読みにくい箇所とかもあると思いますが最後までお付き合いいただけると嬉しいです。
□2042年某月某日
『現在、最高裁判所です。今、大量無差別殺人事件の北條夫妻被告が出てきました!』
私達はワイドショーで行われているこの事件についての無責任な話を聞いていた。
概要はこうだ、今から10年前、私が5歳、妹が3歳のときにとある町で無差別に住民が殺傷される事件があった。
その時たまたま、私達家族が旅行に行っており、事件発生からの移動距離としてふさわしいとして容疑者に両親が挙がりそのまま逮捕された。
日本を騒がせた事件として迅速に機械的な捜査を行われた。
私達は取り調べの最中に精神が疲弊してしまったようだ。
妹の
私、
両親にそのことを伝えると二人して泣き崩れていた。
面会すると毎回、
「私達はやっていない。それは愛唯や司紗も知っているだろう。だから大丈夫、神様もそれは見てるよ。」
と、言ってくれる。
私達姉妹はこれをずっと信じて、心の支えにしている。
「絶対やってないもん。その日は私達と一緒に遊んでたんだもん。」
信じているけど、もしも、仮に、という可能性が拭いきれない。
そんな思いが強く乗った声で妹が言っていた。
私は「そうだね」って言いたくても声がでない。
だからうなずいて妹の意見を肯定した。
私たちの両親が逮捕されてから10年、ずっと二人で暮らしてきた。
けれども、両親と住んでいたところは様々な嫌がらせを受けて近くに人が住んでいない静かなところへ引っ越しを両親の許可をもらって引っ越しをした。
買い物とかいろんなことは不便だったけど常に他所から石を投げられたり暴言を吐かれたり、そういうことが一切ないのは幸せだった。
以前は学校にすら行くことができなかったけれど今は通信教育でなんとかなるのも良い点だ。
『今判決が出ました!!……無罪、無罪です。第一審第二審を退け逆転無罪です!』
その言葉を聞いたとき、私達は涙を流しながら抱き合って嬉しさを分かち合った。
「パパとママ、お家に帰ってくるんだよね!私達、一緒に生活できるんだよね!」
ずっと、うなずくことしかできなかったけれど、妹に伝わったと確信していた。
「私達のきれいになった姿をちゃんと見せないとね!」
その時は涙がまだ残っていたけれど、これが妹のきれいな笑顔を見ることのできた最後になることは想像もしていなかったし、
新しい幸せな毎日をこれから始められるんだって思っていた。
その日から私達はいつでも帰ってきても問題がないように毎日家の掃除をしようと決めた。
お父さんとお母さんと一緒に何をしようかって話でずっと盛り上がっていた。
翌日になると弁護士の人が私達のもとにやってきてくれた。
なんでも、最高裁の裁判員さんが私達とお話がしたいそうだ。
断る理由もなかったので中に案内した。
「いきなりごめんなさい。私は
スーツを着こなしてかっこいいけど綺麗なお姉さんだが私たちに問いかけた。
お父さんたちが無罪になったとき、嬉しかったけど冷静に今になって考えるとどうやって逆転したのかは気になってしまい、うなずいた。
「すごく簡単に言っちゃうとね。あなた達に行った取り調べや調査が適切に行われていないことが裁判の中で明らかになってね。」
『私たちにやっていた取り調べなどはおかしかったの?』
「ええ。そう言う捜査や取り調べで得た証拠というのは本来、使っちゃいけないの。事件の再調査を行いご両親が事件を起こしたと言う確たる証拠が出なかったから無罪になったのよ。」
多分、私たちに分かりやすい内容になるように細かいことは言わなかったのだけどそれでも説明してくれたのは嬉しかった。
「普通はこんなことはしないんだけどね。今回はあなたたちに対してのお詫びも込めてってところかな?これがお詫びにはならないとは思うけどあなたたちに対しては誠実でいたいと思って。」
「でも、こんなことってすぐに分かるはずよね。なんで最後の最後まで分からなかったの?すぐに分かれば私達もっと早くパパとママと一緒に暮らせたのに……」
これは妹の、いや私たちの本心だった。
その言葉の前に天羽さんは苦虫を噛み潰したような表情をして、私たちにこう言った。
