Fate/fake savior   作:桜野 ヒロ

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これで両陣営の開幕書き終えました!
ようやっと長いプロローグを脱却できる()


開戦の狼煙《陽》

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 ───結論から出すと、(ぼく)が間違っていた。

 あの人を信じずに、己の愚かな淡い恋心のみを信じた、(ぼく)が、間違っていたのだ。

 

『なんで、なんであの人を裏切ったの……? 

 よりによって、貴方が、あの人に引き取られた貴方が、なんで───!!』

 

 恋していた女性が、仇を見るような、激しい目付きで(ぼく)を睨む。

 他の、世話になった人達にも冷ややかな視線を向けられていて、心が痛い。

 恩もあった、皆に平等の愛情もあった。

 なのになぜ、僕はあんなことをしてしまったのだろう。

 小金なんていらなかった、ただ(ぼく)は、彼女が騙されていると思い込んで、目を覚まさせてあげようと思って。

 でも結局、騙されていたのは(ぼく)自身だった。

 私が、私の悪しき心に騙されていたのだ。

 ───憎い、

 

『答えて、なんで貴方はあの人の事を……』

 

 憎い、憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い。

 自分自身に、今まで抱いたことの無いような嫌悪感に襲われる、死を持って、償おうと頭の中で結論を出す。

 

『醜い、醜い……』

 

『▉▉▉……?』

 

 どうしたのか、尋ねられる前に僕は走り去り、その場から逃げ出した。

 呼び止められたが、迷わずにふりきって、逃げる。

 どこかよく分からない所で僕は麻縄を木の枝に、輪っかを作りながら吊るす。

 適当な台を用意して、首を輪っかに通す。

 あと少し、あと少しで僕は死ねる。

 贖いを、償うことができる。

 それに、僕は嬉しさを感じながら───足を台から離す。

 

 首に、ささくれのようなものが当たって少し不快感を覚えた。

 でも、死ねるならいっかと僕は割り切った。

 

 死の間際、僕が最後に見たのは、涙を零しながら、僕の元へと駆け寄る▉▉▉さんの姿だった。

 必死そうに、今にも転びそうに走るその姿は泥臭いが美しくある彼女らしかった。

 ───あぁ、なんて、愚かだ───。

 

 こんな身勝手な僕にまだ情が残ってくれていた、その事に嬉しさを抱きながら、次に人生があるならば失敗はしないと誓い、僕は──────

 

 

 

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 和歌山の霧島一族の住む町とは二、三個ほど離れたある町の、ホテルのロビー内では。

 複数の男達が集まり、なにやら会合を開いていた。

 貸し切ったのか、人は誰もおらず、彼らは堂々とその場でこの世に在らざるモノの話を始めるのだった。

 

「今から十数年前───ルーマニアの土地で、ユグドミレニアと魔術協会との聖杯大戦が行われた。

 当初こそ、優勢だったユグドミレニアだが、自身の派閥であった、当時は”黒“のアーチャーのマスターであるヨシタカに裏切られ、敗北することとなった。

 ヨシタカはその時、聖杯は壊したと言っていたが……やはり嘘だったな。アイツめ、良くもまぁ堂々と出来たものだよ。

 そういえば、学院時代でも奴はよく嘘をついていたっけな。

 まぁ今回の嘘は学院時代のような悪戯目的の嘘では済まされない、とんでもない嘘だがね、彼ならやるとは思ってたさ」

 

 赤髪の、頬が少しやつれた男が口を開き、義隆への愚痴を零す。

 義隆とは仲の良さそうな、その口ぶりは往年の親友だと感じさせるモノがあった。

 

「しかし、それはマズイんじゃないかなぁ? 

 別にね、私自身、聖杯になんて些か興味ゼロだが……君の発言はどうにも義隆を護っているような気がするねぇ。

 と言っても、友人だったから仕方ないか。

 かく言う私も彼とは仲が良かったがね、よく魔術の腕を見せあっていたよ!!」

 

 懐かしんでいる赤髪の男に、黒髪を腰まで伸ばした男性が乗じる。

 そんな二人を、若い金の髪を後ろに結わえた青年が、水をかけるように、二人の会話に終止符を打つのだった。

 

「……あのさ、アンタらのくだらない話はいいんだよ。

 オレ達の目的はなんだ、その霧島義隆の凶行を止める為だろうに。

 昔話を懐かしむ老人共の井戸端会議なんて、付き合う暇なんてないのだが?」

 

「まぁまぁ、レクスくん!! 

