【助けて】白い粉を落とし物センターに持ってったら牢屋にぶち込まれた   作:婚期絶望お嬢様

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アリア
本名アリアリア。田舎町の領主の娘。水風土属性魔法使い。スレ民からは花屋ネキと呼ばれる。

クリスタ
本名クリスタライザ。名門アルネゼデール公爵家のワケあり娘。火属性魔法使い。スレ民からはメンヘラヤバ女と呼ばれる。

セリカ
城下町の食堂の娘。アリアのルームメイト。料理が得意。スレ民からは今のところ特に話題にされない。

ティルヴァーン先生
白髪クソ長顎髭校長

ウェスト先生
ハゲ



5.変わったらアカン部分もある

 今更ながら私はなんとなく不安になっていた。

 

「自分で提案しておいてなんだけどコレ上手くいくかしら。やってて思ったけど私の犯行だってバレバレな気がしてきたわ……」

 

 そもそも奴にわかりやすい最新の因縁があるのが私だ。転生者のパイセンたちが言うとおりしょぼい宴会芸みたいな魔法なので複合属性魔法だと気づかれはしないだろうけど、あからさまに水属性の魔法を使ったイタズラな時点で調べるまでもなく犯人が特定されそうである。

 

「ヒヒッ、そうかもしれないけど証拠がないからね。あの男は小心者の陰険男だから確定的な証拠が無い限り怪しいと思っても、あなたを追求する材料には使えない。逆に言えば確実にアリアがやったという確証を得たがるはず。そう、例えばあなたをいつも監視しているであろう人間に聞くとか、ね」

「その通りなんだけどなんか失敗しそうな気がしてきた」

 

 私はげんなりした気分で目の前のサラダをモシャった。 

 

「あなた勢いはすごいのにやってから後悔するのね、ウフフ」

「私はあんたみたいに異常な精神構造をしてるわけじゃあないのよ」

「イヒヒッ、私になんでもするっていうのも後悔してる?」

「それは別に」

「ふうん」

 

 クリスタは歯を見せてニタリと笑った。キモい。

 

 そんな感じで、クリスタと合流した私は大食堂の角にあるテーブルを占領して2人で夕食を食べていた。ディナータイムだというのに私達の周りのテーブルはガラガラで誰1人座っていない。秘密の話をするには都合がいい。

 

 見回すと食事を運びながら遠目でチラチラとこちらを伺っている生徒が何人もいた。気になるけど関わり合いになりたくない。そんな感じ。私は容疑者なのでしょうがないけど顔見知りの友達と目が合ってもそうなのだからなんとも悲しい。

 

 それでも話しかけてご飯くれたセリカがそれだけ良い子だということなんだろう。

 あの卵サンドまた食べたいなあ、おいしかったな。思い出しながらラザニアをよそった。右に何かが見えた。

 

「うおお」 

 

 あんまり可愛くない声が出た。突然壁とテーブルの隙間からニュルンて墨みたいに黒い蛇が顔を出したら誰だってそうする。蛇は口に器用に紙の切れ端を咥えている。クリスタの使い魔だ。

 

 恨めしそうにクリスタを見ると澄ました顔で蛇が持ってきた紙を広げていた。

 

「こういうのびっくりするからいきなり現れるのやめてほしいんだけど」

「ウフフ」

「ウフフじゃないんだよ」

「ヒヒッ」

 

 そういうことじゃないんだよ。私は肩をすくめて蛇に同意を求めた。蛇はよくわからないようで首を傾げて銀色の瞳で私を見た。ちくしょう、ちょっとかわいいじゃねえかよ。私も使い魔ほしくなってきた。

 

「アリア、あなたの予想は外れたみたいね、ヒヒッ」

「え、わかったの?」

「ええ、ウララがやり合って捕まえたようね。食べ終わったら追求しましょう。ウフフフフッ」

 

 クリスタがゲスなこと考えてそうにほくそ笑んだ。あの赤い髪の従者さんってウララっていうのか。かわいい名前してるな。今度名前で呼んだら怒るかしら。

 

 ともかくわたしのイタズラは成功したらしかった。勢いで行動するのもたまには悪くないなと思った。

 

 

 

 

415:花屋さん ID:GtJXu5zMw

ということで下手人を確保しました!確保したの私じゃないけど!

