「魔王を討伐するのだ」   作:魔王.

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第二話 ユル

【闇の森】

 

「グォアアアアアアアアア!!!!!!」

 

キーン!! チャキーーン!!!

 

ズサッ

 

俺「くそっ!!」

 

陽炎「勇者さん!!!」

 

「グオオオオアアアアアアアア!!!!」

 

俺「多すぎだろ…!!」

 

陽炎「一旦ここは退きましょう!」

 

俺「退くって…今何時だと思ってるんだ!?」

 

陽炎「…14時」

 

俺「残りあと1時間がタイムリミットだ、このまま突き進まないともう間に合わないぞ!!」

 

陽炎「ですが魔物が多すぎます!!やはり私の魔法で…」

 

俺「タイムリミットを縮める気か??」

 

陽炎「じゃあどうすれば!!!」

 

「グォアアアアアアアアア!!!!」

 

俺「!?」

陽炎「!?」

 

【ミノタウロスが現れた!】

 

俺「な…!?」

 

陽炎「どうして!?」

 

【さらに魔物の群れが現れた!!】

 

俺「多すぎるし、なんでミノタウロスがここにいるんだよ!!!」

 

陽炎「闇の森…まさかこんな魔物がうろついているとは…」

 

「グォォォォォォォォォ!!!」

 

俺「来るぞ!」

 

ブォンッ!!(斬撃音)

 

【ミノタウロスの攻撃を回避した!!】

 

俺「あっぶね!!」

 

陽炎「勇者さん!」

 

俺「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

俺「《ソニックスラッシュ》!!!!」

 

バシュッ!! ブシュッ!! ザシュッ!!!

 

「グォアアアアアアアアア!!!!」

 

ブォンッ!!

 

【ミノタウロスの攻撃を回避した!!】

 

俺「もう見切ってるんだよ!!!」

 

シュンッ

 

「グォ!?」

 

俺「これでトドメだ!!!」

 

ザシュッ!!

 

「グアアアアアアアアアァァァァァァ!!!!」

 

ブオォォォォン!!!

 

【ミノタウロスを倒した!!】

 

陽炎「勇者さん!後ろ!!!」

 

俺「え――」

 

「グギャアアアアアアアアアアア!!!!」

 

俺「!!」

 

俺(死ぬ…!!)

 

「《イヴォーク》!!」

 

ズシャァァァン!!!!

 

俺「!?」

 

陽炎「え…?」

 

俺「陽炎!! 魔法は使うなとあれほど――」

 

陽炎「違います!!! 私じゃないですよ!!」

 

俺「え…?」

 

??「大丈夫ですか!?」

 

俺「!?」

 

俺(女の子!?)

 

陽炎「あなたは…??」

 

??「説明はあとです!とりあえず、ついてきてください!!」

 

スタスタスタスタッ

 

俺「ちょ、待ってくれよ!!」

 

「グギャアアアアアアアアアアア!!!!」

 

陽炎「勇者さん!急ぎましょう!!」

 

俺「あ、ああ…!!」

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

【闇の森】

 

俺「はぁ…はぁ…」

 

陽炎「はぁ…はぁ…」

 

??「ここまで来たらもう大丈夫かな…」

 

陽炎「すみません…助けてくださって、ありがとうございます」ペコッ

 

??「いえいえ!! そんな…頭を上げてください」

 

俺「さっきの魔法は…もしかして君が?」

 

??「はい…私の魔法で吹き飛ばしただけですけど…」

 

陽炎(風の魔法か…)

 

俺「そっか…俺の名前はジョマリー。そして――」

 

陽炎「私は陽炎と申します」

 

俺「色々とあって、ここに来てるんだけど…君は?」

 

ユル「あっ、私の名前はユルです。ユルって気軽に呼んでください!」

 

俺「ユル…か。 ユルはなぜこの森に…?」

 

ユル「話すと長くなっちゃうんですけど…」

 

俺「構わないよ、でも魔物がいつ現れるかが心配だ」

 

ユル「大丈夫ですよ、ちょっとした結界を張りましたので」

 

陽炎「結界って、まさかあなた…」

 

ユル「はい、私はアルハーレ公国から来た魔法使いです」

 

俺「まじっすか」

 

陽炎(魔法使いか…結界魔法は貴族のみしか使えない魔法だったはず。ということはこの子…)

 

陽炎「貴族の方ですよね」

 

ユル「……はい」

 

俺「え」

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

【30分後】

 

俺「……」

 

ここまでに至った経緯とお互いの事情を全て話し合った

 

ユルは、アルハーレ伯爵家の一人娘である

 

大賢者とも言われるハガル公爵の息子との結婚から逃れるために、国を抜け出し逃亡を図ったと話してくれた

 

国外逃亡をするほど、そいつとの結婚が嫌だったのか…俗に言う[政略結婚]ってやつだな

 

そして彼女はアルハーレから逃げるために国境を越えて、帝都まで向かおうとしていた

 

この森に入った理由は俺たちと同じ理由で、近道から行こうとしてた訳か…

 

陽炎「困りましたね…」

 

俺「ああ…俺たちもアルハーレに用があるしな」

 

ユル「そうですよね…」

 

俺(女の子1人じゃとても危険すぎるよな…)

 

ユル「…ですが驚きました」

 

俺「ん?」

 

ユル「まさかあなた方が、勇者と魔法戦士だなんて」

 

俺「まぁ驚くのも仕方ないよな」

 

陽炎「そうですね」

 

ユル「…」

 