 仲良くしようじゃないか、同じチームなんだからさ!! 

 しかしまぁ、井戸端会議なんてワードよく知ってるねぇ」

 

「……昔、日本が好きだったんでな、その時に色んな言葉を調べた。

 霧島一族に友達が殺されてからは日本人のことなんて嫌いだが」

 

 成程、と頷く二人を他所にレクスと呼ばれた青年は、憎々しく自身の後ろの二人を睨む。

 一人は、正しく日本人の見た目であったが一人は、どこか西洋人の顔立ちに似ていた。

 しかし、本人が日本人と言い張る為、レクスはどこか疑問に抱きながらもその男を睨んだ。

 

「なぁ、霧島の裏切り者! 

 アンタが殺した人間なんだけど、覚えているか? 

 “セドリック・コフィーネ”って名前なんだが」

 

「……覚えてるよ、彼は。

 中々にしぶとかったから。

 マシンガンの弾を60発近く食らわせたのに何故か生きてたんだ、その後も抵抗したから、そりゃ印象に強く残ったさ」

 

「チッ、なんでてめぇがよりによって裏切ったんだよ霧島雅(きりしまみやび)……! 

 オレは今すぐにでもお前の事を殺してやりたいんだがな!!」

 

 激しく雅と呼ばれた男を睨むレクス。

 雅は罪悪感を感じているのか、レクスから目を逸らす。

 その直後、雅を庇うように前に出るもう一人の日本人がいた。

 その青年は、信用ならない笑みを浮かべながら、レクスを宥める。

 

「落ち着いてください、レクスさん。

 ミヤビは仕方なかったのです、そうしなければキリシマに殺されていた、貴方にとってその友人が大事だったようにまた、ミヤビは自身の息子が大事だったのですよ」

 

「……確か、ユーダイだっけ? 

 優しいんだな君。

 だが、どっか心が空っぽだ、伽藍堂みたいにな」

 

「ハハハ、そんなに難しい言葉を使わないでくださいよ。

 僕、そんなに頭は良くないんですから、よく分かんないです」

 

 ユーダイと言われた青年───裏切雄大(うらぎりゆうだい)は微笑んだ。

 

「……ユースタス」

 

「なんだ、アグリッパ」

 

 赤髪の男、ユースタスに声をかける黒髪の男、アグリッパ。

 ひそひそと、ユースタスの耳にしか聞こえないほど小さな声で雄大への懐疑心を口にするのだった。

 

「怪しくないかい、彼。

 彼は魔術はてんで使えないなぜ時計塔にいるのかすら分からない魔術師見習いのハズだが……どうにも肝が座りすぎてると思うんだよね」

 

「……たしかに、彼は怪しいよな。

 どうする、別行動をとるようにするか?」

 

 ひそひそと、今後の動きを提案するユースタス。

 だがアグリッパはいや、とつぶやいた。

 

「大丈夫だろう、まだ私達は殺されはしないだろう。

 どうせなら、ここでもう殺してしまうだろうしね。

 幸い、僕らは彼らより魔術の腕は上だし、一応彼らの戦い方も……ユーダイは知らないけども、雅の戦い方はまぁ、嫌という程知っている。

 仮に殺されるとしてもタダでは殺されないように足掻くだけさ」

 

「……確かに、対策の施しようはあるな。

 それに、目的が一致しているしな、少なくとも義隆が倒れるまでは私たちを殺すなんてことは有り得んだろうな」

 

 そゆこと、とアグリッパが言う。

 二人の耳打ちを勘づいたレクスが、何か言いたげであったが直ぐに気を取り直して、そして自身が生み出してしまったこの空気を変えようとある提案をした。

 

「……まぁいいさ、そういえばアンタら、サーヴァントの召喚はもう済ませたんだろう? 

 見せ合おうぜ……つっても、オレのサーヴァントは弱いがな」

 

 指を鳴らしながら、真っ先に自身のサーヴァントを見せるレクス。

 ───銀色の洋甲冑を身につけた男が現れる。

 いかにも、中年の男性といった顔つき、恐らくは30代半ばの男は、生えている髭を愉快な形に整えていた。

 

「サーヴァント、セイバーでございます。

 主にはなぜバーサーカーで呼ばなかったのです、と尋ねましたがどうやら違う英霊……シグルドを呼び出そうとしたみたいですな。

 まぁ、セイバー界の中でもほかの追随を許さぬほど、(わたくし)弱いのでどうぞ、よろしくお願い致します」

 

 堂々と自身を弱い、と言い切る男───”陽“のセイバーのサーヴァント。

 イラつく様子を包み隠さず、レクスは舌打ちをした。

 

「オイオイ、レクスくん彼は英霊だよ? 

