ローテルさんから70日間講義に出席しなさいと言われて60日目の講義が終わった。
デンドロにログインしてやることは法学校での講義、たまに出廷依頼が出される法廷への出廷もしくは回数としては多くはないけど〈マスター〉(主にシュウさん)の取り調べ。取り調べのときはだいたい講義の途中で呼び出されて向かうことになるかな。その後、残った時間にギルバードさんやキャシーちゃんとのお話もしくは夜になるまでの間の少しの時間でのモンスター討伐という一日の流れが出来上がっていた。
「ヴァルナ、今日はモンスターを倒してからギルバードさんのお店に行こうか」
「わかりました。以前に比べ、1体モンスターを倒すのもだいぶ短くなりましたからね。普段と同じように少し倒してから向かうという事でよろしいですか?」
「そうだね。もう少しでレベル50になるからもう少し欲張りたいけど無理しなくてもいいと思うからね。」
毎日少しずつモンスター討伐の時間を取るようにしたら近やっとヴァルナが第Ⅱ形態に進化した。進化することでヴァルナ自身のステータス上昇や新たに《
私は〈マスター〉にしてはレベルが上がるのが非常に遅いと言われるかも知れないけどこれには理由がある。私たちはデンドロ1日の中でモンスターを倒す時間が非常に取れない。また、ヴァルナの戦闘方法だと【窒息】くらいしか倒す手段が無いので時間効率が非常に悪いんだよね。1体倒すのに最低でも5分くらいはかかるし、タフなモンスターだともう少し時間がかかってしまう。私が戦って倒せばいいと言う人もいるかも知れないけど【裁判官】が戦えるわけがない。
そんな中、私たちに一番大きな影響を与えたのは進化して覚えた《海に住む獣》だ。このスキルは私とヴァルナ専用の騎獣を召喚するスキルだった。姿はワニとライオンを足して半分にしたようなもので種別はキメラというものになるようだ。ステータスは
進化する前にヴァルナが取った行動は私もヴァルナも話すことはやめようと決めている。なぜなら進化前には突然、私に腕組みしたり特段甘えるようになったのだ。思い出すと周りの目が恥ずかしいし、ヴァルナ事態も悶絶してるので二人の話してはいけない話題ということになった。
進化したということで他の〈マスター〉の情報を掲示板などから集めてみたら、初日から始めた人の多くは〈上級エンブリオ〉と呼ばれる第Ⅳ形態以降になった人が増えているらしい。〈上級エンブリオ〉になると必殺スキルとも呼ばれる〈エンブリオ〉の名前のスキルが取得できたという報告が出ている。未だ第Ⅱ形態の私たちが〈上級エンブリオ〉になって必殺スキルを手に入れるのはいつになることだろうかわからないけど。
そんなことを思案しているとレベルアップのアナウンスが表示された。ついに私も1ジョブ目のレベルを上げきることができた。ジョブを変えないと経験値は入らないからこれで切り上げてギルバードさんやキャシーちゃんに会いに行こうかな。
キャシーちゃんとは教会で目覚めてからほぼ毎日お見舞いに通っていたら仲良くなった。もう一人の妹ができたようで楽しかったし、彼女は彼女でお姉ちゃんもいたらいいのにとかも思っていたそう。最近では特に用がなくても遊びに行ったり、遊びに行ったらそのまま泊まったりすることも増えてきた。
ギルバードさんからはいつになったら武器を買うんだいと言われていたが、今日ようやく1ジョブ目がレベル最大になったので、次の職業に転職できるのでそのことを伝えて見よう。
「そういえば、ヴァルナ。一部の〈マスター〉の間で私たちは有名みたいだよ。」
それと、掲示板で調べている時にアルター王国の【
――『裁判官の〈マスター〉とお話するために罰金を支払ってる』
――『あの二人に裁かれたい』
――『近くにいる綺麗な大人の女性とお話したい』
などと見てると恥ずかしくなるような書き込みが散見された。他には私が出廷する裁判のスケジュール予想が書き込まれていた。基本的には不定期で出ているのでほとんど外れているけど……。稀に次回に持越しとなった場合、次回の裁判に関しては整理券が必要になるほど傍聴希望者が来ているとかををローテルさんに聞いた気がする。
「妾はマスターを守るエンブリオですので他の〈マスター〉に人気が出ても少し困るといいますか……。変な輩がやってこないかのほうが心配ですね。」
