たとえ血の繋がりなくとも   作:白黒トラベラー

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さて、東方鬼酒会録の裏で少しずつ書いてた作品の1話です!
今回もやはり主人公は人間じゃないんですよね…。

鬼酒会録の主人公とはまた違った主人公。逞しく生きていく物語(?)です。



普通ってなんでしょう?人の視点だけでは分からないことだってあるのです。

ここには朝日はない。ただ静かな夜と日によって満ち欠けが変わっていく月があるだけ。

 

???「そろそろお起きになってはいかがですか?」

 

落ち着いた老年の男の声が聞こえる。ここに務めて長い執事のグラントだ。

 

グラント「カレル様、お起きになられましたか。よく眠れましたでしょうか?」

 

あまり時間が経った気はしないが、起きなくてはならない。

 

グラント「エリカお嬢様やアレナ様は既に起きられております。」

 

「父上は?」

 

アレナ「アランなら既に仕事よ。」

 

入ってきたのは母。早くも着替え終わっている。

 

アレナ「もうすぐご飯よ。急がなくていいからゆっくりと準備なさい。」

 

「分かりました。母上」

 

アレナ「無理はしないようにね。アイリス、ヴェロニカ、あとは任せたわよ。」

 

アイリス「承知致しました。」

 

ヴェロニカ「弟様、車椅子はこちらに。」

 

拾われた時から足が悪く、それでいて血の繋がりはない。。そんな誰とも分からない存在を「息子、弟」として受け入れてくれた家族。大きな塔を部屋に与えられ少し過保護な気もするが、大事にしてもらっているという実感の中ずっと暮らしてきた。

 

「ありがとうヴェロニカ。でも少しは杖を使って歩くよ。何かあった時、車椅子じゃ不便だからね。」

 

ヴェロニカ「分かりました。ただし、こけてしまわないように私たちがお傍にいます。よろしいですね?」

 

「もちろん。構わないさ。」

 

 

 

エリカ「おはようカレル!歩いてきたのね?」

 

姉とは言うものの幼さが言動に残っている。

 

「…おはよう。姉さん。」

 

「姉上」や「姉様」と言われることを嫌った彼女はずっと「姉さん」と呼ばせている。

 

エリカ「ちゃんと食べるのよ?それじゃあ行ってきます!」

 

「行ってらっしゃい。」

 

グラント「行ってらっしゃいませ。」

 

エリカが向かったのは裕福な家庭が行く学校。家に家庭教師がいる家庭もあるが学校は職場、学び舎の両方の側面を持つ。就職場所として作られた学校はいつしか家庭教師に取って代わる存在になった。

 

グラント「カレル様、お食事が出来ました。」

 

食事が出される。それも赤一色。家に用意された「食材」を調理したもの。この食卓の赤以外はきっと人間も変わらないのだろう。

 

 

 

 

「ご馳走さまでした。」

 

アイリス「少しずつお食べになさる量が増えておられますね。良いことです。少しずつですが足も良くなっておられるようですし。」

 

「早く杖だけで動けるようになりたいよ。」

 

ヴェロニカ「無理はなさらないでください。弟様は翼も弱いのですから。まだまだ治療中の身であることをお忘れなく。」

 

「そうか…そういえば飛んだこともなかったな…。」

 

人間には「魔族」や「血魔」と呼ばれている。友好的な種族は「夜人」や「常夜族」と呼ぶ。

なお、同種を広く指す時は「血族」と呼ぶ。血族と言ってもここにいる人達のように人間に近い見た目の者も居れば「人狼」等人間に呼ばれる人々も血族と称される。常夜族はそうした人狼等の血族間の中に生まれた「血族内」の区別用語である。

僕らは自分達を「ドラグ」と呼ぶ。

 

ヴェロニカ「学校に行くためにはやはりある程度の飛行は必要です。この頃教会騎士の動きも目立ちます。何かあった時の足以外の移動手段は必要でしょう。」

 

グラント「まずはいつも通り歩く練習からしましょう。慣れてきたのならば、翼を動かす練習もいたしましょう。」

 

 

 

 

 

 

アラン「ただいま。戻ったぞ。」

 

エリカ「お父様おかえりなさい!!!」

 

「おかえりなさい。」

 

アラン「聞いたぞカレル。食堂まで杖で歩けるようになったらしいな?着実に良くなっているな…。」

 

アレナ「アラン、玄関で泣くのはやめましょう?」

 

アラン「……すまない…。」

 

グラント「お食事は既にご用意しております。皆様、お召し上がりください。」

 

ドラグの食事は生物の生命力。血や肉として得ることもあればキスやハグのスキンシップ、果てには伴侶の傍にいることすら食事となりうる。スキンシップの類は相手がドラグ出なくとも可能である。この場合相手から生命力を奪うことは無い。ただし効率はかなり悪くなる。血や肉として得る場合相手から生命力を奪うことになる。よってドラグ同士ではなく、攫ってきた人間を調理したものを使う。それはもちろん人間から敵視される。