 

416:名無しの転生者さん ID:dh74vcHtP

ようやっとる! ようやっとるよ!

 

417:名無しの転生者さん ID:b4bJuaWGz

どうやって確保したんや?

 

418:花屋さん ID:GtJXu5zMw

ハゲカスが私のイタズラの裏を取りにいったっぽい所をクリスタの従者さんに見張ってもらって1人になったところを確保した!今から追求してくる

 

419:名無しの転生者さん ID:DzuX5rOkr

ぶっ殺したらあかんで

 

420:名無しの転生者さん ID:WJmLEDQHG

ファンタジー系への信用のなさよ

 

421:名無しの転生者さん ID:WrMOtkMif

ネキは大丈夫そうやけどそこのドSヤバ女がエグいことしそう

 

422:名無しの伯爵さん ID:ilidafOa/

ドS公爵令嬢とか絶対関わりたくない

 

423:名無しの転生者さん ID:650LJwmSu

めっちゃ恐れてて草

 

424:名無しの伯爵さん ID:ilidafOa/

自分の権力の使い方分かってる女ほんま恐い

あいつらガキの姿した悪鬼や。ネキみたいなクレイジー女じゃないと相手できんで

思い出すだけであたまおかしくなるで

 

425:花屋さん ID:GtJXu5zMw

わたしはふつうだよー!?

 

426:名無しの転生者さん ID:OyvOXr9IS

ネキ普通を装ってるけど案外そうでもないわ

 

427:名無しの伯爵さん ID:ilidafOa/

ネキィィィ公爵令嬢にあの言葉遣いはヤバイわよ!

 

428:花屋さん ID:GtJXu5zMw

それはまあ……同級生だし多少はね

別に仲良くはないよ

 

429:名無しの転生者さん ID:95jDbUJWT

変なところで日本人の常識残ってて草なんだ

 

430:名無しの転生者さん ID:KPCfgDr6O

絶対にヤバ女を友達だと認めないネキ

 

431:名無しの転生者さん ID:fu8dcFu17

ツンデレかな?

 

432:名無しの転生者さん ID:ZIfSq6A9T

伯爵ニキ恐れすぎてお嬢様言葉になっとるで

 

433:名無しの伯爵さん ID:ilidafOa/

そんなことありませんわ

わたくしは正常ですわ

トラウマなんてどこにもありませんわ

 

434:名無しの転生者さん ID:OUkopAnzv

悲しい世界

 

435:名無しの転生者さん ID:sAmKfmMvQ

なにされたんや……

 

436:名無しの伯爵さん ID:ilidafOa/

身に覚えのない無礼で呼び出されて靴を舐めさせられて顔を踏みつけられましたわ

 

437:名無しの転生者さん ID:9iJ1L0+lm

いくら公爵令嬢いうても伯爵にそれやるってどんな世界やねんおかしいやろ

 

438:名無しの転生者さん ID:ulrUYeE2q

これがファンタジー系の「現実」やで

 

439:名無しの転生者さん ID:leqiyl7pC

ワイもお嬢様の靴舐めたい

 

440:名無しの転生者さん ID:N5FNHMT2c

そこのヤバ女の靴舐めたら殺されそうやな

 

441:名無しの転生者さん ID:leqiyl7pC

不潔なお嬢様はノーセンキュー

 

442:名無しの転生者さん ID:rf9xx7urG

中世はみんな変態糞土方みたいなもんやろ

窓からウンコ投げ捨ててる時代やし

 

443:名無しの転生者さん ID:ueFJjWJCa

>>441

わがままな変態やな……

 

