ドラえもん ゴルシちゃんと未来改編 作:ゴルシ未来人
時は21世紀の未来。1人の芦毛のウマ娘が古ぼけたアルバムを捲っていた。アルバムの写真は大事に保管されていたとは言え、色ボケており嘗ての鮮やかな色素は喪っている。時の流れは残酷だろう。元に戻そうとしても、秘密道具を使う以外では戻せない。何故なら、この年代の写真は基本的にデータ状の物が主流であり、それは書物も同じだ。紙の写真や本は時代遅れも良いところであり、写真屋に持っていっても対応してくれない。それどころか「自分の秘密道具でなんとかしてくれ」と帰される始末だ。
「これがお婆ちゃんの若い頃ね」
写真に写る芦毛のウマ娘を見て、長身のウマ娘がそう言った。彼女の名前はゴールドシップ。クラシック二冠、有馬記念、天皇賞(春)、史上初の宝塚記念二連覇を果たした優秀なウマ娘だ。
写真に写るのはゴールドシップの祖母であり、チームスピカというチームに所属していたメジロマックイーンというウマ娘だ。メジロ家と呼ばれる貴族のような一族の出身であるが、ゴールドシップが生まれる前にメジロ家は衰退してしまったそうだ。だが、別にゴールドシップはメジロ家が滅んでしまっても思うことは少ない。別に貧乏ではないし、家族には恵まれたし、なにより普通になに不自由なく育った。2度の火山の噴火とかの影響で衰退してしまったそうだが、それはゴールドシップが生まれる前の話でありゴルシには関係ない。
「ゴルシちゃん。またアルバム見てるの?」
そんな声が後ろから聞こえてきた。声の主の方を向いたゴールドシップだが、そこには青色でまん丸とした3頭身程のタヌキ…いや猫型ロボットが立っていたのだ。
「別に良いだろ、ドラえもん。これしかお婆ちゃんの写真は無いんだからよ」
そのロボットはドラえもん。猫型ロボットであり、未来では感情を持ったロボットが人々と共に暮らしている。そんなドラえもんはゴールドシップが幼い頃から一緒に暮らしている家族である。
「ゴルシちゃんはさ…マックイーンさんのチームメイトに会いたい?」
「会いたいけど…皆、結構歳だろ?早死にしたお婆ちゃんは兎も角、皆…還暦越えてるだろ。当時のトレーナーなんて、間違いなくヨボヨボのお爺さんだぞ」
メジロマックイーンはゴールドシップが生まれる前に亡くなったそうだ。しかし、マックイーンの嘗てのチームメイトは生きている人がそこそこいる。とは言え、流石にマックイーンのトレーナーはヨボヨボのお爺さんだと思われるが。
「実はさ…1人、アポが取れたんだ!!行こう、ゴルシちゃん!!」
ドラえもんはそう言うなり、お腹の四次元ポケットからピンク色の扉を出した。この扉は「どこでもドア」。これを使えば、ブラジルだろうか南極だろうが何処でも瞬時に行けるのだ。
「ドラえもん。何処に行くんだよ」
「北海道さ!そこに、嘗て日本総大将と呼ばれた凄い人が居るんだよ!!」
日本総大将。その異名を聞いて、ゴールドシップはアルバムの写真を見る。たしか、日本総大将と呼ばれたのはマックイーンの先輩であるスペシャルウィークというウマ娘だったからだ。
北海道。どこでもドアをくぐり、ドラえもんとゴールドシップがやって来たのは北海道の田舎だった。自然豊かで、ゴールドシップが普段から暮らす東京と異なり、自然が残っており人口密度もそこまでない。
「君がマックイーンさんのお孫さんですね?私はスペシャルウィークです」
そこには還暦を越えてるとは言え、40代程の美貌を未だ保つ1人のウマ娘が2人を待っていた。彼女はスペシャルウィーク、マックイーンと同じチームに所属していたウマ娘であり現在は現役を引退して北海道でのんびりと過ごしているのだ。
「はい、ゴールドシップです」
「僕、ドラえもんです」
「ドラえもんとゴールドシップさんですね。はい、宜しくお願いします」
「今日はお話、ありがとございます」
「此方こそ。頑張ってね」
