東方〜2つの世界の守り人〜   作:Allenfort

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前回と大体同時刻の弘行&魔理沙のお話となります。

それでは本編をどうぞ!


mission23 魔法使いと狙撃手

side 弘行

 

「ああ、酷い目に遭ったぜ。」

 

「TF148海兵隊の隊員は25m以上50m以内であれを聞くのが通過儀礼になってるからな。俺は初めて聞いた時もあの至近距離で・・・」

 

「大丈夫だったのか?」

 

「泡吹いてぶっ倒れた。」

 

あの後、祐介と暢が担架で俺を医務室まで運んだそうだ。もう艦内に防音室作れよ。

 

とりあえず装備を外す。魔理沙は帽子を外した。

 

さて、何をしようかな。

 

「なあ弘行・・・」

 

「どうした魔理沙?」

 

魔理沙がなんかモジモジしてる。どうしたんだろう?

 

「その・・・怒ってないか?」

 

「何で?」

 

「いや、あの時、私が異変の解決に連れて行ったばっかりに怪我することになって・・・だから・・・」

 

魔理沙は涙目になってきた。

 

「バーカ。怒っちゃいないよ。それに、付いていかなかったら祐介は死んでただろうし、連れて行ってもらえて感謝してるくらいだ。」

 

行かずに待ってたら祐介は確実に死んでいただろう。いくらあいつでもフランを4人相手に出来るわけない。

 

それに、魔理沙達の援護も結構助かったしな。

 

「そうか・・・ありがとうだぜ。弘行。」

 

「ほら、元気出せ。」

 

魔理沙の頭を撫でてやると、魔理沙は一瞬で顔を赤くした。

 

「あわわ・・・あ、そうだ! 晩御飯まだだったな! ちょっと作って来るぜ!」

 

魔理沙は慌ててリビングを飛び出した。もしかして魔理沙と両想いだったりするか? ・・・まあ、思い違いだったら嫌だし、今まで通りに振る舞うか。

 

ホルスターのM9を取り出してスライドを軽く引く。チャンバーには弾が入っていない。黒いスライドがランタンの光を受けて妖しく光る。

 

で、今日の晩飯もキノコ尽くしだ。今日はシチューと来た。でも、美味い。誰かとこうしてのんびり食事をすることのありがたさを改めて実感した。今までは食事の間も敵襲に備えてなきゃならなかったから落ち着いて食事なんてそうそう出来なかったからな。

 

戦おうとも報われず、こんなちょっとした平穏すら手に出来なかった。それが手に入った。自然と涙が出てくる。

 

「弘行、泣いてるのか?」

 

「ん? ああ、ちょっとね。」

 

俺はゴーグルを外して目元を拭う。

 

「泣きたい時は泣くといいぜ。嫌なこと全部流してまた笑えばいいんだぜ。」

 

「おいおい、これはちょっとした嬉し涙と言う奴だ。」

 

俺と魔理沙は声を揃えて笑う。

 

幻想郷に来てよかった。出来ることならここに住みたい。でも、その前に自分の役目を全うしたい。こうして、魔理沙と笑い合えるように。

 

しばらくして、俺は風呂に入った。自分の体には傷痕が残っている。祐介程では無いがな。

 

「あ、この弾痕は・・・」

 

デパート事件の時に撃たれた傷が残っていた。見捨てて逃げろと言ったのに祐介の奴は

 

『お前を置き去りになんかしない! 誰も見捨てはしないぞ!』

 

そう言って俺を暢に担がせて祐介は脱出を支援した。そしてリッパー(感染者)の鋭い爪に脇腹を切り裂かれ、瀕死の重傷を負った。

 

あれからだ。俺がしっかりしなきゃならないと自覚したのは。

 

祐介は仲間の為なら命すら投げ出して見せる。霊夢の時がいい例だ。だから、俺がしっかりしないと祐介を傷つけてしまう事になる。

 

それに、足りない所をお互いカバーしあう。それが俺達バルチャーチームだ。誰1人欠ける事は許されない。

 

それに、魔理沙を守りたい。ここ数日、魔理沙が魔法の実験をしているのを何度か見た。陰でコツコツ努力して、例え失敗しても諦めない。そんなところに惚れたのかもな。

 

俺達は努力なんて当たり前で、報われることなんてない。それでも、生き残るため、守りたい者のためならどんな茨の道だろうと歩いてやるさ。

 

暢ならば茨の道を全力疾走して、祐介だったら素手だろうと茨を切り裂いて後に続く者の為に道を創るだろう。

 

なら、俺は?