444:花屋さん ID:GtJXu5zMw

ちなみにうちの世界水属性魔法のおかげで衛生面は日本人並にきれい好きな人多いよ

水も貴重品じゃないからお風呂もあるし

クリスタが汚いのは本人の生活と性格の問題

 

445:名無しの転生者さん ID:zd25dvayx

不衛生メンヘラヤバ女系公爵令嬢ちゃんですか……

 

446:名無しの転生者さん ID:Hx8sFpHX7

まあ汚部屋やったしさもありなんって感じやな

 

<<花屋さん が配信モードを開始しました>>

 

447:花屋さん ID:GtJXu5zMw <配信モード>

ということでその汚部屋で今から下手人を追及してくるわよ!

 

448:名無しの転生者さん ID:3B9oH1gPQ

どんなやつなんやろな

 

449:陽気な転生者さん ID:DjsT4JwBL

イケメンがいいわ! 苛烈に尋問されながらも屈しないスパイのあの瞳、本当にゾクゾクしてたまらないわぁ! かわいすぎよっ!! あんたたち、逝くわよッ!

 

450:名無しの転生者さん ID:PPe1tAQg9

どこに逝くねん

 

451:花屋さん ID:GtJXu5zMw <配信モード>

 

 寮棟にある塔を上りクリスタの部屋に戻ると、そこには縄でぐるぐる巻きにされて床に座らされている1人の男がいた。細身で背の高い男だった。魔法詠唱防止に猿ぐつわをかまされている。学生用のローブを着ているので学生かもしくはそのふりをしていたのかもしれない。

 

「お嬢様、リシュー様、お待ちしておりました」

「ヒヒッ。ウララ、お疲れ様。怪我は?」

「ございません」

「それは大変結構、ウフフ」

 

 男の傍らに立っていたウララさんが無表情で恭しく礼をした。何考えてるか分かんないけどやっぱりこの人すごいんだな。

 

「杖や魔法具なども全て没収してはいますが、杖無しで魔法を発動する可能性がありましたので 口はふさいでおります。私の見解だとこの方にそこまでの力はないと判断しますが。リシュー様、話されますか?」

「あ、お願いします」

 

 そこで聞くのはクリスタじゃなくて私なんだなと思った。あくまでこの件は私の問題なので当然かも知れない。ウララさんは袖から杖を取り出した。

 

「では……口、解放せよ」

「っ、ぶはっ! はぁ、お前らっほんと何なんだよ。オレはウェスト先生と話してただけだっつうのに、そこの赤い女がよ……。こんなことしてただで済むと思ってんのかよ」

「それが問題だって言ってるの」

 

 わたしはしゃがんで男と目線を合わせた。同級生の顔はほとんど記憶しているがこの人にはあまり見覚えがないので上級生か下級生のどちらかかもしれない。

 

「チッ、お前が噂の犯罪者かよ。あんなくだらねえイタズラしやがってよ」

「見てたのね? しかもあのクソハゲと話してたからここにいるんだって分かってるじゃん。あなたが私をずっと見張ってたってことはわかってる。なんで?」

「知らねえよ、そんな証拠がどこにある」

水よ放て(杖の先から水を射出する魔法)

「ぶぼぼぼぼっちょお前やめろ! あぼぼぼぼ」

 

 私は杖の先から口に向けて水を噴射した。口の中に水鉄砲をつっこまれた男はむせた。小学生並みの嫌がらせである。

 

「喋る気になった?」

「ゲホッゲホ、はっ! こんなクソレベルの低い魔法で尋問しようとしてる方がバカだろうが」

 

 杖の先から水を噴射する魔法は水属性の初歩の初歩である。そりゃそうだ。

 

「真面目にやっていいの? ()()()()()()()()()()

「は?」

 

 男を尻目にわたしは杖先を上に向けて空中に水を放った。

 

風、膜を張り水を固定化せよ(水を空中で固定し空気の膜で覆う魔法)

 