スペシャルウィークとの話を終えて、ゴールドシップとドラえもんは帰ろうとする。その時だった、ゴールドシップは何かに気付いた。
それは玄関にスペシャルウィークと良く似た女性のウマ娘と男性ウマ娘の結婚式の写真があったのだ。男性のウマ娘なんて本当に実在していたのか、存在すらも都市伝説扱いだった為にゴールドシップは驚く。しかし、中性的な顔立ちをしている。
「えっ!?男のウマ娘!?」
ウマ娘は全て女性だ。少なくとも日本で競技していたウマ娘は誰の例外もなく、女性だった筈だ。男のウマ娘がデビューしたら、それこそ大ニュースに成ってしまうだろう。
「あっ、その人は私のお父ちゃんだよ」
その男性のウマ娘はスペシャルウィークの父親だったそうだ。だが、ゴールドシップは男性ウマ娘が日本で活躍したなんて話を聞いたことがない。だとすれば、海外の人なのだろう。
「この人はサンデーサイレンス。アメリカの凄い競技者だったけど…差別意識の残るアメリカで酷い差別を受けたらしいの。私も詳しいことは知らないけど、アメリカで殿堂入りされるほど凄い人で…日本で私のお母ちゃんと出会って結婚したの」
スペシャルウィークの父親はサンデーサイレンス。アメリカの殿堂入りを果たす程、凄い競技者だった。しかし、スペシャルウィークは父親の事をあんまり知らない。と言うのも…
「私のお父ちゃんは私が産まれる前に心臓の病気で亡くなったの。私が産まれて直ぐ、お母ちゃんも後を追うように病気で亡くなったの」
だが、サンデーサイレンスはスペシャルウィークが産まれる前に心臓の病で死去。その後、後を追うようにスペシャルウィークの母親も亡くなってしまったのだ。
「そうだったんですか…」
「うん。私も卒業する時に、お父ちゃんの教え子である私のトレーナーさんから聞いた事しか分からないけどね。それまで、私はお父ちゃんの名前すらも知らなかったし…知ろうともしなかったの。ごめんね…お父ちゃん」
何処か悲しそうにスペシャルウィークはそう言った。
翌日。
「ドラえもん!!やっぱり、アタシはお婆ちゃんに会いに行くぞ!!タイムマシン借りるぜ!!」
「待ってよ、ゴルシちゃん!!」
この時代にはタイムマシンという未来や過去に行き来出来る便利な乗り物が存在している。そのタイムマシンを使い、ゴールドシップはメジロマックイーンが現役だった過去に飛ぼうとする。だが、操作を誤ったゴルシとドラえもんを乗せたタイムマシンは……
「あっ、時代ミスっちまった!!てへぺろ」
「てへぺろじゃないよ!!」
誤った時代に来てしまい、更に運が悪いことにタイムマシンが故障してしまった。これでは直ぐにマックイーンの時代に帰れない。だが、マックイーンの時代からそこまで大昔…という訳ではないようだ。テレビは有るし、ガラケーだが携帯電話は実用されている。
「ドラえもん…ココドコ?」
「多分…2000年代初頭かな?マックイーンさんが産まれる前だと思うけど」
ゴールドシップとドラえもんが流れ着いたのは、恐らく2000年代初頭の時代。その上、此処は学舎のようだ。ウマ娘がトレーニングするための芝生のコース、土のダートコース、木片を敷き詰めたトレーニングコースと言った数々の設備が整っている。大きな校舎に体育館、運動場もありこれは何処から見ても学校だ。練習用コースには体操服に身を包んだウマ娘達が練習しており、これは間違いなく…
「此処って…昔のトレセン学園か!?」
そう、此処は2000年代初頭のトレセン学園だったのだ。しかも祖母が産まれる前のトレセン学園であり、そこにやって来てしまった。肝心の祖母は居ないし、直ぐに帰ろうとしてもタイムマシンは壊れているから直ぐには戻れない。
「どうする?ドラえもん」
「あっ、人が来る!!仕方がない!!タイム風呂敷!!」
ドラえもんは四次元ポケットから取り出した秘密道具…時計の模様が幾つも描かれたタイム風呂敷をゴールドシップに被せる。すると、ゴールドシップは芦毛から…栗毛の幼いウマ娘に成ってしまった。
