先程、意気揚々と調査に向かおうと思った矢先に先輩【裁判官】からお説教を受けてしまった。
我々は中立で先程のようなことは本来するべきではないとのこと。
ただ、本人はそれで結果あの状況で有罪判決を与えることになってしまうのはおかしいと思っていたようで最後にはよくやってくれたと話してくれた。
「一応先輩からギルバードさんの住所は聞いてこのあたりかと思うのだけど道間違えちゃったかな?」
「マスター。多分この家ですね。鍛冶道具がありますし。」
さすが私のヴァルナ!
私が困っているときにすぐに解決してくれるし、ホントいい子だよね~。
「鍛冶道具とかを見る限り手入れがきちんと行われていますね。帳簿とかそのあたりのものを見つけてみましょう。」
「今、私たちがやっていることって泥棒だよね……。」
「今回は調査という名目がありますしそこまで気にしなくてもいいと思いますよ。」
「権限的には問題ないって分かってるんだけどねー。いざ捜査をやって見ると少し申し訳無さがあるんだよね。」
「今は悩んでいるよりも探したほうがよろしいかと。まずは帳簿探してみて売上とかを調べてみましょう。」
店舗部分にはそのようなものはなかったので、私生活のスペースまで足を入れることになった。
現実だとタンスとかに入れてるって聞くけど、よく考えたらこの世界ではアイテムボックスがあるよね。
だったら帳簿自体を探すよりもアイテムボックスを探してみるのがいいと思うんだ。
ただ、アイテムボックスからアイテムを取り出す場合って壊さないといけないからどうしたらいいだろう……。
と、思って少し探してみると、それっぽい四角形の箱を見つけた。
開けようにも本人か鍵が必要みたいで開けられないので壊すか壊さないか悩んでいると
「今回は致し方ありません。壊してしましましょう。」
「待って、ヴァルナ。あなたそんなに乱暴な娘だったの!?」
「今妾たちには時間があまりありません。そのようなことで時間を浪費するくらいなら少し手荒な手段ですけど実行しますよ。」
「うぅ。そうだね。ひと思いにやっちゃおう!おりゃあああああ!」
予想通りにこのお店の帳簿が出てきた。
だけど少しおかしい。帳簿の数字を見てみるとある日から急にお金の支出が増えている……。
この日のことを周りに聞けば多少は変わるのかな?
「他になにか調べておくことはあるかな?」
「今現在はないでしょう。このあたりで何が起きているか聞いてみるのも良さそうですね。」
「そうだね。とりあえずこのあたりにお金を使いだすようになった日のことについて知ってる人を探しにいこうか。」
「わかりました。このあたりですと、以前の子どもたちがいるかも知れませんね。その子たちがなにか知っているかもしれませんし探してみませんか?」
そっか。このあたりってヴァルナが食べ物を渡しに渡したお店の近くだったのか……。
あのときにヴァルナが渡しまくったご飯の分だけでも説明してもらわないと!
って思った矢先に男の子がこのお店に乗り込んできた。
「誰だ!!兄ちゃんのお店に勝手に入ってきているやつは!!俺がとっちめてやる!!」
これは渡りに船といいますか、ギルバードさんと仲の良さそうな人たちがわざわざ来てくれた!
「落ち着いてください。妾たちはギルバードさんのことを調査するために立ち入らさせていただいているのです。」
「あっ!俺たちにご飯を譲ってくれた姉ちゃんたち。なんでこんなところに……」
以前ヴァルナがご飯を渡していた子の一人だ。
改めて見てみると第一印象は生意気な男の子って感じだね。
あのとき、ヴァルナが渡しまくっていたおかげで私たちには好意的になってくれているのかな?
