自分をTASだと思ってる精神異常者の話。 作:名無しの権左衛門
「俺、TASさんになったかもしれん」
「お前、頭おかしぃなったんか?」
早朝。俺は友人に、TASさんになったことを告げた。
普通だったらおかしいかもしれない。
いや、実際にそんなこと言われたら、心の距離が離れるだろう。
仕方ないだろう?
実際にそうなんだからさ。
実は昨日砂浜で寝転がって、腹筋3回と寝返り2回と背筋7回からバク宙1回したら地面に
潜ったんだ。
この地面に潜るって云うのは、地面を物理的に掘って進むやつじゃないんだ。
ゲームのY=0の地面より下に座標が移動して、そのままX軸移動するような事をした。
俺はびっくりした。
そのまま歩いて移動すると、水中さえ地上と同じように呼吸して散策できたんだよ!
しかもジャンプしても何にもならない。
でも寝返りうったら溺れたから、すぐに泳いで帰ったよ。
「夢遊病か?」
「そんなわけないだろ!?」
この後友人と一緒に宿題をしながら、鉛筆を転がして回答を解いていった。
「せこ!? ってか、模範解答があってる!」
「ふはははは! これぞTASの神髄!」
「てか、TASなら、もっと乱数調整してみろよ」
「なら何がいい?」
そういえば乱数調整してなかったわ!
「えーと、じゃあこのニュースの株価下げてくれよ」
「えー、株価さげてどうすんの」
「買う。で、上げてもらって売る」
「よくわからんけど、やってみるわ」
うーん、TASさんなら乱数調整はお手の物だろ!
そういうわけで、じーっとみて下がれ~と念じていると
なんか緊急速報で株価が大暴落したらしい。
そして友人が、G7とか有名どころの株を購入。
この購入確定した瞬間に、気を抜くと元の水準に戻っていった。
面白いぐらいに動くなぁ。
「まさか1分で最安値の3900にまで落ちるなんてな!」
「今は18,989にまで戻ったからいいものの、世界経済を遊ぶのはよくないと思うなあ」
「まあまあ。でも、これで購入した全株の4分の1を売り払って……
総資金30億!!」
「いいなぁ」
「ちゃんとお前の分も投資したから大丈夫だって!」
なんかちゃっかり俺の分の口座も開設されていて、勝手に取引されていた。
わけわかんない。
「もっと乱数調整するか?」
「どういうのにしようか?」
「明日の降水確率を100%にしてくれよ」
「はあ? 明日お前は合宿行くらしいけど、俺には関係ないことじゃんか」
「お願いだよ~」
俺はこの後空に願を飛ばしていたけど、目が疲れたから寝た。
それと帰ってくるときに、故障率や運動関係の100%を99%にしたり0%を100%にしたり、
色々といじくりながら自転車で友人の家より帰ってきた。
帰ってきたら、バイクを自分の目の前に置くのと同時に、家の壁の方に背を向けておく。
そして自転車を置いたら、そのまま飛び上がりつつ後ろへ下がる。
するとどういうわけか、家の壁の中へ入ってしまったではないか!?
まあ玄関を通ることがないし、鍵も必要ないから重宝するね。
床が汚れるのが辛い所。
片付けたらまずはゲームをする。
実はだね。今先ほど見つけたことがあるんだ。
それはゲームの世界に潜り込めるということさ!