 

 

 

 

 

グラント「皆様、奥へお逃げ下さい!!」

 

アラン「エリカ、アレナ、いるか!?」

 

ヴェロニカ「弟様だけがおられません!」

 

アイリス「今すぐ探さなくては…!」

 

グラント「まずはここを切り抜けなくてはなりません。」

 

アラン「邪魔な教会騎士共…!そこをどけぇ!!」

 

 

 

 

「…騒がしいな…。」

 

教会騎士「動くな。」

 

突きつけられたのは「ロザリオ」と呼ばれる手を水平に伸ばし、直立した聖人のシルエットをかたどったと言われるお守りと、魔物に対して効力を発揮する銀の剣。

 

「……通してくれないか。」

 

教会騎士「通す訳にはいかない。おい!こっちに血魔がいるぞ!」

 

 

???「随分と若いな…。」

 

「……。」

 

???「私はルーシャ、騎士隊の副隊長だ。」

 

男か女か反響では分からない。ただ、どちらにせよ今の状況では勝てるはずのない相手であることに違いない。

 

「…何の用だ。」

 

ルーシャ「貴様を教会へ連行する。」

 

「他の部下はどうするつもりだ。」

 

ルーシャ「……彼らは誇り高く、命を懸けて散った。それだけだ。」

 

ドラグと人間の身体能力の差は大きく子供でも鍛えられた大人の男性の3倍から4倍。大人であれば女性であろうと一個中隊の壊滅は余裕なほどである。

普通であればの話である。

 

「抵抗するつもりは無い。ただ、家族が心配なだけだ。」

 

ルーシャ「随分と余裕だな。」

 

「見ての通り足が悪い。最近まで1人でろくに動くことも出来なかった。」

 

ルーシャ「信用することは出来ない。全員、引き揚げるぞ。」

 

教会騎士「はっ!」

 

 

 

教会騎士「無見の森に入りました。」

 

今日捕らえた若い血魔を乗せ、馬車で祖国「カテドラ教国」へ向かう。かつて荒波の如く各地を進撃していた魔のもの達を追い払った「聖人」が創った国。多くの人々が聖人の教えに従い暮らしている。

しかし、この少年を捕らえたこともその教えのひとつと考えれば残酷な教えでもあるのだろう。

 

「……。」

 

教会騎士「副隊長、どうなさいましたか?」

 

「……今日も多くが死んだ。一網打尽にできたのならまだしも、足の自由が効かない若い血魔1人。死んだ者の家族になんと言えば…。」

 

教会騎士「それこそ、コイツに償わせましょう。」

 

「………そうだな。」

 

カテドラ教国には「禁欲」というものは無い。これは「生きる欲すら戒めることは即ち、そこから生まれる反動によって魔に付け入る隙を与えることとなる」とされているからである。よって聖職者だろうと結婚は認められる。むしろ聖職者の身こそ結婚は推奨されているほど、「生きる」ということを尊重している。それ故に魔のもの特に血魔に対しての人々の恐怖はより大きい。そして、憎しみも。

 

少年「…迷わせ森林か…。」

 

「音でここがどこか分かるのか?」

 

少年「ここは場所によって微妙に風の音が違う。」

 

「貴様、なぜ抵抗しない?このままでは間違いなく殺されるぞ。」

 

少年「抵抗して何になる?やっぱり動きたいように動ける奴には分からないか…。」

 

「逃げることが出来ないから抵抗しないということでいいのか?」

 

少年「……。」

 

教会騎士「副隊長、あまり捕虜との会話は…。」

 

少年「この先にある岩を南に曲がると川がある。そこが近道。」

 

「なぜ教える?」

 

少年「獣が来たから。」

 

ガサガサ……ガサガサ…

 

「確かに近づいているな…。」

 

少年「獣は人間に寄ってくる。上手く鎧を脱がさて噛み付いてくる。」

 

「なるほどな……。」

 

団長「全員、戦闘は避けてこの森を突破するぞ!」

 

ガササッ!

 

「こちらの動きに反応したか…。」

 

少年「問題ない。この先の川まではこれない。」

 

 

 

「確かに、来ないな。」

 

団長「…全員居るか?」

 

教会騎士「全員無事です!!」

 

ルーシャ「…行きましょう。」

 

 

 

 

 

カテドラ教国。話に聞くばかりの国。知る限り最もドラグと仲の悪い国。

 

ルーシャ「…ここからは降りてもらう。エルザ、頼んだぞ。」

 

エルザ「はっ!」

 

団長「ウィル、君も頼んだ。」

 

ウィル「了解しました。エドガー団長。」

 

エドガー「ルーシャ、我々は先に行くぞ。」

 

ルーシャ「はい。2人とも。気をつけて。」

 

エルザ「もちろんです。」

 

「(…気をつけろ?)」

 

 

 

ウィル「鎧、しっかり着たか?」

 

エルザ「着なければ私達の身体が保たない。」

 

「随分と警戒するんだな。」

 

エルザ「………。」

 

