我、汝の罪を裁くものなり   作:ruly714

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初法廷

初めての裁判だけど私は何をすればよいのかな?

 

「とりあえず、私は【裁判官】(ジャッジ)ギルドへ行けばよいのかな?」

 

「そうだと思うわよ、マスター。ただ、このままのペースだと始まる時刻と同じくらいに到着すると思うから何も説明がもらえないと思うわよ。」

 

なんで、こんな大事な日に寝坊してログインが遅れちゃうかなー。

急げ急げ、走れば余裕を持って到着できるは……ず……。

 

「ねぇ、ヴァルナ。私のAGI値よりもあなたの値のほうが高いのだから、私を担いで運んでもらえない?そのほうが早そうなんだよね。」

 

「ほとんど誤差だと思いますけど……。わかりました、マスター。急ぎますね。」

 

私はヴァルナに担がれて【裁判官】ギルドまで向かうことになりました。

実際私が走るよりも倍くらい早く移動してもらえて、30分前に到着できたので私の考えは間違ってなかった。

そのために犠牲にしたのは私の羞恥心だけだから何も懐は傷んでいないね。

 

「お待ちしておりました。ロウさん、ヴァルナさん。……ロウさんに何かあったのですか?ヴァルナさんに担がれていますけど……」

 

「何もないですよ。ただ、このままだと到着がギリギリになるということで、慌てたマスターが妾に担いで走れと命じましてね。」

 

エリーゼさん、ヴァルナ、私に対してひどいいいようだと思う。

 

「ギリギリに到着されてしまうと、これからの裁判についての説明ができませんでしたので30分前に到着していただけて幸いです。」

 

「アハハハ……。それで、私は何をすればいいんでしょうか?」

 

「まずは、基本的な裁判の流れについて説明していきますね。基本的に裁判の流れはどこの国でも一律で同じ流れを取るように【裁判官】ギルドで定められております。」

 

へー。どこの国でも裁判のシステムは変わらないんだ。

仮にこの国以外の場所に行くときにフリーの【裁判官】というのが許されるかわからないけど、できるのかもね。

 

「最初に【裁判官】2名、【裁判長】(チーフ・ジャッジ)1名が入廷してもらいます。次に弁護人と検事が入廷し、その後、被告人が入廷します。

その後に罪状読み上げ、求刑、証言確認などを行いますが、<真偽判定>を行うので証言の段階で判定に引っかかった場合は修正を【裁判官】のどちらかが指摘します。

1回目はもう一方の【裁判官】が手本を見せるそうなので2回目以降はロウさんにお願いしたいそうです。」

 

「私がやるんですか!?初めてなのに無理ですよ!」

 

「大丈夫ですよ。今回はすごく簡単な裁判ですぐに終わるような内容です。基本的にこの程度の犯罪では被告が1度位しか<真偽判定>に引っかかるようなことは言いません。」

 

「一度は偽証するんですね……。」

 

「エリーゼさん。妾はどうしたらいいでしょう?できればマスターのそばに居たいのですが……」

 

「法廷には武器類の持ち込みは禁止ですのでそちらを守っていただければロウさんの近くにいて良いと伺っておりますよ。ただ、ヴァルナさんは黙ってロウさんの後ろで控えてもらいたいそうです。」

 

「わかりました。妾も裁判というものには興味がありますので、実際に肌で感じて学ばせていただきます。」

 

ヴァルナってこういうのに興味あるのか。

私のパーソナリティを元に生まれてきたからこういうのも類似してるのかな?

裁判に興味持ってもらえるなら私も退屈にさせるかなって気持ちはあったので嬉しいな。

 

「判決について説明がまだでしたね。【裁判官】の場合ですと、被告人に対し、複数名の【裁判官】と【裁判長】1名の合意の上で<判決>を行うことができます。

今回ですと【裁判官】は2名ですね。判決時には<判決>デバフをを被告人につけることができます。無罪であれば罪状が消えるだけなのですが有罪判決の場合ですと<判決>というデバフが付与されます。」

 

「<判決>デバフ?一体どんなものなのですか?」

 

「そうですね……。一言で言い表せないのですが罪状に応じてつけられるデバフといえばいいのでしょうか?内容は判決時に確定するので具体的にどのようなものなのかは示せないですね。

このデバフは基本的に服役期間や罰金等を支払われるまで付与され続けます。」

 

<判決>デバフについては少し複雑なような気がするから整理しないと……。

1.被告人には罪状というものが存在している。

2.【裁判官】らの合意の上で罪状に応じた<判決>を行うことができる

3.<判決>を行うとその<判決>内容に応じたデバフを付与できる

4.デバフの期間は服役期間もしくは罰金刑なら罰金が支払われるまで続く

 

「なるほど……。戦闘能力の高い人が来たら法廷で暴れられたら大変なことになっちゃいますね。」

 

「その点は大丈夫です。そういう人たちは捕まえることが難しいので基本的に指名手配されると殺されてしまいますからね。」

 

それは、大丈夫なんですかね?