<君は何を言ってるの?>
「いやいやこっちの話さ」
今ポケモンの救助隊をやっているんだ。
そう、赤だ。
TASさんになる前に、逃亡直前までやってたんだ。
それでTASさんになって、乱数調整をして暴れてやろうと目を閉じて集中していると
いつの間にかミズゴロウになって相棒のピカチュウといた。
これはもう驚いたね。
どうすれば戻れるのかパニックになったけど、りんごがうまくてそんなことも忘れたわ。
「どろかけ!」
<凄い! 急所にあたってる!>
逃亡生活は長きにわたった気がするけれど、ゲーム感覚だからそこまで永いと思うことはなかった。
ただ敵の攻撃を受けるときに、その攻撃に集中して回避できるように行動するのが
難しかった。乱数調整が自分または相手に干渉する技術として使える。
おかげで乱数調整のやりかたがだんだんわかってきたし、
何なら俺がゲーム以上のこの現実で彼らより上回る行動ができる。
「話を聞かない奴は、連結業を食らうがいい!」
<ファイアーが倒れた!?>
そこからアブソルが仲間になって、フリーザーを圧倒したりシナリオ通りにやっていく。
俺がやるのは、敵とあまり遭遇しないようにするのと階段を見つけることだ。
頑張って念力を送ると、降りた先かすぐ隣に階段が来る。
そしてダンジョンを駆け抜けて、色々と助けてもらってグラードンを倒して
レックウザを倒した。
さすがに3時間は経過している感覚がしたので、そのままログアウトしようとした。
<ちょ!? ミズゴロウどこいくの!?>
「どこって、帰るんだけど」
<ボク達救助隊なんだよ? どこに帰るっていうんだよ!>
「?? え、あー人間の世界かな」
<は!?>
お、意識が変になって……。
「俺はもう突っ込まねえぞ。てゆーか、TASさんの力超えてるだろ」
「いやー、すまんすまん」
<この人だれ?>
「俺の友人だよ」
つまりだ、2Dドットが3Dになったピカチュウがこっちの世界に来ちゃったのだ。
この後送り返すことに成功したんだけど、ゲーム内の表記がおかしくなったのもあって
たまにはこっちに来させるようにしたんだ。
「ようつべをやってみないか?」
「億万長者になったのに、まだまだ人気になりたいんだな?」
俺は友人の∞の欲望にあきれるばかりだったが、
こいつはこいつで裏の事をちゃんと教えてくれる。
だから安心できるんだよなぁ。プライバシーとか他の人の安全に関しては、
色々度外視されるけど。
「他の奴連れてこれないのか?」
<ええ!? ボク以外のポケモン連れてくるのお? 嫌だよ!>
「わかった、ちょっと試してみよう」
<んー、ミズゴロウが言うなら>
「ついでにお前も連れていってやろうか?」
結論から言うと、友人をゲームの世界に連れていくことはできなかったし、
ゲームの存在をこっちに連れてくるのは1匹までだった。
これでピカチュウの機嫌が直った。
<ミズゴロウの世界ってどんなのか見てみたいなあ>
「よし、行こうか」
「いやいや、まずくないか!?」
「ロボットっていえばいいじゃん」
「あ、そういうことか」
俺は友人とピカチュウと抱えて、速度をためた後飛んだ。
「<うわああああああああああああ!!!!!>」
「ひゃっほおおおおお!!!」
「着地は!?」
「乱数調整で、衝撃を無くすぞ!」
<天空の塔より怖いよ!?>
俺は友人と一緒にピカチュウを人間の世界で共に遊んで、
偶に子供たちと遊んだりして過ごした。
流石にピカチュウを撮影させるのはやめさせたけど。
つーか、肖像権に関してちゃんとマナーとか守れよな。
ここらへんちゃんと教えないのはどうかと思う。
「他人の所有物なんだから勝手に撮るのは違法だぞ?」
「なんで? べつにいいじゃん」
「じゃあお前の家を撮って、”俺のペットを無断撮影した奴の家です”ってネット上で
ばらすからな」
「? それの何が悪いの?」
これに友人はあきれたので、俺もいっしょに悪ふざけしてやった。
乱数調整を行って、いろんな人がこの記事を見る確率を100%にしたんだ。
すると出るわ出るわ色んな批判が。
そして数日でどこかに引っ越したようだ。
あーあ。
教えるより体で覚えた方が早いっていうけど、これはやりすぎちゃったかな。
「というわけで、面倒だからって行動に移すのはやめようか」
「おう」
<人間の世界って結構不自由なんだね>
「自由にはそれ相応の責任がついてまとうんだよ」
俺は友人とスマブラで遊びながら、ピカチュウと今回の事について話し合ったんだ。
制約とか決まりごとがないと、何でもありになっちゃうからなあ。
これもこれで仕方ないかな。