―ロンドン:ビック・ベン―
「ッ…なんだっ…この白いドラゴンは…!?」
赤いジャケットの青年、遊城十代は自身の精霊であるネオスを壁に襲撃をいなしていた。自身もよく知るサイバー・エンド・ドラゴンにレインボー・ドラゴンを操る男。後者に至っては世界に一枚だけ、親友のヨハンしか持たないカードのはずだった。
だが、そこにさらに新たなモンスターが加わった。
『ますたぁ…どこぉ…』
「子供の声…あのドラゴンか!?」
幼さの残る声、そして泣き出しそうな言葉に十代は苦虫を噛んだように男を睨んだ。
「お前、そのドラゴンはどうしたんだっ!?」
「ふん、これから消えゆく貴様には関係のない。遊城十代、貴様はここで消去させてもらう。シューティング・ソニック!!」
聞いたことのない名での攻撃宣言は白いドラゴンのだとすぐに理解した。
『にげてぇぇぇぇぇぇ!!』
「ッ!!」
一瞬、反応が遅れネオスに攻撃が直撃した。白銀の光線にネオスが耐えているが、それも時間の問題だった。
「ネオスッ!!」
『ぬおおおお!!』
そして、ネオスの壁を突破して光線が十代に襲い掛かった。
「うわあああああああああ!!!」
ネオスが威力を殺していたとは言え、吹き飛ばされた十代は壁との激突の衝撃が襲い掛かった。
「ッ…クッ…」
『やだ、もうやだぁ…』
そして、空に向けていた光線が再び十代に向かい始めた。
『おねがい、やめてぇ!!』
白銀の龍の言葉も虚しく、操られているのか、その光線は十代へと向かった。だが、ネオスは既に防御を行うこともままならず、ほかのカードを使う精神力も十代には残されてなかった。
『――――――――――――――――――――――――――――』
「!?」
「なに!?」
ここまでか、そう思っていた十代の目の前に赤い炎の龍が横切った。そして、光線を遮って十代を守ったのだ。だが、この龍には見覚えがないしモンスターにも見えない。
そして、その龍のあとに赤いバイクのようなものに乗った誰かがやってきた。
「スターダスト・ドラゴン!?」
『ますたぁ!!』
バイクに乗っていた青年――遊星はスターダストが実体化してることに驚いていた。十代も、その遊星がスターダストのマスターであることを理解した。なぜ元々の持ち主である遊星のもとを離れて男の手に落ちたのかわからないが、味方だというのはわかった。
「不動遊星、私を追って時をこえたのか…邪魔が入ったな。十代、君の相手はここまでだ」
『ますたー!! 助け――』
スターダストをカードに戻して、男は巨大なバイクに跨ると颯爽と走り出した。ビックベンの壁から飛び出すと、光りだして消えた。
一夜明け、ビックベンには大きな爪痕が残っていた。幸いなことに数日前から実体化するモンスターの襲撃で一体は閉鎖されていたため、ここには十代と遊星しかいなかった。
「なるほどね…」
事のあらましを聞いた十代は納得していた。サイバー・エンドやレインボー・ドラゴンはともかく、あのスターダスト・ドラゴンについて全く知らないのはそれが理由だろうとわかった。
「信じてもらえないでしょうが…」
「俺は信じるぜ、時を超えるなんて無茶苦茶ワクワクする話じゃねぇか! あ、えっと…」
そこで十代と遊星は互いに自己紹介をしてないことに気づいた。
「俺の名は不動遊星」
「俺は遊城十代、よろしくな、遊星! ところで気になってたんだが、あれは未来のデュエルディスクか?」
そこにあるのは遊星号と名付けられた遊星の愛車である赤いDホイールだ。
十代のテーマカラーも赤であるため、その外見やデザインが気に入ったようだ。
『乗ってみたいんだな~、十代君は』
彼に声をかけたのは若い細身の男性と悪魔族のモンスターらしき精霊だった。
「急に現れるなって、遊星が驚くだろ?」
『僕たちを見たぐらいじゃ驚かないさ。それにあの白銀のドラゴン…彼の精霊なんだからさ』
その言葉に遊星は顔に影を落とした。それに気づいたのは十代だった。
「…大切なんだな、あのドラゴン」
「……スターダスト・ドラゴンは…俺の父が作り出したカードなんです。モーメントと呼ばれる装置の制御するため鍵の一つ…『安全装置』の役割を担っていたのはスターダストだったから、デュエル以外で他人を傷つけるのを嫌っているんです」
ここに駆けつけたとき、スターダストは操られていたとは言え十代を襲っていた。シグナーの龍の中で一番優しい性格をしてるスターダストがそれに負い目を感じて、自分を追い詰めているかもしれないのだ。
「わかるさ、俺に攻撃を仕掛けるとき…泣いてたんだ。傷づけたくないって。デュエルモンスターズの精霊を多く見てきて、あそこまで優しい奴は見たことないよ」
「…俺はスターダストを取り返さなきゃならない…そうしないと、あの男は俺の街を、いや、俺の住む世界が滅びてしまう…十代さん、力を貸してください!!」
「もちろん、こんな目に遭わされて引き下がってられるかっての!」
十代が遊星の手伝いをしてくれるとなったが、問題はあの男がどこに向かったかだ。謎の力で過去に向かった可能性が高いがそれがどこなのか、誰を狙っているのかわからない。
「奴が過去で何をかしでかすなら、今の世界の記録が歪んでしまう。その記録を調べれば…」
「なるほど」
―時空の歪―
まるで宇宙のような空間のなか、白い大型のDホイールで駆ける男のデッキの中、一人スターダストは泣いていた。
『もうやだよ…帰して…ますたぁの元に…』
「できないな。貴様には私の駒として動いてもらう」
『なんで…なんでみんなを苦しめるの…? ぼくたちが何をしたの…?』
その言葉に仮面の男はギリッと奥歯を噛み締めた。『無知とは罪』それは誰が言った言葉だろうか。ソクラテス、ヒトラー、それとも孔子だったか。
「やはり、今も昔も貴様は変わらないな…」
『…え?』
はい、少しオリジナルの部分を含めてscene2でした。もしも精霊のスターダストが結構優しい性格で十代に襲いかかるとしたらこうなってただろうな~と思って出来た話です。
それと旅の中で十代も多くの精霊を見ているだろうなと。映画の中でもう少しユベルや大徳寺と遊星の絡みを見たかったな…
後半のパラドックスの部分は今後のある展開のためのフラグですね。それと次元の歪に関しては完全にイメージです。流石にタイムワープした瞬間に目的地につくとは思えないので…まあ、ドラ○もんのタイムマシーンみたいなものだと思ってください。