東方〜2つの世界の守り人〜   作:Allenfort

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mission39 永遠亭

あれから3日、俺達は永遠亭に向かっている。人里の病人や怪我人連れてだ。今回は護衛にバルチャーとヴィンペルが付いている。怪我人にまで任務をこなせとはTF148はブラック企業か。

 

途中までは軍の兵員輸送車両が使えたのだが、竹林は流石に歩きだ。面倒だ。

 

「ところで、なんで霊夢が付いて来てるんだ?」

 

先頭を歩く俺は後ろの霊夢に言う。

 

「だって祐介が心配で……」

 

……可愛いヤツめ。

 

「心配しなくてもむりはしねえええええ!?」

 

いきなり縄が足に絡みつき、俺は逆さ吊りにされた!

 

「おい祐介! だっせー!」

 

「何やってるんだリーダー?」

 

「うるせー!なんでもいいから助けてくれ!」

 

笑い出した暢と弘行。後で殴ってやる。後ろにいた里の人々も爆笑だ。

 

仕方なくホルスターからMk.23を抜き、狙いを定めて縄に1発、実弾を撃つ。弾丸は縄に命中し、俺は頭から落ちた。うまく頭の穴開いてるところは避けて地面に落ちた。

 

「ったく……なんだってんだよ?」

 

俺達はそのまま永遠亭へ向かう。その数分後、視界に古めかしい屋敷が入った。あれが永遠亭だろう。

 

「ごめんくださーい!」

 

弘行が扉をノックする。

 

「はーい。」

 

すると、ピンクのワンピースを着て、首からニンジンのネックレス(?)をぶら下げたウサ耳の少女が出て来た。

 

「えーと、永琳先生に用事があって来たんだが……」

 

弘行が用件を伝える。

 

「ちょっと待ってて。」

 

そう言ってウサ耳は奥に入って行った。俺達はしばらく雑談して待つ。

 

 

兵士、民間人待機中

 

 

「どうぞ、あがって。」

 

「お邪魔します。」

 

さっきのウサ耳が戻って来て俺達を中へと招き入れる。和風な内装だ。なんとなく落ち着くな。

 

受付を済ませ、待合室で順番を待つ。そして、左腕に装着しているディスプレイにイヤホンを繋ぎ、お気に入りの曲を再生する。何であるんだこの機能は?

 

とりあえず、民間人の診察が先だ。兵士は重傷でも後回し。ポセイドンである程度治療は受けたし、いいか。

 

 

その頃妖怪の山

side ジャック

 

 

ん〜、久しぶりの休みだ。少し森の中で読書でもしようかと思って妖怪の山に来た。

 

ヘンリーがにとりとか言う河童の所へ行くついでにくっ付いて来て正解だったな。ニューヨークじゃ見られない景色だ。

 

にしても、将軍の命令さえなければこんないい所へ武装して来たりしなかったのになぁ……

 

しばらく進むと、広場があった。その中央で、くるくる、くるくる。誰かが木漏れ日の中で踊っている。

 

緑の髪に赤いリボン。その顔は、楽しげで、時折悲しげだった。

 

「……誰? いるのは分かってるのよ。」

 

おっと、バレてたか。俺は両手を上げて出る。

 

「あ〜、こんなナリだが敵意はない。」

 

「そう。あなた、何者?」

 

「タスクフォース148海兵隊所属、ジャック・ウィルキンス。」

 

「あなたが文々。新聞に載ってたタスクフォース148なのね……私は鍵山雛。で、ここで何をしていたの?」

 

あの烏天狗の新聞のおかげで俺達の知名度は高い。

 

「休暇だから森の中でゆっくりしようと思ってな。ここは良さそうな場所だ。もし、邪魔じゃなければここで休ませてもらってもいいか?」

 

「構わないわ。でも、あまり近寄らないで。」

 

初対面で嫌われたか? だとしたらかなりショックなのだが……

 

「勘違いしないように言っておくけど、私は厄神。人の厄を集めるのが仕事。だから、私の近くにいると厄が移るわよ。」

 

成る程、俺の為を思ってのことか。

 

「気持ちはありがたいが、俺は厄なんて気にしないから安心しろ。」

 

ああ、そうだ。厄なんてその辺に腐る程転がってやがる。

 

「気にしないとかの問題じゃないのよ。だから「君に会う前から厄なんて腐る程負って来た。だから嫌な事が起こるのは自然なことだ。気にするな。」」

 

