これからもがんばります。
仙界から帰ってくると、住職たちが心配そうに現れる。やはり、こちらでも5年がたっていた。
その間も他の犬神使いは仙界に行き帰ってきたらしい。契約の儀式において始めて死者が出たのかと仙界に行く人間に手紙を持たせてみたが、帰ってきた返答は「問題ない」という返答だったそうだ。
「ご迷惑をお掛けしました。宗家から連絡がきていまいたか?」
「いえ、こちらから危ないと感じて連絡しましたが、宗家のほうからは『問題ない』としか」
「実際に問題なかったわけですし、ご迷惑をお掛けしました。」
そういうと、荷物をまとめて霊峰をあとにする。
婆ちゃんに挨拶するために5年ぶりに川平本家をおとずれる。
本家には何人か犬神使いが仕事で来ていたらしいが驚いた目をしたかと思うとすぐに冷めた目をする。
すると奥からはけが現れる。
「お帰りなさいませ、啓太様。お久しぶりでございます。」
「ただいま、はけ。婆ちゃんは奥にいる?」
「はい、奥の間にございます、どうぞ。」
そういわれ、はけの先導のもと奥の間に進んでいく。
奥の間に行くとちょうど空いた時間だったのか、婆ちゃんはゲームをしていた。
「御当主様、啓太様がお戻りになりました。」
婆ちゃんはゲームを一時停止して、こちらを振り向く。
「ずいぶんと、ゆっくりしてきたじゃないかい。それでやりたいことは終わったのかい?」
「うん、一応。あとは、霊符の修行をするだけ。」
「そうかい。ただ、お前さんがあっちに行っている間にお前のいとこのカオルって子が東山真君と契約し”天才”と呼ばれておるよ。」
「ふうん、そ。」
「あまり、気にしていないようだね。まぁいいさ。それだけ力を内に秘め、隠せるのならあたしより強いのは明白じゃろう。」
絶で念を隠し、霊力を抑え気を内に隠しているのに見抜かれた。そのことに、少し驚きながらも
「まぁ、天才がいるのなら俺が当主になる可能性はないわけだし、仙界から帰ってくるのが遅かったのも契約してくれる仙人がいなかったと考えれば、納得はできるからね。それにしてもよくわかったね、俺が強くなったって。今の俺って一般人以下にしか感じられないはずだけど?」
「強者はどこか共通してどこか違う雰囲気を纏っている。覚えとくとええ。」
「勉強になりました、それでは・・・。」
ひとこと挨拶をして退出する。はけは婆ちゃんのところに残ったようで一人で帰る。正直、これ以上本家にいたくはないが、試験等があるため帰れない。
あてがわれた部屋にむかっていると、廊下の向こうからひとりの同じくらいの中性的な顔立ちをした人が歩いてくる。歩き方から察するに男だろう。
向こうもこちらに気が付いたのか軽く会釈しながら挨拶してくる。
「こんにちは。もしかして君が御当主様の孫の啓太さんですか?僕の名前は川平カオルといいます。あなたとは従兄弟になりますね、これからどうぞよろしく。」
そういって、手をさしだしてくる。正直原作を知っているので男であると感じた時点でおかしいと思ったが、すでに自分が仙界に長居したところから原作は崩壊しているので大筋くらいしかあてにならないと思っていたので問題はない。問題があるとするなら、
カオルの中から禍々しい別の気配を感じること。
おそらく、原作に出てきた邪星だろうと思う。なぜそんなふうになったのかはわからないが、おそらくほかの転生者だろうと思う。ま、他人は他人。あまり気にしないようにする。
「よろしく。」
挨拶をすませ、試験の時間まで時間があるからすこし裏山の近くに行くことにした。裏山には犬神達が住んでいて、13歳になると犬神使いになる子供は裏山に入り『犬神選抜の儀』を行い、自分犬神がきまる。俺はまだその年ではないし、近くにいくだけでとどめておく。
霊峰からの帰りに偶然寄り道したケーキ屋でおいしそうなチョコレートケーキがあったので買っておいたのだ。ちょうど、霊峰の近くに来た時にいい具合の木陰を見つけたのでそこに座る。
