それでは本編をどうぞ!
夜 香霖堂
side 暢
ショタ化事件から数日。俺は香霖堂で電子レンジの修理をしている。
「直りそうかい?」
「ここのヒューズがイかれてるだけだから、交換すれば直りますよ。」
その時、ドアが開いて見覚えのある顔が入ってきた。
「あれ? 咲夜じゃん。どうしたのさ?」
「ティーカップを買いに来たの。妖精が割っちゃったから。」
「なるほどね。」
俺は工具を片手に修理を続ける。親戚から電気工学について教わっていたのが役に立つ。
「ところで、暢は何してるの? 見たことない機械だけれども・・・」
「こいつは電子レンジって言ってな。電気があれば冷たくなった食い物を温められるんだ・・・よし、こんなところか。」
ヒューズを交換し、組み立てる。
「よし。これでいい。」
「凄いわね・・・この前買ったカセットコンロっていうのもすごかったけれども・・・」
咲夜がレンジを覗き込む。ちょ、顔近いって! 意識しちまうじゃんか!
「霖さん、こいつを発電機に。」
照れ隠しも兼ねて、霖さんにプラグを渡す。
「何を温めるんだい?」
「昨日の残りのおにぎりが冷蔵庫にあったかと。」
小型冷蔵庫も修理し、ヘンリー特製発電機に繋いである。
「これ、本当に温まるのかい?」
「こいつが直ってたら。」
レンジにおにぎりを入れ、タイマーをセット。
「これ、本当に温めているの?」
「まあ、そう見えるのも無理ないよな。」
チン!
おにぎりを取り出すと、湯気を発していた。修理出来たようだな。
「本当に温まった・・・外の世界は凄いんだね。」
霖さんは温まったおにぎりを食べる。
「暢、これと同じのもらえるかしら?」
「どうすか霖さん?」
「確か・・・そこにあったはず。」
霖さんの指差す方を見る。
「あったけど、使えるか調べるぜ。」
分解する。
「複雑なのね・・・」
「まあな・・・」
だから咲夜、顔が近いって。無意識でやってるのか? 意識しちまうって・・・
「あ〜・・・修理が必要だな。」
「どれくらい掛かるかしら?」
「部品があれば1時間だ。」
「部品、ありそうかい?」
俺は部品入れを漁る。
「あった。1時間あれば直して見せるぜ。」
「なら、お茶でも飲んで待ってるといい。」
「なら、そうさせてもらうわ。」
少し、咲夜と話ができる事を楽しみにしていた。
霧雨魔法店
side 弘行
俺は今、魔理沙の部屋の掃除をしている。
ここのところ、徹夜で魔法の実験をしてて散らかし放題だったので、俺が片付ける間に魔理沙はソファーで仮眠を取ることになった。
とりあえず、作業机はいじらないでおこう。片付けるべきは周りに散らかった紙くず。
必要なのを捨てたら困るので、丸めてあるやつだけをゴミ箱に入れ、そうじゃないのをまとめて置いておく。
空のマグカップは台所へ。後でまとめて洗おう。
カップを台所へ運ぶ途中、ソファーで寝ている魔理沙の様子を見た。年相応の、可愛らしい表情で寝ていた。なんだか微笑んでる。いい夢見てるのかな?
カップを台所へ置く。さて、作業を続けよう。
ふと、ソファーの方を見ると、魔理沙が何やら険しい表情をして、何か寝言を言っている。悪夢か?
