んーっ…、そろそろ何かしないとなー……。
伸びをしながらたった今片付いたワンルームの部屋をボケーッと眺める無職ほぼアラサー
流石にこのまま過去の栄光を脳内で流し続けてモチベーションが上がっても特にそれが活かされる仕事がある訳でもないしなー…
こういう時は特に何の目的もなく辺りをうろつくのが良いと何かで聞いた気がする、仕事でした雑談だったかな?
しかしほぼアラサーのオッサンが何をするでもなくただうろついてると不審者だと思われそうだ…髭とかの身だしなみとかはちゃんとしておこう髪の毛はその辺のハサミで何とかする、
前々から散髪代をケチってバリカンで坊主にしたり髪が苛立たしく感じたら自分で切ってはいたので慣れたものだ。
ちなみに担当していたアイドルからは毎回急に髪を変えると不評だった
兎に角、身だしなみを整えて何処かへ出掛けることにする。
結局またあの川辺で川を眺めていた、正確には中にいる魚だが
水族館の様に綺麗なガラスから眺めるのもいいが全く手の入っていない水から見る魚もいいものだ
いつもなら気付いていたであろうランニングする人にも気づかない程度には川魚に夢中になっていた
タッ、タッ、タッ、とリズム良く駆ける音が間近で聞こえる
「プ、プロデューサー…!?」
「……ん?……あ、………元でしょ白瀬さん…?」
「こんな所で何をしていたんだい?」
「別に何もー……、川の魚を見てただけだよ…
どうも白瀬さんは体力作りのランニングの途中?」
「うん、そうだよ…アナタの言いつけ通りね、
……そういえば事務所を辞めたと聞いたけど一体どうして?アナタ程のプロデューサーなら引く手数多だったろうに…」
「いや引く手全然なかったよw、まぁ自分のやる気がないってのもあるだろうけどさ…。
どうせ自分はアイドルを花咲せれない二流プロデューサーですよー……」
自分は手頃な石を川に投げ入れた
ポチャン…、と音を立てて魚が逃げていく
「またそうやって自分を卑下して…、そこはプロデューサーの少ない欠点だとしっかり言ったはずだよ」
「自分では美点だと思ってるんでねぇ……こればっかりは許してよ白瀬さん……、
白瀬さんの方は283に移籍してからかなり調子いいみたいだね、テレビとか見てたら今でも頑張ってるのが伝わってくるよ」
「…それはプロデューサーの…いや影浦さんのお陰だよ…私をあそこまで育ててくれたのはアナタだ」
「冗談w……人は花を買ったり見たとしても花となるまでの過程まで調べる人は数少ないだろう?
それこそオーディションのパフォーマンスの様に最後の最後で印象に残らなくてはダメだ……。
自分は結局何もしていないよ……ずっと…、
ただ蕾を卸売りしているだけだ……」
「それでも育ててくれたのは事実だ!」
「その事実をファンの人が知ったとして別に自分は嬉しくないし
『熱心な白瀬さんのファンなんだなぁ…』
くらいにしか思わないよw?
