幻想郷、USSポセイドンではモリソン将軍がベッカーと話をしていた。
「それで、函南中尉によると開戦間際ということか。」
「はい。その通りです。」
モリソンは腕を組む。同盟を組んだことで急進派が焦りだしたのだろうか。その場には主要なメンバーが集められていた。
月の都では様々な憶測が飛び交っていた。その中に、永琳がTF148と組んで逆襲を企てているというものまであったほどだ。これは穏健派との同盟により消滅したが。
「で、我々の出番が回ってきたか。回ってこないことを祈ってはいたがな……ベッカー少佐。隊を率いて月へ向かえ。少数の部隊で十分だろう。先行した連中を支援してやれ。」
「装備は?」
「鷹見上級曹長の報告から、機関部の耐久性向上、及び弱装弾を使用というカスタマイズが施されている。また、重火器を支給する。後は現地調達。連中の分の改装パーツも持って行ってやれ。」
「了解。」
その時、彼らはは知らなかった。水面下で動く影に。
祐介たちが月へと派遣された頃、レミリアはある物を作っていた。
それは、香霖堂で引っ掻き集めた資料を利用して作ったロケットだ。遥か昔、月へ侵攻し、大敗を喫した紫がこれを絶好の機会とばかりに、横槍を入れようと画策。レミリアを焚きつけたのだ。その結果完成したロケット。推進力は霊夢が呼び出す住吉三神。霊夢はかなり前から紫に神降しの特訓を付けられていた。
この時、ロケットで旅立ったレミリア、咲夜、霊夢、魔理沙は思ってもみなかった。まさか自分の知る物と大きくかけ離れた戦闘を目の当たりにすることになるとは。
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月の水栽培区画。酸素を作り出す植物の茂るこの区画には豊かの海がある。そこの桃林の中、穏健派の玉兎や綿月姉妹が集まっていた。
「思っとより少ないな。」
祐介が集まった兵員を見て率直に言う。
「他の区画に行ってるものも多いので。」
依姫が言う。ここに全員集めると色々マズイということはよく分かっていた。だが、自分たちの銃は使い物にならず、暢が魔改造したものも数に限りがある。どう立ち回るべきか祐介は悩む。その時、豊かの海に何か巨大な物体が落下した。
「なんだ今のは!?」
祐介たちは即座に戦闘態勢に移行。周囲の警戒を行う。敵襲だろうか?
「見てこい暢。」
「祐介、それって死亡フラグか?」
暢はそんな軽口を叩きながらも弘行を連れ、念のために祐介も付いて行き、桃林から豊かの海に向かう。そこには、木片やら何かの金属片が散乱しており、何かが墜落したように見えた。そして、海を向いてしゃがむ2人の少女が目に入った。
「霊夢?」
「魔理沙?」
祐介と弘行はあっけにとられた。なんでここにいるんだ? そんな疑問が湧きだしてきた。
「あら祐介。ここにいたのね。」
「おう弘行。レミリアの作ったロケットで来たんだが……見ての通りの惨状だぜ……」
あちこちに木片や謎の煙突? が散乱し、ロケットは見る影もなかった。最も、木製パーツだらけだったので、本当にロケットなのかと3人は疑っていたが。
「どうやって飛ばしたんだよ?」
「私が住吉三神呼び出して飛ばしたのよ……」
ここのところ、紫が霊夢になにやら稽古を付けていたのはこのためかと、祐介は一人納得していた。
「で? どうせ他の奴らも来てるんだろ?」
「来てるけど……どこか吹っ飛んだわ。」
「誰が?」
「レミリアと咲夜と妖精数名よ。疲れたから負ぶって……」
祐介はやれやれ、と苦笑いを浮かべつつ、ショルダーバックを腹にかけ、背中に霊夢を乗っけた。弘行はしばらく魔理沙と話をするようだ。イチャイチャするのか?と茶化した祐介に弘行が蹴りを入れたのはいつも通りだ。
祐介は霊夢を負ぶったまま、他のメンツと合流する。暢はレミリア、咲夜と合流して、依姫とともに祐介を待っていた。
