Fate/fake savior   作:桜野 ヒロ

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さーて始まりましたFateの二次創作!!
先に宣言しておくと、FGOの1.5部途中に考えていた設定なので、同名のサーヴァントが出てきますが、どうかご容赦ください、もしくはボロックソに叩いてください。
泣きながら受け入れます()


開戦の狼煙《陰》

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 ───幼い頃、よく父親に連れられた場所で、弟の遊人と共に、稽古という名の遊びをよくしていた。

 もう、随分前に閉園した、そんなに有名でもなく、楽しくもない廃遊園地。

 確か、キッツィーランドだったか。そこで、よくかくれんぼや鬼ごっこをしていた。

 皆からは次期当主として、徹底的に鍛えられ、心が壊死しそうだった俺と、触れちゃいけないものに触れてしまい、一族からは異端児として扱われ、酷い仕打ちを受けている遊人が唯一、持ち堪えれる要因だった。

 ある日、珍しく白い、鳩にそっくりな鳥がジェットコースターのレールの上に留まっていた。

 どことなく羨ましそうに見ている鳥を見て、俺は父親に尋ねた。

 

『ねぇ、とうさん』

 

『ん、なんだい切翔(せつか)

 

『あの鳥ってなんていうの?』

 

 あぁ、確かに珍しいね、と言いながら、親父はすぐに答えてくれた。

 

『あれは(はと)だよ。

 鳩にもね、白いのがいるんだ。

 よく見たら首輪が着いている、きっと飼われてたのが逃げちゃったんだろうね』

 

『でも、ぼく達をみて、うらやましそうにしてる』

 

 俺が言った言葉に対して不思議そうに父が鳩を凝視する。

 子供の絵空事と思ったのだろうか。

 父は鳩から視線を俺に変えて、微笑みながら、

 

『あぁ、きっとそうなんだろうね。

 ───あの鳩は、確かに一人ぼっちだから』

 

 そう、言ったのだった。

 あの時の父の、悲しそうな顔を今でも、俺は記憶の中で焼き付いていた───

 

 

 

 ────────────────────────────

 

 

 

 和歌山県にある、自然が広がる公園にぽつりと寂しく建っている一軒の屋敷がある。

 “そこには近寄ってはいけない”というのが、魔術師達にとっての共通認識だった。

 過去に存在した、『魔術師殺し』と呼ばれた男、衛宮切嗣の技術を盗用し、魔術師達を殺してはその遺品を資産へと変える盗賊じみた一族の根城だからだ。

 その一族の名は霧島。

 元々は日本の魔術師としては突如として頭角を表したかなり有名な魔術師の一族であったが突如として、魔術狩りを始めた。

 そして、その屋敷の中に住まう老人であり、霧島一族の頭目である男、霧島義隆(きりしまよしたか)はこの日、一族の選ばれた者たちを集めた。

 その者達の腕の甲に宿る紋様のようなモノは、ある儀式に選ばれた証拠であった。

 

「───ようやっと集まったか、ちと遅かったな。すまんが、(わたし)は先に召喚させてもらったぞ」

 

 義隆の言葉に、呼ばれた面々の表情が重くなる。

 避けられない、血溜まりとなる戦火へと身を投じることとなる事実への再認識、そして、その覚悟を同時に行った故である。

 そんな中、一人だけ何が起こるのか理解出来ていない少年、義隆の孫の一人である霧島彪斗(きりしまあやと)が首を斜めに傾げながら、義隆へと尋ねた。

 

「あれ、今日って何が起こるんだっけジーちゃん? 

 ……あ、ここの近くでやる春祭りの準備だっけ!? でも普通、こんなに重苦しくなる?」

 

「……戯けが」

 

 彪斗を睨みながら、義隆は彪斗の父であり、実の息子である霧島忠吉(きりしまただよし)に教えてやれ、と目で指示を送る。

 忠吉自身、自分の息子に呆れて落胆の溜息を零しながら彪斗に説明を始めた。

 

「聖杯戦争……否、父の言葉を借りるなら聖杯大戦か。

 それの参加の狼煙を上げるべく、我々、霧島が聖杯大戦の駒におけるサーヴァントを召喚する儀式を行う日だ。

 事前に説明を受けていたハズだが、何故こうもお前は忘れやすいのだ脳無し彪斗めが」

 

「いやーわりーわりー父ちゃん、ずっとゲームしてたからさー

 ……確認だけどそのサーヴァントってアレだっけ、神話とかで出てくる英雄の事だっけ?」

 

