東方〜2つの世界の守り人〜   作:Allenfort

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mission42 月

第二行政区画のトラムステーションに到着した一行は本部へと向かって歩く。路面はしっかり舗装してあり、地図を見ると網目のような道になっている。

 

「これが行政区画か……」

 

市街地とはいえ、バルチャーチームは警戒を怠らない。市街地にはロクな思い出の無い4人は尚更である。

 

「警戒し過ぎじゃないですか?」

 

そんなバルチャー4人の様子を見たレイセンが言う。

 

「いや、市街地にはロクな思い出がなくてな。」

 

「ビルを使って俺らを押しつぶそうとしたバカもいたしな。」

 

祐介と暢が少し嫌そうな顔をしながら答える。それを聞いて弘行と愛良と苦笑いを浮かべる。初陣でビルの倒壊に巻き込まれかけたのは軽くトラウマになっているようだ。

 

「あの建物が本部です。」

 

依姫が指差す建物は、平安時代の屋敷のような建物だった。

 

「スゲェ……」

 

暢が思わずつぶやく。

 

「本部……野戦基地みたいなのを想像してましたがこれは……」

 

愛良も建物を見上げて言葉を失う。

 

依姫の案内で本部の中に入る。中は広く、祐介達はあちこちに目を奪われていた。

 

そして、グリーンランド中佐は依姫と奥の部屋へと向かい、護衛のバルチャーと玉兎は別室での待機となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、我々への要求は何かな?」

 

依姫の向かいの席に座ったグリーンランド中佐が話を切り出す。

 

「ええ。既知の通り、月の都は穏健派と急進派で対立しています。最悪なのは急進派に主要な研究施設を掌握されたこと。このまま戦争となれば、我々穏健派は苦しい立場になるでしょう。そこで、TF148との同盟を希望します。」

 

月人は穢れを嫌う。地上に住む者は穢れ。本来であれば同盟なんて持ちかけないだろう。しかし、TF148は急進派の攻撃を退け、壊滅的打撃を与えたという実績がある。この同盟は依姫には苦渋の決断だったと言えよう。

 

「承諾しよう。我々もそれを望んでいる。とりあえず、細かいところを話し合うとしようか。」

 

話はあっさりと決定し、軍事同盟が結ばれることとなった。

 

(しかし、これは賭けね……幻想郷の外の世界の軍、実力は未知数……)

 

依姫にとって彼らは未知の軍。全体での実力もなにも、今いる5人から推し量るしかなかった。

 

その頃、護衛の面々は桃を食べていた。それも遠慮なく。

 

「これ、いい感じに熟れてるな。」

 

弘行はゆっくりと味わう。

 

「俺はあんま熟れてない固いやつが好きかな。」

 

「なんだその好みは?」

 

固い方が好きという祐介の好みは、親友である暢と弘行にも理解出来ないらしい。その時、ドアが開いて豊姫が入ってきた。

 

「あら、無事に着いたようね。」

 

「おっす。残念ながらな。捕虜は?」

 

祐介は皮肉を込めて答える。

 

「それなら治療中よ。なんで助けたの?」

 

「俺達は無抵抗の奴を撃てないんだよ。決まりはないけど……」

 

バルチャーの3人は『時に拳を時には花を』を信条としている。それは彼らの強さの中にある優しさから来ているといえよう。

 

「ふーん。で、その捕虜はあなた達を『今まで見たことのない練度』と言ってたけれども……レイセン、どうだったかしら?」

 

豊姫はレイセンに意見を求める。

 

「その証言は正しいと思います。敵の狙撃手がまだ撃っていないのに気づいて反撃しましたし……」

 

あの森の中は『俺ならここに陣取る』と考えた弘行が警戒していた。その為、スナイパーを素早く見つけることができた。

 

「そう言えば! 私達の銃を改造したんでしょ! 見せてよ!」

 

好奇心旺盛な玉兎が暢へ言う。

 

「ん? ああ、ちょい待ち。」

 

暢はテーブルに改造された2丁のライフルを置く。

 

「そういや、この銃の名前は?」

 

暢は玉兎に聞いてみる。

 

「Z-32N!」

 

「ほうほう。」

 

暢は比較のために改造前のZ-32Nを玉兎から借り、机に置いた。元のはストック(銃床)がなく、銃剣をつけると重量バランスが悪くなるという代物だ。

 

「このライフルは重量バランスが悪くて構えにくいだろ? そこで、ストックを交換してみた。これだ。」

 

暢が取り出したライフルは、機関部などはいじっていない。代わりに、銃のグリップがストックと一体化したライフルストックに交換されている。これのためにフレームをまるごと交換になったが。

 

「このストックを肩に当てて構える。重量バランスを調整したから長時間構えてもそこまで負担はかからないし、撃った時の反動も抑えられる。」

 

暢が構えて見せる。その後で玉兎に渡して構えさせてみる。

 

「すごい……前より軽く感じる……」

 

豊姫もZ-32N改を構えてみる。

 

「やるわね。うちの技術部に量産させようかしら……」

 

「だが、まだ問題はあるぞ。」

 

暢はZ-32Nのレシーバー(機関部)を指差す。

 

「給弾方式だ。こいつはクリップ給弾といって、弾を幾つかまとめたクリップを給弾口に突っ込むタイプだ。コレ、装填数が少ないんだよ。」

 

クリップ給弾の銃は第二次世界大戦のころの小銃で使われていた。

 

「というわけで、うちのガンスミスが本気を出して改造したのがこれだ。」

 

暢はもう一丁を出す。着剣ラグ(銃剣を装着するパーツ)は廃止され、代わりにバイポッド(二脚)を装備。ストックはライフルストックに変えられている。また、クリップ給弾から弾倉式に魔改造されていた。もはや原型がない。

 

「これはなんです?」

 

玉兎の1人がマガジン(弾倉)を指差す。

 

「弾倉。またはマガジン。これに弾を込めて銃本体に装着する。クリップ給弾より装填が早いぜ。」

 

また、3-9xライフルスコープが装着されており、完全に狙撃仕様となっていた。

 

「もーちょいいじれば半自動式に出来そうだがな。あのバルカン砲よりはずっといい精度だぜ。」

 

「なら、試し撃ちしてみましょうか。」

 

豊姫の提案で、そこにいた面々は外の射撃場へ行くことにした。しかし、それは突然鳴った警報によって阻まれることとなる。

 

「水栽培区画に侵入者!」

 

放送を聞くからに、かなり切羽詰まっているようだ。

 

「あれ、水栽培区画って酸素作ってる所だよな……?」

 

暢は表情を凍らせながら言った。もし、酸素の供給を止められたら……一網打尽どころの話ではない。

 

「水栽培区画に急行します! 戦闘態勢!」

 

依姫が叫ぶと同時に、玉兎とバルチャーはそれぞれ戦闘態勢をとった。

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