ウィル「見な。」

 

通りは騎士団の帰りを待っている民衆で埋まっている。だが、歓迎しているというわけでは無さそうだ。

 

ウィル「…寄りによって車椅子のやつか…。」

 

 

 

民衆「この穢れた魔物め!!」

 

民衆「楽に死ねると思うなよ!!」

 

周囲から飛び交う石や空の容器。しかし多くはどう見ても周囲の騎士の方が当たっている。

 

「…随分だな。」

 

エルザ「今回は多くの犠牲者が出た。自分の家族が見えるまでこの人達はやめない。」

 

「そうか…なら。」

 

 

 

 

 

エドガー「騒がしいな。捕虜に直接殴りかかった民衆でもいたのか?」

 

「騒ぎに紛れて逃げられては困ります。見に行きましょう。」

 

エドガー「…やはり、この通りはどうにかするべきだな。血魔のような奴ら相手では石は意味が無い。むしろ騎士達に隙が生まれてしまう。」

 

 

 

 

ウィル「お前、何言って!?」

 

「そのままの意味だ。お前達が石を投げられる必要は無い。1人で進む。」

 

エルザ「騙されるなウィル。逃げようと思えばすぐ逃げられる状況を作ろうとしているだけだ!」

 

「車椅子を押してくれるのは結構。ただ、お前達に押してくれと頼んだ覚えはない。」

 

ウィル「ならどうする?担がれて行くか?」

 

「勿論。歩く。」

 

ウィル「その足でか?いくらなんでも…。」

 

ウィルという男の騎士。その目に憐れみが見えた気がした。

 

カツンッ!!

 

「全く歩けない訳じゃない。ほらどうした?投げたいのであれば投げればいい。」

 

エルザ「好きにさせよう。どうせ明日には無い命。石にうたれて転んだ時に車椅子に乗せればいい。」

 

ウィル「…ああ、そうだな。」

 

 

 

 

「誰も…石を投げていない?」

 

エドガー「石を持ってはいるが…幸いなことにあの姿を見て石を投げれるほど残虐な人間はいなかったと言うことだ。」

 

捕らえた血魔の少年はウィルとエルザに車椅子を持たせ、手にしていた杖で歩くというよりは杖に引きづられているに近い形で少しずつ歩みを進めている。

例え血魔であろうとも見た目では齢20を超えることは無い見た目の少年の痛々しい姿は見ていて気持ちのいいものでは無い。さらに…

 

「確かに…あれでは飛ぶことは出来ないな。」

 

エドガー「翼といよりは翼だったという方が正しいだろう。力なく垂らしたまま動かすことすら出来ないのだろうな。」

 

「演技の可能性もあります。」

 

エドガー「演技であって欲しいが……どうやらそうでもないらしい。」

 

 

 

 

カツン…ズルッ…カツン…ズルッ…

 

動く左足に対して右足は極端に動かない。綺麗に舗装された道が右手の杖で割れてしまいそうだ。

 

エルザ「…そろそろ座ったらどうだ?」

 

「いいのか?捕虜に話しかけて。」

 

エルザ「………。」

 

男性「チッ……弱者気取りかよこのバケモンがぁぁ!!」

 

エドガー「あの男を止めろ!」

 

右側からパン切りナイフだろうか大振りな刃物を持った男が列の中に飛び込んできた。

避けることなど出来ず、馬乗りになられ、容赦なく刃物で切りつけてくる。

 

男性「くそっ…くそっ!!オマエらのせいで……息子は!!」

 

ウィル「やめろ!捕虜に手を出すな!」

 

男性「黙れ!!お前もいつか分かるさ…コイツらの醜さが!!」

 

どうやらこの男は息子をドラグに殺されたらしい。だからといって今ここで捕虜を切りつける理由にはならないだろう。

しかし馬乗りされている以上動けないことに変わりはない。

 

エドガー「おやめください。。必ず私達がこの憎き血魔を罰します。どうか息子さんのためにもこの者の穢らわしい血で貴方の手を汚さないでください。」

 

男性「くそっ……。」

 

ルーシャ「予定変更だ。馬に乗せて聖堂まで向かうぞ。」

 

教会騎士「分かりました。聞こえたか?馬車馬を1頭こっちへ連れてくるんだ!!」

 

ルーシャ「大丈夫か?立てるか?」

 

手を差し伸べてくるルーシャという騎士。未だ兜は脱がず性別は分からないが誰であろうと立ち上がるのに手を借りるつもりは無い。

 

「いい。お前達の優しさなどいらない。歩き出すことぐらいは自分でやりたい。」

 

ルーシャ「…わかった。すまない。」

 

エドガー「ルーシャ、急ぐぞ。少し遅れている。」

 

ルーシャ「了解しました。」

 

 

 

 

カテドラ教国は王都が区分けされており、各区事に聖堂がある。ここは王宮に最も近い聖堂。王は国を治めると同時に全ての教会、聖堂を取り仕切る。

各聖堂にはそれぞれ教区長が存在し、この聖堂の教区長は第一王女クロエ様である。修道士騎士、修道女騎士のそれぞれが存在し、これらは教区長様の近衛兵である。

 