 空中に私は水スライムを作った。大きさはちょうど人の頭が1つ入るくらいの大きさである。なんだか不穏な気配を感じ取ったのか男は私に聞き返した。

 

「何する気だよ」

「こうする」

 

 私は杖を振った。すると水スライムが男の頭を飲み込んだ。もちろん呼吸など出来ない。

 

「もごごごごご」

「喋る気になるまでそのままってのはどうかしら」

 

 男は信じられないように目を見開いて私を見た。なんとか逃れようとがたがたとその場でもがくが手足も縛られているのでどうにもならない。

 

 秒数にして30秒程度。その間私はずっと息を止めて苦しそうにしている男を見つめ続けた。そして杖を振って水スライムを割る。ぱぁん、べしゃあ、という音と一緒に男の身体がずぶ濡れになった。

 

「ゲホ! ゲホッ! ハァ……ッ! 信じられねえ……なんなんだよお前ッ頭いかれてんじゃねえのかッ」 

「ねえ、私は回復魔法が得意なの。あなたをこうして痛めつけまくって回復させるのを延々と繰り返したって構わないよ」

 

 命が掛かってる以上もはや手段を選んでいられないので、かわいそうだと思うけれど私はつとめて無表情でそう言い放った。男の目が怯えに変わった。よし、陥落したな!

 

 

452:名無しの転生者さん ID:yn4wCSsRf

(ドン引き)

 

453:名無しの転生者さん ID:ZKCC9rMw+

人って命がかかるとこんなに残酷になれるんですね!

 

454:名無しの転生者さん ID:CsEdd5+6m

エグいことやってんのにヤバ女と従者も全く動じてないの草生える

 

455:名無しの転生者さん ID:rcbl5nVxR

やっぱこいつら友達だわ

 

456:花屋さん ID:GtJXu5zMw <配信モード>

えー! だってこのくらいやらないと喋ってくれないじゃん多分

しかもクリスタにやらせたら身体の先から徐々に焼いていくとかやりかねないから私だけでなんとかしたかった

 

457:名無しの転生者さん ID:2SD+GXEug

地獄かな?

 

458:名無しのSF刑事さん ID:fJS/IFKlp

まあ同意しないでもない。時間も無いから暴力で吐かせるのも手や。ファンタジー系やし多少の暴力は許される

 

459:名無しの転生者さん ID:pOtkLVdSK

ワイ、ファンタジー系の概念が分からない

 

460:名無しの転生者さん ID:ll8uK6HJw

修羅の世界やぞ。中世系の死の近さは基本ワイらには理解できない。なんなら主のためなら死すら賜る武士道だって現代人には理解できんやろ

 

461:名無しの転生者さん ID:hF5TDiyKk

ネキもそちらに染まってしまったか……

 

462:名無しの奴隷兵 ID:Wd9HvYAlu

それが転生して生きてくいうことや

世界に対応して変われない奴から死んでいく

 

463:名無しの転生者さん ID:7n9mOGAZo

ワイら悲しい存在やなって

 

464:名無しの奴隷兵 ID:Wd9HvYAlu

もちろん変わったらアカン部分もあるんや。人によってそれぞれ違うがな

世界に対応することは大切や。でも流されているばかりではアカンねん。今だってそうやぞ

ネキもそれは覚えておくんやで。それが死線を越える境界で踏みとどまるための指針になる

 

<<花屋さん が配信モードを終了しました>>

 

465:花屋さん ID:GtJXu5zMw

>>464

うん……ごめん

 

466:名無しの転生者さん ID:vPTVNBTj2

サンキュー奴隷兵ニキ

 

467:名無しの転生者さん ID:yHzKG12J/

ネキもこれには反省

 

468:陽気な転生者さん ID:DjsT4JwBL

あの子イケメンじゃないしすぐ墜ちちゃったし拍子抜けだわっ

 

469:名無しの転生者さん ID:84y7oU1oW

このオカマ自己完結してて恐いんやが

 

470:名無しの転生者さん ID:larU+f2OX

オカマはどの世界でもやたら強い

 

