「何があったんですか!?」
エーテル財団職員「この前、世界各地で起こった異常気象、その時に怪我したのか、傷ついたポケモン達が流れ着いて来たんです!トレーナーの方ですよね?エーテル財団職員だけでは手が足りないんです!手伝ってくださいますか?」
「分かりました。みんな!手伝って!!」
念の為連れてきていたポケモン達と協力し、搬送作業が島民やエーテル財団職員によって行われた。
グズマ「グソクムシャ、カイロス!その岩をどかしてくれ!おい、お前ら!こっち支えてくれ!よし、もう大丈夫だぞサニーゴ。」
スカル団「こっちにドラミドロが流れ着いてるぞ!気をつけろ!」
ハラ「ケケンカニ、いわくだき!!」
ケケンカニ「ケッカーニ!!」
カヒリ「バルジーナ、そのままこちらに!」
しまキングやスカル団、四天王までもが手伝うような事態。思い当たるのはやはりカントーで起こった事件と同じものだろう。
エーテル財団職員「ノアさん!来ていらしたんですね?早速で悪いですがこちらを手伝ってください!」
エーテルハウスの職員までも。メレメレ島に他の島の職員を回すほどのようだ。
「アローラ地方にはあまり居ないポケモンまで…。」
イッシュやカロスで見られるポケモンもいる。あの時以降、大きく海流が変わってしまったのかもしれない。
エーテル財団職員「ポケモンセンターとエーテルパラダイスに臨時の救護施設が設置されているのでそちらへお願いします!」
スイレンママ「パールルはこうやって持ってあげてくださいね。殻に手を挟まれないように気をつけてください。」
マオ「元気ない子、こっちにご飯あるので食べさせてあげてください!!」
まさに修羅場、最近まで大会をやっていたとは思えない程だ。
ルザミーネ「よろしいのですか?ポケリゾートを貸していただいて?」
モーン「このような事態です。致し方ありません。」
シルヴァディ「ヴァディ…。」
グラジオ「…ポケモン達が心配か?大丈夫さ。」
エーテルパラダイスもいつもは広々とした印象を受けるが今は沿岸がみずポケモン達で埋まっている。
「フワライド、ドラパルト、ブルンゲル!運ぶのを手伝って!」
エーテル財団職員「ヘイガニ、このロープ持ってて!」
船の上も騒がしく、漁師の貸し出した船にジョーイさんが乗っていたりとあまりにもミスマッチな光景だった。
エーテル財団職員「ノアさんはエーテルパラダイスの方をお願いしてもいいですか?沿岸はこちらでやっておきます。陸にあがれる子達の治療が間に合ってないらしくて。」
「分かりました。ヨノワール、乗せてってくれ!」
ヨノワール「ノワ〜ル。」
ヨノワールのお腹の口の中に座って、エーテルパラダイスへ向かう。エーテルパラダイスへ近づくほど大型のポケモン達も増えていく。ホエルオーの上に人が乗り、診察している様子も伺えた。
「ルザミーネさん、居ますか?」
ルザミーネ「こちらです。すみません、大した出迎えも出来ず。」
「これは一体?」
ルザミーネ「少し前の異常気象、それで流れた物が海に暮らすポケモン達を傷つけ、穏やかな流れを求めた海のポケモン達がアローラ近海に殺到したのです。マンタインサーフの有名な地域を尽く避けてきた結果、ひとつの島に集中してしまったのです。」
「ポケモン達の保護は?」
ルザミーネ「間に合っていません。さすがに大洋のポケモンを何匹も保護できる広さはありませんから。」
シルヴァディ(ノア)「ルヴァ!!」
「どうしたシルヴァディ?」
グラジオ「シルヴァディは主人の身の回りの変化に敏感だ。何か起こるかもしれない。」
そう言って現れたのはグラジオくん。最初にタイプ:ヌルをシルヴァディに進化、正確には人工の生命と絆を結んだ少年。
ゴゴゴゴ………
ちょっとした地響き。
ルザミーネ「これは?」
エーテル財団職員「大変です!外のホエルオーが暴れだしました!」
グラジオ「そういう事か!シルヴァディ、行くぞ!」
シルヴァディ(グラジオ)「ヴァディ!!」
言うが早いか、グラジオくんはシルヴァディと一緒に外へ駆け出して行く。
ルザミーネ「グラジオ!?」
グラジオ「母さん達は待っててくれ!」
リーリエ「ちょっとお兄さま!シルヴァディと飛び出して何処へ!?あっ…こんにちは。」
エレベーターから飛び出してきたのは妹のリーリエちゃん。足元にはアローラロコンのシロンにカバンにはほしぐもちゃんがいる。
「グラジオくんにシルヴァディの事聞こうと思って来たんだけども、大変だね。行くよ!シルヴァディ!」
シルヴァディ(ノア)「ルヴァ!」