「それがどうした?」

 

ルーシャ「教区長様は王、神、民衆全てに等しく近い掛橋のような方。無礼を働かれては困る。」

 

「この国の礼儀作法は知らない。」

 

ルーシャ「一礼でもしていろ。」

 

そうこうするうちに聖堂の中に入る。ロザリオが掲げられ、蝋燭に火がともっている。

見ると修道士服に鎧を着けた騎士がいる。

 

「…ロザリオなんて意味が無いのに…。」

 

 

 

おかしい。普通血魔はロザリオを嫌がる。杯は聖水で満たされ、直前まで魔除けの呪いをしていた場所。しかしそれよりも最も効果を発揮するのは銀の剣を除けばロザリオであるはずなのだ。

 

クロエ「ご苦労だった。エドガー騎士団長。」

 

ガッ!

 

隊長が膝を着くのに合わせ、全ての騎士が同じ仕草をする。人々も敬意を表し頭を垂れる。ただ一人、人ならざるものを除いて。

 

「貴様!」

 

少年「貴様じゃない。」

 

「いいから礼をしろ!」

 

少年「……お初お目にかかります。クロエ教区長殿。ドラグの貴族、カレル・アーカイドと申します。」

 

 

 

 

アーカイドというのはご先祖さまが人に扮した時よく使っていた名前らしい。ドラグというのもそのご先祖さまのあだ名から派生したものらしい。始祖という訳ではなく当時有名かつ有力だったご先祖さまに仕えた先人達は結束力を高めるために「ドラグ」を種族名としている。

個人名から種族名となった後、「ドラグ」そのものが家名に含まれているものは最も血の濃い直系であり「アーカイド」もまたその直系に次ぐほど血の濃い血筋だそうだ。

ドラグ家の親族は時として〇〇・ドラグ・〇〇と名乗ることもある。今回はドラグ家の名を出すのを避けるために使わなかったが。他にも「バートル」などのような由緒ある家系の名もあり、これらはドラグとは別とされているが両血筋で結婚がなされることもよくある。

他には「デルフォス」などといった多くの家名がある。

 

「お初お目にかかります。クロエ教区長殿。ドラグの貴族、カレル・アーカイドと申します。」

 

ルーシャ「名乗るつもりだったのか…すまない。」

 

「…この国の礼儀作法は存じ上げませんでしたし、見ての通り車椅子に座っておりますので、他の方々とは違う形で礼をさせていただきました。御無礼をお許しください。」

 

クロエ「構わぬ、血魔の貴族よ。して…ドラグというのは?」

 

「ドラグというのはこの国で言えば「カテドラ国民」と言うことに近いと思って頂ければよろしいかと。」

 

クロエ「ふむ…血魔内での種族区別の為の言葉か…。」

 

そういうと、何やらどこかでものを書く音がする。こうやって少しずつ言語、文化を知るつもりのようだ。

 

クロエ「それにしても……血魔とは総じて高い治癒力を持つはず。なぜ車椅子に?」

 

「…生まれつき足が悪いのです。」

 

本当は拾われた時の怪我だ。

 

クロエ「まあ良い。明日、お主の処刑を行う。それまではゆっくりするがよい。」

 

 

 

 

 

「クロエ教区長様。」

 

クロエ「ルーシャか!無事なようでなにより…。」

 

「ですが、犠牲者が…。」

 

クロエ「仕方の無いことです。これまで幾度か他の魔のものは捕らえることができ、それらを元に対処法を打ち立ててきました。血魔は今回が初めてです。これで血魔にも対抗できるようになるでしょう。」

 

「…しかし本当に血魔なのでしょうか?治癒力が高いようにはとても…。」

 

クロエ「先天的なものは治らないのでしょう。今日はおやすみなさい。」

 

「お心遣いありがとうございます。」

 

クロエ「また明日、話を聞かせてね。」

 

 

 

 

修道女騎士「こちらへどうぞ。」

 

案内されたのは比較的広い牢屋。窓もなく、壁には傷1つない。錠は血族が触れないように銀でできていた。

 

修道女騎士「明日早朝、お迎えにあがります。それまでは大人しくしておくよう。」

 

「……。」

 

修道女騎士「では。」

 

ガチャン……

 

無言を了承の返事と見たのか騎士は扉の向こうへ出ていった。

周囲の牢屋には罪人は極小数。身体に傷が目立つ者、男女関係なく収監されていた。

 

 

 

 

「いた。」

 

車椅子に乗ったまま牢屋に入れられた少年。自分より長く生き、礼儀をある程度わきまえていてもその見た目は自分より5つは下の人間の子供にしか見えなかった。

 

「少しいいか?」

 

カレル「…なに。」

 

「森でのこと感謝する。……死ぬのが…怖くないのか?」

 

カレル「……いつかは死ぬ。」

 

