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俺「陽炎…いや、あんたの本当の名前を教えてくれ」
陽炎「…」
俺「陽炎はあんたの[二つ名]だ。本当の名前が知りたい」
陽炎「…やっぱり誤魔化せないか」
俺「…」
陽炎「でも勇者さん 私はあなたの事を信用しています。なのでこれは私と勇者さんの秘密にしてください。」
俺「お、おう?」
陽炎「私の本当の名前は…」
俺(ゴクリ…)
陽炎「アレス・エオロー・ベルンシュタイン」
俺「なっが!!!!!!」
陽炎「これが私の名前です。」
俺「なるほどな…いくつか質問していいか?」
陽炎「どうぞ」
俺「[アレス]は名前で[ベルンシュタイン]は苗字だよな。[エオロー]はなんだ??この国で[ミドルネーム]なんざ聞いたことが無いぞ」
陽炎「よく気づきましたね。エオローは私が[魔法戦士]になる際に、【アルハーレ公国の大賢者ハガル公爵】から授かった[ルーン文字]です」
俺「ほぇー、ルーン文字か…それって何か意味とかあるのか??」
陽炎「意味は正直分かりません。ですが大賢者からルーン文字を授かった人は[大賢者公認]で、[賢者]になれたり[魔術師]になれたり、私みたいに[魔法戦士]になれたりもできるんです」
俺「なるほどな…つまり[魔法使い]と[魔術師]で例えるなら[一般]か[公認]かってことだな??」
陽炎「その通りです。私は[エオロー]という文字を授かったので、ミドルネームにしてます」
俺「そういう事か…理解した。次の質問していいか?」
陽炎「その前にパスタもう1つ頼んでいいですか?」
俺「ああ、そうだな。俺ももう1つ食うか」
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【レストラン】
俺「食べながらで悪いけど、質問していいか?」モグモグ
陽炎「仕方ないですね、どうぞ」モグモグ
俺「アレスとベルンシュタインって確か皇帝陛下と同じ名前と苗字だけど、関係あるのか?」
陽炎「まさかそこにも気づくなんて驚きましたよ」
俺「まさか…」
陽炎「ええ、私は[皇帝陛下の兄 バルド]の息子です」
俺「ブッ!! ゴフッ!!」
陽炎「勇者さん!? 大丈夫ですか!?」
俺「ケホッケホッ…ちょ、あまりにも衝撃的すぎてパスタを喉に詰まらせちまったじゃねえか」
陽炎「す、すみません…」
俺「いやいいよ、陽炎って本当にすげえやつだな」
陽炎「まだ陽炎って呼んでくれるんですね」
俺「当たり前だ、今更[アレス]なんて呼べねえだろ」
陽炎「少し嬉しいです」
俺「そうかい、んで最後の質問していいか」
陽炎「まだあるんですね、いいですよ」
俺「両親について聞いてもいいか??」
陽炎「え?父は皇帝陛下の兄、母は普通の人間ですよ」
俺「違う、そうじゃない」
陽炎「?」
俺「今はどうしてるんだ?」
陽炎「…」
陽炎「それを私に聞くのはどうかと思いますよ」
俺「気を悪くしてすまない。やっぱりそうなのか」
陽炎「ええ、父は行方不明で母は殺されましたよ」
俺「8年前の新聞に載ってたな。皇帝バルドが行方不明になったのは…」
バタンッ!!!
俺「!?」
陽炎「それ以上言わないでください!!」
陽炎「…思い出したくない」
俺「…すまなかった」
陽炎「謝らないでください、こちらこそ空気を悪くしてしまい申し訳ないです。ですがここで話す内容じゃないです、美味しいパスタが不味くなります」
俺「ごめん」
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【リビラス中央商店街】
俺「いやあ美味かったな、また食べに来ようぜ」
陽炎「そうですね、美味しかったです」
俺「…まだ気にしてるのか?」
陽炎「まぁ…少し思い出してしまったので」
俺「本当に申し訳ない」
陽炎「大丈夫ですよ、あっそうだ」
俺「?」
陽炎「勇者さんは魔法の四大元素を知っていますか?」
勇者「知らないな」
陽炎「なら宿屋に戻りながら話すので、魔法を取得するなら覚えておいた方がいいですよ」
勇者「そうか…わかった」
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【始まりの街 リビラス】
陽炎「まずこの世界の物質は、[火][水][風][土]といった元素で構成されています」
俺「ほうほう」
陽炎「ですので、基本的な魔術は「火の魔法」「水の魔法」「風の魔法」「土の魔法」のこの4つです」
俺「あれ、魔法って言ったら[雷]とか[光]とか[闇]とか想像しちゃうんだけど、そこらへんはどうなの?」
陽炎「[光]と[闇]は存在しません。[雷]でしたら、【混合魔術】と言った複数の魔法を組み合わせる事により「雷の魔法」が使えます」
俺「混合魔術?」
陽炎「その話をする前に、四大元素を魔法として使用するためには先程勇者さんが話した通り――」
俺「ああ、[魔素]が必要なんだよな?」