とりあえず、私の初めての法廷頑張らないと……。

 

「そろそろ開廷のお時間です。準備の方はよろしいですか?」

 

「はい!行ってきます!」

 

【クエスト【裁判――正しい判決 難易度:五】が発生しました】

【クエスト詳細はクエスト画面をご確認ください】

 

えっ。これってクエストなの?

 

 

「妾は後ろに控えておりますね。危険はないと思いますが何かありましたらお守りします。」

 

「ありがとう。だけど、心配しなくても大丈夫だよ。法廷に入る前に武器は没収されるから。」

 

「素手で強い輩がいるかも知れません。いついかなる時でも気を抜いてはいけませんよ、マスター。」

 

そっか、私の現実でのイメージだと素手ですごく強い人ってあまりいないけどこっちでは一定数はいるのか。

反省反省。気をつけなければ……。

でも、とてつもなく強い人は捕まえられないから殺されてるというのは、言われてから納得だね。

 

「そう言われるとそうだね。気をつけるよ。じゃあ行こうか、私達の初法廷に!」

 

そう言って私たちは、法廷の扉を潜り【裁判官】席へ向かった。

先輩ティアンの【裁判官】が先に席についたので反対側の席へ腰を下ろした。

 

【鍛冶屋】(スミス)ギルバートのアイテムボックス窃盗事件についての裁判を開廷します。」

 

【裁判長】のティアンが開廷を宣言すると、全員が席を立ち一礼していたので私もそれに習い、席を立ち一礼した。

そのときに気づいたのだが、現実の検事側には騎士が座っていた。

検事という存在はいなくてそれぞれの自治組織が検事を兼ねているのかなと思いついてた。

 

「騎士団側、冒頭陳述をお願いします。」

 

騎士は、指示されるとこの件がなぜ起きたのか、どういう状態だったのかを説明してくれた。

 

ようは、腕がそこそこの【鍛冶屋】が注文を取れずにお金などに困ってたときに道を歩いていた【商人】のアイテムボックスを盗んだということらしい。

現行犯で捕まったらしく、初犯ということで執行猶予1年、労役1年を求められているらしい。

 

弁護側からは執行猶予を半年に減刑が妥当ではないかと話があった。

 

【裁判長】は被告人に対し、証言を求めたがここでひと悶着あった。

 

「……たまたま、アイテムボックスから離れた【商人】(マーチャント)がいたので、それを持ち帰ってやろうと思ったんだよ。」

 

その発言のときに<真偽判定>が反応した。

ここで何について嘘をついたのだろう?

 

「証人、証言を偽ってはいけません。正確な発言をお願いします。」

 

もうひとりの【裁判官】が指摘していた。

なるほど、こんな形で伝えればいいのね。

 

しかし、証人は体を震わせていたが、同じ証言を繰り返したのだ。

私は【裁判長】にどうしたらよいか視線を投げると……。

 

「これでは、埒が明きません。30分程度休廷しますので弁護側は一度話し合ってください。」

 

 

 

私たちは席を離れ控室に到着すると【裁判長】が発言した。

 

「何やら言えない事情があるようですね。ロウさん、思いつくことはありますか?」

 

なんで私なの!?

そんなの思いつかないよ!って思っていたら後ろのヴァルナが話し出していた。

 

「妾がマスターの代わりに答えてもよいでしょうか?」

 

「良いでしょう。今はたくさんの意見を求めてます。ヴァルナさんの話が終わったらロウさんですよ。」

 

「まず、今回の被告人の家族については調査したのでしょうか?資料を見る限り、被告人の家族などの情報について何も書いてありませんが。」

 

「今回は被告人が協力的だったためにそこの調査は行われてませんね。本人の貧困で盗んだという発言に対し騎士団側も<真偽判定>で確認しています。」

 

ヴァルナの発言に対し【裁判官】が資料を見ながら教えてくれた。

私は少し疑問に思っていたことを確認してみた。

 

「私は<真偽判定>にどういうときに引っかかるか分かっていないのですが、例えば偽りとなる箇所について黙っていたら<真偽判定>は発動するのでしょうか?」

 

【裁判長】が面倒だなという顔をして私に答えてくれた。

 

「本人が偽ろうと思っていたら発動しますよ。おっしゃるとおり、言いたくない部分を発言しないでその発言自体に嘘がなければ<真偽判定>は発動しません。

今回は、そのパターンでしょうね。それが分かれば結構です。あとは本人が真実を伝えてくれるかどうかですね。」

 

「なんで話さないのかと言うのは聞かなくてもいいのでしょうか?」

「聞かないと正しい判断ができないんじゃないですか?」

 

ヴァルナと私は二人に尋ねた。

だって、すべてを聞いてからじゃないと判断を間違えちゃうじゃない!