なんでこんな事を言ったのか自分でも不思議だった。ただ、自然と口から零れた言葉だった。

 

「物好きにも程があるわね。死んでもいいの?」

 

「別に。生死の境ならいつも彷徨ってるから死んでも受け入れられるさ。それ以前に、厄の有る無し関係なく生き物は死ぬからな。」

 

「変わった人間ね。」

 

「何とでも言え。飲むか?」

 

俺はバックパックから水筒を取り出してコップになっているフタに中身を注ぎ、雛に差し出す。俺特性のカフェラテだ。

 

「頂くわ。」

 

雛はそう言ってカフェラテを飲み干す。

 

「ん、美味しいわね。飲んだこと無いけど何て言う飲み物なの?」

 

「カフェラテだ。お代わりいるか?」

 

「ええ。」

 

木漏れ日の中で木に寄りかかって、誰かとコーヒー飲むってのも悪くないな。

 

カフェラテを飲み干した雛は満足そうな笑顔を浮かべていた。

 

 

永遠亭

 

 

「次、函南さーん!」

 

「はい。」

 

やっと順番が回って来た。俺は診察室へ入る。霊夢の付き添いも。

 

中は外の世界の病院の診察室と何ら変わりない。

 

「さて、あなたは頭の怪我よね。見せて頂戴。」

 

永琳に言われた通りに包帯とギプスを外す。痛え。

 

「……これは予想外ね。髄膜は破れてないけど……この怪我で戦ってたの?」

 

「ああ。それがどうした?」

 

「とんでもない大怪我じゃないの! 鈴仙! あの薬持って来て!」

 

「どうした霊夢?」

 

祐介は霊夢が青ざめているのに気づいた。

 

「祐介、無理しすぎよ。少し自重しなさいよ。」

 

「善処する。」

 

「そういえば、ここに来るまでに罠に掛かったりしなかったかしら?」

 

「モロ引っかかったよ。」

 

永琳の質問に素直に答える。

 

「てゐの仕業ね……」

 

「誰?」

 

「ニンジンのネックレスした兎に会わなかったかしら?」

 

「あー……あいつか。」

 

「因幡てゐ。あの子、竹林のあちこちに罠仕掛けてるから気をつけなさいね。」

 

先に言って欲しかった。にしても、やってくれたなあのロップイヤーめ。

 

「落とし穴じゃなくて逆さ吊りとは斬新な罠だったぜ。」

 

「とりあえず、この注射よ。打って1分は地獄の痛みを味わうけど、覚悟はいい?」

 

俺は黙って腕を突き出す。すると永琳は慣れた手つきで腕に注射を打つ。

 

すると、傷口にあの時と同じくらいの激痛がほとばしる!

 

「……っ!……ぐあぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

視界が歪み、意識が朦朧とする。まるで電気ショックをかけられているかのようだ。

 

意識が底なし沼に沈んでいくかのようだ。段々意識がなくなっていく。耳鳴りも酷い。

 

「祐介!しっかりして!」

 

誰かが俺の手を握る。

 

「しっかりして!」

 

微かに感じる温もり。飛びかけていた意識が戻る。

 

徐々に痛みは消えていく。ピークは過ぎたようだ。そして、痛みが消えた頃には俺の呼吸は荒く、心拍数も不安定だ。

 

「霊……夢?」

 

霊夢は俺の手を握り続けている。

 

「大丈夫?」

 

「なんとかな……死ぬかと思った……」

 

「本当にショック死するかと思ったから安心したわよ。」

 

永琳が今しれっと聞き逃せないような事を言わなかったか気になったが、追求はやめておいた。

 

「傷口はこれで塞がったわ。すぐ治るのはいいけど、急速に再生するからどうも痛みが伴うのよね。」

 

「頭の傷には使わない方が良さそうだな。」

 

永琳から渡された2枚の鏡を使って傷を確認する。跡形もなく無くなっているが、流石に髪までは生やせないらしい。

 

赤目も治って元の黒い瞳になっている。

 

「なあ、この白髪はそのままなのか?」

 

「黒いのが生えるまで待つしかないわね。」

 

「そのままでもいいんじゃないの?」

 

「おいおい霊夢、そりゃないぜ。」

 

しばらくみんなに笑われるな、祐介はそう覚悟を決めていた。

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