俺「あのさ、入口からここまでどのくらい時間かかった??」

 

ユル「えっと…ざっと5時間ぐらい…?」

 

陽炎「え!?」

 

俺「おいおいまじかよ」

 

陽炎「出口までそんなに時間がかかるなんて…」

 

俺「…ユル」

 

ユル「は、はい?」

 

俺「ここから帝都まで、早くても4日以上はかかるぞ」

 

ユル「え…そ、そんな」

 

俺「それに、着いたとしてもどうやって生活をするんだ??」

 

陽炎「確かに…帝都に辿り着いた所で無意味かと」

 

ユル「ぇ…な、なんで?」

 

俺「まず、住むにあたって色々と手続きが必要だ。その際、書類でユルの素性が分かるようになるぞ」

 

ユル「…」

 

俺「ユルはアルハーレ公国の伯爵貴族なんだ。そんなお偉いさんが、帝国に1人で引っ越しだなんて国に知られたらどうなると思う??」

 

ユル「…偽名を使うことは――」

 

俺「無理だな。帝国にその手は通用しないぞ、すぐにバレる」

 

ユル「なら、働きながら宿屋に住むってのは…」

 

陽炎「無理ですね。まず、働くにあたって住民票が必要ですよ」

 

ユル「なら――」

 

俺「住民票は、住所変更の手続きをしてからじゃないと発行できないぞ」

 

ユル「……」

 

俺「どちらにせよ、帝都に向かってもアルハーレに戻されるのがオチだ」

 

ユル「じゃあ…私はどうすればいいの…(泣)」

 

俺「俺についてきな」

 

ユル「ぇ?」

 

陽炎「勇者さん…」

 

俺「俺らは大賢者に用があるんだ。その際にお願いしてみるよ」

 

陽炎「お願いって…どうお願いするつもりなんですか?」

 

俺「そうだな…ユルを魔法使いとして仲間に入れてもらうってのはどうだ?w」

 

ユル「え!?」

 

陽炎「勇者さん…それは少し強引すぎかと」

 

俺「いいんだよ! 行く宛もない女の子を放っておけるわけないだろうが」

 

ユル「ぇ…本当にいいんですかそれで…」

 

俺「ん?」

 

ユル「私みたいな人が勇者さん達と一緒にいてもいいのかなって…」

 

俺「んー、いいんじゃね?」

 

ユル「ええええぇぇ」

 

陽炎「まぁ…勇者さんがそう言うのならそうしましょう。やるだけやってみて、ダメだったらまたその時に考えればいいんですよ」ニコッ

 

ユル「ぇ、あ、はい…!」

 

俺「じゃあ、話はこれで終わりにしようか。一刻も早くここから抜け出さなきゃいけないからな」

 

陽炎「そうですね…ではユルさん。これからよろしくお願い致します」ペコッ

 

ユル「え!」

 

俺「ああ、俺からもよろしく頼む!」

 

ユル「は、はい! よろしくお願いします!!」ペコッ

 

俺「んじゃあ、時間もあまりないからそろそろ行くぞ!!!」

 

陽炎&ユル「はい!!!」

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

【4時間後】

 

俺「はぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

ザシュッ

 

「グァァァァァァァァァァァァァ!!!」

 

陽炎「ふっ!!」

 

ブシュッ

 

「グギャアアアアアアアアアアア!!!」

 

ユル「す、凄い…」

 

陽炎「ユルさんの灯りが無かったら、私たち死んでましたね…」

 

俺「だな。さっきから気になってたんだけど、その灯りはどこから出てるんだ??」

 

ユル「えっと…これです!!」

 

ピカーーーン!!!

 

俺「眩し!!!!」

 

陽炎「これは…[魔法石]??」

 

ユル「はい! 太陽の光を大量に吸収させて、吸収した光を魔法で発散させてるんです!!」

 

陽炎「へぇ~! 魔法石ってそういう働きもするのか!」

 

ユル「光の魔法は実在しませんけど、魔法石を使えばそれっぽい魔法が出せたりするんですよ」ニコッ

 

俺「ほぇー」

 

陽炎「また1つ勉強になりました!」

 

俺「だな。ありがとな、ユル」

 

ユル「えへへ」

 

陽炎「!! 勇者さん、あれ見てください!」

 

俺「あ、あれは出口か!?」

 

陽炎「間違いないです!急ぎましょう!!」

 

俺「っしゃあ!!そろそろ出口だぞ!!!」

 

ユル「やった~!!!」

 

スタッスタッスタッスタッ

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

【闇の森 出口】

 

俺「やっと出られたな!!」

 

陽炎「ええ、疲れましたね…もう19時半ですか」

 

ユル「あ、目の前にあるあの街が【ラティス】です!」

 

俺「国境の街か…やっとここまで辿り着いたな」

 

陽炎「ええ、ようやく温かいお風呂に入れますね!!」

 

ユル「私はお腹が空きました!!!」

 

俺「こら、まずは宿屋を確保するのが先だぞ」

 

陽炎「そうですね!」ウキウキ

 

ユル「ご飯!お風呂!ご飯!お風呂!」

 

スタスタスタスタ

 

陽炎「勇者さん早く行きますよ!!」

 

ユル「置いていっちゃいますよ!!!」

 

俺「ちょ、待てっておい!!!お前らガキかよ!!!!」

 

スタスタスタスタ

 

【こうして、新たに魔法使いが仲間に加わった!!】




[次回] 第三話 貴族 9/26(日) 更新予定
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