「自分の足で歩きたいとは思わないのか?家族に会いたいとかは?」

 

カレル「思うさ。でも、憐れむ人の目を見ることは嫌っていても自分の体を嫌ったことは無い。」

 

「……そうか。」

 

見た目相応の態度はまだあるがそれでもかなり大人びているようだ。

 

カレル「用はそれだけか?」

 

何かこの少年に声をかけるべきだとは思った。

 

「ああ。」

 

何も言えなかった。

 

カレル「…ルーシャ…だったか。…ありがとう。」

 

少年の言葉が少し辛かった。

 

 

 

 

「(女性だったのか…。)」

 

式典の際兜を外した時に驚いた。エドガーという騎士と並ぶほどの筋力、技術。

 

「(気をつけるべきだな。)」

 

罪人「おいあんた。明日殺されるんだって?」

 

「……。」

 

罪人「まあ話しちゃくれねぇか。あんたに言っとくとな。そこは人狼だとかの魔のものが収監されてた場所だ。ソイツらは処刑されたあと同種の奴らを倒すために調べられるそうだぜ。」

 

「だからどうした。」

 

罪人「あんたの死体があんたの家族を殺すってことよ。」

 

「何が言いたい?」

 

罪人「死にたくはねぇだろ?この牢屋ぶっ壊してくれたらその錠外してやるよ。どうだ?ここの奴らと一緒にお前のところに逃げねぇか?」

 

「そうだな…帰りの食事にはなるかもな。」

 

罪人「おい、逃げたくねぇのかよ?」

 

「お前達こそ逃げれば罪が重くなるんじゃないか?」

 

罪人「逃げても逃げなくてもこの国じゃ暮らしにくいのは変わらないさ。」

 

「ならやめておいた方がいい。ついてきても裏切られる事を危惧されて殺される。」

 

罪人「…はぁ…あんた死ぬんだぞ?怖くねぇのかよ?」

 

「いつ殺されるか分からない立場なのはここでも変わらない。」

 

罪人「そうかい。………そんじゃ、また会えたらな…。」

 

 

 

 

クロエ「銀斧の準備は?」

 

修道士騎士「既に。」

 

エルザ「血魔ということを覚えていなければ…ただの子供殺しに思えてしまうな…。」

 

ウィル「恨まねぇでくれって言っても…無理だよな…。」

 

エドガー「言い方は少し悪いが…彼のおかげで私たちは犠牲になった人達の仇を討てる。せめて…祈ろう。」

 

「(カレル……君は…)」

 

時間までは民衆からは見えない位置で車椅子に乗り待っている。あの少年は時間になればきっと杖を使い、自ら断頭台へ頭を入れるのだろう。

 

 

 

修道士騎士「時間だ。」

 

修道女騎士「言い残すことは?」

 

「言い残しても届くことはないさ。」

 

修道女騎士「………。」

 

目の前には階段。そして銀でできているであろう首を落とす為

司祭「では…血魔の若き貴族よ。今この場で祈りと…。」

 

断頭台の前、司祭らしき人物が書物を手に話しかけてくる。

 

「そんなものはいい。早くしろ。」

 

クロエ「なるほど…そこまで望むのならしてあげましょう。銀斧を落とせ!!」

 

 

 

 

銀斧が落ちていく。これまで何体もの魔のものの首を落としてきた斧が。しかし……

 

エドガー「…バカな!」

 

クロエ「銀斧が…効かない?」

 

カレル「……どうすればいい。」

 

エルザ「まさか…銀斧が止められるとは…。」

 

クロエ「次は心臓に神木の杭を打ち込みなさい!」

 

 

 

修道士騎士「これもダメです……。」

 

「エドガー隊長、これは…。」

 

エドガー「私にも分からないが……どうやら銀は血魔には効果が薄いようだ。」

 

クロエ「次は聖水、そして退魔の呪文を!」

 

 

 

ウィル「あれもダメなのかよ…。」

 

「見た通り日光は効かないようだ。あの様子ではエドガー騎士の銀の剣すらも効かないだろう。」

 

エルザ「クロエ教区長様。どうなさいましょうか?」

 

クロエ「…まさか……何も…何も効かないなんて…。」

 

カレル「どうした?もうおしまいか?」

 

エドガー「……彼を再び拘束。ルーシャ、クロエ教区長様を運んでくれ。」

 

「了解。クロエ教区長様。こちらへ。」

 

クロエ「あ…ありがとう…ルーシャ……。」

 

 

 

エルザ「さて…どうしましょうか…。」

 

ウィル「どうするって言ってよ…。」

 

教会騎士「やはり、この人数ですから全員でかかれば……。」

 

エルザ「恐らくそれでは銀の剣が無駄になるだけでしょう。」

 

修道女騎士「……神よ…彼を殺めるなというのですか…?」

 

どうやらこの後どうするのかを決めているようだ。しかし…

 

「おい、いつまでこうしていればいい。足が悪いのは知っているだろう?」

 