「私はロウ、この子はヴァルナ。ギルバードさんが捕まったのを知ってるよね?法廷で<真偽判定>に引っかかることがいくつかあって気になってね。調査をしに来てるんだ。」
「俺は、アーク。それは知ってるよ……。でも、兄ちゃんは悪くないんだ!信じてくれよ!」
「ええ、信じますわ。ですが、妾たちも知りたいことがいくつかありますの。話せる範囲で構いませんので教えてくれませんか?」
今の様子を見てると子どもの扱いがヴァルナは上手な気がする。
それはさておき、聞けそうなことを色々と聞かないとね。
「帳簿を見つけてね。少し見させてもらったんだけどある日から急激にお金の減りが激しすぎるんだよね。ちょっと知ってることはないかなーって思ってるんだけど、どうかな?」
「この日っていうとこのあたりにネストル一家がこのあたりにやってきた日だな……。」
「ネストル一家?」
「あの日、この辺のあたりをいきなり荒らしまくった奴らだよ。さらには、このあたりで商売をしたかったら金を払えって言ってきてるんだぜ。」
「このお金の急激な減り方はその支払があったから減り始めたのね。もう一つ、聞きたいことがあるんだけど……」
私がギルバードさんに関するトラブルがなかったかを聞こうとしたときに変な輩がお店にやってきた。
「おうおうおう。ギルバードのやつはいねぇのか。明日が期限だってのによぉ。逃げたのか。ギャハハハハ。」
「なんとも品のない話し方ですわね。あなた一体何のようでここにいらしたの?」
ヴァルナ!こういうときは一回様子を見てから話しかければいいじゃない!
「あ?俺たちはな、このあたりをシメているネストル一家の一員なんだよ。あいつ、支払いの期日が明日に迫ってるからな。それを警告しに来たのさ。」
アルター王国ってそういうものを禁止してるはずなんだけどどういうことかしら。
貴重な情報源だし、なにかトラブルの原因みたいな気がするし聞いてみるか。
「私たちは先日騎士団に捕まったギルバードさんについて調査している最中なの。何か事情があるなら教えてほしいのだけど。」
「あいつ捕まったのかよ。笑えるぜ。明日までに支払えなければこの場所は俺達のものになるからな。支払えるのか聞きに来たわけよ。」
「なにか借金でもしてるの?そんな雰囲気はなかったんだけど。」
「おい、兄ちゃんが借金なんかするわけはないだろ!いい加減なことを言うなよ!」
「そうだなぁ。あいつは借金はしてねぇぜ。ただなぁ、俺たちに一千万リル払ってもらう契約を結んでてな。その支払いが明日なんだよ。あいつが捕まってるってなると明日の支払いは絶望的だな。ガキ、お前この店の片付けでも代わりにやっておいてやれよな。」
そう言うと、ネストル一家の下っ端はどこかに行っちゃったけど……。
クエストの難易度五って書かれていたし簡単ではないと思っていたけれど、ここまで大変な事になっているとは……。
あの下っ端のが言ってる一千万リルってかなり法外な気がするけど何があったんだろう。
先程の話からするとアーク君はこの事情を知らないよね。
「ヴァルナ、あの人を尾行してもらえないかな?私が行くと邪魔になると思うからこっちで情報を集めようと思うんだ。」
「マスター。でも、マスターを一人には……。」
「こっちはよっぽどのことがなければ危険なことはないよ。あっちの情報がこの事件を解決するためには必要なものだと思うから、ここでこの事件の手がかりを失ってギルバードさんに適切な<判決>ができなければ公開するから。」
正しい<判決>じゃなければその人の関係者全員を不幸にしてしまう。
その不幸にするってことは一生会うことのできない別れになってしまうときだってあるんだから。
絶対にそんな結末だけは阻止してみせる。
「わかりました。マスター。しかし、絶対に危険な真似はやめてください。その時は妾が戻ってきてからにしてください。約束ですよ。」
「分かったよ。でも、危険なのはヴァルナの方だから気をつけてね。無理だと思ったらそこまででいいから戻ってきてね。」
「そのようにいたします。それでは追跡いたします。」
そう言うとヴァルナはあっという間に下っ端の去っていった方向へ姿を消した。
「さて、キース君。ギルバードさんやネストル一家について他に知っていることを全部話してもらうよ。ここで隠し事をしちゃうと多分ギルバードさんとしばらく合うことができなくなると思うし、このお店もなくなっちゃうから。」
脅すような口調になってしまったけど致し方ない。
今は知ってる人から話をしてもらわなければいけないからね。
残り時間は有限だよ。だから、立ち止まるわけには行かないんだ。
◇ SIDE: 【水天姫】ヴァルナ
バレないようにアジトまで到着いたしましたが、この禍々しい雰囲気は何なのでしょう?