 

案外、自分の事って自分が一番知らないのかもな。

 

風呂から上がって着替える。コンバットシャツにもバルチャーチームのエンブレムが付いている。三日月に飛びかかるハゲタカ(バルチャー)のエンブレムだ。

 

リビングでは魔理沙がグリモワールを読んでいた。

 

「上がったよ。」

 

「分かったぜ。ん? 弘行、そのマークって戦闘服にも付いて無かったか?」

 

魔理沙はエンブレムを指差して言う。

 

「ああ。これは俺達バルチャーチームのエンブレムだからな。」

 

「なんかかっこいいぜ。私もエンブレム欲しいなぁ〜。」

 

「今度ポセイドンに行った時に買うか?」

 

「うん!」

 

魔理沙の笑顔を見ると落ち着く。こんな平穏、外の世界じゃ味わえないな。

 

コーヒーを淹れて窓際に立つ。空には月が浮かんでいる。手が届きそうだけど届かない。まあ、月なんて馬鹿デカい物、俺の手に余るがな。

 

祐介なら、星は手が届かない方が綺麗だと言うだろう。確かにそうだ。近寄ったらただのデカい恒星だ。だけど、俺はどんな現実が待っていようとも掴み取って見せる。

 

お前らが茨の道を進むならば、俺はその背後を守ってやる。

 

代わりに俺の背中()はお前に預けるぞ。祐介。

 

だから、俺達を結末まで導いてくれ。リーダー。

 

俺達だって、護りたいものがあるのだから。

 

仲間や大切な人をもう亡くしたくないからな。

 

「なあ弘行、弘行の家族はどうしてるんだ?」

 

「一応、外の世界の基地にいる。まあ、もう1年は会ってないけどな。魔理沙は?」

 

「・・・昔、魔法使いになりたいって言って親と喧嘩したんだ。それで家を飛び出してから会ってないぜ。」

 

・・・俺と似た境遇かな。

 

「俺の親はな、パンデミックの後、基地で再会したんだが、『殺しなんかに手を染めて、情けない』って言われた。軍から足を洗えともな。それっきりだ。」

 

好きで殺しをしてる訳じゃない。本当はそんな事したくない。

 

でも、誰かがやらなきゃ多くの人が犠牲になる。それに、あの2人を見捨てて俺だけ逃げるなんて出来なかった。

 

「なんで言う通りにしなかったんだ? 弘行の事を考えて言ったんじゃないのか?」

 

「どう考えても世間体だろ。祐介と暢を見捨てて俺だけ逃げられるかよ。あいつらの墓の前で自分だけ生き残った事を悔やむのは勘弁だ。それに、俺が戦わなきゃ多くの人が犠牲になる。」

 

「私と同じだぜ。家族と喧嘩別れ。」

 

「そうだな。まあ、今はTF148が家族みたいなもんだ。寂しくなんかないし、こうして魔理沙もいるしな。」

 

「照れるぜ弘行・・・」

 

そうだ。俺には護るべきものがある。だから誰がなんと言おうとも俺は兵士であり続ける。この事件の結末を見届けるまでは。

 

結末を見届けたら、魔理沙に告白しちまおうかな。祐介もその頃には霊夢に告ってるだろ。

 

それから、いつも通りに俺はソファーで寝る。

 

装備はまとめて置いている。盗る奴なんていないだろうけども。

 

横になるが、なぜか眠りに付く事が出来ない。仕方ないからタックゴーグルのディスプレイを起動して、作戦報告を見る。

 

人里の警備任務に付いているジャッカルとヴィンペルによると、最近現れたガラの悪い集団が村人からカツアゲしてたから鉄拳制裁を下したそうだ。その際、ウィルにぶん殴られた奴が気絶したとか。頭が割れなかっただけ幸運に思え。あいつならば素手で熊を倒せる(と思う)。

 

データを閲覧している最中になにか物音が聞こえた。

 

「弘行? 起きてるのか?」

 

「魔理沙? どうしたの?」

 

「あのさ・・・添い寝して欲しいんだ。」

 

「え!? 一体どんな風の吹き回しだよ?」

 

「ちょっと怖い夢見ちゃってな。怖くて1人じゃ寝られないぜ。」

 

「・・・分かったよ。」

 

魔理沙が怖がるってどんな夢なんだろう? まあ、詮索はしない。

 

魔理沙に連れられてベッドの空いてる所に入る。正直狭いが、暖かい。

 

「たまにはこういうのもアリだな。弘行がいてくれえよかったぜ。」

 

「そうか?」

 

「いるのといないのでは大違いだぜ。弘行はあとどれ位幻想郷にいるんだ?」

 

「・・・分らねぇ。明日にもSLFぶっ潰すか俺が死ぬかも知れないし。まあ、任務を全うしたら幻想郷に移住するかな。あっち(外の世界)に戻る理由もあまり無いし。」

 

「そうか。それはよかったぜ。」

 

そう言って魔理沙は眠りにつく。俺もそろそろ眠らないとな。

 

・・・魔理沙が寝ぼけて擦り寄ってくる。おかげで眠れそうにないな。鋼の(理性)をくれたTF148に感謝しておこう。

 

まるで子猫だな。魔理沙。




弘行ー? 何故告らない?

弘「まあ色々・・・」

祐介も弘行も、自分の気持ちはわかってるけど、相手にどう思われてるか分からないパターンで・・・

弘「どっかで言ってなかったか? 俺達バルチャー3人衆は年齢=彼女いない歴だと。」

忘れた。多分言ってないはず。それより弘行のクールキャラが時々崩壊するほうが問題。

弘「俺だって時にはね・・・」

まあいいや。

それでは次回もよろしく!
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