食べようと思い箱を開けたとき、ガサガサと目の前の茂みが揺れる。ここに来るときに円を使っていなかったが、それでも大きな気配がしないので野生の動物だろうと思って動かずにいると茂みから出てきたのは1匹のキツネだった。
出てきたキツネはこちらを威嚇してくる。しかしおれは何もする気がなかったので、少し微笑み手を差し伸べながら
「大丈夫、怖くない。」
と声をかける。
するとゆっくり近づいてきたキツネが手のそばに来たと思ったらいきなり噛みついてきた。
いきなりのことだったが咄嗟に硬を使ったので軽く歯が手に刺さり血が滴る程度でとまる。
そのままの状態で反対の手を伸ばし、キツネの頭をなでながら
「大丈夫、怖くない。怖くない。」
と繰り返す。
するとキツネは手を噛みながら上目づかいでこちらを見る。少し見つめるれるとキツネは手を放し傷ついた手をなめる。
「かみついたのは別に気にしていないし、そんなに気にしていない。大丈夫、大丈夫」
そういって、頭をなでる。
「そうだ。一人で食べても味気ないし一緒に食べようか。」
そういって、持っていたチョコレートケーキを割って掌に載せ、キツネの顔の前にもっていく。少し匂いを嗅いだ後一口食べて、おいしかったのかのこりもがつがつと食べていく。よほどおいしかったなか手に残ったクリームもなめとる。
そろそろ時間になりそうなので、片づけて立ち上がる。
「そろそろ時間だ、またな。」
そういうと、少し悲しそうな眼をする。
「いつかまた会えるさ、俺は川平啓太。」
そういうと俺は試験に向かった。
試験会場に到着すると、試験官と思われる犬神使いとほかの受験生と思われる同じくらいの年の子達がいた。
試験官が集まった子供に向けて話し始めた。
「それではこれより、試験を開始します。試験は口頭、実技の2つです。名前を呼ばれたら奥に進み試験官と二人で試験します。その試験終了後、そのまま実技に入るので中庭に移動して霊符による攻撃をみます。それが終われば終了ですが今回の試験の主な目的は仙界から帰ってきた子達の実力の確認と同世代の顔合わせなので終了後も残っておいてください。それでは始めます。」
そういうと試験が始まる。結局俺は最後に呼ばれ部屋に入る。
部屋に入ると試験官が座っていたのでその前にある椅子に腰かける。
「ふつうは試験官いわれてから座るのだが・・・まぁいい。それでは、試験を開始します。ではまずあなたが契約したとされる仙人の名前を教えてください。」
「カエルの仙人の白山名君」
実はもう一人の仙人とも契約しているが嘘は言っていない。
「それでは、霊的存在と対したときどのようにしますか?」
「犬神と連携しながら霊符とばして戦う。」
「・・・おおざっぱですが、間違いはいってないのでよしとしましょう。それでは実技に移るので中庭に移動してください。」
そう声をかけられて中庭に移動する。中庭には大きな岩が置いてありそれに向けて攻撃するようだ。
正直どうでもよかったので軽く流すかんじで攻撃すると力が乗っておらず岩に焦げ目も残すことなく終わった。
まわりがざわざわとしてきたが終わったのを見ていた試験官がみんなに
「これで今回の試験を終わります。まわりのみんなに負けないように頑張りましょう。それでは解散。」
そういうとさっさと帰って行った。まわりが集まってグループを作っている中ひとりで帰ろうとしていると、周りから小声で
「あの人の符術なんか弱かったね」とか、「あの人契約いてもらうのに5年かかったらしいよ」とか
声が聞こえてくる。
予想はしていたけどこれで落ちこぼれの烙印をおされたかな。どうせみんなの前では修練できないし、落ちこぼれなのは変わらないだろう。
修行を続け13歳になる。
いよいよ『犬神選抜の儀』が始まる。
ようことも会ってないし落ちこぼれといわれているし原作どおりつく犬神はいないだろう。
わかる人にはわかると思います。
啓太につく犬神の予定は、
ようこ
なでしこ
ごきょうや
オリキャラ(はけの姉)
の予定です。