「……さて、向こうはよく分からないが行くかセイバー。
多分、戦いはしないだろうしな」
“陰”のセイバーに声を掛け、切翔が西口方面まで歩く。
こくりと頷き、彼女は青年の後を追う。
「……マスターは何故、弟君を優先なさったのですか?」
「…………弟だから、だな」
言葉を濁したのをセイバーは見逃さなかった。
だが、彼女は何も追求するつもりはなかった。
「優しいですね、私も貴方のような兄が欲しかった」
代わりに、ぽつりと羨望を口にした。
彼女の過去を見ていた切翔はつい、
「……大丈夫だ、お前にもいい出会いがあるさ」
そう励ましたのだった。
「今日はなんというか、すごく優しいですね。
なぜでしょうか?」
セイバーの問いに切翔は少し悩んだ後に答えるのだった。
「……なんで、だろうな。
俺にも分からない。けれど、お前を幸せにしてやりたいなと、ふと思ったんだ」
過去を見た、なんてことを言えずに。
彼はそのことを隠しながら、赤裸々と告白する。
「なるほど。ふと、ですか。
……ありがとうございます、そのお気持ちだけで充分嬉しいです」
月光に照らされる少女の微笑みはあまりにも美しく、刺激的だった。
切翔は思わず息をのみ、その笑顔に見惚れてしまう。
(曇ってさえなければ、太陽みたいな笑顔を見せるな)
切翔は内心に留めて、霧島邸へと向かうのだった。
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陽の魔術師が潜むホテル内にて。
裏切とバエルは向かい合う形で椅子に座り、話し合っていた。
「いやあ、数的に僕達不利ですねぇ。
───────ところで、ウチの陣営に裏切り者っていると思いますか?」
「さぁな。
裏切り者がいるとすれば、カタリナだろうよ」
「カタリナさん?
しかし、自身の呼び出したサーヴァントによって彼女は食われて死亡していますよね?」
「アレは私の推測だ。
……髪の色や残った肉塊を彼女に見立ててそれらを繋ぎ合わせただけだ。
まぁ、動機と呼べるかは怪しいがヤツの先代がキリシマと縁があるからな」
「縁、ですか?」
無言で重く頷き、バエルが口にした。
「ヤツの一族、キャッシュヴァルト家は元々はユグドミレニアの一員であった。
その経由で裏で関わりがあっても違和感は無いだろうよ」
バエルの言葉に裏切は驚きもせず、納得するように頷いた。
「成程。しかし私は違うと思うんですよ。
いるとしたら、の仮定ではありますがね。
……貴方ではないのですか、バエル・カナン」
「私だと?」
えぇ、と裏切が頷いた。
「貴方は私達よりも先に和歌山に到着していました。
カタリナさんと一緒にね。
つまり、霧島義隆と接触する機会があったということです。
彼女もそうですが……わざわざ死体を偽装する理由がわからない。
しかし、我々を誤魔化す為に貴方が用意したというのなら私が納得してしまうんですよね」
「成程、ある程度理解出来る推察だ。
だが残念だな。私は霧島家が嫌いで接触するつもりすらない。
今から拷問されてもいい、私は違うと証明してみせよう」
毅然とした態度でバエルが答える。
それを聞いた裏切は、
「……やはり」
そう、呟いた。
バエルはその言葉に疑問を抱いたが、現状ではサーヴァントが傍にいる裏切が有利であると悟り、何も言わずに
「……話は以上か?
ならば部屋から出ろ」
そう、追い出す為に裏切に言う。
裏切は席を立ち、笑顔を見せながら
「えぇ、今日は大人しく去りましょう、降霊科のバエル教師。
それでは」
大人しく従い、部屋を後にしたのだった───────
二日目終了です、書きたくて書きたくて仕方がない三日目に突入します
結構展開早いかもしれませんが皆さん読んでいただけますと幸いです