Fate/fake savior   作:桜野 ヒロ

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いえい(こんなに連日投稿できて嬉しいなぁ)


兄と弟

 日が沈み、夜となる。

 霧島家の面々は昨日のように食卓を囲み、黙々と皿にある食事を平らげていた。

 そんな中、遊人《ゆうと》の姿が見えず疑問を抱いた切翔《せつか》がその事を切り込んだ。

 

「……遊人は?」

 

「今日は飯抜きの日だ」

 

 竹流《たける》が答え、切翔がカレンダーを確認する。赤丸で数字が囲まれている日であることを確認し、

 

「…………チッ」

 

 静かに舌打ちをした。

 可愛い孫が食事中に舌打ちをする、その事実を前に義隆《よしたか》は呵々、と笑う。

 

「これ切翔、飯時だ。

 はしたない真似は辞めなさい」

 

 静かに、しかし気風感じられる所作で鮭の最後の一切れを食べ義隆が合掌し完食と感謝を示す。

 席を立ち彼は去り際に一言、

 

「今日は各自、自由に動け。

 彪斗、お前もな」

 

 それだけを伝え、部屋を後にした。

 

「えーい……あ、これおかわりー!!!!」

 

 ピラフが盛られていた皿を給仕に出し、彪斗《あやと》が嬉しそうに高らかにねだる。

 一礼して、給仕が皿を受け取り厨房へと向かうのだった。

 

「……すまない、後でピラフを握り飯にして、三つほどくれないか?」

 

 切翔が給仕に訊ねる。

 

「…………畏まりました」

 

 何かを怪しむように給仕が、渋々了承する。

 それに疑問を抱いた切翔であったが、直ぐにスイッチを切り替えて食事を再開させた。

 

「自由に、か。

 ならば私は此度は休息しよう。

 あのお方は竹流と同行するからな」

 

 コーンスープにパンを浸し、それを口に運ぶ忠吉《ただよし》が呟く。

 忠吉に反応して、竹流が声をかけた。

 

「なら、俺が外を出るまでの間、話でもしよう。

 たまには兄弟水入らずな会話でもしようじゃないか」

 

「…………そうだな」

 

 頷いて、忠吉が席を立つ。

 義隆と忠吉、その二人がいなくなったのを確認して竹流は給仕に向かって皿を投げた。

 プロ野球にも匹敵するその投擲の速さを前に、そしていきなり投げられたことにより給仕が気づいた頃にはもう腹部へめり込んだ後だった。

 

「かハッ───────!?!?」

 

「不味かったぞ、あんなものを俺に食わせてどういうつもりだ? 

 仕置だ、殴ってやる」

 

 馬乗りし、そのまま顔を只管に殴打する。

 突如とした竹流の態度の豹変に、彪斗は怯え切翔は冷めた目を向けていた。

 

「……こうやって、躾けるのも霧島家の者として当然の役目だ」

 

 ひとしきり殴った後、最後に給仕の肩の肉を食い千切る。

 給仕は叫ぼうとしたが、首を掴まれて叫ぶ事を許されなかった。

 

「あ…………が……肩、わたしの、かた……」

 

「掟を破れば、その者は相応の罰を受けねばならん。

 くれぐれも、お前達は掟を破らんことだな」

 

 その肉を嚥下し、最後に給仕に「肩の肉は美味かったぞ」とだけ言い残して去っていった。

 竹流が去った後、彪斗は一言、

 

「年端もいかねぇ女の肩の肉食って美味いって…………キメェ……」

 

 と言い、そそくさとピラフを完食して立ち去った。

 一人残された切翔も遅れて食べ終わり、給仕の血を止めて部屋から出るのだった。

 

「……確かに、気持ち悪かったな」

 

 彪斗の言葉を思い出し、切翔がふと呟くのだった。

 

 

 

 ────────────────────────────

 

 

 

「切翔様、どうぞ」

 

 切翔が給仕から握り飯を受け取る。

 その時に、切翔は遊人のことを好いていた給仕の女性がいないのを認知して、思わず訊ねた。

 

「……あの子は?」

 

「えっと、長い間休むと言ってました」

 

「そうか」

 

 病気か何かにかかったのだろうか? 

 いずれにせよ、無事ならば良かったと切翔は安堵しておにぎりを受け取る。

 先におにぎりを一つ食べ、毒が無いのを確認して切翔が遊人の部屋へと向かう。

 

「……マスターは何故、弟君に優しいのですか?」

 

 セイバーがふと、気になったことを訊ねる。

 それに対して切翔はあっけらかんと

 

「弟だから、それ以外に理由なんてないし、いらないだろう?」

 

 そう答えたのだった。

 

「……マスターのような方が兄であれば、私は今頃は此処に居ることなどなかったでしょうね。

 そして、貴方の足を引っ張ることも無かった」

 

「無駄な卑下は止めてくれ、セイバー。

 そういうのは嫌いなんだ。

 ……ほら、やるよ」

 

 そういい、ラップに包まれたおにぎりのひとつを“陰”のセイバーに投げる。

 危なげに受け取り、はてと“陰”のセイバーは首を傾げ、切翔に訊ねた。

 

「サーヴァントは栄養は必要ありませんよ?」

 

「身体はな、でも心を満たすには必要なコトだ。

 遊人の事はいい、アイツ元々少食だからな」

 

 微笑みながら、切翔が渡す。

 おどおどと陰のセイバーが受け取り、ラップを不器用に外す。

 

「では、いただきます……」

 

 はむ、とひと口頬張る。

 こうしてみると、兎のように感じるのは気の所為だろうか。

 肝心な味はお気に召したようで、続けてもうひと、二口を続け様に齧る。

 

「ウメェだろ。

 俺も、遊人も好きなんだ」

 

「キャスターのマスター……でしたよね? 

 彼は何故、あのような差別を受けているのですか?」

 

 “陽”のセイバーの問いに、切翔が周囲を警戒し、誰もいない事を確認する。

 そして遊人に関する事を、話し始めたのだった。

 

「アイツは、この家の禁忌を犯した。

 魔術を独学で会得し、行使し始めたんだ。

 それからさ、アイツの飯に毒を盛られたり暴力を振るわれたりしたのは。

 何度も願ったさ、『やめてくれ』って、『酷い仕打ちはしないでくれ』、ってさ。

 けれど、弟は虐げられ続けた」

 

 切翔の言葉に、陰のセイバーの表情が翳る。

 しかし、その表情を見てしまった切翔が直ぐに別の話題に切り替えるのだった。

 自身の母親と、父親のことを。

 

「……母は優しい人だった。親父も優しくて、俺たちの家庭は仲睦まじかった。

 けれど、三ヶ月ほど前に母親は処刑された。

 父である霧島雅が、俺達を裏切って魔術協会についた。

 本来ならば八体六になると思われた聖杯大戦だが、爺さんかが聖杯に細工を仕掛けて、七体七にした」

 

 切翔の言葉を切る。

 続きは暗くなると察してしまったからだった。

 直ぐに態度を改めて、歩を早めて“陰”のセイバーを追い抜かした。

 

「まぁ、この話はもういいだろう。

 さぁ、行こ───────」

 

「遊人の所へか? 

 それは許さんぞ切翔。

 ……あんな屑を助けるなど、許さんさ」

 

 遊人の部屋まであともう少し、そんな矢先に。

 先程まで気配はなかったハズの竹流が、現れ切翔が焦燥の汗を滲ませた───────




酒に酔っぱらいながらかきました、うんち
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