それにしてもゲームが楽しすぎる。
禁域の墓場を抜け出る。
この道を進むとビルゲンワースだ。
ビルゲンワース周辺にいる敵は気持ちの悪い奴らばかりだが、景色はとても美しいのだ。
上機嫌でビルゲンワースの話をする俺と、そんな俺にニコニコしながら話を聞いてくれる狩人さん。
気が抜けて油断している俺に横から何かが襲い掛かってきた。
目の前には大量の眼球。全ての眼球が俺を見ている。
瞳の苗床だ!気持ち悪い!!至近距離でこんな気持ち悪い化け物を見たくないんだが!!
しかもこいつから甲高い耳障りな音が聞こえる。
歯医者でよく耳にするドリルが歯を削るような……都会で聞いた若者がたむろしないようにわざと流す高周波の音とかそういった不快な音だ。
振り払うためにもぞもぞと抵抗していたら、狩人さんが引きはがして殺してくれた。
それにしても気持ち悪かった。不快な見た目、不快な音。
死んだ瞳の苗床に不快感をあらわにしていると、狩人さんがとあるものを差し出してきた。
鎮静剤だ。この薬剤は濃厚な血で作られており、濃い血液はすり減った精神を沈めるという。
発狂状態を避けるためとはいえ、他人の血は飲みたくない。
そういえば、俺は狩人さんにとあるものを貰っていたのだ。
旧市街でもらった狩人さんの血だ。
赤の他人の血を飲むよりは狩人さんの血をのむほうが何倍もましだ。
一気に瓶を傾けて血を飲む。
まずい。吐きそうになるが我慢だ。
そんな俺を見て狩人さんが口を開く。
「血液をそのまま飲んでも効果はないと思いますが」
苗床に抱きつかれた時よりも大きい精神的ダメージを負った。
***
ビルゲンワースの敷地を進む。あちこちに瞳の苗床がいて気持ち悪い。
それ以上に気持ち悪いムカデみたいな敵の”蛍花”は見なかったことにする。
RTAでは奴を踏み台にして湖に入ることができるのだが、俺はやつに近づきたくない。
ということで正規ルートで行くことになった。扉を開けて建物に入る。
死んだ目玉がたくさんあって気分は最悪だ。狩人さんの死に顔を思い出す。
足を進めると宝箱があった。この宝箱には何が入っていたんだっけ?
開けるとそこにはナメクジの群がった何かがあった。真珠ナメクジか。気持ち悪い。
宝箱の中身は見なかったことにした。
上に行こうとすると、誰かが階段から降りてくる。
狩人さんは戦闘態勢だ。
聖歌隊の装備を着た人物だ。最後の学徒・ユリエか。聖歌隊装備で秘儀も使っているから上層で会ったことがあるかもしれないが、全然覚えていない。
彼女は何も言葉を発することもなく襲撃してきた。知ってた。
俺たちはこのことを予想してとある作戦を立てていた。
俺は建物の上に行き鍵をとる、狩人さんはユリエの足止めをする。
素晴らしい作戦。狩人さんの負担が凄まじいけど。
急いではしごを上り鍵を取る。
下に行こうとするが、はしごの近くで二人は戦っていた。これでははしごを使って下に降りることができない。
それなら……
「狩人さん!」
狩人さんに声をかけた。狩人さんは俺のする意図が分かったのか俺を一瞥した後にはしごから少し離れた。
ユリエは声を出した俺に一瞬注意を向けたが、すぐに狩人さんに意識を戻した。
俺はその瞬間に下へ飛び降りた。着地点はユリエだ。
俺にあたった衝撃でユリエがよろめく。俺はうまい具合にユリエの真後ろに着地できた。
その時、俺はチャンスだと思った。何かの流れに身を任せて動く。手は獣の爪を思わせるような構えをとりユリエの背中にむかってその爪を
『痛っっって!!』
突き立てられなかった。
指を痛めた俺をよそに狩人さんはユリエを殺した。
周回時にはスルーしていたであろう敵だからか、狩人さんは怪我をしており輸血液を使っていた。
顔についた血が痛々しいので、俺の汚れていない部分の服で拭ってやった。
装備は元々俺のや敵の血で汚いので狩人さんの血ぐらい何の問題もない。
それにしても、どうしてあの時俺は内臓攻撃をしたのだろうか。
人間に、もしかしたらミルチアの知り合いだったかもしれない人物に。
そもそも、あの衝動はどこから来たのだろうか?ミルチアの意志からなのか。
「手を見つめてどうなさったのですか?」
『体が勝手に内臓攻撃をしたんだ。結局できなかったけど』
「主の肉体の意志ではないでしょうか?攻撃に関しては獣性が足りなかったとか」
なるほど。確かに今の体はミルチアのものだ。彼女はヤーナムの現地人だ。とっさに内臓攻撃という選択肢が出てもおかしくはない。もしかしたらミルチアは内臓攻撃をしたことがあるのかも。
だが、今はミルチアの脳の代わりに俺の意識が体を動かしている。
そういったことが影響して獣性から力を得ることができないのだろう。
ゲームと同じならよかったのだが……
でも一般人の俺としては内臓攻撃ができなくてよかったのかもしれないな。
普通の一般人は素手で人の体をぶち抜くことはできない。それに人の内臓を引きずり出すなんて攻撃は俺の選択肢に入れたくない。
血で汚れた杖と斧に手遅れさを感じながら、月見台への扉を開けた。
湖と月を望む露台とても美しい景色だ。美しさの感動と同じぐらいに安楽椅子に揺れるウィレーム先生が気になるのが難点だ。
なぜだかウィレーム先生から視線を感じるのだ。ゲームでは狩人を気にせず安楽椅子に揺れていたはず。