「それ以外にも、史実で実際に活躍をした偉人達もだ」

 

 彪斗の疑問に、忠吉が付け加えながら答える。

 彪斗は答えを知って満足した……と思ったが更に、思い浮かんだ疑問を尋ねたのだった。

 

「なぁ、聖杯ってなんだっけ?」

 

「呆れてものも言えないとはこの事か。

 彪斗、お前はもう喋るでない、耳障りだ」

 

 冷たくあしらいながら、義隆は話を進めた。

 

「さて遊人(ゆうと)や、お前はしっかりとあの裏切り者に変わるマスターの補欠を用意したか?」

 

 自身の孫である霧島遊人に問う。

 遊人は頷きながら、手の甲にナイフのような紋様が宿るまだ幼い子供を見せた。

 白い肌に白い髪の毛、そしてその赤き瞳を見て義隆がその子供の正体を看破し、遊人に尋ねた。

 

「そのホムンクルス、アインツベルンのホムンクルスと似ているが、真意を尋ねようか?」

 

 遊人は、嫌味ったらしい笑みを浮かべながら答える。

 

「なに、僕一人じゃ作るのが難しかったからアインツベルンの方に作っていただいたのですよ。

 ほら、僕は“電池”の方の制作も頼まれてますし? 

 さすがに手一杯でして、奥の手を取らせてもらいましたよおじい様。

 いやー、僕が魔術を使えて良かったですねぇ。

 使えてなかったらおじい様、過労死してしまいそうですもの。

 これは、霧島家の他の方々に“強化”くらいしか教えなかったせいでは無いですか? 

 せっかく、他の人に魔術教えてたら僕のこと用無しつって殺せましたのにねぇ?」

 

「呵々、煽るな遊人や。

 元はと言えば魔術なんぞを勝手に会得したお前の自業自得だ。

 本来ならば殺される立場なのを態々、生かしてやったのは(わたし)だ」

 

「……そうだ、お前は黙るべきだ遊人。

 異端児の屑のクセに我が父に楯突くな。

 俺の手で殺されたいのか、ゴミクズめ」

 

 義隆の言葉に続き、遊人を非難する、前髪で目を隠している男。

 その男は義隆の次男であり、名前を霧島竹流(きりしまたける)といった。

 竹流の言葉を聞いて、遊人は更に笑みを浮き彫りにして、彼を煽った。

 

「弱い犬ほどよく吠えるって言うけどさぁ。

 まさに、竹流オジサンの事だもんねぇ? 

 だってアンタ、爆弾作ることしか能がないモンね。

 いやまぁ、凄い有能ではあるけど、それでアンタ自身が正面から戦えるってわけじゃないかんねぇ」

 

「……なんだと」

 

「竹流や、熱くなってどうする? 

 ここで遊人を殺せば、此奴の思うツボよ」

 

 遊人へ殺意を向ける竹流を、義隆が制止する。

 

「……全く、貴様の弟と父親はどうなっておる切翔。

 老人の胃に穴を開けさせるつもりか?」

 

 そして、隙あらばと切翔に嫌味を言う。

 義隆自身、何の得もないのは理解している。切翔は自身の血縁のことなど興味は無いのは重々承知だし、それは弟も、父親もそうだろうと義隆は思っている。

 しかし、それでも義隆は嫌味を言わずにはいれなかった。

 なぜなら、遊人は自身の嫌悪する魔術師の力を会得し、婿養子である切翔の父親、霧島雅は魔術協会へと寝返ったからだった。

 その苛立ちを少しでも晴らしたかったのだった。

 ───少しの間、静寂が訪れた後、切翔が義隆の言葉に応じた。

 

「申し訳ありません、俺自身、なぜあの父が寝返ったのかは分かりませんが、監視の任務を任されていた私の責任です」

 

 その言葉は、ただただ陳謝する、それだけだった。

 切翔は幼い頃から義隆によって厳しい教育を施されている。

 どれくらい、義隆が危険なのかはその身をもって体験していたから、逆らう気など無かった。

 寧ろ、自分が無事ならロボットでもいいと思う始末である。

 ただ謝る、そんな切翔の無様な姿を見て義隆は笑う、嗤う、嘲笑う。

 

「呵々、結構結構。

 及第点の返答だ。

 貴様の弟にもそれくらいの躾を施しておくべきだったか。

 ……どちらにせよ、教育は失敗したワケだな」

 