「今回の事件は一刻も早くの解決が望まれていたために今回のようなことが起きてしまいました。司法関係にも圧力がかかっていたそうで正常な裁判ができていなかったようです。」
『それって、お父さんとお母さんを生贄にして事件を解決させようってこと?』
「その通りです……。今回の裁判官らは正常な判決をしようと言う意見が強まり正しい判決をできたと思います。しかし、何か一つ間違えていたらご両親は有罪、今回の規模で言うと死刑が決まっていたでしょう。」
その後の話はほとんど覚えてなかったけど、唯一覚えてることがあった。
「何かありましたら、こちらにメッセージを入れてください。可能な限りお手伝いしますよ。」
社交辞令かなって思ったけど何かあったら連絡しようと思ったのだった。
□数ヶ月後
お父さんとお母さんが家に帰ってきた。
帰ってきてからはは帰ってきたことをお祝いしたり、これまでについてを改めて話した。
だけど、夜になるとお母さんはずっと泣いているし、お父さんは「ごめん。ごめん。」とずっと謝ってた。
ここが分水嶺だったのだろう。
私は言ってはいけない気がしてそのまま部屋に戻ってしまった。
◇
翌朝、お出かけしようって言われたので、着替えなどを用意して家を出発した。
このとき、お父さんとお母さんの荷物がおかしいことになんで気づけなかったんだろう。
自慢をするつもりはないけど嬉しかったから、天羽さんに「福井県に旅行に行くんだ」ってメッセージを送った。
この日はこれまでの人生で一番楽しいと思える時間だった。
どんなことでもお父さんとお母さんと一緒に過ごせるだけで今の私たちは嬉しいのだ。
二人してはしゃぎすぎたのか睡魔に襲われて寝てしまったの後すごく悔しい。
もっともっと遊びたかった。
楽しい時間は過ぎてしまったけど、また明日があると思い寝ようとした時、
「みんなでお外に行こう」
って言われたのだ。
天羽さんに今日のことを伝えようとメッセージを入れようと見た時に、何故かすごく慌てたようにメッセージがたくさん届いていた。
これから「またお外に行くんだよー」と書いた後、バックにしまってみんなの元へ駆け出した。
◇
色々と歩き回った後にお父さんとお母さんに抱きつかれて、こう言われた。
「ごめん。ごめんな。もう無理なんだ……。苦しいと思うけど一瞬で楽しいところに行くことができるから……。」
その直後私はお父さんに、妹はお母さんに抱えられた。
その直後、天羽さんのような声が聞こえた。
「北條夫妻!やめなさい!そんなことをしては!!」
聞こえた途端私たちは落下した。
下は海で叩きつけられた途端痛くて痛くて水の中に沈んで苦しくて。
死にたくない。死にたくない。
そんな気持ちでお父さんを振り払った。
愛唯を助けないと、と思い気づいたら海面に浮かんでいた。
数分もしないうちに、助けられて、助かったと思ったら気を失った。
◇
目覚めたのは一月後のことらしい。
妹は1週間くらいで目覚めてたとのこと。
目が覚めた途端、自称ジャーナリスト達が私の病室のドアを破りやってきた。
連日のようにやってきて、答えられるはずもないのに何かを聞きにきている。
最近でもさは人が怖いと思うようになってしまった。
そんなことを看護師の人に伝えたら先生に診てもらおうって、提案された。
部屋を出て、見知らぬ人を見た途端、私の記憶は無くなった。
目が覚めると対人恐怖症と診断された。
知ってる人と会う分には良いけど知らない人はダメとのこと。
メディアが落ち着いたら、天羽さんがやってきた。
天羽さんはずっとずっと、謝っていた。
「私がもっと早く気づいていたらこんなことには……。」
そんな話をした後、帰り際に次のように言われた。
「あなた達、これからどうする?このままだと施設に行くことになるのよ。償いじゃないけど、よければ私のところに来ないかな?あなたのことを聞いたわ。施設などに行くよりは妹さんと一緒に私のところで暮らしたほうが良いと思ってね。」
少し悩んだけど愛唯と話し合って天羽さんのところに引き取られることになった。
引き取られる前に弁護士さんがやってきた。
