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ある高級ホテルの一室では、”陽“のセイバーのマスターであるユースタスは、二名を除く”陽“の陣営のマスターを呼び出していた。
なんのために呼び出しているのか、それは呼び出してない”陽“の陣営のマスターである、霧島雅と、裏切雄大の事だった。
陽のキャスターのマスターであるバエルが最後に入室し、集まったのを確認してからユースタスは口を開けた。
「……では、あの二人について話をしよう。
まずは、彼らが信用に足りる人物か、だ。
当然、私はノーと答えよう」
キッパリと断言するユースタスに続いて、アグリッパも答える。
「彼に同じく、僕もノーだね。
魔術師殺し……それは、衛宮切嗣が現われて暫くしてから少しずつ増えていった我々魔術師の天敵。
しかし、暫くして我らも対策をとり、今では魔術師殺しにも優位に立てるようになった。
だと言うのに、だ。彼ら霧島一族は難なくそれを解決してくれた。
最初こそ、一族の頭領であるヨシタカの実力によるものが大きかった。
ヨシタカは魔術師としての腕前も相当なものでね、以前も言ったかな、階位にいた魔術師だ。
だが、彼らは数を増やした、殺した魔術師の一族の子供を、無差別に襲った孤児院等の子供を連れ去らい、魔術師殺しとして育て上げた。
更には、どうやって入ったかは分からないが彼らはユグドミレニアの一員として迎え入れ、ユグドミレニアの瓦解後、彼らは真っ先にユグドミレニアの者達を惨殺し、そして子供達を奪い去った。
そうして、彼らは今では最大の魔術師殺しの勢力として存在している」
「……外道そのものの行為じゃねぇか。
奴ら、ヨシタカがなんでそうするのかの理由として、魔術師があまりにも非人道的だってのがあるって聞いてたけど、こうやって聞きゃあヤツらの方が人辞めてるよ」
忌々しげにレクスが呟く。
アグリッパは微笑みながら、そうだねと応えた。
「そうして、数を増やした、霧島。
そして、その数による驚異を与えてしまった我々魔術師。
そんな最中、霧島を裏切ったと宣言する、霧島の中でもヨシタカと同レベルで名を馳せている男のミヤビが現れ、我々の仲間となった……少し、おかしいと思わないかい?」
「……あぁ。先ずはどうやって逃げ出せたか、そして裏切った動機、だな。
何故か、霧島雅は動機を語ろうとはしない。
そこが気がかりであるところだ。
それに、どうやって逃げきれたのかも気になる。
本人曰く、霧島の一族の大半はマスターとして選ばれた者以外は皆殺しにした、との事だが……さすがにできるとは思わないのだがね、私は」
そういうことさ、と指を鳴らしながらアグリッパが答える。
「そして次に裏切雄大と名乗る青年だが───」
「ありゃあ、どう考えてもアレだよな、外人だし、なんなら聖堂教会の連中だよな。
……首に十字架とかホント、わかりやすいというかさぁ」
次に、裏切雄大なる青年の話となった。
あまりにも正体不明、大胆不敵すぎる青年に、皆は当然、猜疑心を抱いていた。
「そうだねぇ。
一度、皆で囲んで吐かせるってのはアリかな?」
「───それは此方としては困る。
せっかく骨を折ってまで霧島を裏切ったんだし、私個人としては万全な戦力で奴らを殺したい。
……そんなに、理由を訊きたいのか?」
瞬間、全員が部屋に入ってきた雅の方へ振り返る。
彼の手には、彼自身も愛銃としているトンプソン・コンデンサーが握られている。
「あぁ、勿論さ」
下手なことをすれば射殺される恐れがある、そんな中、アグリッパは飄々と答えた。
当然、銃で射殺される可能性を一瞬だけ考慮したが、アグリッパにとっては、雅の今の言葉を嘘とは思えなかったのだった。
少しの静寂の後、溜息を零しながら雅はどこか恥ずかしげに答えた。
「……息子達を助けたかったからだ。
この私にとって、なによりもかけがえのないもの、それは亡き妻である美華と、そして息子である切翔と遊人だ。
……本当は、あの二人も連れて逃げたかったがそうなると義隆本人が出る、そうなると返り討ちに遭うのが見えている。
だから、外部からあの二人を救うことにしたんだ」
刹那、場にいた殆どの者たちは呆気に取られた。
雅は魔術師達からはその苛烈かつ、冷酷と言う文字に相応しい魔術師達の殺害の仕方に、恐れられていた。
そんな彼が、家族想いだとは到底思っていなかったのだ。
そんな中、
「いやぁ……最高に父親してんなアンタ!!