本当は露台でゆっくり腰を掛けて景色を楽しみたいところだが、早く夜を終わらせないといけない。ウィレーム先生の視線も気になる。
だけどなー湖に飛び込むのがなー。
湖をのぞき込むが底は見えない。普通の飛び込みと違って謎の空間への飛び込みだ。いくらゲームで知っていても足がすくむ。
ちらりと狩人さんを見る。そして狩人さんに手を差し出しながら狩人さんに俺は言う。
『一緒に行こう』
バンジージャンプで二人で飛ぶと怖さが減るやつだ。狩人さんと一緒に飛べば大丈夫な気がする。
狩人さんは俺の手を取り、俺たちは湖に飛び込んだ。
***
足が付いた。着地時の痛みはない。
現実にはないこの不思議な空間を楽しもうと思ったが、目の前には気持ち悪いクリーチャーがいる。
"白痴の蜘蛛、ロマ"だ。気持ち悪い。
このボスは苦手だ。
最初の段階は問題ないが、ワープして逃げたと思えば途中から隕石を降らしたりしてめんどくさいことこの上ない。子蜘蛛と合わせて攻撃されるとすぐ死んでしまう。
攻撃するために足を踏み出すとロマから強い視線を感じた。すぐさま上から子蜘蛛が大量に落ちてきた。
まだ何もしていないんだけど。
そして子蜘蛛が一斉にこちらに向かってきた。主に俺に。
ふざけるな!
ロマは本体よりも子蜘蛛の方が強いんだぞ。そんなのが一般雑魚に群がるなんてこんな理不尽な事があるか。
まあ仕方がない。ゲームの攻略と同じ方法で倒そう。
子蜘蛛を一匹ずつ殺してロマを丸裸にする。
群れから蜘蛛をおびき出すためにうろうろする。細長い足を振り回す攻撃を避け、攻撃機会をうかがう。そして一匹の子蜘蛛が飛び込み攻撃をした。
チャンスだ。蜘蛛の腹を狙い斧叩き込む。
どうにか一匹倒すことができた。これを何回もしないといけないのか?面倒くさい。
もう一匹と意気込んであたりを見る。
何もいなかった。
え?なんで?
狩人さんが俺の方に走り寄ってきた。
狩人さんの武器には青い雷のような閃光が見える。ヤスリで属性付与か。
もしかして狩人さんはロマをワープを阻止して戦ったのか?
あの面倒なロマをこんな短時間で!
『すごい!すごいぞ、狩人さん!』
狩人さんの頭をガシガシ撫でる。髪型がぐしゃぐしゃになってしまったが、ご愛嬌ということで。
狩人さんは俺の乱暴な撫でをなんの抵抗もなく受けれ入れている。
その顔はとても
『嬉しそうだな、狩人さん』
「はい。今、とても幸せです」
涙目になってる。そんなにか?
『安い幸せだな。頭をなでるぐらいいつでもするよ』
俺と狩人さんは和やかに笑い合っていたのだが、穏やかな時間は長くは続かない。
誰かのすすり泣く声が聞こえる。
そういえば、ロマを倒すと……
声のする方向に視線を向けると、白いドレスを着た女性がいた。女王だ、おなかの血が痛々しい。
吸い寄せられるように近づく。
彼女が空を見上げた。俺たちも空を見上げる。
赤い月だ。
赤子の泣き声があたりに、いや頭に響く。
感覚的なものだが、赤い月が近づいてから何かに見られている気がしてならない。視線の主は赤子かそれとも赤い月そのものか。
降りてくる赤い月を見続ける。赤子の声は相変わらず響いているが不快感はなかった。
短い時間の出来事のはずだが俺にはとても長い時間に感じられた。
そんな時間も唐突に終わりを迎える。
狩人さんが倒れたのだ。
狩人さんに意識を向けた瞬間、俺たちはヤハグルの入り口、古教会の中にいた。
儀式の秘匿は破れた。隠されたものがあらわになったヤーナムの街。赤い月の光が開いた扉から漏れる。
俺の頭は妙にさえわたっていた。そして気が付いてしまった。
俺は取り返しのつかない失敗をしてしまったことに。
ロマのワープ前キルはRTA動画からです。
狩人さんに同じようなことをやらせました。
戦闘描写がないからとっても楽。
さて、ビルゲンワースでミルチアさんはモツ抜きをしようとしました。
ゲームでのモツ抜きの際、狩人の手は獣の手のように鋭くなっています。己の獣性から力を得て行っているのでしょう。
結局ミルチアさんはモツ抜きができず、手を痛めて終わりました。獣性から力を得ることができなかったのでしょう。
ということはミルチアさんは「獣の爪」や「獣の咆哮」を上手く使えないかもしれない。
(こんなことを書いているが本編で使う予定はなかったりする)
「再録」マルチプレイ時、単体ボス(渇けも・エミーリアみたいな)に対してどう戦ってますか?
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とりあえずタコ殴り
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攻撃係と囮
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部位破壊
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ボスごとに決まった戦い方がある
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何も考えていない
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その他
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