Fate/fake savior   作:桜野 ヒロ

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全然書く暇無かった……仕事……?


次男の言葉

 朝焼けが眩しい午前七時。

 霧島邸の中で一人、学生である遊人は制服に着替えて登校の身支度を済ませる。

 まだ時間自体は早い。

 しかし、彼はとある場所へ向かう為に早めに準備をしていたのだった。

 

「それじゃあ母さん、行ってきます」

 

 写真の中に収められている母に挨拶を告げて、遊人は家を出る為に玄関に並べられている靴を履く。

 

「───────フン、あんな所に行かなくてもいいと言うのにお前は。

 我々に虐げられるから避難しているだけなのだろう、この根性無しめ」

 

 その最中に、嫌味を垂れ流しながら竹流が現れた。

 予想外の人物に遊人がめを丸めながら驚きを隠さずにいた。

「無断で監督役に喧嘩売った挙句ミスったから爺さんに大目玉食らったんでショックで部屋でベソかいてるかと思ったけど。

 案外、面の皮厚いんだね。鉄板並みかな?」

 

「言ってろ、ゴミめ。

 本当に、何故に美華という美しい女性からお前みたいなのが生まれたのだ?」

 

 わざとらしく、困った仕草をする竹流に遊人が嘲るように笑みを浮かべながら扉へと向かう。

 無視をされて、腹が立ったのか竹流が眉を顰め遊人に声を荒らげ始めた。

 

「無視をするなよ屑が。いいか、お前なんて何時でも殺してやることが可能なのだからな」

 

「困んの爺さんだけどね。

 それでいいならどうぞどうぞご勝手に」

 

「クズはいつでも調子に乗れるから羨ましいなぁ!? 

 ……まぁいいさ、俺を無視したら後悔するのはお前……」

 

「へいへーい」

 

 適当にあしらってから、遊人は学校へと向かうのだった。

 

 

 

 ────────────────────────────ー

 

 

 

「おはよう、美月さん? 

 いっつも朝早くに学校に来てるって聞いてたから試しに来てみたら本当に会えてビックリ。

 ……ん、なんで固まってるのさ? 

 ハロー、ボンジュール、你好?」

 

「…………聞こえてるから他国語混ぜないでくれるかしら? 

 非常にウザったらしくて誤って殺しそうだから」

 

 彼らの通う和歌西高校の中間地点。床西のあるコンビニの傍で遊人に意図的に遭遇されたのを悟った夜空は溜息を吐き出し、遊人を睨む。

 遊人はヘラヘラと笑みを浮かべていたが、肩に蝶が乗っているのに気付き、その蝶にはルーン魔術が仕込まれているのに気付くと薄ら笑みを夜空に向けた。

 

「あらら。蝶に爆破のルーン仕込んでるなんて、そんなことしたらダメだよー? 

 最近はさ、動物愛護法? だのその団体だのがヒジョーにうっさいんだからさぁ。

 ───────あと、影に『閉じ込めてる』のもダメだよ?」

 

「目が鋭いようだけどもごめんなさい、コレはこうでもしないと死んでしまう生き物なの。

 ……そうね、会ってみたいなら夜に一回解き放ってあげようかしら?」

 

 鋭い遊人の言葉に、夜空は微笑みながら対抗する。

 一見、見てみたいかと問うてるように聞こえるその言葉の裏は正反対で、相手をしてみるかと夜空は問うているのだと遊人は悟った。

 マスター全員を殺してみせる、そんな絶対な自信を含んだ彼女の笑みに遊人は両手を上げて降参した。

 

「はいはい、負けますまけマース。

 そんな怪物を相手にするなんて無理無理。

 爺さんとか、小岡サンとかなら殺せるかもしれないけれどね」

 

「ですって、どう思うのアンタは」

 

『返す言葉もゴザイマセンよこんちくしょうが! 

 そもそも、オレら影の住人が聖職者サマに勝てると思うか? 

 陰キャだって陽キャには勝てねぇだろが、ちったおジョー様らしく頭使えや』

 

「あらあら、少し生意気を言い過ぎでなくて? 

 夜が楽しみだ事。きっちり躾しなおしてあげるから覚えときなさい」

 

『ウッソだろ過去一の理不尽感じたぞマジで!!』

 

 意義を唱える影を遊人が見つめる。

 視線を感じ取ったのか、影は怪しく笑った。

 

『なんだよ、オメーに見られても嬉しくないんだけど? 

 食うぞコラ』

 

「怖い番犬だなぁ。夜空ちゃんこいつホントに躾れてるの?」

 

「日光のルーンを身体の至る所に設置してるわ。

 死にたいならどうぞご勝手に仔犬ちゃんってカンジ。

 ……まぁ、躾れてはいないけど飼えてはいる。そんな感じかしら?」

 

『そーだそーだ!! オレァやりてぇことあんのに束縛してくんだぞこの女!! 