気に入った、気に入った!!
腹ん中にはオレたちサーヴァント含め、”陽“の陣営の始末考えてるかもしれんがオレは好きだぜぇ?
何時の時代も、格好いいのは『家族の為に頑張る父親』ってのは相場が決まってるからねぇ!!!!」
雅を褒め、拍手をしながら全身を緑衣で包んだ男が現れた。
ニカッと、太陽のように眩しい笑顔を見せながら、緑衣の男は軽い足取りで雅の元へ駆ける。
「アーチャー」
制止するように、緑衣の男、”陽“のアーチャーに呼びかける、主であるユースタス。
だが、アーチャーはその眩しい笑顔をユースタスに向け、
「安心しなぁ、コイツはアンタらを殺すつもりはないみたいだぜ?
……そも、向こうのスパイなら、アンタらに毒を盛って殺す筈だろう?
まぁ、身内殺された奴もいるって話だからよ、疑い深くなるのは仕方あるめぇ。
けどな、お互い理解を深めないとダメだ、まずはな」
そう、答えた。
やれやれ、と肩を竦めながらユースタスに苦笑し、彼が雅の元へ行くのを許容した。
”陽“のアーチャーが雅の目の前まで駆け寄ると、手を差し伸べた。
はて、と戸惑う雅に対して”陽“のアーチャーは、
「握手だよ握手!!
仲良くしようぜ。オレ、アンタみたいな人好きなんだよ」
そう答えた。
「……そうだな。
───私も、貴方みたいな明るい人は好きだ。どこか、妻に似ていてね」
雅は頷きながら、”陽“のアーチャーの手を掴んだ。
それと同時に、陽のアーチャーは胸ポケットから何か袋に包まれたハート形のパイを取り出し、雅に受け取るよう促した。
「これ、食うか?
美味いし、なによりもハート形ってのが好きなんだよなぁ!
いやぁ、女房や息子にも食わせてやりてぇぜ!!」
「……すまない、甘いものは苦手なんだ。
僕は食べれないが、遊人が甘いもの好きだったな。また、会えたらだが渡してもいいかい?」
もちろん、と”陽“のアーチャーは笑う。
それと同時に咳払いをして、自身に視線を向けさせたアグリッパは中断していた話を進めた。
「……談笑は後にしよう。
僕達、まだやることが残ってるんだよ?
例えばほら、裏切の目的とか、そして行方不明のアサシンとか、さ?」
「その話……裏切のことなんだが」
雅が我先にと切り出す。
「彼の目的は以前聞いた事がある。
どうやら彼は、『全人類の進化』を目的にしているみたいだ。
あと、経歴を調べたが、彼は聖堂教会では無い、ぽっと出の、弱小魔術師だ。
……なぜ、日本人と偽っているのかは、私にも分からない」
「……全人類の、進化……?」
バエルが首を傾げる。
切翔は、バエルの小さな疑問に答えた。
「あぁ、そう言っていた。
なんでも、人類は進化すべきだ、とね」
「ハン、こりゃまた大層な目的を掲げてんなぁオイ!!
そりゃ、さぞ素晴らしい実力を持ってんだろうなぁ?」
この場に居ない裏切を嘲るようにレクスが言う。
レクスの言葉に反応し、彼のサーヴァントである”陽“のセイバーが現れた。
「主殿、それはいけませんぞ?
男なら堂々と手袋を投げねばなりませぬ。
─────まぁ、私が言えることではありませんが!!」
自虐する”陽“のセイバーを睨みつけ、黙らせるレクス。
「……うぜぇなぁ。
てかそうだ、おい来いよセイバー、少し話がある。
すまねぇが、後の話はだれか後で教えてくれ。
コイツを強くする、コイツが自覚してくれてるだけありがたい話だが、コイツは本当に弱い。
ちっとでも使えるようにしねぇとダメだ」
それだけ言い残し、呼び止めようとする者達を無視してレクスは部屋を出た。
「……まったく、名を馳せている最中の天才児はとんだじゃじゃ馬だったねぇ。
まぁ、いいか。
彼の才能を僕は信じよう、そこのアーチャーも言ってたしね。
互いの理解を深めなければいけない、と!!」
「まぁ、確かにオレは言ったがねぇ?
多分さっきの小僧はバーサーカーのマスターと同じ空間に長くいなかっただけだと思うぜ?
