Fate/fake savior   作:桜野 ヒロ

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このタイトルしたいがために章タイトルにしたまである(おい)


家族と食事

 午後23時50分、遊人の通う西和高校。

 その近くの森の中に、“陽”のアーチャーは潜んでいた。傍らには、ユースタスとアグリッパの2人がいて、二人は急襲が無いように警戒を怠ることなく周囲を見渡しながら森の中を進んでいく。

 そんな中アグリッパがふと、夕方にあったユースタスの醜態について遅めの説教を開始させた。

 

「……全く、君ともあろう男が酒に浸って会議にまともに参加できないなんて失笑も良いとこだよ?」

 

「本当にすまん、コンラート」

 

「ダッハハハハハ!! 

 元はと言えばオレが悪ィんだ、マスターの事は許してやってくれや」

 

 陳謝するユースタスと、陽気に笑う“陽”のアーチャー。

 アグリッパはアーチャーに少し物申したくはなったが堪えることとした。

 自身の言いたいことは言ったのだし、ここで怒ってもなんの得もないと溢れそうになる感情にそっと蓋をしたのだった。

 そして、その判断は正しくあった。

 

 ───────突如として、空から雨かと疑うような『矢』が大量に飛来しアグリッパ達に襲いかかって来たのだった。

 怒りに任せていれば判断が送れ、致命打となっていたであろう。

 アグリッパは内心で感謝しながら、前方に出していた自身のサーヴァントへと声を掛けた。

 

「ランサー!!」

 

「承知した」

 

 事務的なやり取り、その後にランサーが空へ跳び、槍で雨《や》を全て薙ぎ払った。

 その力を目の当たりにして、ユースタスが感嘆の声を思わず漏らすのだった。

 

「これが……円卓の騎士の力か、なんとも凄いものだな」

 

「いいや、それだけじゃねぇぜ。

 ランサーのマスターの手を見てみな」

 

「ん? ───────なっ!?」

 

 思わずユースタスが驚く。

 その理由は、アグリッパの腕から早くも一角の令呪が消失していたのだった。

 掛けた仮面のような形をした令呪、それをアグリッパが惜しそうに見詰め、擦るのだった。

 

「コンラート、何故だ!? 

 数が限られた令呪を何故この一瞬の為に使ったのだ!?!?」

 

「決まっている。ワタシの使い魔(サーヴァント)の素の力ではあの矢の雨を退けることが出来なかったからだよ。

 ……ワタシのサーヴァントは諸事情で宝具を使えない。

 そして、伝説の武具を持っていない。

 だからこそ、ステータスを上昇させたのさ」

 

「ヘェ! 

 キミ、心はブサイクだと思ったけどフツメンだね」

 

 声のした方を振り返る。

 10数メートル程離れた木々、その枝の上に優雅に座る男が一人。

 首に煌びやかな黄金の首飾りを着け、美しい金色の髪を後ろに束ねた、背格好の高い美青年───────”陰“のアーチャーが片手に派手だが、美しさを兼ね備えた弓を携えて嘲笑するかのように三人を見下していた。

 

「来なよ、大英雄を殺した事のある神代を生きた王サマのボクの力を見せてやるさ」

 

 見下し煽る”陰“のアーチャーはまさに、自身が言う通り王だった。

 

(今の矢……アレは一度に射出したと考えられる。

 参った……今のワタシ達では勝てる可能性が低い)

 

 頬に冷や汗を静かに流し、敵を睨むように見るアグリッパ。

 そんなアグリッパの肩に手を置いて、前へ出たのは“陽”のアーチャーだった。

 ズンズンと歩き、“陰”のアーチャーへと近付く。

 

「止まれよ、ブサイク……ではないな、ハンサムか。

 でもさ、ボクってハンサム嫌いなんだよね。

 大体のやつが僕の神経を逆撫でて来るもん。

 正直、ウザったらしくて仕方がないんだよねぇ。

 だから止まってくれない? ついでに死んでくれると嬉しいけれど」

 

「まぁ、そう言うなや。

 仲良くしようぜ、オレは王様みたいな人が好きなんだ!!」

 

 飄々としながら“陽”のアーチャーが言い放つ。

 そんな彼に、目を細めて殺意を露にしながら、

 

「ホラ、逆撫でてきた」

 

 そう、殺意を吐き出すのだした。

 

 

 

 ────────────────────────

 

 

 

「パ、パ」

 

 愛しき家族が、よちよちと我が足元まで歩いてくる。

 どうしたんだい、そう訊ねると子供が照れながらずい、と私におねだりするかのように手を伸ばした。

 

「オニク、タベタイ」

 

 お腹が減ったのか。

 仕様のない子供だ。

 しかし、それがとても愛おしい。

 私はすぐに横にある死体から肉を引きちぎり、子供へあげる。

 

「あなた、二人ほど帰ってきてないわ」

 

「一人は昨日死んだが……あと一人は分からない」

 

「あ、お兄ちゃんノニオイダ」

 

 指を指した子供の方を見る。

 その先には窓があり、そこから見下ろすように道路を見る。

 そこには美しく、そして艶やかな格好をした女がいた。

 確かに、あの女からは息子の一人の匂いが僅かについている

 しかし、その美しい女性はサーヴァントだろう。

 奇襲をして通用するとは思えない。

 あの黒髪を咀嚼したかったが仕方ない。

 ここは素知らぬ顔で家から出ないのが吉だろう。

 

「あの人はサーヴァントだ。

 聞きたいけど、お父さんじゃ勝てなさそうだし、あの子には悪いが放置しておこう」

 

「分かった」

 

 肉をちぎり、頬張る。

 そして、息子達に肉を分け配る。

 まだ渡していない孫にも渡し、皆持ったのを確認する。

 これだけで人家族分の死体を要することとなる。

 しかし、構わない。

 

「さぁ、肉は持ったね。

 それじゃあ、合掌しよう」

 

 全員、手を合わせる。

 そして、皆仲良く。

 

「いただきま───────」

 

 言い終える前に、窓が割れる。

 そして闖入者が現れた。

 先程の艶やかな格好をした女だった。

……気配遮断が甘かったか?

 

「サーヴァントの気配が民家からすると思えばやっぱりね。

 こんばんは、これ以上のお食事はやめていただける? 

 ねぇ、ソニー・ビーン?」

 

 成程、ルーラーか。

 道理で我らに因縁をふっかけるわけだ。

 おおかた、これ以上の被害は抑えたいとかだろうか? 

 しかし、それは無理だ。食べなければ私達が死ぬ。

 ……出来ればやり合いたくはなかったが仕方あるまい。

 

「答えはNOだ。食べねば我らが死ぬのみだからな」

 

「そ。なら───────キツいのいくわよ!!」

 

 巨大な十字架を模した杖を我らに向けて女が我らを敵視する。

 女を前に私はただ、嬉しさで笑みが零れてしまう。

 思わぬメインディッシュに、感謝を。

 息子の一人が石で出来たナイフを投げ、交戦の合図となったのだった───────

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