ガラル地方の夜   作:白黒トラベラー

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カロス地方の中心、ミアレシティ。中央に見える塔はジムでもある。

思えばこれまでの旅は誰かの手伝いついでのものだったので誰かに招かれての旅はあまりしていない。

「さてと…とりあえずポケモン研究所に行くか。」


25話 カロスの夜

プラターヌ「ようこそ、カロス地方へ。」

 

出迎えてくれたのはプラターヌ博士。

助手のソフィーさん、コレットさん、デクシオさん、ジーナさんは今は研究所のポケモン達の世話中。

 

プラターヌ「長旅の途中で連れてきてしまったようで悪いね。」

 

「いえ、大丈夫ですよ。これまでのは頼まれごとなので。」

 

これで給料でも出るのならいいのだが、ポケモン研究者の手伝いであるのだからまあ無いだろう。

 

プラターヌ「カナデちゃんとのバトル、観させてもらったよ。彼女に勝つとは思ってもみなかったけれどね。」

 

「やっぱり彼女も図鑑を?」

 

というか若い頃からポケモンを持っているのに図鑑を持っておらず、ロトムスマホで済ませてしまっている状態で旅をしている僕が異常なんだろうけれども。

 

プラターヌ「ああ。ガラルにも来ていただろう?アローラで捕まえたミミッキュが大変お気に入りらしくてね。バトルシャトーではちょっとしたアイドルらしい。」

 

カロスにはフェアリータイプのジムがあるのでそこのトレーナー達がバトルシャトーのような場所で鍛えるというのも普通に考えられる。

 

プラターヌ「彼女はバトルハウスで50連勝を成し遂げる程だからね。図鑑を受け取りに来た時、既にゲンガーを連れていたから驚いたよ。」

 

「図鑑を受け取る前に……。トレーナーの経験者ってわけでもないんですよね?」

 

プラターヌ「生まれが生まれだからね。嗜みとしてポケモンを連れてはいたようだけれど、ゲンガーを選んでいたのはさすがにね。子供がポケモンに恐怖心を覚えないってのもすごいよ。」

 

「確かに、お墓参りにくるご家族にもお子さんがゴーストポケモン達のこと怖がることはありますからね。」

 

いやまあ何もないところから突然花を持ったゲンガーが出てきて怖がらない大人も少ないだろうけれども。

 

プラターヌ「まあ、これまで部外者なのに手伝ってくれたんだ。立場も立場だろうし、ゆっくりする時間も必要だろう?バトルシャトーやバトルハウスに足を運んでも良いだろうし、ミアレシティを観光するのも悪くないと思うよ。泊まるのなら研究所に部屋があるから泊まって行くといいさ。」

 

「良いんですか?ありがとうございます。」

 

バトルシャトーやバトルハウスに行くのもいいが、最近はバトルすることが多かったのでゆっくりさせてもらうとしよう。

 

 

 

ミアレシティは円形の都市で路地が多い。

そういったところにマニアが集まるカフェだったりがある。

路地裏なんかは行き止まりの場所もあって迷路のようだ。

広いところに出たと思えば向こう側へ行けそうな距離を歩いても行き止まり、なんてことも。

 

 

バッドガイ「おっ、二ーちゃんここらじゃ見ねぇな?」

 

もちろんこういうのも居る。

 

バッドガール「ちょっとアタシらと遊ばない?」

 

「悪いけれど、そういう気分じゃなくてね。」

 

これでジョウトでもらった服なんか着るもんじゃない。まあ、カロスの服の方が面倒になりそうだ。1着ででかいきんのたま50個とかだったし、地元のブランド品を着ていたらこういうヤツらにもっと絡まれる。

キバナの服も服で高かったりするので実質タダで作ってもらったこの服が手持ちの服で1番安かったりする。

 

バッドガイ「まぁまぁ、おもしれぇ服装してんじゃん?どこのよ?」

 

こういう時チャンピオン程の知名度だったり、キバナみたいなことをしていたら穏便に済むのだろうが中途半端に名前が知られている立場なので面倒は避けられない。

 

「カロスの物ではないさ。作ってもらった物だからね。教えたところで意味はないと思うけれど?」

 

バッドガール「それでもケッコーお金には余裕ありそうじゃん?遊ぼうよ〜。」

 

「嫌だって言ったら?」

 

バッドガイ「そんときゃコレよ。」

 

モンスターボールを見せてくる。数は1個。他に仲間が居ても力ずくで何とかすることは簡単だろう。というかトレーナー同士で争っても勝てそうだ。

 