だいぶ長い時間膝立ちに近い形で待たされている。そろそろ座りたい頃合だ。

 

ウィル「頼む!もうちょっとだけ待ってくれ!」

 

エルザ「元はと言えば君をどうするかで困っているのだが……。」

 

 

 

 

エドガー「クロエ教区長様の体調は?」

 

「今は回復なされております。」

 

エルザ「それならばしばらくは安心だろう。問題は……。」

 

ウィル「これですよね……。」

 

カレル「………。」

 

エドガー「一応、車椅子に縛り付けて、杖も取り上げてあるが……。」

 

エルザ「歯を抜けなかったのは痛手ですね。布でも塞いではありますが…。」

 

「やはりここはどうするべきか王室と相談するべきではないでしょうか?」

 

エドガー「クロエ教区長様は歴代の教区長様の方々と比べてもかなりの実力者。それに、他の魔のものに効いたものが効かない以上、クロエ教区長様だけでは難しいだろう。」

 

カレル「…………。」

 

ウィル「かと言って…今更返しに行くのも……。」

 

エドガー「そもそもあの場所へたどり着く時点で多くの犠牲を払っている。こちらへ戻ってくる時、彼の案内によって無事に森を突破できたことを考えると…。」

 

エルザ「派遣することさえ許されないでしょうね。」

 

「ここはひとつ、彼に聞いてみては?」

 

ウィル「本気ですか!?「貴方どうすれば殺せますか?」って聞いて返してくれるわけないでしょ!?」

 

 

 

ルーシャ「でも実際そうするしかないでしょう?」

 

ウィル「それはそうですけど…。」

 

エルザ「それならば話は早いでしょう。」

 

エドガー「そもそも話をしてくれるのだろうか……。」

 

詰所らしい場所で車椅子に縛り付けられ、猿轡をされて早数時間。ようやく口元の拘束が外された。

 

「それで、何に答えればいいんだ?」

 

ウィル「答えてくれるの!?」

 

ルーシャ「貴様をこれからどうするべきか君の意見を聞かせて欲しい。あるいは弱点でも良いぞ?」

 

「弱点か…長い時間を過ごせばドラグの一族はほとんどの弱点をある程度克服できる。克服できる程度も時間も個人差があるが、その時間は代々種族全体で短くなっている。生まれた直後に倒すことぐらいじゃないか?」

 

ウィル「つまり、減らしたければ多くの血魔をかいくぐって生まれたてを狙えと…。」

 

エドガー「子供が生まれたとなれば、通常より血魔が多くなっているだろう。不可能だな。」

 

エルザ「埋めてしまうというのはどうでしょう?」

 

「むしろそうした方が長生きするかもね。」

 

ルーシャ「結局、ここで貴様を殺すことは出来ないというわけか…。」

 

「もうひとつの、この後どうするかだが…。」

 

エルザ「何か案があるのか?」

 

「ここで足を治してもらってその足で歩いて帰るというものだな。翼の治療はさすがに無理だろう?それに動かす感覚もまだ掴めていない。そちらが送ってくれないのなら自分で帰るしかない。」

 

ウィル「うわ…子供の見た目なのに考えることは…。」

 

ルーシャ「やはり侮れんな。」

 

修道士騎士「失礼します。教会騎士団長、並びにルーシャ副隊長をクロエ教区長様がお呼びです。」

 

エルザ「ここは私達が見ておきます。」

 

ウィル「さすがに詰所で暴れたりはしないでしょうけど…。」

 

ルーシャ「2人とも頼んだ。」

 

 

 

「クロエ教区長様。体調の方は?」

 

クロエ「ここでは教区長ではない。まあよい。ところで、あの血魔はどうなった?」

 

エドガー「弱点らしい弱点は時間経過で克服できるのだとか。倒すには生まれたてを狙うのが1番かと。」

 

クロエ「聞き出したのか?」

 

「はい。ただ、弱点そのものが何かは分かりませんでしたが…。」

 

クロエ「その情報だけでも結構。しかしどうしましょうかしら…。」

 

「国王陛下はなんと?」

 

クロエ「可能ならば処刑。あらゆる手を講じても無理であるなら封印か、箱詰めにしてどこかへ流すか…。」

 

どういう形であれ国王陛下は彼を残しておくつもりはないようだ。それもそうだ。殺せない血魔など、他の血魔が攻め入ってくる原因となりかねない。

 

「…追放の案には賛成しかねます。」

 

クロエ「ふむ…それはどうして?」

 

「封印や拘束はまだしも、追放してしまえば血魔共が攻め入って来た時、被害がこの国では収まらなくなるでしょう。身柄が手元にあるのであれば引き渡すことで何とか侵略を防げるかもしれません。」

 

クロエ「確かに、現段階で血魔を倒す決定打は未発見。しかし、あの血魔が戻った後、攻め入られる可能性はすてきれないでしょうね。」

 

エドガー「ここは彼自身で帰らせてみてはどうでしょう?」

 

クロエ「どういうことかしら?」

 

