ダイヤちゃんはデートに誘いたい !   作:fantasia@pixiv共用

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ダイヤちゃんはデートに誘いたい 2

私はベットから起き上がると、外で待つ執事さんに「少ししたら行きます。それまでお願いしますね」と伝えます。

執事さんが「畏まりました」と告げて、足音が遠ざかると私は思わず頭を抱えてしまいました。

 

え!?なんでトレーナーさんが私の家に!?

 

当然の疑問です。

約束した記憶もなく、まして昨日デート断られて私が一方的にトレーナー室から出て行ってそれきりでしたから。

 

ま、まさか........。

 

私は一番最悪な事が脳裏を過ぎります。

少し背中に嫌な汗が流れます。

 

今までずっとデートに誘い続けていた事を両親に告げる気なの!?

 

私は頭を抱えてあうあうと唸ってしまいます。

私の両親は厳格な方で、未成年がそういう行為をする事を嫌う方でした。

 

もし両親に告げられたら........トレーナー契約解除させられちゃう........。

 

私は昨日の自分を捕まえてひっぱ叩きたい衝動に駆られました。

でも、過去の私に当たっても今の状況が変わるなんて事はありません。

私は少し深い溜息をつくと、もう謝るしかないと覚悟を決めてベットから降りました。

 

とりあえず着替えと身だしなみですね。

 

私はそう決めてクローゼットに近付き、中から白のワンピースを取り出しました。

胸元に私の名前と同じ小さなダイヤモンドが鎮座しているシンプルなデザインのワンピースです。

私はパジャマをゆっくり脱ぐと、ワンピースを着てパジャマを畳みベットの上に。

 

その足で部屋の片隅に置いてある大きい鏡台の扉を開けて、椅子に座り鏡に映し出される自分の姿を確認。

 

........髪ボサボサですね........。

 

私は見たくなかった今の自分の姿に少し落ち込みましたが、気を取り直して鏡台からヘアブラシを取り出し髪を梳いていきます。

最初は引っ掛かりがありましたか、何回か梳いていると引っ掛かりが無くなり絹のようにさらさらになります。これで大丈夫!

そのままヘアブラシを戻して、ヘアオイルを手に取り髪に馴染ませていきます。

香りが少し甘くて、私のお気に入りのオイルです。これでOK。

 

髪が終わると、次は顔です。

色々な角度から確認してみましたが、特に問題ないようです。ふぅ。

最後に笑顔の練習。ニコッと笑顔を作り、自然な笑顔がチェックします。何回か繰り返していつもと同じ事を確認するとホッと安心します。

香水を手首と首筋に軽くつけて、これで終わり。

最後に全体的にチェックして、大丈夫な事を確認すると扉をゆっくり開けて部屋から出て行きました。

 

........うぅ........緊張します........。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

私は応接室のドアの前で少し迷っていました。

身だしなみ本当に大丈夫か、とか些細な事が気になりすぎて部屋に一回戻ろうか悩んでしまいます。

でも、15分位待たせていますしこれ以上待たせるのは心苦しいのも確かで。

私はもう入るしかないと決めると、軽く深呼吸して気持ちを落ち着けます。ふぅ。

 

ドアを軽く数回ノックして「ダイヤです。入りますね」と中の人に告げるとゆっくりドアノブに手をかけて押しました。

少し伏し目がちにして、ドアを半分位開くと私の視界の端に応接室のカーペットが入ります。

私の視界にカーペットが映し出されたという事は、中にいる執事さんとトレーナーさんからは私の姿が全て見えている訳です。

気付きたくなかった事に気付いてしまい、胸の高鳴りが少し早くなります。

 

私の姿........変じゃないですよね........?

一抹の不安を感じながら、私は意を決してゆっくり顔を上げました。

私の視界がゆっくり変わっていき、中にいる二人の姿を映し出します。

一人は歓待の為に紅茶を入れている執事さん。

もう一人はその横のソファに腰かけて、私の方を見ているトレーナーさん。

 

........え?