 ……私達よりも先輩なんだ、もっと敬うようにしないとね?」

 

「そう言われてもだな……」

 

 レクスを窘めるアグリッパ。

 

 その2人を他所に、面白そうだと思ったのか雄大も自身のサーヴァントを紹介することにしたのだった。

 

「姿、見せていいよ」

 

『───承知した』

 

 雄大の呼び掛けに応じ、その英雄は姿を表す。

 レクスの、セイバーと似たような、しかし、セイバーのような輝かしい銀色の甲冑でなく、全てを塗り潰すような漆黒の甲冑をした男が現れる。

 顔は、鉄仮面の被っているため見えないが、声を聞いた皆はその英霊が男だということは理解した。

 

「───サーヴァント、ライダーだ。

 ……主の為に尽くす」

 

 それだけ言い、”陽“のライダーは自身の名乗りを終えた。

 男に乗じるように、雅の傍らから、するりと現れる、銀の髪の紅の瞳をした女性。

 額からは角が生えており、彼女が人ではないことを、他のメンバーは悟った。

 

「……多分、僕達は信用されていないだろうし、一応、行動で示させてもらう。

 僕のサーヴァント、バーサーカーの真名は“巴 御前”。そして、そのライダーのサーヴァントの真名は……」

 

「ミヤビ」

 

 信用を得るために自身のサーヴァントの真名を明かし、そして同じく信用されていない雄大を信用させようと雅がライダーの真名を言おうとしたが、雄大に止められる。

 なぜだ、と問うよりも早く雄大は答えた。

 

「……実は、僕が本来召喚しようと思っていたサーヴァントはチンギス・カンだったんだけど……どうやら、他のモノに触媒が混じってたみたいでね。

 彼が現れたんだ。その事実を知った途端、彼は名乗らない方がいいだろうと、ね。

 まぁ、私のことは信用してもらわなくても結構だよ。

 それよりも、他のサーヴァントの姿がみたいな、他のふたりも、サーヴァントに霊体を解くように言って欲しいのですが」

 

「さて、どうしようか」

 

 少し考え込む素振りを見せるユースタス。

 その後ろで、アグリッパが話題を変えるべく、一つ疑問を口にした。

 それは重要なことで、全員が無視できない内容であった。

 

「そういえば、他の二人は? 

 バエル・カナンと、なんだっけ、カタリナ・キャッシュヴァルトだっけ?」

 

「……あぁ、その二人か」

 

 そういえば、と言いながらレクスが辺りを見渡す。

 少し間が空いて、雄大が答えた。

 

「カタリナ氏は先に日本に行って、サーヴァントを召喚したんだっけ? 

 確か、下見も兼ねて。

 ……そこから、誰か連絡は?」

 

「いや、無いね。

 正確には、私達が日本へ向かう直前が最後の連絡だったね」

 

 アグリッパが応える。

 ……最悪の事態を想定しながら、雅が続けて状況を述べる。

 

「……ホテルの場所は僕が知っていたから、カタリナ氏が待ち合わせ場所に不在だった為に僕が案内をした。

 霧島の誰かに暗殺されたか? 

 可能なのは竹流さんか、義隆かだけど……義隆は自身から手を下すことは滅多にない。

 実力を隠す為、という都合上ね。

 何のためかは前々から疑問だったが……そうか、聖杯戦争のためにか」

 

 後半は独り言を零していただけだったが、犯人を予想する雅。

 しかし、

 

「……否、である。

 今しがた、このホテルの店員専用の駐車場で遺体を発見した。

 なにかに食い散らされたような、醜い死骸をな。

 恐らく、カタリナのモノだ」

 

 ロビーに現れた、巨漢の男。

 その男の手の甲には赤い紋様が刻まれており、彼もこの聖杯大戦の参加者だと、皆は知っている。

 時計塔、降霊科に在籍する教授。

 その重苦しい雰囲気は凄まじく、その場に現れただけで、思わずに固唾を飲んでしまう程であった。

 レクスが、その名を口にする。

 