 仲間にしてぇけどもう()んでるから仲間にできないの悔しすぎるわ!!』

 

「あ、やっぱりもう卒業されてましたか。

 朱勾とヤレて良かったね」

 

「アイツ、ヘタクソだったから痛かったけれどね。まぁ、ヘタなのを許してあげるのが女の努めでしょうよ」

 

 艶やかな笑みを浮かべる夜空に遊人は、

 

「いや、感想とか聞いてないんだわ。

 ……もしかして、正反対だったんじゃないの? 

 声抑えれなかったの?」

 

 爆弾を放り投げた。

 遊人のありえない発言に影は言葉を失い、夜空は青筋を立てた。

 

『言っちゃった、言っちゃったよこのおバカさん! 

 バカというか、考え無しか。

 どっちにしろろくなもんじゃねえなぁ!?』

 

「───────随分とご挨拶ね。

 全く、なんでキリシマってこんなに下品な集団が多いのかしら。

 不戦の契なんてなければ今頃、一族を殺してやるところだわ」

 

「ヒントは遺伝子。

 さぁ、答えをどうぞー?」

 

 ケラケラと笑う遊人。

 その遊人の旗では、霊体となった“陰の”キャスターが彼を観察していた。

 

「……まぁいいわ。ところで、一つ尋ねたいのだけれど」

 

「ん、なにー?」

 

 遊人が尋ねるが夜空の返答がない。

 ……少しの間、静寂が訪れる。

 夜空は、彼の身体をジッと凝視しながら口にした。

 

「貴方もしかして、自分が長くないのを自覚してる?」

 

「じゃなきゃこんなフーになんねぇよ?」

 

 瞬間、遊人の口から零れた言葉だった。

 そう、と夜空が呟く。

 それに反して、遊人を観察していた“陰”のキャスターは目を見開いて驚いて見せた。

 じっと、『宝具』の一端を使い彼の身体を凝視する。

 ……すると、彼の身体の内側は酷く毒で汚されていて。

 本当に、あと僅かな命であると見抜いてしまったのだった。

 良くて三年? 否、数ヶ月の命。

 まるでホムンクルスのようなその少年の命に、彼は少しばかりの憐憫を抱いたのだった。

 

「ま、人生が短くても楽しめるようにあとは気楽に身内揉めを観戦させてもらおうかね。

 どうせ、ボクらの陣営が負けるだろうしさ」

 

「……へぇ、よくわかってるじゃないの」

 

「そりゃあ、あの爺さんが落ち目を見せちまったからな」

 

「そうね。暴君として頂点に居座るなら、絶対に失態なんて見せてはいけない。

 自身の力は絶対的であると見せしめるから、部下は恐怖で従うしかないもの。

 ましてや裏切り者をおいおいと逃すなんてことは反感を与えてしまうには十分なものだからね」

 

 うんうんと頷きながら、遊人は続けた。

 

「しかも、戦力的な問題とはいえボクと兄ちゃんを生き残らせてるからねぇ。

 ボクが生きてる時点で竹流さんは不満あるだろうし、兄ちゃんが生きてるから忠吉さんも大不満だろうしね。

 それ絡みの反乱を起こすことなんて容易に想像出来ちゃうよ」

 

「彪斗は何も感じてなかったりするの?」

 

「アイツ馬鹿だから不満なんて感じる脳が無いよ」

 

 遊人は、さらに言葉を続けた。

 

「まぁでも、アイツは自分で考えねぇだけだからね。

 多分、考えるようになったらちょっとしたら爺さん越えるんじゃないかな」

 

「義隆を?」

 

「うん、アイツは元がいいからさ。

 ……と、そうだ。一つ伝え忘れてたことがあったわ。

 実はさ、ウチの高校の近くにあるパチ屋の廃墟にたまに吸血鬼が出るって噂あるじゃん?」

 

「話変えてきてなんのことかと思ったら……その噂ならデマよ。私、調べたけど出てこなかったもの」

 

 夜空の言葉を聞いて遊人は、

 

「ところがどっこいいるんだよねアソコ。

 ま、放課後辺りにそのワンちゃんどっかに縛り付けてから探してみれば? 

 それじゃ、実はボク他にやりたいことあるからこれにてしつれーい」

 

 と答え、学校とは違う別の道を向かった。

 

「……まさか。アイツだったりするのかな」

 

 遊人がいなくなったタイミングで、夜空はポツリと胸を期待で膨らませたのだった。

 




いやホント暇がない。暇をください職場よ
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