない。
…でも、
それ以上に、ここから始まる彼女との旅を、楽しみにしているのも確かだ。
彼女と一緒なら、どんな障害も打ち破って、どこまでも行ける━━
そんな気がした。
━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
「Sword Art Masked Rider」
「私を一人にしないで…!」
竜使いに訪れた悲劇
「…もしかしたらまだ間に合うかもしれないぜ。」
奇跡を起こすため
「カ、カイタさ~ん!見てないで助けてくださ~い!!///」
「い、いやそんな無茶な…///」
花を求めて珍道中!?
「…ちょっと気になる事があってな。多分、お前にも関係することだぜ。キリト。」
いかがだったでしょうか。
ホント、戦闘シーンの描写ムズイ…
文字数が多くなるの、ほんとに何とかしないと…(今回16000字越え)
次回から極力2話構成で行きたいと考えていますので、何卒…
お気に入り登録していただいた、ガンマ102さん、ばたぴーさん、たけしいたけさん、ナハト02さん、ありがとうございます!
……まさか自分と同じ、仮面ライダー、転生、クロスオーバー物の小説を一年前から書いていらっしゃる「ナハト02」さんに登録していただけるとは…
駄作しか書けない能無しの自分にはもったいなき光栄です!
ありがとうございます!!
なお、先日この小説のUAが2000件を突破しました!
こんな更新が遅く読みにくい、思いつきの駄作を読んでくださる方がいる事が、なにより嬉しいです!
ありがとうございます!
次回から時系列が一気に飛びます。
それでは、また。
最近プロット読み返して、ストーリーのゴリ押し感に気づいた今日この頃…
12月26日追記
最近、ルビ振りのやり方を教えていただきました!
ありがとうございます!
早速変更させていただきました!