東方〜2つの世界の守り人〜を今年もよろしくお願いします!
人里
弘行達が去った後、慧音は人里を見えるように元に戻した。
そして、東側入り口ではジャッカル分隊、西側は自衛隊から出向して来たアーチャー分隊が警備している。
人里では日没後は門を閉めるという規則がある。門と言うより柵だが。そのため、深夜である今は門は固く閉ざされ、横にある物見やぐらからアラン達が見張りをしている。やぐらには
「ジャッカル1-1からアーチャー0-1、状況は? オーバー。」
アランは通信を試みるが、何も返事がない。
「森田の野郎、寝てるのか? アーチャー0-1、応答しろ!」
それでも、インカムからは何も聞こえてこない。
「何かあったのか? ジャッカル1-1から
アランは試しに隣のやぐらで見張りをしているジャックに通信を試みるが、ジャックは反応しない。
「おいジャック! 無視するな!」
アランは大声を出してジャックに呼びかける。
「はぁ? まず話しかけすらしなかっただろ?」
「いや、無線は?」
「何も?」
アランは異変に気付いた。すぐにシステムチェックをかける。
『通信:オフライン』
「はぁ!? ジャック! ウィルとヘンリーを叩き起こせ! あと、ウィルにはアーチャーの所へ伝令に行かせろ! 通信がダウンってな!」
「分かった!」
アランは他のシステムをチェックする。
「
アランは門の外を睨み続ける。
数十分後、森田中尉が東側入り口にやって来た。西側はアーチャー分隊の残り5人が守っている。
「さてアラン。どうする?」
「さあな・・・ちょっと待て、誰か来るぞ?」
アランのゴーグルに接近する熱源反応。それも大人数だ。
「おいそこの集団! 何者だ!?」
ジャックが大声を出して問う。次の瞬間、幾つもの光がやぐら目掛けて飛んできた!
「野郎! 撃って来やがった!? 敵襲だ! 森田! 住民を避難させろ!」
「分かった! 時間を稼いでくれ!」
森田は全力疾走で西側の門まで戻ると、見張り中の黒川軍曹に怒鳴りつけた。
「黒川! 警報を鳴らせ! 敵襲だ!」
黒川は一瞬戸惑ったが、すぐにやぐらに備え付けてある警報装置を起動する。
『緊急事態発生! 住民はすぐに退避せよ! これは訓練ではない!』
やぐらに設置されたスピーカーから警報が里に響く。すると、家々から人が飛び出してきた。東側からは銃声が聞こえてくる。ジャッカルが交戦を開始したのだろう。
「こっちだ! 避難を開始する! 落ち着いて行動しろ!」
宮原軍曹と中川伍長、黒川軍曹が住民の避難誘導に当たる。里の外れに避難所が設置されている。そこまで避難させるのがアーチャーの役目だ。その間、東野上等兵はやぐらから回り込んでくる敵がいないかを見張る。
「どうやら森田は上手くやってるようだな。」
アランはやぐらに隠れながら呟く。
「1-1!交戦許可を!」
ウィルが大声で叫ぶ。ウィルはやぐらの骨組みに身を隠しており、いつ被弾してもおかしくない状態だった。
「ウィル、やぐらから狙撃。武器庫からライフルとって来い。ジャック、お前は門の前。ヘンリーはグロウラー持って来い。あれに付いてる
言い終わると同時にアランはやぐらに設置されているM134を構え、掃射を開始した!