と、返答された。確かにマスコミやストーカーのように付け回してくる対して気をつけなければ行けないのは嫌だな。現実でもそれで嫌な思い出はあるから。
ただそれでも一つ良い面があった。アルター王国の法律についてはWikiや掲示板で纏められ周知されるようになってきてるみたい。今後は私が無闇矢鱈に呼び出されることが減ると嬉しいな。
掲示板で思い出したけど、〈マスター〉の間では様々なビルドが試されているようだ。中でもガードナー獣戦士理論と呼ばれるものが、ガードナーの〈マスター〉の間では流行っているみたい。私の〈エンブリオ〉であるヴァルナもガードナーなのでどんなものだろうと調べてみたけど、私たちとの相性はあまり良くなさそうだった。
ヴァルナは魔術師寄りなステータスのガードナーで【獣戦士】のジョブではヴァルナの魔術師としては恩恵のあるパラメータなどが向上するだけになってしまう。私は前衛をするつもりなので【獣戦士】のスキルを使っても私とヴァルナの組み合わせでは恩恵が上手く得られない。仮に私とヴァルナで後衛をやるとしたらありかも知れないけど、【獣戦士】が前衛職だから少しのステータスを付与するために後衛職が前衛職を取ることはありえないだろう。
他にも“野伏初撃必殺理論”、“【ジェム】生成貯蔵連打理論”、“生贄MP特化理論”など様々なビルド論を考える人がいると感心したものだ。私たちにも合うものは無いかなと調べたが、そもそも最初の職業として【裁判官】を取得している段階で一般的なもので合いそうなビルドを探すのが間違っていそうだけど……。
そんなことを考えているとギルバードさんのお店に到着した。
「ギルバードさん。こんばんは。」
「今日もお世話になります。」
私たちが挨拶をするとお店の奥からギルバードさんがやってきた。
「お前たちか。いつも悪いな。キャシーが楽しみに待っているから話してやってくれ。――ロウはいつになったら装備買ってくれるんだよ。もう約束してから2ヶ月は経ってるぞ。」
「今日、【裁判官】のレベルが最大になったんですよ。ですので明日転職してその後にギルバードさんから装備を買おうと思いますがなにかいいのはありますかね。」
まだ職業をどれにするか悩んでいるし【適職診断カタログ】を使うにしても武器種とかも決まってたりするとよりよい職が選べるかも?
「お前に合いそうな武器か……。何も武器を使ったことが無いなら剣が無難じゃないか?」
「なるほど、剣ですか。それを踏まえて職を探してみますね。」
「それと、リルはある程度持っているか?そこそこの値段はするぞ。」
「大丈夫ですよ~。裁判出席の報酬で1万リルは今自由に使えるので!」
法学校での講義はお金をもらえないけど、裁判に出廷すると1日あたりでそこそこの値段をもらえるのだ。呼ばれる回数はそこまで多くないけどそれでもこの金額ですよ。
「そのくらいの金額があるならある程度の性能のものを用意できるな。明日のこのくらいの時間に渡すのでいいか?」
「はい。よろしくおねがいします。じゃあ、私たちはキャシーちゃんとお話してきますね。」
そう言って私たちはキャシーちゃんがいる部屋へ向かった。普段どおりであればキース君もいるかな?
「キャシーちゃんこんばんは。」
「こんばんは。キャシーさん。」
私たちは扉を開けるとキャシーちゃんに挨拶をした。中を見渡すとキースくんがおらず珍しいなって思った。
「こんばんは。ロウお姉ちゃん。ヴァルナお姉ちゃん。」
「キース君は今日は来なかったの?」
「キースはさっきまでいたんだよ。今日は用事があるとかでさっき帰っちゃった。」
「あら、キースさんとは行き違いになってしまったようですね。」
「キースに会わなかったんだね……。それで、お姉ちゃんたち今日はどんな事があったの?」
キャシーちゃんが言うと、私とヴァルナは今日の法学校でどんなことをしたのか、モンスター討伐でどんなことをしたのかをギルバードさんが帰る時間になったことを教えてくれるまで楽しく話した。会話の中で【適職診断カタログ】を使ってみたらオススメされたジョブは【騎士】と出た。《騎乗》やその他の戦闘向けスキルを入手するのに都合が良さそうだね。
どこかにキャラ紹介みたいなの入れたほうがいいのですかね?
後で作ろうかな……。