Fate/fake savior   作:桜野 ヒロ

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悪魔の贈り物 1

「マスター、我に何か用であるか?」

 

「あぁ、少し私の用に付き合ってもらおうか」

 

 バエルの手には聖杯が握られており、“陽”のキャスターは何処かきな臭さを感じて拒絶するかどうかを一考……などという余裕は無かった。

 何故ならば、バエルは即座に行動にかかったらであった。

 “陽“のキャスター。彼に拒否権は無い、使い魔は所詮、悪魔に使い潰されてしまう存在であるのだから。

 

「“約束の地、約束の復讐を遂行する為に我は呼ぶ、我は試す、我々は繰り返す。

 憎き人理を焼却する為に、我々は足掻き、もがき、怒り続ける”」

 

「何を───────」

 

 している、と問う前に彼の足元が青白く光り輝く。

 それと同時に、彼の中にナニカが入ってくる。

 そんな不快感と苦痛を感じ、キャスターは叫んだ。

 

「あ、ギャァァァァァァォァァ───────!!」

 

「───────告げる。

 汝の身は我が手網を握り、我が悲願は汝を糧に。

 人理の焼却に従い、この意、この理に屈服せよ」

 

「拘束を此処に。

 我は常世総ての獣と成る者、

 我は常世総ての愛を敷く者。

 汝三大の言霊を纏う七天、

 星々の輪より来たれ、天秤の破壊者よ───────」

 

 光が更に強く輝き、陽のキャスターを取り込む。

 刹那、彼の脳裏には膨大な情報量が与えられた。

 量にして一人の人生程。

 その果てしない情報量を得た成果として彼は───────

 

 理解して姿を、透明へと変化させたのだった。

 

「……進展だな。これで、我が一族の悲願は近付いた」

 

「そして、貴様の強化も終わらせた。

 死なぬだけでは役に立たぬ、そう判断させてもらったぞキャスター」

 

 言いながら、バエルは箱を投げた。

 自身の心臓とも言えるその箱を慌てて受け取った”陽“のキャスターを見下ろしながらバエルが淡々と命じた。

 

「さぁ、透明人間と融合して見せた不死の魔術師リッチーよ。

 今迄の屈辱を晴らすのだ、今のお前ならば何者にも負けんハズだ」

 

 透明人間となった不死の男は優越感に浸り、強い笑みを浮かべたのだった。

 

 

 

 ────────────────────────ー

 

 

 

 

「……まさか、彼女がルーラーとして呼ばれるなんてね。

 因果来たれり、って感じがするよ」

 

 雄大の部屋の中にて。

 彼は、目の前の自身のサーヴァントである”陽“のライダーと共にチェスを嗜んでいた。

 現状としては雄大が圧倒的不利であり、そしてほぼ詰みと言っても過言ではないものであった。

 

「勝ち目は?」

 

「あるさ。その為の人生だったんだよ? 

 ありとあらゆる可能性を、考えうる限り考えてその為の対策も仕込んである。

 後は、聖杯を手に取れるか否かさ」

 

「今夜、奪《と》りに行くので?」

 

「……いや、今夜は使い魔で様子見さ。

 僕《わたし》の予感が正しければ守り手が居るはずだ」

 

「成程、その守り手次第で計画を変える、というわけですね」

 

 そういうことさ、と言い雄大が駒を打つ。

 しかし、ライダーが駒と共に

 

「チェック・メイト」

 

 と言葉を放ち、雄大に終わりを告げた。

 

「負けかぁ」

 

「下手すぎます、どうすればそのように自信満々でいられるので?」

 

「そりゃ、人生経験さ」

 

 ハハハ、と笑みを浮かべながら雄大が駒を片付ける。

 

「期待しているよライダー。

 今日は、暴れるだけ暴れてね」

 

「御意に」

 

 頭を下げて、”陽“のライダーが姿を消す。

 少し時間が経った後に雄大が十字架を握り、目を伏せた。

 

「さぁ……始まりだ。

 奇跡を起こす道程。その工程のね」

 

 そして───────夜が来るのだった。

 

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