 自身の思い通りに動く操り人形めいた孫を哀れと、無様と、滑稽と嘲笑う。

 

「まぁいい。

 さて諸君、サーヴァントを召喚しようか。

 そこの台の上に各々の触媒を置け。

 あぁ、彪斗お前は(わたし)が用意しておる、受け取れい」

 

 元より用意してなかった彪斗に、しっかりと予想していた義隆が放り投げる。二回、三回空で回りながらソレを危うく落しそうになるとなんとか彪斗は受け取った。

 義隆が投げたそれは、大昔に使用されていたとされる盾、それが割れた金属片だった。

 しかし、その破片は彪斗の足が隠れるほどの大きさであり、使用者は相当背の高いものだと忠吉は推察する。

 彪斗は、はて、と首を傾げるのだった。

 

「デカくね?」

 

「そういうものだ」

 

 彪斗との会話は非常に疲れるので、義隆はすぐさま会話を切り、進行へと戻った。

 

「さぁ、唱えるのだお前達よ。

 かの呪文を────!!」

 

 各々、台座の上に自身が用意したモノを置く。

 

 切翔は、錆び付いた剣の欠片を。

 忠吉は、自身の体を遥かに上回るほど巨大な、槍を。

 竹流は何かの布切れを。

 一号は、自身という存在を触媒に。

 遊人は、相当年季の入ったフラスコを。

 彪斗は先程祖父に渡された盾の破片を。

 

 そして、まるで嵐前のような静けさのような緊張感が走る中、彼らは詠唱を始めた───

 

 

 

「”素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。

 降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ“」

 

 順調に詠唱を進める。

 そんな中、本来ならば言わない詠唱を彼らは付け加えるのだった。

 それは、自身たちの図を表す呪文。

 手を組む事を良しとした、彼らの結託の呪文であった───。

 

「”太極図のように隔たれた陣営。

 我らが混じるは───陰、我らは影を纏いし者達なり“」

 

 その呪文を唱え終えたあと、ようやく床に描かれていた紋様が紅く、赤黒く光り始める。

 義隆は、嬉々として笑った、漸く始まった、と───

 

閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)

 繰り返すつどに五度。

 ただ、満たされる刻を破却する

 ────告げる。

 汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

 聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ

 誓いを此処に。

 我は常世総ての善と成る者、

 我は常世総ての悪を敷く者」

 

 順調に進んだ、そんな中、突如として詠唱を彪斗以外が止める。

 それに気付かぬまま、彪斗は台座に刻まれているサーヴァントを召喚する為の詠唱文に他の者達よりもひとつ加えられている詠唱を唱えるのだった。

 

「されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者─────」

 

 それは、狂戦士を呼び出す為の文。義隆は、狂戦士という不都合の要素を彪斗という無能の要素と共に早期に片付けるつもりであり、それを皆は悟っているのだった。

 彪斗が唱え終えると、他の者たちはすぐに詠唱を再開させる。

 開戦の狼煙が上がるまで、もうあと数刻である─────! 

 

「汝三大の言霊を纏う七天、

 抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ──―!」

 

 ────刹那、一室が光に包まれ、暴風が巻き起こる。

 全員、眩しさにたまらず目を隠すも暴風に吹き飛ばされないように身体にしっかりと力を入れる。

 そんな中、彪斗は耐え切れずに吹き飛ばされる。

 このままでは、壁に激突してしまう。

 その寸前、彪斗を包むように一本の巨大な腕が彼を抱える。

 彪斗の目の前には、約三メートルはあるであろう背丈の巨人がいた。

 その巨人が、彪斗の事を守ったのだ。

 

「……はぇ?」

 

 思わず、呆けた声を出す彪斗を気にすること無くその巨人は、自身の主であるかを尋ねるのだった。

 

「問おう!! 

 汝が、我を呼び出した者か? 

 聖杯にかける願いを抱く、この狂戦士を呼び出したのは、お前か?」

 

「た、多分オレです……」

 

「気弱だな、まぁいい!! 

 よろしく頼もう、我はサーヴァント、バーサーカーである!! 

 ……と言っても、あまり狂ってはいないみたいだがな、ガッハッハッハ!!!!」

 

 陽気に、笑うバーサーカー。

 その姿に違和感を覚える義隆だったが、呼び出した当の本人は聖杯戦争のことは殆ど知らないので、気にしている様子は無かった。

 どこか、その狂戦士に疑問と戸惑いを抱きながらも義隆は他のサーヴァント達の姿を見る。

 遊人の呼び出したサーヴァント、キャスターは眼鏡をかけ、白衣を着た壮年の男であった。

 どこか、遊人を気に食わなさそうに睨んでおり、重苦しく口を開いた。

 

「……貴様が、私を呼んだのか? 