私がこうなった原因として愛唯からの依頼でメディアの方々を相手取って民事裁判を起こしたと話をしてくれた。
他にも、両親の心中についての裁判を起こしてくれるそう。
依頼料を尋ねると
「今回は君たちから依頼料を取るつもりはないよ。私も今回の件には責任があるし、このお金を使ってこれからを生きてほしい。」
と、返されてしまった。
私はそれは嫌だと言ったので1割を報酬として受け取ってもらえることになったのだった。
□2043年某月某日
天羽さんと暮らし始めてしばらく経った後、私たちにプレゼントがあると言ってきた。
「<Infinite Dendrogram>っていうの。司沙ちゃんから、対人恐怖症を治したいって言われたからこういうヴァーチャルな人と話してみることで治せないかなーって思ってね。荒療治だと思うから無理には勧めないけど…。」
『ありがとう!天羽さんが勧めてくれるんだもんやってみるよ。』
「めいちゃんにも受け取ってもらったけどすぐに部屋に帰っちゃってね……。やってる時に出会えたらさ話してみてよ。」
『嬉しいんだけどそれがバレると恥ずかしいから部屋に戻っただけよ。』
「そうだと嬉しいな。これから仕事があるから出かけちゃうけど自分で用意できる?」
『うん。大丈夫!』
そう答えたら、安心したように仕事に向かっていった。
早速このゲームをやってみようと思い部屋に戻り箱を開けた。
箱の中身はヘルメット型の本体と説明書だけだった。
説明書を読んでみると、ゲームの映像や現実の時間とゲーム内の時間が違うなどと言ったことが書かれていた。
私はこの中でやれることに胸を膨らませ、ベッドに寝転がり、<Infinite Dendrogram>を起動した。
◇
真っ黒な暗転の後、図書館のような空間にいた。
「ようこそ。<Infinite Dendrogram>へ。私は管理AI1号アリスよー。」
びっくりして声のした方向に顔を向けると綺麗な女性がそこにいた。
「新しいマスターさん。まずは描画選択ねー。サンプル映像が切り変わるからどの方法が良いか選んでね。」
次々といろいろな映像が映されたけど、今回の目的から選択肢はこれしかない。
「現実と同じようにみたいな。このままでお願いします。」
そう口にした。……口にした??
「私、話すことができるの?」
「この世界では現実でできなかったことはこちらではできないとは限らないのよ。だから、この世界では何でもできる可能性があるの。次は、名前を教えてほしいわ」
何でもできる……。
なんでもって言われると困るけどやってみたいこと、将来の夢はあるんだ。
それをここでやってみよう。
次は名前……名前か……。
日本人的な名前じゃないほうが良さそうだから……。
「ファトレティ……。ファトレティ・ロウ。そうね。それがいいわ。」
北條の漢字を別の豊穣にしてから英語にして響きの良さそうな言葉をつなげた形だけどいい感じだと思えた。
「名前を決定するわね。次は容姿について決めてほしいわ。」
そう言うと同時にマネキンと様々な部位を編集できる画面が表示された。
「リアルを基準にして髪の毛を金髪にできる?」
「はい。これでいいかしら?」
「ええ。これでいいわ。」
映像を見たときの雰囲気の世界で黒髪は浮いちゃう気がしたので髪の色だけ変えてもらう。
その後は一般配布アイテムを渡されその注意事項を説明されたり、初期装備を何にするかを聞かれた。
武器を振るう姿を想像できなかったし、魔法をつかう姿も想像できなかったから一般市民のような服装を選ばせてもらったけど。
エンブリオという、このゲーム独自のシステムについても説明された。
私だけのオンリーワン。何になるか楽しみだけど同時に怖い。
「最後に、あなたの所属する国を選んでほしいわ。」
「アルター王国でお願いします。それと、私は何をしたらいいのかしら?」
「なんでも。ロウが思う自分がやりたいことを好きなようになると良いわ。」
「<Infinite Dendrogram>へようこそ。“私達”はあなたの来訪を歓迎するわ」
瞬間、天空へと投げ出されアルター王国まで落下した。
◇