「ドラえもん!?」
「これなら、迷い混んだ子供って誤魔化せるから!!」
確かにドラえもんの言葉は一理ある。見知らぬ女性ゴールドシップがトレセン学園に不法侵入した事実は間違いなく…裁かれる。だが、幼子ゴールドシップが迷い混んだならまあ、裁かれることはなく注意で終わるだろう。
「サンデー先生!!次のトレーニングは?」
「焦るな、焦るなこのミジンコ。トキノミノル、お前は皐月賞が控えてるだろ」
すると…ドラえもんの言う通り人がやって来た。1人は中学三年生…ジュニアCクラスのウマ娘だ。
そして…もう1人はスーツを纏ったスペシャルウィークの父親 サンデーサイレンスの生前の姿だった。
「おい、そこの青タヌキ、ガキンチョ。見学か?親御さんが心配すんぞ」
サンデーサイレンス。ドラえもんと幼女に変えられたゴルシに気付く。だが、ドラえもんがゴルシをタイム風呂敷で幼子に変えた為か、不法侵入者ではなく迷い混んだ子供だと思ってくれているようだ。
「僕…青タヌキじゃないもん!!猫型ロボットだもん!!」
「猫!?はっ、肥りすぎだな。もう少し絞れ、タヌキと本気で間違えちまった」
ニヤニヤと笑みを浮かべながら、そう言ったサンデーサイレンス。育ちが悪いせいか、口調が少し悪そうだ。
「サンデー先生。タヌキちゃんが可哀想ですよ!!」
「いや、トキノミノル…お前もタヌキって言ってるだろ」
サンデーサイレンスの教え子だと思われる少女はトキノミノルと言うようだ。トキノミノル、何処かで聞いたことがあるような名前だとゴールドシップは心の片隅で思うが今はそれどころではない。
「まあ良いか。見学なら、そこのベンチで座ってて大人しく見てろ。飲み物は…無いなら俺様が奢ってやる」
サンデーサイレンスは財布から聖徳太子の千円札を取り出し、それをドラえもんに手渡した。
「お釣りは返さなくて良い。帰りの電車賃にしな。俺様の奢りだ(しかし、見ない顔だな。てか、ティターンに何処か似てるな、この子供。しかし、このタヌキ…コスプレじゃないとしたらマジでロボットか?)」
サンデーサイレンスは大きな溜め息を吐き出した。
「タヌキ。お前とガキンチョは訳ありか?野宿が嫌なら、俺んち来るか?嫁が妊娠中で入院しててな………がふ!?」
だが、その瞬間…サンデーサイレンスは口から吐血してしまい、倒れてしまった。
「サンデー先生!?しっかりして下さい!!サンデー先生!!」
トキノミノルが倒れたサンデーサイレンスに駆け寄り、肩を叩く。だが、サンデーサイレンスは反応がない。大変、危険な状態だ。
「なあ…確かスペシャルウィークさんのお父さんは…」
スペシャルウィークの父親 サンデーサイレンスはスペシャルウィークが産まれる前に亡くなった。そして、サンデーサイレンスの妻は妊娠中で入院中。だとすると、もうすぐスペシャルウィークが産まれるのだろう。だとすれば、サンデーサイレンスは死んでしまう。
そうなれば史実通り、スペシャルウィークは父親の事を名前すらも知らずに育つ事になりトレセン学園卒業まで父親の事を知らないままだ。ゴルシは思う、間違いなくスペシャルウィークは父親の事を後悔していた。此処でサンデーサイレンスを見殺しにしたらスペシャルウィークは父親の事を知らないまま育ってしまう。
「ドラえもん!!このおっさんを助けるぞ!!」
「分かったよ!!でも、未来が変わっちゃうよ!!」
ドラえもんとゴルシちゃんの未来改編はこうして始まった。未来の秘密道具ならサンデーサイレンスを救うことが出来る。こうして、ゴルシとドラえもんの力でサンデーサイレンスは一命を取り留めた。
そしてゴルシとドラえもんが歴史を変えた為か、後にスペシャルウィークに
はい、ゴルシちゃんが歴史を変えた為か…ディープインパクト誕生フラグ発生!!
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