「なるほどね、面白いじゃん。やってみる?」

 

バッドガイ「後悔すんなよ!デルビル!!」

 

バッドガール「マーイーカ!」

 

こういう時にバトルを仕掛ける素振りをしただけで人を追い払えるような人…例えばワタルさんのような人だったらどんなに楽なことか。

 

「はぁ……ギルガルド。」

 

ギルガルド「ジャキーーン!」

 

バッドガイ「デルビル、かみつく!」

 

バッドガール「マーイーカ、しっぺがえし!」

 

デルビル「ガァァァ!!」

 

マーイーカ「イーカー!」

 

ゴーストタイプに対してあくタイプの技で攻撃してくるのは正しいが、ギルガルドへの対処があまりにも雑だ。

 

「ギルガルド、キングシールド。」

 

ギルガルド「ガードッ!」

 

ガキィン!

 

ギルガルドに弾かれて宙を舞う2匹。

 

「ギルガルド、せいなるつるぎ。」

 

ギルガルド「ジャキーーン!!」

 

ズバァッ!

 

ヘルガーやカラマネロまで進化していたのならまだしも、デルビルとマーイーカで進化が止まっているようなトレーナーに負ける要素はない。

 

「行くよ、ギルガルド。」

 

バッドガイ「おいおい、まだいるぜ?」

 

通路は似たような格好をしたヤツらに塞がれている。やっぱり居たか。

ゴロンダやテッカニン等々、ポケモンは既にボールから出している。

 

「はぁ…ギルガルド、容赦なくいくよ。」

 

ギルガルド「ギール!!」

 

 

バッドガール「何コイツ…。」

 

当たり前と言えば当たり前だが数人いるとしても1人1匹しかポケモンがいなくて、そのポケモンが一撃で倒されるようなら対して苦にならない。

他のポケモンを出すまでもなく、ギルガルドが流れ作業で片付けてくれた。

 

「ありがとうギルガルド。」

 

ギルガルドをボールに戻す。さっさと立ち去りたいところだが釘は刺しておかないと。

 

「警察は呼ばないでおくからさっさとどっか行きな。」

 

バッドガイ「………。」

 

こういう場所にいるだけ無駄なのでさっさと立ち去ろう。

 

 

ミアレガレットでも買おうかと移動してきた。

さすがに目立つ服装なので色んな人から見られる。大方変なファッションセンスした人だと思われているのだろう。ミカルゲ、ギルガルド、フワライド、ジュペッタ、オーロット、デスカーンの6匹のどれかを連れ歩いていれば何となく「ゴーストタイプのスペシャリスト感」は出るかもしれないが、ジュペッタ以外大きめなので現実的では無い。

結局、「ジュペッタを肩車したツギハギだらけで歪な形をした服のトレーナー」というなんともヤバそうな見た目に。

 

「………。」

 

ジュペッタ「ペタ?」

 

「やっぱり気になるかい?」

 

ジュペッタが気にしているのは人の目ではなくミアレガレット屋の近くのビル。 その中のある階だけ、人のいる気配がない。

 

「…ストレンジャーハウスに似ているけれど…それより良くない感じがするね。」

 

一旦ミアレガレット屋を素通りして、ビルの中に入る。

やはり普通の雰囲気じゃ無い。

 

「ジュペッタ、みやぶる。」

 

ジュペッタ「ペタ〜……」

 

一際怪しい階に着いた後、ジュペッタにみやぶるで周囲を見てもらう。しかし、電気もついていてつい先程まで人がいたような異質な部屋はゴーストタイプポケモンをもってしても何も分からないようだ。

 

「ゴーストタイプのポケモンでも分からないのか…」

 

???「あなたは……違う…。」

 

ジュペッタ「ペタァァァァ!!!!!」

 

バリィィン!!

 

誰かに声をかけられた。その瞬間、指示していないのにメガシンカするジュペッタ。声のした方を睨みつけている。

 

「あそこか…。」

 

???「…………。」

 

この世の者ではない異質さ。ポケモンのイタズラでは無い、本物の幽霊だ。本物の幽霊自体はかなり見たことある。良くないこと思っている霊もいる。しかし、目の前の霊はそれらの比にならない程だった。

 

「…相当強いね……。」

 

ジュペッタ「ペタァァァ……。」

 

???「……あなたは…違う…。あの人じゃない……。」

 

歩み寄りこちらを近くで見ると諦めたように出てきた場所へ戻っていく。姿が完全に見えなくなると、嫌な空気が幾分かマシになった。

 

