しかし、おとなしく捕らえられたままで彼は終わろうとしなかった
そして、2ヶ月経ったある日脱出を企てることにした
英雄派アジト 地下牢にて
地下牢は無機質なコンクリートの床と壁でできており、牢屋の扉も一般的な鉄格子ではなく鉄の扉で固く閉ざされていた
一般人には到底脱獄は不可能な構図であった
さらに、キョウマは魔力を使えないように特殊な手枷をハメられて脱出成功確立が1%を切っている状態に近かった
「起きなさい、妖良キョウマ、実験の時間よ」
ある一人の外国人女性がキョウマを起こす
囚われた時に夢現の状態で曹操の話を聞いていたが彼女の名前はジャンヌ・ダルクというらしい
キョウマは牢をジャンヌに連れ出された
「逃げようとすれば命の保証はできませんよ」
ジャンヌはキョウマを脅迫する
「分かってる、君もいちいちしつこいよ」
挑発するように言い返すキョウマ
この時、キョウマの頭の中では幾万もの逃走パターンを考えついていた
いくら、英雄の力を持った者といえども人の頭の中を読むことは不可能に近い
実験室まで彼はジャンヌに連行されていった
実験室内部にて
実験室に入れられたキョウマは魔力の塊でできた特殊な枷をハメられて拘束されている状態で実験が開始されるのを待っていた
準備を開始して10分後、ようやく実験が始まった
「キョウマ君、早速だが実験を始めさせてもらうよ」
曹操が合図を出すと実験担当の者が実験装置のスイッチを入れた
実験の内容は薬物実験と特殊な電波を使う電気実験の二種類であった
今回は薬物実験ではなく電気実験の方が行われていた
「ぐああああああああああああ…ぁぁぁぁ!」
序盤から1万Vの電流がキョウマの体に流された
人体では即死の1万Vの電流を受けて叫ぶことしかできないキョウマ
1万5000V、2万V、2万5000Vと5000V単位で電流の強さが上がっていく
5万Vを突破したあたりからキョウマの体は悲鳴をあげかけていた
「や…やめろお゛…こんなことをしたって…伝説の魔獣は…召喚できな…」
莫大な強さに電流を浴び続けて最後の一言を言おうとしたところで意識が途切れる
「意識が途切れたようだ、実験は中断だ、キョウマを独房に戻せ」
曹操が指示を出すとジャンヌはキョウマを独房に運んだ
しかし、その時曹操は彼が脱獄するということを想定に入れていなかった
時間が経過して夜、独房のベッドで目が覚めるとジャンヌが隣でかがみ込んでキョウマを見ていた
「目覚めたようですね」
ジャンヌは話しかける
「も、もう体がもたん…」
正気がほとんど失われているキョウマ
「姫があなたをお呼びです、体は限界が来ていると思われますがついて来てください」
ジャンヌは自分の組織の姫の部屋までキョウマを連れて行く
この時、キョウマには手枷などの拘束具などはついていなかった
ジャンヌに連れられて歩いて5分ほどで姫の部屋についた
彼女はキョウマを姫の部屋に入れると入浴をしに行った
姫の間にて
英雄派の姫である少女はキョウマが入ってきて彼がソファに腰掛けると
彼が息付く間もなく膝に座って寄りかかってきた
「我はオーフィス、貴様は?」
少女はオーフィスと名乗り名を聞いてくる
「俺は奴良組3代目 奴良キョウマだ」
自分の所属する組織と自らの名を名乗るキョウマ
奴良 キョウマと聞いてオーフィスは何かを思い出した
そして何かを思い出しオーフィスは話しかけてきた
「貴様、もしかして、黒歌の幼馴染という関係の妖怪か?」
幼馴染の黒歌のことを話題に出してくるオーフィス
「そうだが…」
元気のないような反応を示すキョウマ
「黒歌は元気にしておるのか?」
さらに問を続けるオーフィス
「元気にしている。最も俺は黒歌と京都の祇園で遊んでいる時に拉致された」
「京都?テレビで見たことならあるぞ。我は実際に京都という街を見てみたい」
京都というワードを聞くとさらに食いついてくるオーフィス
どうやら彼女は京都という場所に大いに興味を示しているようだ
しかし、それは脱出を目論むキョウマにとってかつてないビッグチャンスであった
「なぁ、オーフィス、俺をここから解放してくれるなら京都を案内してやろうじゃないか」
安直な取引を持ちかける
「か、構わんぞ、それに今はお前の見張りも風呂でゆっくりしている、脱出するなら今が好機」
普通なら却下されて当然だがその時、オーフィスはなんとしてでも京都に行きたかったがためあっさり許可をした
その上、脱走の幇助まで行った。
「善は急げ、ところで貴様は車の運転はできるのか?」
乗り物の運転ができるかを問うオーフィス
「できるが、まさかアンタそこまで準備が出来ているのか?」
「当然、我について来て」
オーフィスは姫の間の裏口にあるガレージにキョウマを案内した
この時、見張りは正門付近に集中しているため、姫の間からの裏口には見張りは全くいない状態だった
「我は助手席の方に乗る、キョウマが運転して」
「分かった、京都まではここからだとかなりあるからしっかり寝てろ」
この時キョウマの体の状態は回復していた
恐らくオーフィスが膝に座って寄りかかってきたときに何らかの魔術を使ったものである
「さぁ、京都へ旅行といこうか!」
「うん、楽しみ」
二人はアジトから100キロ先にある京都に向かって行った
4時間後、二人は京都のあるサービスエリアのホテルで休息をとっていた
その頃英雄派のアジトでは2人がいないと大騒ぎであったが誰も二人の行く末を知らなかった
キョウマは脱出に成功した
そして、翌朝、京都で黒歌や九重にかくまってもらうべく京都の祇園にオーフィスを連れて向かった