Fate/fake savior   作:桜野 ヒロ

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タイトル思い浮かばなかった()


開戦直前《陰陽》

 ──────────────────────────ー

 

 

 

 切翔が遊人の部屋前まで着く。

 扉をノックすると、遊人が怪訝な表情を浮かべながら部屋から出てきた。

 

「……なんか用かよアニキ?」

 

「コレを渡そうと思ってさ。

 お前、あんなもん食わされてて流石に憐れだと思ってな」

 

 手に持っていたバケットを突き出す。

 遊人は目を丸めながらソレを見つめ、切翔に訊ねた。

 

「サンドイッチ?」

 

 切翔が頷く。

 すると、遊人はさらに不気味そうにしながら訊ねるのだった。

 

「なんで? 

 こんなリスキーな事したら、アニキやばい事になりそうだぜ?」

 

「いい、それでも。ただ一人の弟なんだ、それを見殺しになんてできない。

 それにガキの頃、良く喧嘩した時に母さんに口をうるさく言い聞かされたろ? 

 ”兄弟なんだから仲良く、助け合って生きなさい“、ってさ」

 

「……言ってたねぇ、そういえば」

 

 どこか懐かしむように遊人が目を細める。

 

「じゃあさ、アニキ。これは覚えてる? 

 ぶっ潰れたクソみたいな遊園地に親父と一緒に忍び込んでさ、訓練って言いつつも思いっきり遊んでさ」

 

「そういうのもあったなぁ」

 

 切翔の脳裏に浮かび上がる、父と弟、そして自分と母親が仲睦まじくはしゃぐ光景(きおく)

 

「なら良かった。

 覚えてる、兄貴が親父とずっと白い鳩の話してたけど、それを見てた僕が拗ねちゃってさ」

 

「覚えてる。

 その後、お前を宥めるの苦労したよ」

 

 いやーといいながら、遊人は高笑いする。

 

「あの時はホントに餓鬼だったよ。

 ……ま、今もだけどね!!」

 

「そんなことは無いさ。

 まだガキだってんならお前は侍女にモテる筈がねぇからな」

 

「冗談はよせよアニキィ……って、そろそろ時間じゃん。

 じゃ、頑張ってーあとありがとねコレくれてさ」

 

 手を振りながら遊人は扉を閉じる。

 閉まる直前、

 

「遊人」

 

 切翔が呼び止める。

 ピタリと扉を止めて、無言で切翔の言葉を促す。

 

「生き残ろうな」

 

「トーゼンっしょ」

 

 切翔の、力強い声に遊人は同調しながら扉を閉じた。

 切翔が見えない敵の代わりに夜空を睨む。

 夜空は、三日月が神々しく光っていた。

 

 

 

 ────────────────────────────

 

 

 

「……呵々、そうか。切翔はそのようにしていたか」

 

 竹流から報告を聞いた義隆はどこか嬉しそうに笑う。

 その姿に、竹流は疑問と怒りが混ざった感情を抱き、竹流に訊ねるのだった。

 

「……なぜ笑う、親父。

 これは笑い事ではない、明らかな反逆───」

 

「ならば貴様は、ただでさえ雅にほぼ壊滅的にされた戦力を、さらに減らせと申すか? 

 冗談は程々にしろ。

 貴様は感情的になりやすい傾向にある。

 ……その起源、『禁忌』によるものからか? 

 ならば、貴様の起源を自覚させるのは失敗だった。

 もう良い下がれ。

 ……遊人への罰は行おう、なぁ小娘? 

 運が悪かったな。遊人がもうちと大人であればあやつと子を作らせたというのに。

 彼奴の魔獣に関する能力は目を見張るものがあった、そして貴様は私が殺した中でも特に、有力だった魔術師の一人娘。

 呵々、実に惜しかったな」

 

 義隆の笑み。

 それは、数々の死地を乗り越えてきた竹流でさえも思わず怖気付いてしまうほどだった。

 だと言うのに、痣を作っている侍女は臆することなく義隆を睨み返した。

 

「……合格合格。

 さて、それでは貴様はもう下がれ竹流。

 貴様を巻き込む可能性があるやもしれん」

 

 義隆の言葉に、竹流はそそくさと撤退する。

 義隆は、侍女の頭を掴み─────

 

 

 

 ────────────────────────────

 

 

 

 そうして、事が終わった直後。

 義隆はふと、窓際に視線を向ける。

 窓越しに居たソレを見て、義隆は笑った。

 

「……美月家の跡継ぎか? 御苦労」

 

『───あまり、派手な事はしないでもらいたいわね霧島家さん? 