エドガー「あの足です。こちらは解放して知らぬ存ぜぬを通せば攻め入ることより探すことを優先して来た道を引き上げていく可能性があります。」

 

クロエ「そうね……。ここは本人に聞くとしましょう。」

 

侍女「姫様!?」

 

「さすがにそれは危険です!!」

 

クロエ「失敗したのは私の責任。私が行きます。」

 

 

 

 

ウィル「エルザ?大丈夫か?」

 

エルザ「うるしゃい…もっと飲ましぇろ〜。」

 

教会騎士「始まったか…。」

 

ヤケになったのか酒を飲み出した騎士達。そして1杯目で早くも一人泥酔している。

 

「…この騎士団大丈夫か?」

 

ウィル「弱すぎるのはエルザだけさ…。というかお前!しれっと猿轡外してんじゃねぇよ!!」

 

再び嵌められた猿轡は10秒と経たずに噛みきれた。

 

「それより、誰か来たようだぞ?」

 

 

 

エドガー「皆、クロエ教区長様の……。」

 

ウィル「あ…。」

 

クロエ「あらあらこれは…。随分と酔ってるのね。」

 

まずい。捕虜の目の前で酒を飲み泥酔しているとは…。

 

カレル「……お酒で酔うか試してみるって言って、味見した瞬間こうなったぞ…。」

 

ウィル「(無理がある!!)」

 

クロエ「ほう…それで…どうかしら?」

 

カレル「全く。」

 

クロエ「ふむふむ…血魔は強い酒にも酔わないと…。」

 

「ウィル、これはどういうことです?」

 

ウィル「エルザが色々と聞いていたんですがヤケになって酒を飲みました。」

 

これは後でキツく叱らなくてはならないだろう。

 

クロエ「カレルとやら。お前に聞きたいことがある。お前はどうしたい?帰るか?それとも死ぬまでここにいるか?」

 

カレル「帰らせていただけるのならありがたいのですが…この足ですから。」

 

クロエ「仮に帰ったとして、その後どうするのです?」

 

カレル「今まで通り暮らす。」

 

やはり何も解決しないようだ。

 

 

 

「必要なものを用意してくれるのなら自力で帰ろう。」

 

クロエ「必要ものとな?」

 

「足と食糧。それとこの辺り一帯の地図。」

 

エドガー「足は馬だとして食糧となると…。」

 

「無論。人間の生命力だ。」

 

ウィル「やはり無理が…。」

 

クロエ「仕方ない…。専用の独房を用意し、永きにわたり封印するしかなかろう。」

 

「構わん。やれるのならな。」

 

 

 

 

翌日の聖堂。国王陛下を筆頭に王族の方々、そしてクロエ教区長様以外の教区長様方。

その視線が向けられているのは一人の血魔の貴族。

 

エドガー「始まるぞ…!」

 

修道士騎士に修道女騎士、修道女、修道士。各教区長を中心として、目に見えない力の渦が生まれていく。

魔のものを祓う時に使われる呪いとは違う、魔のものたちの扱う術「魔術」。

在りし日の聖人はそれすらも操り魔のものを退けた。その技術は教区長並びに修道士、修道女などの修行を修めた者達に伝えられる。一方で魔術師として独学でその原理を知り、弟子をとって世間一般に広げる者達も少数ながら存在はしている。

 

「魔のものを倒すには魔のものの力というわけか…。」

 

ウィル「魔のものに魔術が有効なのは分かっています分かっています。さすがにこれだけの実力者が集まれば…。」

 

エルザ「油断はできません。」

 

中心の若い血魔は少しも動かない。ただ俯いたままだ。その時……

 

ドサッ

 

女性「あなた!?どうしたの?しっかりして!」

 

男の子「お母さん!?お父さん!?」

 

男性「おい、どうしたんだ?おい、おい!!」

 

クロエ「これは…!?」

 

ドサッ バタッ

 

「教区長の方々まで!」

 

エルザ「酒…か?あしが…。」

 

ウィル「エルザ!?」

 

エドガー「くっ……なんだこれは…。」

 

クロエ「くっ…ううっ…!」

 

「クロエ様っ!」

 

クロエ教区長様も倒れかけたが近くにいた修道女騎士2人が辛うじて支えたようだ。しかし、一人、また一人と倒れていく。

 

修道女騎士1「お見事です。」

 

修道女騎士2「これならば合格でしょう。」

 

「(何を言ってるの…?)」

 

 

 

一人また一人と倒れていく。

それにつれ背中の翼は少しずつ力が入るようになる。右足も以前より使えるようになっていく。

 

ヴェロニカ「お見事です。」

 

アイリス「これならば合格でしょう。」

 

「2人ともお疲れ様。」

 

ルーシャ「カレル…これは…!」

 

「森で追いかけてきた獣。それがこの2人。家を出た時既に追いかけて貰ったんだよ。」

 

クロエ「このっ…離せ!」

 

ヴェロニカ「落ち着いてくださいませお姫様。」

 