陽炎「その通りです。これは私もさっき勇者さんから教わりました。だいぶ基礎的な知識なのに知らなかった私は魔法戦士失格です(泣)」
俺「そ、そんな事はないぞ(汗)そう落ち込むな」
陽炎「すみません。魔素を扱えるようになれば誰でも魔法を使う事ができます。ただ人によって性質が違っていくんですよ」
俺「ふむ?」
陽炎「私は、[炎]と[土]しか魔法が使えないんです」
俺「あー、誰しもが全ての魔法が使えるわけじゃないんだな」
陽炎「そうですね、全ての魔法が使える人は化け物ですよ」
俺「ほぇー、そんなやつがいるのか?」
陽炎「いますよ。[大賢者ハガル公爵]なんかは全ての魔法どころか禁術まで持ち合わせてる化け物です」
俺「禁術?ってなんだ?」
陽炎「それはまた今度話します。次に先程話した[混合魔術]について話しますね」
陽炎「混合魔術は、ざっくり言うと魔法と魔法を混合して出来上がる魔法です」
俺「な、なるほど??」
陽炎「例えば、[雷の魔法]とかは[炎]と[水]と[風]の混合魔術です」
俺「げっ、意外と面倒くさそうだな…ってあれ??」
陽炎「どうかしましたか?」
俺「[炎]と[火]ってもしかして別だったりする?」
陽炎「お、さすが勇者さん。気づきましたか」
陽炎「[火]と[水]と[風]と[土]は基礎魔法として成り立ってますが、[火]と[風]と[土]だけ【上位魔術】というのがあります!」
俺「なるほど、上位互換ってやつか。[水]だけ無いのはなぜだ?」
陽炎「[水]に関しては、私もよくわかりません。ただ、水の魔法は混合魔術として使う場面が多いように見えます」
俺「なるほど…少しだけわかった」
陽炎「ええ、上位魔術に関してはまた今度お話しますね。そろそろ宿屋に着きますし」
俺「ああ、そうだな。色々魔法について教えてくれてありがとうな」
陽炎「こちらこそ、[魔素]について教えていただきありがとうございます」
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【宿屋】
カラーン♪
俺「ただいま」
レギス「おう!おかえり!! 随分と遅かったじゃねえか」
俺「あれ、今何時だ??」
レギス「もう23時過ぎてるぞ」
俺「まじでか!?」
陽炎「それにしては、この街はまだ賑やかなんですね」
レギス「ああ、ここは昼も夜もうるさい街だよ。だからここで宿屋としてやってるのさ」
俺「確かにここは静かだし、今夜はゆっくり寝かせてもらうとするか…」
レギス「一応何時に出ていくつもりなんだ?」
俺「あー、どうする??」
陽炎「うーん、今日は疲労が凄いですし…これからお金を稼ぐためにも、今日だけは沢山寝ときたいです」
俺「んじゃあ、とりあえず夕方あたりに出るわ」
レギス「あいよ じゃあ今日はもう休みな。顔に疲れが出てんぞ」
俺「ああ、お言葉に甘えさせていただくとするか」
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【202号室前】
俺「じゃあ、また明日な」
陽炎「はい、おやすみなさい勇者さん」
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【202号室】
俺(相変わらず綺麗な部屋だな)
バサッ!
俺「つっかれたああああ!!」
俺(昨日に続いて、今日も信じられない話ばっか聞いちまったな)
俺(まぁでも、陽炎の事が知れて良かった)
俺「…」
俺(今日はもうこのまま寝たい)
俺「歯磨きして寝るか」
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【寝室】
俺「魔法…か」
俺(陽炎に嘘をついてしまったな)
俺「俺も一応使えるんだよな…」
俺(魔法が使える事については、教えてあげても良かったかもしれない…だけどその後必ずこう聞かれるに違いない)
『どうして魔法が使えるんですか??』
俺(そう言われて理由を話した途端に、距離を置かれるのがオチなんだ)
俺(今までがそうだったんだ…だけど陽炎には話してもいいんじゃないのか?)
陽炎『私はあなたの事を信用しています。なのでこれは私と勇者さんの秘密にしてください』
俺(陽炎の事信用していないんだな…俺って最低だ)
俺(陽炎は自分のことについて正直話してくれたし…俺も正直に話すべきか)
俺(嫌われる覚悟で明日言ってみるか…)
俺「…」
俺(今日はもう疲れた、このまま寝よう)
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ドンドンドンッ
俺「…」
「…マリー」
ドンドンドン
俺「…うぇ?」
「ジョマリー!!」
俺「!? なんだ!?」
「ジョマリー!俺だ、レギスだ!!」
俺「どうしたんだ!?」
「とりあえずここを開けてくれ!!」
俺「わ、わかった!!!」
ガチャッ
俺「おい、一体何があっ――」
ブスッ
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[次回] 第五話 襲撃