「あれ、アホゆきは?」
「魔理沙とイチャついてるから放ってきた。」
いつも通りの軽口を交わし、霊夢を下ろす。
「イチャついてねーってのマヌケ。」
そこへ、弘行と魔理沙がやって来た。弘行は辺りをキョロキョロ見回しながら警戒してるあたり、油断がない。
「で、侵入者の知らせは魔理沙たちの事だったのか?」
弘行は敵影なしと判断し、銃を下ろした。
「そのようですね……他に誰もいないようですし……」
「ところで、水栽培区画って結構重要なエリアなのに、警備はいないのか?」
そこへ祐介が口を挟む。
「いえ、穏健派の兵士が警備に……」
依姫はそこまで言って気づいた。本部に連絡が来たのに、なぜ警備がここにいないのか……
「なら、無線送った後にやられたか、ここに来る途中かここでやられたか……そして……」
「敵はどこにいるのか、だな……」
暢はそう言いながらもM249を構える。分解した結果、リコイルスプリングやらが死にかけていたが、まだ撃てる。ここを切り抜ける事は可能だろう。
「制御室みたいなところはないのか?」
祐介は銃の安全装置を外す。
「この先にあります。付いてきてください。」
「わかった。総員、依姫に続け。霊夢たちも念のために来てくれ。弾幕使えば目くらましか気絶させるくらいできるだろ。弘行は後衛、暢と宮間さん前衛。俺が中央につく。」
4人は素早く隊列を整える。霊夢たちは祐介と同じく中央だ。周りは玉兎たちが固める。
「依姫! 急ぐぞ!」
「わかっています!」
一行は制御室へ走る。このままでは危ない。一刻も早く制御室を押さえなければ。
「祐介、確か霊力弾と魔力弾なら銃に負担かけずに撃てたはずだぜ。」
「殺傷力は?」
「ゼロ。」
「気絶狙いか?」
「当たりどころ次第だな。」
暢はそう言うと弾帯を外し、魔力弾をM249に装填した。恐ろしい速度で弾幕を無限に放つとなると……祐介、弘行、愛良は冷や汗が止まらなくなった。
「とりあえず行くぞ。暢、俺と前衛。」
「おう。そして、お客のようだぜ。」
前方に玉兎。手にはあのライフルを持ち、二の腕には急進派のシンボルである赤い三日月のエンブレム。敵だ。
「依姫、俺らが相手していいか?」
「どうぞ。」
2対4。勝算あり。祐介は先に飛び上がり、暢もそれに続く。もちろん玉兎は2人の存在に気づいて攻撃してくる。それも実弾で。
そんな事をされて暢がもちろん黙っているわけもない。すぐさま敵へ情け容赦や慈悲という言葉を取り去った弾幕をお見舞いする。これが実弾だったらと、想像するだけで祐介は滝のように冷や汗をかいた。
だが、すぐに意識を戦闘に戻すと、暢の弾幕でボコボコにされている玉兎の頭に霊力弾を正確に撃ち込む。玉兎たちは気絶し、落下した。
地上でも依姫たちが戦闘を繰り広げたようだが、既に制圧していた。銃の改装のおかげのようだ。
「中に入れるか?」
「……ロックが掛かってますね。」
依姫がコンソールを弄っていう。
「ごめんよ。」
暢は横から割り込むと、コンソールの配線を弄り、見事ロックを外して見せた。
「ざっとこんなもんよ。」
扉を開くと、祐介がクリアリングしながら前方の安全を確認していく。祐介は閉所での戦闘を得意としているため、負けはしない。が、敵が出ることはなく、あっさり制御室に辿りついてしまった。依姫がパネルを見て、すべての区画に酸素が供給されているのを確認した。
「ここは大丈夫ですね……間も無く援軍が来ます。それまで待機しましょう。」
その時、制御室に誰かが突入して来た。咄嗟に銃を向けるが、それがベッカーたちだとわかった祐介は双方に撃つなと叫ぶ。
「驚かすなバカ。」
「悪かったよ。お前らのために装備の改装パーツ持って来たから許せ。」
「よし暢。やれ。」
援軍が来るまで、暢に武器の改装をさせることにした。暢はすごくニヤニヤしながら銃を分解していたという。
モチベ上がらぬ