ロトム「…ア……ノア!ジュペッタ!!大丈夫ロ!?」

 

ミミッキュ「キュ〜!?」

 

いつの間にかけてきていたのだろう。ロトムから連絡が来ていた。

 

「…大丈夫。どうしたの?」

 

ロトム「かなり嫌な感じがしたから心配してかけたロト!無事ロト?」

 

シャンデラ「ル〜ラ〜……。」

 

「なんとかね。……ちょっと気になる。少し調べてみるよ。」

 

ロトム「その服のれいかいのぬのが良くなかったのもかもしれないロ。1度着替えた方がいいロト。」

 

このビルで何があったのかは知らないが、ああいう人達を感知しやすい体質である以上、刺激するような物は無い方がいい。違和感のないように手早くカロスで作ってもらった服に着替える。

 

「いつもはこれ着てたはずなんだけどね…。」

 

ロトム「キバナの服もいいけロ、その服もやっぱり違和感ないロト!」

 

「お坊ちゃまらしくしとけってこと?」

 

ロトム「アッハハ!ノアにお坊ちゃまは似合わないロト〜。ほら、早くそこから離れるロト!」

 

結局、フロントの女性はイッシュから来たばかりで何も知らなかった。

 

 

気になり、シュールリッシュに行ってみた。

 

花瓶の近くで口を濡らした女性、エレベーターの音を聞くように壁に耳をつける女性。

異様な空気を纏った人々を見た。

 

 

色々と調べると、そのビルで心霊現象を体験したという男性に話を聞けた。

 

おじさん「ふんぱつしてよね?」

 

人のほぼ居ない場所で家を構えた男性の話を聞いた。

 

「…本当に…それが全てですか?」

 

 

追い出されるように家を出る。出て行く時、玄関の傍であの幽霊が待っていた。

 

傍を通る時、こちらを見て、中を見て、家の中に入っていった。

 

足元が汚れても気にならない。帰る途中、密かに録音していた男性の話を聞き返してみた。

 

「……くそっ……。」

 

ロトム越しに伝わる自宅のポケモン達の声。怒り、憎しみに震える声。そして、それらをかき消さんばかりの怨嗟の塊のような唸り声。唸り声にしか聞こえないが、ゴーストタイプポケモン達はその言葉にできない思いを理解出来る。

ただ、聞かなかった。聞いちゃいけないことだから。

 

 

ロトム「…ノア…」

 

「まだ旅行からは帰らないさ。」

 

気づかないうちにこちらに戻ってきていたロトムが端末から声をかけてくる。ゴーストタイプポケモン達が周りをキョロキョロと見回している。

 

「…帰ろう。研究所に。」

 

 

 

ポケモン研究所に戻ってからも気分は少し暗かった。ゴーストタイプポケモン達はまだ明るかったが、僕自身が暗かった。

 

プラターヌ「どうしたんだい?」

 

デクシオ「どこか体調が…?」

 

「いえ、大丈夫です。ただ……ミアレシティでもあるんですね…そういうことが。」

 

ジュペッタ「ペタァ?」

 

チラりとゴーストタイプポケモン達を見る。ジュペッタが「どうしたの?」とききながらよってきてくれた。

 

「さっきはありがとう。」

 

ジュペッタ「ペタ〜♪」

 

ジーナ「何かあったのかしら?」

 

プラターヌ「さあね。ただ、ポケモン達と絆が深まることでもあったんじゃないかな?」

 

博士達は何も気づいていない。借りた部屋で寝るのがなんだか怖かった。

ポケモン達が忙しない。

その日は心配してくれていたポケモン達と話しているうちに朝になった。

 

 

 

 

 

バトルシャトー

 

ヴァイカンテスのランダ「楽しかった〜!」

 

ダッチェスのパウリー「カナデさん、また今度お相手お願いしますね?」

 

カナデ「もちろんですわ!」

 

ロトム「元気ロトね〜…。」

 

「だね。」

 

バトルシャトーは彼女らのようなお金持ちが腕を競う言わば「貴族の嗜み」のための場所。

四天王やジムリーダーも来るし、チャンピオンはもちろんのこと。

かくいう僕も、爵位は「デューク」。これより上の「グランダッチェス」などはカルネさんだけだ。

 

とは言っても、わかっていたのだがここで馴染みに会うのは出来れば避けたかった。

 

 

──2時間前──

 

カナデ「あら?お久しぶりですわね、ノアさん。」

 