 小童、名を聞かせ給え」

 

「ん、僕? 

 僕ねー、霧島 遊人っていうの。

 よろしくねキャスターさん?」

 

 遊人が手を伸ばす。

 しかし、キャスターはその手を叩き、握手を拒絶した。

 

「勘違いするなよ? 

 貴様は私よりも若輩だろう、ならば貴様は私に頭を垂らすべきだろう。

 対等ではない、貴様が下で、私が上だ」

 

「……なるほど、そういうタイプね」

 

 小声でキャスターの人間性を見定め、呟きながら、遊人は言われた通り頭を下げた。

 

「これは申し訳ないです、キャスター様。

 私、霧島 遊人の呼び掛けに応じて下さり感謝であります。

 ……どうか、その魔術をもってして我々に力添え頂けると助かります」

 

 遊人の態度に、機嫌を良くしたキャスターは満足気に口角を吊り上げながら遊人の肩に手を置くのだった。

 

「フン、そうすればいいのだよ」

 

 義隆はキャスターに対し、見下げた視線を向けていたが、キャスターは気付いていない様子だった。

 それだけで義隆は、比較的戦闘力が低いとされるキャスターの中でも更に戦闘力が低いのを一瞬で見抜き、傲慢な態度をする男に失望に失望を重ねたのだった。

 

「─────驚いた」

 

 声が聞こえ、義隆は一号というマスター代理のホムンクルスの方へ向く。

 一号の前には、髑髏の麺を被った、全身を黒装束で包んだ青年と思わしき姿があった。

 その青年が何に驚いたのか、義隆は疑問に浮かんでいたがすぐにアサシンが答えを言う。

 

「……正直、呼ばれるとは思って無かった。

 だって、僕が呼ばれるとすればそれは、『死に近い者』が触媒という事のみだったから。

 ───君、名前は?」

 

「……自分に名前は無い、一号というのが名前なら、それだが」

 

「……なるほど、髪といい目の色といい、キミはホムンクルスか」

 

 過去に見たことがあるのか、青年は一号の正体を看破した。

 

「よろしく頼むよ、マスター。

 暗殺者である僕は、少ししか力添え出来ないかもしれないけどまぁ、精一杯頑張ってみるさ」

 

 青年が手を伸ばす。

 少し躊躇うように手を差し伸べる一号の手を、がっしりと自ら掴みにいき、握手をする。

 

「……あのアサシン、相当な実力者だな。

 流石、山の翁と言ったところか」

 

 呵々、と義隆が笑う。

 そして、竹流のサーヴァントを見る。

 ヘラヘラと苛立ちを募らせるような笑みを浮かべる、弓を片手に持つ青年がいた。

 金髪の碧眼をしたその青年は主である竹流に対してただただ、苛立つ笑みを浮かべるだけだった。

 その態度に少し腹立った竹流はあえてその青年を煽るのだった。

 

「……可笑しいな、アーチャーを呼んだつもりだったが……バーサーカーでも呼んでしまったか?」

 

「おいおい、煽るなって。顔だけじゃなくて心までブサイクかよキミ。

 ただボク、君のことあんまし好きじゃなさそうだなーって思っただけさ、なんか陰気そうだし」

 

「貴様……!!」

 

「竹流、貴様先程から狼狽えすぎだ」

 

 怒る竹流を、今度は宥めることなく睨みつける義隆。

 まるで、獅子に睨まれた兎のように竹流はその気迫に圧し負け、黙り込んだ。

 それを好機と見たのか、青年───アーチャーのサーヴァントは、竹流を、更に煽り立てた。

 

「あれれ、黙っちゃうの? 