アイリス「弟様はお身体が弱いお方。しかし、学校などの他人との交流の場を家の外にお求めになられておられました。」

 

ヴェロニカ「そこで、あえて教会騎士団に屋敷を襲わせ、臣下のフリをしてこれまでの行動を教師の方々に審査していただきました。出発にあたり、弟様には少しだけ「練習」をしていただきましたが。」

 

 

 

「最初から踊らされていたのか…。」

 

カレル「あの通りを歩いていた時、既にこの国の人々から生命力を得る準備は始まっていた。生命力を得るのは何も血や肉だけじゃない。過度に足りなくなれば近くにいる者から得ることはできる。2日前、昨日、そして今日。多くの人が集まった。おかげで翼も治ったよ。」

 

血魔1「さて、このお姫様や騎士はどうなさいますか?弟様。」

 

血魔2「エリカお嬢様へのお土産にしてはどうでしょうか?エリカお嬢様だけが何も知りませんでしたもの。」

 

クロエ「誰が…血魔の餌に…!」

 

ルーシャ「カレル…させないぞ……私がっ!!」

 

カレル「元々その人達を連れていくつもりは無いよ。帰ろう。お疲れ様2人とも。」

 

血魔1「よろしいのですか?」

 

カレル「彼女達を連れて帰ったところで意味はないだろう。それに……。」

 

 

 

 

「また、食べさせて貰わないと困るからね。」

 

ルーシャ「カレ…ル…。」

 

クロエ「っ……。」

 

王女クロエも騎士ルーシャも倒れた。周りで声を上げているのは生命力がまだ豊かな子供ばかり。しかし今は用はない。

子供達の親も騎士達も生命力を「奪われた」訳では無い。直に目が覚めるだろう。

 

ヴェロニカ「そうですね。では帰りは飛行の練習をしましょう。」

 

アイリス「エリカお嬢様の喜ぶ顔が楽しみでございます。」

 

 

 

 

エリカ「カレルお帰りなさい!!無事だった!?何もされてない?」

 

ヴェロニカ「エリカお嬢様実は…。」

 

グラント「これは学校の編入試験でございます。アレナ様やご主人様には演技していただきました。」

 

アラン「ということだエリカ。黙ってて悪かったね。」

 

エリカ「そんなぁ!!」

 

教師1「さて、アラン様。お話中すみませんが結果の方をお伝えさせていただきます。」

 

カレル「先生方、どうでしたか?」

 

教師2「足の悪さ、飛行の不可という条件下であの状態から生還しつつ多くの生命力を得、出発前より状態良好。よって。」

 

学長「カレル・アーカイドの編入を認めましょう。」

 

アレナ「…やっと…やっと一歩すすんだのね…。」

 

アラン「ああ…長かった。…カレル、お前はやはり私の自慢の息子だ!」

 

エリカ「ねぇ、明日からカレルと一緒に学校行っていいの!?」

 

グラント「そうですよお嬢様。」

 

エリカ「やった!!カレル、明日通り道の下見に行きましょう!!」

 

アイリス「エリカお嬢様、まだ無理をさせては…。それにしばらくは弟様は馬車で通学ですよ?」

 

エリカ「えぇー!」

 

「…ふふっ。ありがとう姉さん。」

 

 

 

 

エドガー「また考え事か?」

 

「彼は…私達のことを敵だと思っているのでしょうか。」

 

ウィル「それは分かりませんね〜。でも、ちゃんと謝罪文用意して、罪人に渡しておくあたり敵だと見てないのかもしれませんよ?」

 

エルザ「あの一件以来、血魔に討伐された「クレイルの魔獣」の報告もあがっています。クレイルの魔獣が減るまではしばらくは衝突はないでしょう。」

 

「…なんだか、彼なら人間とも上手くやれそうな気がしてきたよ。」

 

クロエ「なぜそう思うのかしら?」

 

ウィル「クロエ教区長様!?」

 

「それは…彼が血の繋がらない家族とも上手くやって行けているからでしょうか…。」

 

 

 

 

アレナ「大きくなったわね。」

 

アラン「ああ。エリカが大慌てで連れてきた時はもうダメかと思ったが…。」

 

アレナ「元気に育って、気がつけば学校に行けるようにまでなって。」

 

アラン「ありがとう。血の繋がらない私たちを…家族を受け入れてくれて。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただき、ありがとうございました!
うん、ながい。

さてここで設定的なお話。
まず苗字の「アーカイド」から分かるように…はい。カレル君達は俗に言う吸血鬼です。日光とかって実は弱点でもなく、鏡にも映るんですよ。なので「吸血鬼にしちゃチートじゃね?」と思ったあなた。かつてのウルトラ〇ンにもそのセリフ当てはまりますよ?

アーカイドというのは有名なドラキュラ伯爵の「アルカード」をもじったものです。他にも似たようなもじり方してるものあるんですよ?

作中に登場したキャラたちの名前は基本ちゃんと欧州に実在します。

さて、次回、カレル君はどうなるのでしょうか?
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