ミッちゃん「キュ〜♪」

 

なんやかんや知り合いのこの「お嬢様」。彼女はおそらくカロス最強のゴーストタイプポケモン使い。

ガラルでわざわざ来るほどの腐れ縁になりつつある。

 

「………なにか見える?ロトム?」

 

ロトム「ちょっとノア!わざとじゃなかったら大分ヤバいロ!そんなにヤバいのなら帰るべきロト!!」

 

「冗談だって…はぁ…ゴロツキに絡まれる程度で終わってくれてたら良かったのにさ…で?どうしたの?」

 

カナデ「ここで会ったが…えっと…3回目?とりあえずバトルです!ノアさんだってデュークなのでしょう?ダッチェスの私と勝負です!」

 

「ごめん、パス。今日はパキラさん辺り探しに来たから。」

 

カナデ「そうなんですの?」

 

「調べたいことがあるからね。ミアレシティでちょっと…ね…。」

 

カナデ「パキラさんなら居られませんよ?それよりも、貴方が暗いのは気に食いませんわ!バトルです!」

 

ロトム「どうするロ?シャンデラ達連れてくるロト?」

 

「いや、いいよ。パキラさんが居ないのならリーグの方に…」

 

カナデ「待ちなさ〜〜い!!!せっかく来たのにバトルしないとはなんのつもりですの?」

 

「観光で来てるんだから好きにさせてくれないかい?ポケモン達も普段連れ歩いてない子達だし…。」

 

カナデ「尚更バトルハウスなりここなりで共にバトルするべきです!ほら!さっさと行くのです!!!」

 

 

 

「あ〜あ…結局流されて10戦もしたのか…。」

 

カナデ「そうは言っても、楽しそうだったじゃありませんの。付き合ってくれたお礼です。」

 

「やみのいし?なんでこれを?」

 

カナデ「これを今後使うとすれば貴方でしょう?」

 

「それにしてもこれをどこで?」

 

カナデ「ミアレシティで石を売っている店があるのをご存知?あそこのお客さんに貰いましたの。」

 

なんだか胡散臭そうだ。

 

カナデ「それと、言ってませんでしたがパキラさんならガラル地方に行かれましたよ?」

 

「そりゃまたどうして?」

 

カナデ「ワールド・チャンピオンシップ。」

 

「なるほど……ガラルに戻らないとなぁ……。」

 

カナデ「貴方が暗くなってた理由は聞きません。ですが、そうやってウジウジしているのは気に入りませんわ!パキラさんに用事があるのなら尚更暗くなっていてはいけません。」

 

「はぁ……ありがと。それじゃあ、僕は帰るから。」

 

カナデ「私も後々ハイパーボールクラスの選手として行きますの。その時また会いましょう。では。」

 

 

 

プラターヌ「えぇっ!?もう帰るのかい?」

 

「はい、元々パキラさんに聞きたい事がありまして。」

 

プラターヌ「その聞きたいことってなんだったんだい?」

 

「……ミアレシティのノースサイドストリートのビルと言えば分かりますか?」

 

プラターヌ「なるほど…確かにあそこは有名だけど彼女も分からないとは思う。当時のことは当事者にしか分からないだろうからね。」

 

結局、最初から無駄足だったようだ。

 

プラターヌ「気になる気持ちは分かるさ。落ち着けるようになったらまた来てくれ。」

 

「はい、お世話になりました!それじゃあ、また今度。」

 

 

 

急ぎで取ったガラル行きチケット。

カロス地方の夜景が綺麗に見える。

寝ている人が大半で起きているのは僕を含めて数人だろうか。

 

離れていくに連れて輪郭のぼやける街を、眺めていた。




どうも。
いやはや、とんでもなく遅れてしまいました…
何かと忙しかったもので……


今回は設定的なお話はなしでございます。代わりにトリビア的なものをば。

ミアレシティのノースサイドストリートにあるビルで見れるゲーム内でのホラーイベント、アレは実際の事件を元にしたものと思われます。
書いてる私、黒トラベラーはビルの中には入ってはおりませんが本文中のビルのような心霊現象(あなたは違うとは声をかけられていない)を体験しております。

個人的にはゲーム内で話をしてくれるおじさん、怪しいと思っています。

皆さんは色ザシザマゲットしましたか?私はどちらもゲットしましたよ。
アニポケでも進展がありましたし、今月発売のレジェンズやダイパリメイク。
そしてとんでもタイプのゾロア。ゴーストタイプポケモンが今後この小説でも増えるかもしれませんね。
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