 そこはもっと言うようにしなよマスターさぁ。

 ただのかませ犬じゃん、ホントにつまんないなぁ」

 

「───弓兵、先程から図に乗りすぎであるぞ」

 

 その、アーチャーを制止するように、喉元に矛先を向ける、全身を武者鎧で覆う男。

 その男は、槍を扱うランサーと呼ばれるサーヴァントだった。

 その、矛先を認知してアーチャーはそのランサーを自身よりも実力が上だと、理解した。

 一応、アーチャーは周囲の者が襲ってくる事を想像し、警戒はしていた。

 というのに、自身の喉元に矛先を突き立てるそのランサーの異次元な速さに、アーチャーは冷や汗を浮かばせながら、ヘラヘラとした笑みを絶やさずにランサーへと振り返った。

 

「……速いね。生前の頃にいた足の早い韋駄天野郎を思い出すよ。

 まぁでも? そいつの方が速かったかなぁ。

 あーあ、不安だなぁ、せめてランサーにはそいつくらいの足の早いサーヴァント出会って欲しかったんだけどなぁ」

 

「否、これは速さでは無い、技術だ。

 速さが適わぬなら、(それがし)はそれを上回る技術と、運で勝ってみせよう。

 そして、周りを不快にさせる弓兵、そなたに理由を尋ねたい? 

 欲が無いなら、この争いに参加は出来ない。

 そなたは願いがあり、この争いに身を投じた筈だ。

 ───もしや、周りを混沌とせねば気が済まない、狂わされずとも狂っているのか?」

 

「……ハハハー、面白いことを言うねランサー。

 キミとは心底から気が合わなさそうだ、悔しいけど、味方みたいだからよろしくねぇ?」

 

 ランサーに問われたアーチャーが逃げるように、握手を求める。

 ランサーは何も言わず、その手を握り返した。

 その後、竹流の方へ近づき、深々と頭を下げ、竹流に謝罪した。

 

「すまぬ、弓兵の主君よ。

 代わりに、某が謝ろう。不服かもしれんが、彼は謝らぬ性格であろうゆえ、何卒ご容赦を。

 誠に御免、弓兵を思わず許せるように、某は槍を振るって、活躍してみせよう!! 

 極楽で見ているであろう我が主君の顔に泥を塗らぬように、言ったことは必ず守ってみせよう!!!!」

 

 高らかに、声を大にして言うランサー。

 アーチャーは、明らかに無言となり、後ろへと下がった。

 そうして、一触即発になりかけていたその場は収まった。

 しかし、新たにまた、嵐が生まれるのだった。

 

「─────バカな! 貴様、偽物だろう!? 

 俺が呼び出そうとした、セイバーのサーヴァントは……!!」

 

「いいえ。何も間違っていません」

 

 声を荒らげて自身のサーヴァントを否定するは切翔。

 そして切翔が呼び出したセイバーのサーヴァントは、凛々しい声を、容姿をした美しき女性であった。

 白鳥が描かれた着物を着ている女性は、堂々とした態度で切翔に言い放つ。

 

「私こそ、セイバーのサーヴァントであります。女で不服でしたか? 

 ……先程も申した通り、私は生前は男性と偽ることを強いられていただけでございます。

 女では何か不便があるのなら申し訳ありません」

 

 まるで、機械のように淡々と述べるセイバー。

 氷のような冷たさで言う女性を見て、義隆は呵々と笑い、セイバーの実力に期待を胸に膨らませた。

 そして、開幕早々に仲に溝が入った自身の陣営を見て、中々に骨が折れそうだ、と溜息を零す。

 しかし、気を取り直して義隆は皆に声を掛けた。

 

「さて、準備は整った!! 

 これより、魔術協会の魔術師たちが陽の陣営として、我らへと立ちはだかる!! 

 それを尽く屠り去り、我らが悲願である『魔術師たちの存在の抹消』を成就しよう!! 

 その為に、お主たちの力を存分に発揮してもらうぞ!!」

 

 義隆は言葉に、各々、表情を変えた。

 

 動揺していた切翔は、どこか緊張ある面持ちに。

 セイバーは、変わらず冷ややかな面持ちを。

 忠吉は決意したような面持ちを。

 ランサーも、決意したように笑みを浮かべ、

 竹流は空を仰いで何かを見ているように、

 アーチャーはヘラヘラと笑みを浮かべたまま、

 一号は、どこか緊張しているように、

 アサシンは、そんな一号をどこか心配そうに、

 遊人もヘラヘラと口角を吊り上げ、

 キャスターは興味無さそうに辺りを見渡し、

 彪斗は何も理解していない様子で、

 バーサーカーは、嬉しそうに笑みを浮かべた。

 

 それを、返答と受け取った義隆は呵々、と笑い───宣言した。

 

「これより、聖杯大戦の狼煙をあげる─────!!!!!」

 

 そうして、開戦の狼煙が陰で上がった。

 これから、過酷な運命が待っているのを彪斗除き皆、理解しながら。




次回、敵側の陣営の様子ですー
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