 

「我々は中立です。深く被告人に踏み込んでもいけませんし踏み込まなすぎてもいけません。中立の観点から正常な判断をして<判決>をすることが我々の使命です。」

 

「でも、被告人には正しい<判決>を与えてあげないと!間違った<判決>をすることはその周りにいる人全員を不幸にします!」

 

私の過去を思い出してしまう。

なんでお父さんとお母さんが死んじゃったか、私は今でも真実がわからない。

けれども、もしかしたら信じてもらうことに疲れてしまったのかもしれない。

これからの社会で生きていくとなると社会から信じてもらうしかない。

それを考えた瞬間にもう生きていけなかったんじゃないかなって私は考える様になっていった。

 

「その正しい<判決>をするために裁判で明らかにするのです。」

 

【裁判長】が言うと同時に席を立ち法廷へ向かった。

私たちも慌ててあとをついていくのであった。

 

 

「さて、先程の時間で弁護側は話がまとまりましたか?」

 

【裁判長】のが被告人と弁護人に聞くと【弁護士】が答えてくれた。

 

「先程は失礼しました。被告人に確認してみたところ、この点は黙秘したいとのことでした。つきましては先程の発言を取り消させていただければと思います。」

 

なんでなの……。なんで正しいことを伝えてくれないの?

手を強く握ったせいか爪が食い込んで血が流れてしまっている。

 

「被告人、このままですとあなたには騎士団側が求めている求刑通りに<判決>をしなければなりません。それでもよろしいのですか?」

 

「それはやめてくれ!俺は……、俺は……。」

 

「でしたら先程の発言を正確に答えてほしいのです。本法廷で明らかになってないことを用いて我々は<判決>することができないのです。」

 

「でも言えないんだ……。言ってしまったらすべてがだめになっちまう。」

 

「そうですか……。残念です。でしたら判決に移ります。」

 

【裁判長】が発言したとき、私は思わず口に出していた。

 

「【裁判長】、発言をしてもよろしいでしょうか?」

 

皆が私に注目する。

それもそうか、今回のは絶対にありえないもの。

【裁判官】が【裁判長】の発言を遮るなんて。

 

「良いでしょう。マスターとしてこの件にどう思うかを聞いてみたくもあります。」

 

「ありがとうございます。被告人はまず何に怯えてるのですか?」

 

「それは……。」

 

「被告人、まずは現在の生活に携わる人について答えてください。全員ですよ。」

 

「近所の露天商の人は答えられねぇよ。それ以外だと近所のガキどもだな。」

 

「他にはいませんか?」

 

「ほかって言ってもな……いないと思うが……。」

 

ここで<真偽判定>が発動した!

多分この出てきていない人物が答えられない要因なんだと思う。

 

「偽りを述べるのは禁止ですよ。正確な発言をお願いします。」

 

「うっ。」

 

「あなた、貧困が原因で盗んだって言われてるけどどうして貧困になったの?本当に注文が来ないだけでそこまで貧困になるかしら?」

 

「うるせぇ。騎士団に言ったことが全部だ。それ以外に理由はねぇんだ!さっさと俺を有罪にして終わりにしろ!」

 

「【裁判長】一つ提案があります。」

 

「なんでしょうか?」

 

「<判決>を明日に延期しませんか?さらにいくつかの<真偽判定>に反応がありました。

この状態では、<判決>を行っても皆が正しい<判決>であるとは思えないでしょう。

騎士団及び担当【弁護士】には明日までにその理由の調査をお願いしたいです。

いかがでしょうか?」

 

「なるほど……。【裁判官】はどうですか?」

 

「色々と言いたいことはありますが本提案については支持します。今回は少し調査が足りないとは思っておりました。」

 

「騎士団及び弁護側はいかがでしょう。」

 

「騎士団側、了解しました。明日までに調査を行いこのような結果にならないようにいたします。」

 

「弁護側、了解しました。被告人と話し合い、真実を明らかにしてみせます。」

 

「それでは明日再審議を行います。以上、閉廷!」

 

【裁判長】がいうと傍聴席から人は退席していくし私たちも退室した。

 

よし!1日の猶予を得たよ!!

ちょっと色々と思うことがあったから私たちも調査しよう。

 

「ヴァルナ、あの人について調べてみたいんだけどいいかな?」

 

「マスターのお心のままに。妾はそれを手助けするためにいるのですから。」

 




一話で収めようと思ったのですが書いてるうちにロジックとか色々思いついたので結構長引くかもしれません。

説明が多いと大変ですね。
今回裁判を実際にデンドロでやるとしたらこうかな?ってイメージで書いてみました。
自分の中で逆転裁判シリーズみたいな法廷にならないように気をつけてました。

あとは今回出てきた【裁判長】について簡単な説明です。

【裁判長】<チーフ・ジャッジ>
【裁判官】系統上級職

DEXが上昇する
裁判を行うときの責任者

習得条件
メインジョブが【裁判官】として裁判出席回数100回を超える。
法学校講義参加日数が100日を超える。


覚えるスキル
<真偽判定>


他にも色々と設定はありますが現段階で公開しようと思ってるのはここまでです。
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