外に出るとやはりホエルオーが暴れている。上に乗っていた人々はライドポケモンが既に救助しているが、暴れるホエルオーに対して何もできていない。
グラジオ「時に激しく、時に穏やかに!全てを受け入れる大洋の聖獣となれ!シルヴァディ、マルチアタック!」
効果の薄いみずタイプでマルチアタックをすることによってホエルオーの注意を一旦引きつける気らしい。しかし、あまり意味は無いだろう。
「シルヴァディ、なみのり!」
シルヴァディ(ノア)「ルヴァ〜!!!」
僕のシルヴァディのなみのりでホエルオーの起こした荒波は押し返せるが、ホエルオー自体にダメージは全くない。
「シルヴァディ、乗せてもらうよ!なみのり!」
シルヴァディに飛び乗り、海上を走り抜ける。先にホエルオーの向きを変える必要がある。
ホエルオー「エオ〜〜!!」
まとわりついてくる小さな虫に苛立ったのかアクアテールで辺りを薙ぎ払うホエルオー。近くにいたヨワシ達が怯えてむれのすがたになったが、それでも大きなホエルオーに対して何をするわけでもなく眺めている。
グラジオ「シルヴァディ、エアスラッシュ!!」
シルヴァディ(グラジオ)「ヴァァァ…ダァァ!」
あちらのシルヴァディはエアスラッシュでホエルオーへの攻撃。一旦そちらへ注意が向くがすぐにエアスラッシュで怯む。
グラジオ「その調子だ!」
ホエルオー「エオ〜〜!!!」
ドパァァァァ!!!
苛立ったホエルオーは陸地に向かってハイドロポンプを撃ってきた。
「させるか!シルヴァディ、れいとうビーム!!」
シルヴァディ(ノア)「ルヴァ〜〜!!」
シルヴァディのれいとうビームでハイドロポンプが凍る。突然変化した密度と体積のバランスによって勢いが削がれた氷塊はボトボトと海へ落ちていく。
グラジオ「ダブルアタックだ!」
一撃、二撃と強力な攻撃がホエルオーを動かす。
ルザミーネ「ミロカロス、ハイドロポンプ!」
リーリエ「シロン、ふぶき!」
2人のポケモンの攻撃で沖へ顔を向けるホエルオー。
グラジオ「シルヴァディ、マルチアタック!」
シルヴァディ(グラジオ)「ヴァァァ!!」
くさタイプに変わったシルヴァディのマルチアタックがさらにホエルオーの向きを変える。
「ゴルーグ、ユキメノコ、ブルンゲル、ダダリン!」
完全に沖に向かったホエルオー、今なら動かすことができる。
「ユキメノコは海面を凍らせて!ブルンゲル、ゴルーグにみずびたし!ダダリンはゴルーグとホエルオーをつないで!ゴルーグ、10まんばりき!!」
ゴルーグは凍った海を足場に少しずつホエルオーを引っ張っていく。どうやらホエルオーは横向きになった時に並に押され陸に乗り上げてしまったらしく、抜け出すために暴れていたようだった。ゴゴゴと大きな音を立ててホエルオーが移動していく。
「ユキメノコ、うたう!」
ユキメノコ「ユ〜ノ〜♪」
ユキメノコの歌によってホエルオーは少しずつ落ち着き、やがて眠った。
ルザミーネ「グラジオ!無事!?」
真っ先にルザミーネさんから飛び出したのは子を思う親の言葉。それにしては過保護すぎる触れ合い方にも見えるが、無理もないのかもしれない。彼女達の家庭での普段は知らないが。
シルヴァディ達はそんな主人を他所に何やら会話しているようだ。
ほしぐもちゃん「モクッ!」
「ん〜?どうした?ご主人様のところに戻らないのか?」
カバンを抜け出したほしぐもちゃんが僕の周りをふよふよ浮いている。
リーリエ「ほしぐもちゃん!逃げちゃダメだよ!」
すぐさま主人がやってきた。
リーリエ「ごめんなさい。ありがとうございました。」
「礼には及ばないよ。それより、アローラに来た目的なんだけど…。」
ルザミーネ「こんな記録が……確かに、金色のシルヴァディは信頼出来るトレーナー、アローラのチャンピオンに預けました。」
まだ騒ぎの収まらない中、エーテルパラダイスの奥、来客用の豪奢な部屋に連れられて、そこでガラルで見つかったシルヴァディの記録を見せた。もちろんシンオウの言葉はアローラの言葉に変えて。
ルザミーネ「ザオボー、これはどういうことかしら?」
ザオボー「確かにUB騒ぎに乗じて技術流出があったのは分かっておりますが、私が流したわけではございません!おそらく、マクロコスモスのスパイが居たかと…。」
ルザミーネ「ならなぜ金色のシルヴァディは戻って来たのかしら?」
ビッケ「計画失敗の前、テストと称して1匹、持ち出された個体がいました。その際に各種サンプルを盗られた可能性があります。その後、冷凍保存されましたけどね。破棄されたと思いきや移動されただけでしたが、その時に詳細データをとった可能性もあります。」