確かアイツだっけ、身内殺されたってのはよ?」
あぁ、とユースタスが頷く。
陽のアーチャーはポン、と雅の肩に手を置いた。
「埋まらなさそうな溝だし、そこは仕方あるめぇさ。
だがまぁ、その溝を飛び越えて仲良くなれるかどうかはお前さん次第だ、頑張んな!!」
陽気に笑い、緑衣の男は再び霊体へと戻った。
「……ところで」
その直後、何かを思い出したバエルが口を開く。
皆が注目する中、バエルは言葉を続けた。
「”陽“のアサシン……アレは、どうする?」
「……アサシンか」
顎に手を当て、考えるユースタス。
そんな彼よりも早く、アグリッパが指を鳴らしながら答えた。
「簡単だねぇ、襲われたら対処すればいいのさ!!
アサシンが消えるまでの間、絶対にサーヴァントの傍を離れなければいい。
というか、暗殺が得意な霧島を相手にするのにサーヴァントを側につけない間抜けはいないだろうしね!!」
「だがまぁ、霧島の方もこちらにアサシンがいないとは思ってはいないだろう。
だから向こうもサーヴァントを側に付け、アサシンに警戒するはずだ」
アグリッパの言葉に、雅も味方する。
ユースタスは確かに、と頷いた。
しかし、
(……なんだろう、確かにそれが大正解なのだが……なにか、なにか嫌な予感がする。
……アサシンを野放しにしては行けない、そんな、予感が─────)
胸中では、そんな胸のざわめきを過ぎらせながらユースタスは陽のアサシンに警戒することとしたのだった─────
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今日は休日。
とある家族が朝食を食べている最中だった。
和気藹々と団欒を囲みながら、会話している家族、そんな中、
ピンポ─────ン
呼び鈴が響いた。
なんだろう、と家族の大黒柱である父親が首を傾げる。
立ち上がると、男の妻が、
「あなた、またなにか頼んだの?
この前は確か、プラモデルだったわよねー」
まったく、きっとソレだろうと含みを入れた言葉で、仕方なげに微笑んだ。
しかし、
「あれぇ、プラモデル頼んだかなぁ?
確かに、昨日発売された物があったけど……」
男は頼んだ記憶がないようだった。
しかし、直ぐに昨日は疲れていたから寝ぼけて頼んだのだろう、思ったのか玄関まで歩こうとした時、
ピンポ─────ン
呼び鈴が、再び響く。
少し眉を動かし、夫妻共に顔を見合わせる。
「そんなに急かさないで欲しいよねー」
「ホントだよ、今行きまーす!!」
声を張り、外にまで届きそうな大きさで男が言う。
リビングの扉を開け、男が玄関まで辿り着く、その時、
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン
ピン───────ポ────────ン
何度も、何度も何度も何度も呼び鈴が響く。
男は一瞬気圧された、宅配では無いと、確信した。
ではなんだろう、押し入り強盗か?
ドアノブを握ろうとしていた手が震えている、それは、目の前の扉越しの恐怖からだった。
「あ、あなた……なに、今の!?」
「わ、分からない……オイ、悪戯なら警察を呼ぶぞ!!」
妻の言葉が引き金となり、怒声を放ちながら男が扉を開ける。
瞬間、突風がドア越しから吹き、男が少しよろめく。
何とか踏みとどまり、周りを確認する。
子供……いない。なら大人……それもいない。
逃げたのか、男はそう確信し、単なる悪戯だと思い込み、扉を閉める。
リビングまで移ろうとして、男は異変に気付いた。
「ん、扉が……閉まっている?」
男は、確かに閉めたはずだった。
恐る恐る、扉を開け、リビングを確認する。
そこには、主菜を黙々と食べている妻と、
主食を食べている2歳になったばかりの子どもの姿だけだった。
「─────な、なんだ……お前ら!?」
そう、
愛しき私の息子は餌の頭からかぶりつき、その
おやおや、これはいけない。
折角、昨日のうちに餌から頂戴したというのに、すぐに汚してしまっては、後で説教だな。
そうだ、忘れてしまっていた。
私の傍にいる、
手馴れた動作で、私は男の手首、足首、そして喉笛を掻っ切った。
私に気付かなかったのか、男は目を見開き驚いた様子で、私を見た。
人の肉は生きている間が一番美味しい。
そして丁度、お腹も減っていた。
まずは合掌、神様、今日も美味しいご飯をありがとうございます。
そう感謝し、いただきますと呟いて私は目の前のご飯にかぶりつく。
「……あぁ、なんて、美味────」
身を震わせながら、私達は仲良く、団欒を囲み朝食を食べた─────
陽のアーチャーはコブラをイメージして書いてますが、コブラみたいじゃなかったらごめんなさい許してぇ