「・・・だ・・・ないで・・・置いて・・・で・・・」
魘されてるな。
「おい魔理沙、大丈夫か?」
魔理沙を揺すってみる。
「弘行・・・? 生きてるよな・・・?」
「バッチリ生きてるよ。なんだか魘されてたけど、大丈夫か? 汗びっしょりじゃないか。」
俺はソファーの横に置いているショルダーバッグからタオルを取り出し、汗を拭いてやる。
「怖かった・・・怖かったぜ・・・」
魔理沙は俺に抱きついてきた。そこまで怖い夢を見ていたのか。
俺はしっかりと魔理沙を抱きしめ、頭を撫でてやる。少しでも落ち着けるように。
「怖かった・・・弘行が目の前で死んで・・・私は何もできなかったぜ・・・」
「ったくよ・・・俺はそう簡単にはくたばらない。安心しろ。魔理沙の目の前で死ぬような事には絶対にならないから。」
「本当・・・か?」
「もちろん。」
「・・・約束、だぜ。」
「ああ。約束だ。」
深夜 博麗神社
side 祐介
・・・寝そびれたな。
なんだか、今日は寝付けない日のようだ。霊夢はぐっすり寝てるというのによ。
仕方ない。少し空でも眺めようかな。
屋根に寝転んで夜空を見上げる。月が綺麗な夜は、こうして夜空を眺めているのが一番だ。
名も無き星々を眺めていると、なんだか夜空に引き込まれそうになる。
・・・お茶でも淹れてこようかな。
「祐介?」
屋根を降りようとしたら、隣に霊夢がやってきた。
「寝てたんじゃないのか?」
「目が覚めちゃったのよ。何してたの?」
「星空見てたのさ。お茶でも淹れてこようか?」
「お願い。」
俺は屋根を飛び降り、台所でお茶を淹れる。
「お待たせ。」
「ありがとう。」
霊夢に湯のみを渡し、隣に座る。
「月が綺麗ね。」
「そうだな・・・手が届きそうだ。」
夜空を見上げる。
「たまには、夜空を見上げながらお茶を飲むのもいいわね。涼しいし。」
「そうだな。」
幻想郷の空は、多くの星が光り、幻想的な雰囲気だ。外の世界では見られないだろう。
「あ、流れ星。」
霊夢が流れ星を見つけた。俺は霊夢の指差す方を見る。すると、もうひとつの流れ星。
「何かお願い事した?」
「速すぎて3回も唱えられねえよ。」
「祐介にもお願い事ってあるの?」
「・・・まあな。」
「どんな?」
「教えない。」
「そう。」
もう一度、夜空を見上げる。あと何回、こうして霊夢と夜空を眺められるかな。
「ねえ祐介。」
「ん?」
「いつもありがとう。」
「別に。礼を言われるようなことはしてないさ。」
「してるわよ。生活費のほとんどは祐介の持ちじゃない。」
「何のことかな?」
「とぼけても無駄よ。お賽銭箱にお金入れてるの、祐介でしょう? 外の世界のお金だから、バレバレよ?」
しまった、面倒だったから紫に換金してもらってなかったな・・・
「だってよ、霊夢にばかり生活費負担させんのが我慢ならなかった。それだけ。」
まあ、稼ぎは俺の方が多いしな。
「逞しい奴ね。」
「そうでもねえよ。」
それから、しばらくの沈黙。
「なあ霊夢。」
「どうしたのよ?」
「・・・月が綺麗ですね。」
「何よ?2度目じゃない。それに、なんで丁寧に言ってるのよ。」
霊夢は笑っていた。どうやら、意味を知らないらしい。
まあ、今はそれでいいか。
「さ、寝るか。」
「そうしましょう。」
香霖堂
side 暢
「この銅線はっと!」
無理矢理レンジの中の銅線を引っこ抜く。
「咲夜、そこの銅線取ってくれ。」
「これかしら?」
「それそれ。ありがとう。」
俺は銅線を半田付けする。溶接、出来るっちゃ出来るんだよな。
「ねえ暢、この本の『月が綺麗ですね』って、どういう意味なんだい? そのままの意味じゃ無さそうだけれども?」
霖さんが小説を読みながら言う。
「あ〜、それね。外の世界には英語っていう言語があって、『I love you.』あなたが好きですってのを、『月が綺麗ですね。』って訳した小説家がいたんですよ。」
「なるほどね。」
「確か、前に祐介とベッカーが喋ってたわね。英語っていうのを。」
「咲夜、それ英語じゃなくてロシア語だ。」
ややこしいもんだ。こうして世間話してるの、楽しいな。
そう思いながら、半田付けを続ける。完成までは少し掛かりそうだ。それだけ、この楽しい時間が続くかな。
函南少尉〜・・・?
祐介「なんだ?」
何故素直に告らない?
祐介「うるせえ!」
暢「あーあー。うちの分隊長って意外とチキンなところあるしな。」
弘行「まあ、俺ら3人揃って年齢=彼女いない歴だし、少しぎこちないかもな。」
祐介「お前ら好き放題言いやがって・・・」
まあ、霊夢が好きと自覚してるんだし、カップル成立も近いか?
暢「それに特殊部隊員が鈍感だったらおかしいだろ?」
祐介「せやな。」
さて、次回からいよいよ永夜抄突入! オリジナル展開てんこ盛りですが(苦笑) そして、とうとう特殊部隊(笑)から(笑)が取れる!?
「「「絶対取れよ!」」」
それでは次回もよろしく!