ルザミーネ「そうなると、合計2週間足らずで複製の準備をしたのね。記録にその個体の持ち出しのことがあまり書かれていないのは途中ですり替えた上で記録させて、さらにそれを書き換えたのでしょうね。」
記録にあった本体、外的特徴が異なっているはずなのに記録されていなかったのは途中で僕のシルヴァディかそれ以外の2匹、もしくはプロトタイプとすり替えられた上で記録を更新されたからなのだろうか。
「僕自身はあまり詳しく知らないのですが、シルヴァディは一体なぜ作られたんですか?」
兵器転用されかねない物ということは兵器相当のパワーを必要としていたということでもある。
ルザミーネ「シルヴァディ、当初の名前はタイプ:フルはウルトラビーストへの対抗手段として作られました。3匹目を作った後、グラジオのシルヴァディがリーリエを助けたことを隠蔽するためにザオボーが失敗とし、アローラでは打ち切られました。」
「彼のシルヴァディが最初の1匹ということは知っている。隠蔽した理由は聞かないが、問題は複製できるほど簡単に作れるものなのかということだ。タイプを自在に変えれるのならばそれなりに負担はあってもおかしくない。実験の回数も相当なものでしょう?」
ルザミーネ「シルヴァディを作ると言っても、ARシステム、メモリ、シルヴァディ本体、制御装置等ももちろんあります。複製するだけならばまだ中止されておらず、それらが全て出来上がっていて、レポートが纏められていた時に生体サンプルを、その後凍結封印されている状態から再びサンプルを摂れば不可能ではないでしょう。」
「ロトム関係のシステムについては?」
ザオボー「ロトムは家電によってタイプが変わります。通信機器となるとまた別ですが大きな物であれば共通して変わります。シンオウ地方に伝わる全てのタイプになれる伝説のポケモン、当時それを調べていたロトム関連技術開発者の科学者とコンタクトを取り、技術提供していただきました。イッシュ地方の化石復元に携わる技術とタイプのエネルギーの端末化もお借りしましたがね。」
イッシュはネジ山で化石がよく採れる。復元技術も他の地方より進んでいるだろう。しかし、タイプのエネルギーの端末化なんて技術を持っていそうなのは気候の研究所かプラズマ団ぐらいだろう。
「シンオウのその科学者、心当たりはあります。行方不明ではありますが……。それよりも、タイプのエネルギーなんてどうやって取り出すんですか?」
ザオボー「それこそロトム関連の技術ですね。家電に入り込み、タイプ変化する時のDNA、身体の構造の変化、ポケモンの進化の時のDNAの変化などからです。ひらいしんやもらいびという特性は知っていますよね?それらを獲得するポケモンのDNAなどは変化する前からもちろん決まっています。その能力を利用したわけです。ポワルンのような周囲の環境で変化するポケモンのエネルギーももちろんですけどね。その時役に立ったのが機器を取り付けた家電にロトムを入り込ませ、内からデータを取り、外からデータを取れるようにした技術なのですが、これはホウエン地方の技術でしたね。」
ホウエン地方でその手の技術を持つのはやはりマグマ団、アクア団だろうか。
ルザミーネ「この【G】への反応って…?」
「【G】はおそらく僕のことでしょう。一番聞きたいのはその点についてです。「黒い服に破れたズボン」の服装に反応して【G】とつけた。Gを頭文字とするのならグラジオくんのことじゃないんですか?」
ルザミーネ「確かに、そういった服装をしていた時期はありました。ただ、気になったのはこの記録のシルヴァディが持つグラジオへの反応。グラジオのタイプ:ヌルが制御装置を外した後でなければ反応は出ないでしょう。その時の服装は破れたズボンではなかったのですから。」
そうなると僕のシルヴァディことNo.1は時期的に見ればグラジオくんのシルヴァディから直接複製、もしくはサンプルからの複製をしなくてはありえない出来方になる。
ザオボー「おそらくですが、シルヴァディ同士はある意味ひとつの種族です。互いに記憶の共有が出来てもおかしくありません。元々ウルトラビーストに対し複数体配備する予定の物でしたから。時系列事に整理したところであまり分からないかと。」
ルザミーネ「そんな機能までつけていたかしら?まあいいわ。そうなるとグラジオの記憶は遠隔で伝わっていたって言うことになるわね。……ザオボー、貴方、シルヴァディに遠隔のハッキング機能なんてつけていたかしら?」