「……バエル教授」

 

「おやおや、遅い出勤だねぇ。

 遅刻はダメだよ、みんなの迷惑をかけちゃうからさあ」

 

「……そのことに関しては詫びよう、私の失態だ」

 

 深々と頭を下げるバエル。

 そして、その後に理由を言うのだった。

 

「……サーヴァントに襲われたところだった。

 理性がない、バーサーカーかと思ったが襲われる寸前まで気配を感じなかった。

 恐らく、カタリナはアサシンのサーヴァントに何か余計なことをしたのだろう。

 例えば、理性を奪ったりとか、な」

 

「……この、私達の手に宿る三画の、サーヴァントへの絶対的な命令権である令呪ならば可能だろうね。

 しかし、なんのために、という疑問が出てくる。

 ……これは以前聞いた噂だが、サーヴァントにはアサシンとバーサーカーと言ったようにライダーなのにキャスターの要素を兼ね備えたサーヴァントが稀に現れると聞いた事がある、もしやそれなのではないだろうか?」

 

 アグリッパの考察にバエルは成程、と頷く。

 

「……参ったな、これでは敵が増えてしまった」

 

 ユースタスが弱々しく呟き、考え込むように顎に手を当てる。

 しかし───雄大は、何故か余裕の笑みを浮かべる。

 それに、疑問と苛立ちを兼ねてレクスが尋ねるのだった。

 

「……何を笑ってんだよ。

 状況はこっちが不利なんだぞ。

 サーヴァントが一騎減った、それだけでも致命的な戦況だ」

 

 レクスの言葉に対して、雄大が失敬と謝り、応える。

 

「障害は、いくつかあった方が燃え上がるでしょう?」

 

 それは、勝者の余裕だった。

 自分達が、否、自分が絶対に勝つというどこから湧き上がってくるのか分からない自信を持っていた。

 それを感じ取ったアグリッパが、敵意を向けて牽制した。

 

「オイオイ、キミはてんで魔術を扱えないんだぜ? 

 ハッキリ言うとお荷物に近い状態だ、そんなキミがこの殺し合いに参加出来るだけでも奇跡を使い果たしたと言っても過言ではないんだけどねぇ」

 

「いえ、勝ちます。

 この私が、絶対に。

 その為に、私は───」

 

 何か言いかけて、雄大が口を閉じる。

 失敬、と言って雄大は言い直す。

 

「選ばれた、と言いたかったですが……皆さんの殺気が恐ろしくてね、やはり取り消します。

 ですがまぁ、悪あがきくらいはしたいですね」

 

 ハハハ、と笑う雄大。

 しかしやはり、その笑みには勝利への自信が顕れていた。

 コホン、と咳払いをして、ユースタスが表情を上げた。

 

「まぁ、とりあえず。

 頑張ろう、我らが”陽“の陣営。

 万能の願望器である、聖杯を奴らの手に渡してはいけない。

 霧島を斃して、聖杯の奪い合いはその後に、やり合おうじゃないか───」

 

 そして、奇しくも義隆とほぼ同じタイミングで、聖杯大戦の合図を行うのだった───。

 

 

 

 ────────────────────────────

 

 

 

 聖杯大戦の開始の宣言がされた数時間後、家電屋の近くにある、教会にて。

 その聖堂は、青白い、人が見れば聖なるモノと確信できるほどに綺麗な光に包まれた。

 女神像の前で祈りを捧げていた老人の神父が、光の後に姿を現した女性の、あまりの清廉潔白さに感涙を零す。

 彼女は、この聖杯大戦における調停者。

 そのクラスの名をルーラーという。

 背まで伸びた黒い長髪をなびかせながら、女性は神父の方へ振り返り───聖母の如き、微笑みを見せた。

 

「サーヴァント、ルーラー。

 真名は───マルタ。ただの、マルタでございます。

 どうか、よろしくお願いいたします」

 

 女性が己が真名を名乗り、手を伸ばす。

 転んだ我が子に差しのべる、母親の手のような暖かな伸ばされた手を、神父は恐る恐る伸ばし、握手を行う。

 

 ───こうして、外典の、さらに外典である聖杯大戦、その開幕の狼煙は上がった。

 




えー、FGOから二名のキャラが出ました、キャラブレあったら許して♡
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