 

 

 

「話す、話すよ……! オレの知ってることは全部! だからもうやめてくれ……」

「ごめんなさい、私も必死になっててやりすぎた……」

 

 男の細い顔が死を前にするような絶望的な表情をしていた。

 

 完全に陥落した目の前の人を見て、ようやく私はえらいことをしてしまったと反省する。転生者のパイセンたちにも怒られてしまった。私は転生者だけれど前世を覚えていないわけじゃないし、その時には普通に持っていた良心だって忘れてない。ヘンテコな魔法の世界に生きてるけど、それだけは守っていきたいと思う。

 

「もうさっきみたいなのはやらないでくれよな……」

「うん、しないよ。ちなみにあなた……えーっと名前聞いてもいい?」

「ダニエル・ジラルド。5年生だ」

 

 まさかの先輩だった。私とクリスタは4年生である。クリスタの方を見たらクスクスと笑っていた。お前もうこの人の素性知ってたな?

 

「先輩だと思わなかった……ごめんなさい。私はアリアリア・リシュー。4年生です。で、先輩はなんで私を見張ってたんですか?」

「お前の名前と素性はよく聞かされてるから知ってるよ。三重属性持ちの学年いちの器用貧乏だってな。まさかこんなヤバイ女だとは思わなかったが」

「す、すみません……」

「はあ……もういいよ。お前も冤罪かけられて必死だったんだろうしな。オレはウェストのハゲに命令されてお前を見張ってた。何か不審な動きがあれば逐一報告しろとな。お前が違法薬物の売人だってありもしない証拠を証言をしたのもオレだ。他にも何人か同じような奴がいるだろうがオレは知らん」

 

 勘違いからの冤罪ではなく本当に私は嵌められていたんだと実感して心が重くなる。理解はしていても心では嘘だと思いたい。

 

「あのクソハゲがなんで私を嵌めたのかは知ってますか?」

「それも知らん。本当だ。オレはただあいつの命令に従ってただけだからな……」

 

 私はなんとも不思議だった。なんでこの先輩はあのクソハゲの命令をただ聞いていたのだろう? 知らぬ存ぜぬで通せばいいのではないだろうか。

 

「なんでそんな命令を?」

「…………」

 

 先輩は目を逸らして黙り込んでしまった。言いにくいことらしい。私がなんて言おうか迷っているとクリスタが口を出した。

 

「ヒヒヒッ、ここでそんな風に黙っても無駄よ。あの陰険男はもう私達にあなたが連れ去られたって気づいているわ。今更戻ってもろくなことはないでしょうね。あなたはもう捕まった時点で詰んでるのよ」

「……ッ! くそ! くそっ!」

 

 先輩が目を見開き歯を食いしばった。

 

「その男は使い捨ての駒でしょう。間者としてはあまりにレベルが低い。おそらく本命はまだ我々の周囲に潜んでいます。それが現れれば私も本気で戦わざるを得ないでしょう」

「えっ!? そうなんですか?」

「おそらくは、ですが」

 

 ウララさんは無表情でそんなことを言う。前進したように見えて何も前進していなかった。なんだか簡単すぎるような気がしたのだ。私はため息をついた。先は長い。

 

「……不正をしたんだよ」

「えっ?」

「5年生への進級テストだ。そこで不正をした! 魔法も何も関係ないカンニングペーパーってやつだよ。それをあのハゲに見つかった。それを見逃す代わりに自分の命令を聞けってな! 今考えりゃバカなことをしたよ。こんな風に使いっ走りにされるくらいなら諦めて留年でもすりゃあよかったんだ」

 

 先輩はそれっきり頭を下げてうなだれた。

 

 私は何も言えなかった。なんでそんなことをしたの、というより曲がりなりにも教師がそんなことをすると思っていなかったからである。心の何処かであの教師の良心を信じていたのかも知れない。

 

 この学院の闇は深い。そして私もそれに飲み込まれそうになっている。

 

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