ザオボー「必要ありませんからね。それに電気を使うウルトラビースト相手からすれば逆にハッキングされる可能性もありました。つけるだけデメリットしかありません。」
ルザミーネ「ねぇ、その子が保存されていた時コードか何かで繋がっていたかしら?」
「オリジナルは知りませんが、あの子は繋がってませんでした。」
ルザミーネ「私の思い違いみたいね。ザオボーの説が濃厚だわ。恐らくだけどグラジオのシルヴァディがグラジオを認めた時に全シルヴァディに人間への感情のアップデートが行われたんじゃないかしら?真のオリジナルはあのシルヴァディだもの。」
確かにそうなるとNo.2が人間不信の解消が見られたのは納得いく。外部からだけでなく内部からも人間不信の解消の働きかけがあったのだから。しかし同時にそれは想像以上にシルヴァディの量産の速度が速いという事に繋がる。
ルザミーネ「…そうなれば3匹量産するのは確かに速いわね…。もう技術流出はないとしても他に誰が握っているかは不明よ。」
ルザミーネさんも同じ結論に至ったのだろう。
ビッケ「オリジナルのシルヴァディの記憶があのシルヴァディに伝達して、反応が活発になった時に偶像目の前に居合わせたのが記憶の中の主人と似た服装の相手だなんて運命的ね〜。」
確かにそう考えると偶然が重なりすぎてはいた。
ルザミーネ「ありがとうございました。こちらでも調べてみますわ。こちらは預からさせていただいても?」
「もちろんです。そちらで管理していただいた方がいいでしょうから。」
ルザミーネ「分かりました。責任をもって預からさせていただきます。」
話したいことは終わったが外はどうなっただろうか。
ルザミーネ「まだ続いているようね。お手伝いいただけるかしら?」
「はい。教えてくださったお礼に。」
シルヴァディ「ルヴァ〜♪」
近くで待って話を聞いていたシルヴァディ。どことなくこの場にいることが楽しそうだった。
今回も読んでいただき、ありがとうございました!
設定的なお話
アニポケ見直してもシルヴァディのみずZ及びメモリの口上見つからなかったので考えてみました。ムズい。
シルヴァディの事は都市伝説とか考察とか絡めて纏めたものなので公式ではありません。
ルザミーネ、グラジオ、リーリエに関してはUSUMルートかつアニメルートでもあるのでほしぐもちゃんはソルガレオ、ルナアーラどちらにも慣れて、ネクロズマは撃退済み、ほしぐもちゃん状態でリーリエと一緒に居てもらってます。
ルザミーネ、グラジオ、リーリエのポケモンはアニメ、ゲーム両方です。リーリエ、グラジオの技構成もゲーム、アニメを流用しつつ色々追加。
今回シャンデラ、ミミッキュ辺りが出てこなかったのはタイプ的な理由と移動方法の関係です。
スカル団とグズマはチョイ役。全力でサニーゴを助ける姿を想像してみると面白いかもしれません。
作品内で出てくるキャラの関係。
アカギ→ロトム関連技術提供、アルセウスの情報、伝説資料の持ち出し?
マグマ団、アクア団→グラードン、カイオーガの能力の研究結果。世界線はORASなのでヒガナももちろん存在してます。
プラズマ団→キュレム、ゼクロム、レシラム関係とゲノセクトのカセット。ポケモンとの絆ということで主にアクロマが絡んでます。イッシュではロトムに関連するものもある。シンオウ、ホウエンの伝説の一片も存在する。
化石復元技術→ゲノセクト。映画の水の都は関係なし。あれはたぶん超パワー。
シルヴァディ関連
輝きシルヴァディ→オリジナル
No.1→グラジオのシルヴァディの記憶+オリジナル
No,2以降→人間への絆の記憶+オリジナル
真オリジナル→グラジオ
2匹目→主人公
No.3→剣盾主人公
グラジオのシルヴァディをオリジナルに2匹が作られて、1匹はSM主人公に煌めきも。(ただし煌めきはアローラでのサンプル採取とガラルでの複製の計2回持ち出されている。)
No.1が人間不信だったのはNo.1-3の中で1番オリジナルのグラジオのシルヴァディに近かったから。人間不信の解除のファクターがグラジオとの記憶。それを刺激したのがキバナが選んだノアの服。
No,2、3があまり人間不信でなかったのは
1 そもそも非人道的な実験をされていない。
2 コピーの繰り返しでグラジオとの記憶→人間との絆の記憶への劣化による変化が起こったため。
次回もアローラ編の続きでございます。