 

私はトレーナーさんの姿に違和感を覚えました。

いつもと違う服装をしていたからです。

そう、初めて見るスーツ姿のトレーナーさんでした。

首元にネクタイを巻き、ジャケットを着て。

今までジャージ姿しか見たこと無かった私は、その清潔感溢れる姿にしばらく見蕩れてしまいました。

 

トレーナーさん........かっこいいです........。

 

私はハッと我に返ると、執事さんが私を見て苦笑していました。

幸いトレーナーさんは、執事さんの方を向いていて気付いていないようでホッとします。危ない危ない。

私は気を落ちつけると、後ろ手にゆっくりドアを閉めてトレーナーさんの対面にあるソファに歩いていきました。

 

ふかふかなカーペットは私の足音を消して、一歩近付く度に高鳴る胸の音が漏れるのでは、と少し不安になります。

それでも近付かないと話にならないので、一歩一歩歩いていきます。

私の視界の端で執事さんが紅茶をティーカップに注いでいます。

コポコポと小さく聞こえてくる音と共に、仄かに紅茶の香りが溢れて私の緊張を少し解してくれます。

その香りを鼻腔に感じながら、私はゆっくりソファに腰かけました。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

うぅ........気まずいです........。

 

私とトレーナーさんの紅茶を入れ終わり、配り終えると執事さんは「私はこれで失礼致しますね。ごゆっくりお寛ぎくださいませ」と会釈し、部屋から出て行きました。

それから数分。

私とトレーナーさんはお互いの紅茶に口をつけますが、無言のまま。

私はこの無言の空気が怖くなりました。

 

トレーナーさん........まだ怒ってるのでしょうか........?

 

私はチラチラとトレーナーさんの方を見て、その様子から内心を探ろうとしますが全然解りません。

涼しい顔で紅茶を口にするトレーナーさん。

ティーカップの下から覗く喉仏が動いて、何か胸がドキドキしてしまいます。

 

「ダイヤ」

 

「は、はい!?」

 

いきなり声をかけられて変な声が出ます。

もう、私の頭の中は真っ白になってあわあわするしかありません。

 

「と、とりあえず落ち着け。別に怒りに来た訳じゃない」

 

トレーナーさんはティーカップをゆっくりソーサーに置き、苦笑いしています。

うぅ........トレーナーさんがいきなり声かけるからですよ........と愚痴りたくなりますが我慢します。

 

「昨日、というか今まで済まなかったな」

 

「え?」

 

謝るのは私の方なのに、何でトレーナーさんが謝るんでしょうか?

私の中にハテナマークが浮かび上がります。

 

「いや........ダイヤの気持ち考えずにデート断り続けてさ」

 

なるほど。

でも、規則で駄目なのですから仕方ないですよ。

私はそんなトレーナーさんの気遣いに少し微笑みます。

 

「私は大丈夫ですよ。規則なんですから。私の方こそごめんなさい」

 

私は頭を下げて謝罪します。

非があるならちゃんと謝りなさい、と両親の教えです。

 

「いや、頭上げてくれ。気にしてないから」

 

トレーナーさんは手をぱたぱた振りながら大丈夫だと言ってきます。

でも、ちゃんと謝らないと駄目なのです。

私は頭を上げると、トレーナーさんと目が合って二人で少し笑ってしまいました。

何か凄くほっこりします。

こんな時間がずっと続けばいいのに、と思ってしまいます。

 

「それで、だ」

 

「はい?」

 

「昨日あれから理事長の所に行って許可貰ってきたんだ」

 

「え?」

 

許可?何の許可なんでしょうか?

私は頭を傾げると、そんな私を見て微笑みながら────

 

「許可貰ったし、今日これからデートに行くぞ」

 

「........えぇぇぇぇ!?」

 

トレーナーさんの予想外な言葉に、私は思わず部屋に響く声を上げてしまいました。

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