7.62mm弾を1分間に2000〜4000発発射という脅威の連射速度を誇るM134からの掃射によって、敵は倒れて行く。が・・・
「なんだあいつら!? 食らって生きてるだと!?」
M134の弾幕を受ければ痛みを感じる前に死ぬと言われている程だ。その弾幕を受けてなお立ち上がる敵にアランは怯んだ。
さらに、敵は撃ち返して来て、アランのタクティカルベストに1発命中した。弾は防弾プレートが防いだ。アランは衝撃が少ない事に疑問を抱いた。
なぜなら、小銃弾ならたとえ防弾プレートで防いだとしても、衝撃で骨折するからだ。
「命中精度悪いな・・・あいつら何者だ?」
その時、武器庫からBarrett M82A3を持ってきたウィルがやぐらに上がり、狙撃を開始した。
IRNVに映る熱源の幾つかが倒れて行くのが見える。流石に50口径を食らって立てる奴はいないようだ。
「アラン! どうする!?」
下で撃っているジャックが叫ぶ。
「ここを死守しろ!」
「待たせた!」
門の外へ、ヘンリーがグロウラーに乗って現れた。門の前にグロウラーを停めると、運転席から銃座へ移動し、M2を乱射する。
M2も50口径という大口径なので、敵もたまったものじゃないようだ。
「ジャッカルの連中もやるじゃねえか。残ってる奴はいないか!?」
森田は避難誘導を続ける。残りの人数は3分の1程だろう。
黒川が家々を周り、残ってる人がいないか探す。すると、足の悪い老婆が動けずに困っていた。
「おばあちゃん! 荷物は置いて!」
老婆は黒川の指示に従い、持っていた風呂敷を置く。そして、黒川は老婆を抱き上げて東門へと全力で走った。
「隊長! 民間人1名・・・がっ!?」
黒川の左大腿部に流れ弾が命中し、黒川は膝をつく。すぐに宮原が黒川の元に駆け寄った。
「黒川!」
「宮原さん・・・俺はなんとか歩けますから、おばあちゃんを頼みます・・・」
宮原は老婆を抱き上げ、門へと向かう。黒川は持っていた89式自動小銃を杖に立ち上がろうとするが、弾丸が骨に当たったらしく、立ちあがれない。仕方なく匍匐前進するが、遅々として進まない。
その間にも傷口からは血が流れ出ている。黒川は初めての被弾による痛みで泣きそうになりながらも、なんとか堪えて進む。苦しそうに呻きながらも。
「八つぁん!そっち持って!」
「分かったよ!」
すると、近くの魚屋の店主、平八郎と八百屋の店主の伝七が現れ、黒川を二人掛かりで抱えて東門へと引きずっていく。
「八さん! 伝七さんも・・・!」
「おう兄ちゃん。根性見せてくれるじゃねえか!」
「困ったときはお互い様さ! それに、お得意様をここで死なせなくないしな!」
黒川は嬉し涙を堪えながらも2人に引きずられて森田中尉と合流、避難所へと向かった。
避難している間も、アラン達は激しい弾幕で敵を里へ寄せ付けない。だが、数の差があり過ぎる。
「痛え! 撃たれた!」
「ウィル!どこを撃たれた!?」
「脇腹・・・傷は浅い!」
アランはM134の弾帯を撃ち尽くした。
「弾切れだ!」
「M2もそろそろ弾切れ!」
「仕方ねえ!武器庫から取って来る!」
アランはやぐらから降りると武器庫へと走る。
その時、敵が喚声を上げながら突撃して来た!
「ツイてねえなこん畜生!」
ジャックは悪態をつきながら
「人里に手を出そうとしやがって! くたばりやがれ!」
敵の集団へ榴弾を撃ち込む。6発の榴弾が敵の先頭集団を吹き飛ばし、怯ませる。
「ジャック! そこどけ! ヘンリー!持って来てやったぞ!」
弾薬箱を抱えながらやぐらに登ったアランは、ジャックをどかせると、やぐらから弾帯の入った弾薬箱を下のヘンリーに投げ渡し、自分はM134へ弾帯を装填する。
「危ねえから弾薬箱投げるな!」
ヘンリーは文句を言いながら新しい弾帯を装填し、掃射を再開する。
その時、空を赤いフレアが照らした。森田の放った照明弾。そう、避難完了の合図だった。
「よーし! あとは追い返すだけだ!」
だが、この襲撃を知るのは、里にいた人間のみだった。