先程までの構成員のような人たちがいるようなアジトではなく【呪術師】のような方々が根城とするような場所ですわね。
あらあら、見張りが来てしまいましたね。<<原初の水>>で身を隠させてもらいましょうか。
彼らは目の前に妾ががいることに気づかずに話を続けています。
「さてと、見張りの時間になっちまったな。あの【鍛冶屋】の奴、金揃えられるんかね?」
「知らんさ。ただ、あいつが金を揃えてきたって遅いけどな。もうじき狂人の狂った時間になっちまう。俺たちはさっさと危険のないところに避難するに限るぜ。」
なにやら中では良からぬことをしているそうですね。
さてさて、中に入るのは良いのですがこのお二人が邪魔ですね。
<<原初の水>>で<酸欠>にして行くのも良いですが他の構成員に見つかってしまったら急いで逃げないといけませんし……。
「一旦はあの狂人の儀式とやらが成功するか俺たちに被害のない程度の失敗をしてくれることを祈ろうぜ。大失敗してくれて俺たちが死ぬことだけは簡便だ。」
「確かにそうだな。ただ、生贄にあんな小さいガキを使うんだな。なんというかあの狂人が狂っていることを再認識しちまったわ。」
「お前バカだな。狂人なんだからもともと狂ってるんだよ。」
「そりゃそうだ。」
そう言って見張りの二人は笑っています。
妾からすると何も面白い話ではありませんが……。
ただ、ここで怒り、行動を起こしても何も得にはなりませんしなにか打開策はないものでしょうか?
そう思案していると突然入り口から呼び出しがありました。
「おい!お前ら無駄話はいい加減にしておけ。ボスからお前達に対して指示を受けてきた。いつもの部屋集合しろ、そこで仕事の説明がある。」
「へ、へい。すみません。今すぐ向かいます。」「申し訳ありません。今向かいます!」
扉を開けたまま移動していただいてありがとうございます。
さてさて、この中で何をやっているか見させていただきましょう。
思ったよりも警備の人数は多くありませんね。
一番立派な部屋に入ったのですが色々な書類がありますね。持ち帰れないのでギルバードさんの書類が見つかるとよいのですが……。
やはり見つかりませんね。ただ、同じような書類がたくさんあります。
この数だと少なくとも30人は超えていますね。
こんなに大規模にお金を貸しているみたいですけど何を目的にしているのでしょうね?
「しかし、一体この連帯保証人として親族1名をネストル一家の管理下に置くという条項は一体何のために記載されているのでしょうか?」
さて、あとはあの門番のお二方がおっしゃっていた儀式とやらについて調べたら脱出しましょうか。
一階部分は普通の建物でしたが、こういうときは地下が怪しいとマスターの知識から言われていますし探してみましょう。
しかし、そろそろMPが持ちそうにありませんね。一度解除して様子を見ましょうか。
「あの【高位呪術師】のやつ、そろそろ儀式に成功しねぇかな。もうそろそろ集めるのが難しくなってきてるんだよなぁ。」
身なりがしっかりとした男性が、後ろの本棚の本を引くと隠し扉のようなものが開き地下への階段が現れたのです。
妾もついていき、その奥の邪悪な儀式を目にしてしまいました。
もう少し何をしているか調べたいのですが<<原初の水>>を維持するためのMPがありません。
悔しいですがマスターの元に戻るしかないでしょう……。
この方々は一体何を目的にしてこのようなことをしているのでしょうか……。
少しルビ振りサボっちゃいましたけど問題ないはず……。
もう少し調査パートみたいなのは続きます。
それと5日の投稿はできないかもしれませんが間に合うようにがんばります