 あんまり酷いと不戦の契りを破って魔術協会へ加担も一考するけど?』

 

 コウモリ越しから淡々と語られる、透き通るような綺麗な声。

 しかし、その綺麗な声に少しだけ混ざっている怒りを義隆は難なく跳ね除け、笑った。

 

「呵々。

 そう憤るな小娘。しかし、判断を違えた。

 貴様には自己強制証明(セルフギアススクロール)に署名させる方が正解だった」

 

『……へぇ、そう』

 

 どこか意地の悪さを感じさせる声音。

 

『私からしたら忘れてる(……)って感じだったけど、お爺ちゃん? 

 まぁ、その歳だものね。認知症になってもおかしくないわ』

 

 続く言葉は、義隆の事を嘲るかのようだった。

 間が開き、義隆は見抜かれ、そして嘲られても不敵に笑いながら切り返した。

 

「……ほう、たった一度のやり取りでこうも勘づかれるとはな。

 中々に鋭い洞察力、流石はこの街の姫君だ。

 とても、先の戦いで想い人を亡くしたとは思わせん気配だ」

 

『っ……!! 

 言うじゃない、この老害』

 

 明確すぎる怒り。それを嬉々として義隆は攻め入る。

 

「どうした、先程の威勢が一気に落ちぶれたな? 

 余程、愛しかったのだろう。だからこそ、貴様は大いに動揺をしたわけだ」

 

『……フン、ホントに気に食わない。

 アンタよりも、ファミリア家の方がまだまだ可愛げがあったわ。

 まぁ、言いたいことは言ったし私はこれで失礼するわ。

 ……これ以上、胸糞悪いモノも見たくないし』

 

 蝙蝠のが飛び立つ。

 その蝙蝠を見送りながら義隆は、

 

「さらば、美月夜空(みづきよぞら)

 次に相見える時は我が手で……」

 

 そう呟くのだった。

 

 

 

 ────────────────────────────

 

 

 

 ───祈りはしない。

 (ぼく)は、あの日の過ちから眉唾なものなど信用しない、するべきでないと学んだから。

 神などいない。

 (ぼく)の結論。それは、正しいのかは分からない。しかし、いるのなら───なぜ、神は彼を見殺しにしたという疑問しか湧かない。

 

「────▉▉▉、準備が出来た。

 お前と私は別行動だが、しっかりやれよ?」

 

 同胞が不意に声を掛ける。

 いつの間にいたのか、それは分からない。

 しかし、いまさら驚くことでも、怒ることでもない。

 

「えぇ、問題はありません。

 いざとなれば私の▉▉▉▉▉で、敵方にはおさらばしてもらいますので」

 

 自然と、頬が緩む。

 なんて、なんて上手く進んでいるのか、そう内心では歓喜しながら。

 正直、令呪が宿るとは思わなかった。

 それもあるが───こんなに心強い味方がいるなんて、微塵も思ってなかった。

 

「……やはり私は運がいい」

 

「ん、眉唾なものは信じないのではないか?」

 

「えぇ、信じてません」

 

 きっぱりと断言して、(ぼく)は言葉を紡ぐ。

 

「しかし、たまにはいいでしょう? 

 こういう、くだらないことで歓喜したい時などに、呟くことくらいは」

 

 どこか、呆気なさげに口を開いた彼はすぐに口を閉じ、笑うように頷いた。

 

「そうか───まぁ、そうだよな。

 たまには、いいんじゃないか?」

 

 彼の言葉に、私は再度、口角を緩ませた。

 




キャラ紹介

霧島竹流
年齢……39
誕生日…7月7日
身長……182cm
魔術属性……『火』
好きなこと……切翔びいき
嫌いなこと……霧島雅、霧島遊人
天敵……霧島雅
起源……『禁忌』

陽のアーチャーのマスターであり、遊人と切翔の伯父。
妹の美華に恋愛感情を抱いていたが当然叶うはずなく、結ばれた雅に対して一方的に敵視している。
しかし、美華に顔つきが似ているという理由で切翔には愛情を注いでいる。
しかし、雅に似ている遊人には憎悪をぶつけている。
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