まぁ白瀬さんがアイドルとして成功してくれてホント良かったよ…自分では花咲かすことは出来なかったけど自分の剪定の目はまだ腐ってないことが分かってよかった……」
「アナタは……っ、…どれだけ……自分の事が嫌いなんだい………?」
「さぁ〜ねぇ〜?もしかしたらこの世で1番嫌いかもしれないねぇ〜www、
ゴメンゴメン、
今のはホントに思ってるよ、普通に言ったらドン引きされそうだったからああゆう風に言っただけ」
「そう…かい……。
……影浦さんは私をプロデュースしていた頃とあまり変わらないね、少し安心したよ、
あとまた自分で髪を整えたね?それも止めてほしいと何回も言ったのに…」
「まぁ自分に対してはブレないでいたいと思ってるからねぇ自分は……
まだそれ分かっちゃうんだ?すごいね…!、かなり自分で髪切るの上達したと思ったのに…」
「美容院の仕上がりにしては細部が雑すぎるからね、見る人が見れば丸わかりだよ?」
「流石に美容院と比べられたら弱いなぁ……、白瀬さんはちゃんと美容院で髪のケアしてるみたいで何よりだよ」
「『アイドル足るもの髪のケアは欠かせない』と教えてくれた人がいたからね、モデルの時もかなり気は使っていたけれど」
「そりゃまた当たり前の事をわざとらしく言うプロデューサーが居たもんで…」
「その『あたりまえ』が重要なんだよ、プロデューサー?」
「それ言った時の自分を再現しなくていいから…今更恥ずかしくなってきたよ……あと移籍しても変わらないようで何よりだよ白瀬さん…」
「咲耶でいいと言ったのに全く…、影浦さんはその、前よりも覇気が無くなったようだね。」
「まぁ自分でわかる程度には覇気無くなったねー、もともとほんのちょっぴりしか無かったけど、いや才能という唯一無二の
「それを言うならプロデューサーの才能もあったと思うけれど?」
「別に他の人からいくら言われようとも自分にプロデュースの才能は無いよ……、
それは誰1人としてW.I.N.Gを優勝させられないという実績にも基づいてる……。」
「…それでもきっと、プロデュースしてあげたアイドル達は感謝してるはずだよ、私もそうだ」
「そりゃ慰めどーもです……、自分には1番以外意味が無いもんでして、はい」
「正直プロデューサーは物事の順位を気にしているようには見えないのだけど…」
「必死でそう見せてるだけだ……それに自分が気にしなくとも周りはそうではないだろうし……、
結局同じ様なもんでしょ……、
どこもかしこも順位で決まる世界だよ、そりゃ当たり前だけどさ……。」
「私はプロデューサーとこんな話をしに来たのではないよ」
「じゃあどんな話がしたかったの?」
「スカウトだよ、あの日私にしてくれた様にね。」
「……………全然あの日と違うじゃん……、あの日白瀬さんはモデルの仕事終わりだったし自分もプロデューサーって肩書きが
「変わらないよ、私がプロデューサーでアナタがアイドルに変わっただけさ」
「………流石にアイドルのこと馬鹿にしすぎじゃない?幾ら比喩でも言っちゃダメなことはあるでしょ……」
「1人のアイドルから見てもアナタにはプロデュースの才能があると言うことを伝えたかっただけさ」
「白瀬さんにそう言われるのは悪い気はしないけど……今の自分かなり役に立たないと思うよ?」
「アナタは仕事に手を抜かない、
抜いた所を見たことがない、
アナタは何時だって真剣にアイドルの事を考えていた、
だから私だってここまで成長出来た。」
「……そりゃ1人の人生を左右するかもしれない仕事なんだ、手は抜けないし抜かないよ、
ま、それが普通のプロデューサーだとも思うけど…」
「なら来て欲しい、また一緒に…!!『駄目だ』」
「っ……どうして…」
「自分の意志の問題でもあるしそもそも自分が白瀬さんに教えられる事も無い、
やる気も全く無い、
そちらの事務所に何のメリットも無い、
そりゃこっちから断るさ」
「別に私のプロデュースだけをして欲しいんじゃない…!」
「そんな事は分かってるさ、でも無理なものは無理だ、自分はもうとっくに燃え尽きた、いや…そもそも不完全燃焼だったし既にもうその燃えカスすら無くなったのさ……そんな存在がアイドルという綺麗にカットされた宝石の近くにいるのは正直辛い、
……それじゃあな…、もう会うこともないとは思うけど、…これからもアイドル頑張ってね、白瀬さん」
「っ………なんでっ……どうしてっ………どうしてそんなに自分の事が嫌いなんだっ!!!」
「だから、
そういう捨て台詞を吐いて自分は帰路に着いた
ちゃんとリンクアピールの気を穿ってたらW.I.N.G優勝できるはずなんですけどねぇ