ガラル地方の夜   作:白黒トラベラー

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今回は番外編ということで、16.5話と繋がりのあるお話です。
それと、レジェンズアルセウスのネタバレを少し含みます。
ここで先に16.5話の簡単なあらすじを。

16.5話はノアがイッシュで暮らしていた頃の時系列です。アドバンスジェネレーションのマサトなんかは生まれてるか怪しいところです。

人間が反転世界に入り込んだ事で生じた歪み。本来ないはずの泉を中に作り出し(ゲームで見るとほんとに水は中にはない。)、かつてヒスイ地方だった頃に生息していたイダイトウも一緒に現れていました。(ノア自身は存在は知ってます。何回も見たのかスタート直後ではあまり反応せず。)

人間が反転世界に足を踏み入れたことにより、後に起こる未来(氷空の花束や超克の時空へ等)が形成されました。
特にDPtの映画は時空に歪みが生まれたので過去の世界にも回り回って影響を出したという訳です。
ノアが飛ばされたのは不安定になっている反転世界。

飛ばされた先はノアにとっては未来の世界。
同時期に人間が反転世界に介入したのでそれを整えるのもまた人間という訳です。

だいぶややこしいのですが、本編はもっとややこしいです。

とりあえず、「ノアはサトシ達よりだいぶ昔にムゲンと会っている」、「ギラティナと知り合いである」、「ゲーム、アニポケ世界共に辻褄合わせのために動いていた」この3点を頭に入れて頂けばいいかと思います。

それでは、どうぞ!


番外編 26.5話 夢幻を追って

ムゲン「懐かしいなぁ!!そーいやお前さんはまだ子供だったよなぁ!?」

 

豪快に笑うのは反転世界の研究者、ムゲンさん。

 

ムゲン「坊主とは会いすぎてよくわからんが…当時は何歳だった?」

 

「あの時は15歳ですね。今が23です。まぁ、本来ならあの時の僕は18とかだったんでしょうけど。」

 

ムゲン「俺がこの世界に入ったのが5年前、そこから何回か会ったな。」

 

「当時なら僕は15だったんで、ムゲンさん達が反転世界に入る3年前とかでしょうか?」

ムゲン「ま、真相はディアルガのみぞ知るってな!」

 

反転世界に初めて入ったのが15歳、その後色々な時間の反転世界に行くことになった。

アラモスタウンでの騒ぎの頃、本来であれば22歳か23歳の僕は3年後の世界、8年後の世界を垣間見、旅をしていたことになる。

同じ時空に同じ人間が存在するという状況になったわけだ。

 

ムゲン「俺とゼロが反転世界に入ったのが発端だろうな。もどりのいずみ、あそこはかなり現実世界のそばにある世界と近いようだ。5年前には既にアラモスタウンの騒ぎの兆候でもあったんだろう。ギラティナ達からすれば5年なんてほんの一瞬だ。せめてもの処置として坊主が駆り出されたんだろうな。」

 

「なるほど…ムゲンさん達が反転世界に入ってくる前に反転世界を整える準備をしておいたわけですか…。」

 

ムゲン「そういや、アレはもう収まったのか?ホラ、あの〜…記憶のフラッシュバックだ!」

 

「ああ、それなら………まだ時々。本来なら15の時の経験は今頃やっと区切りが着いた問題のことですから。」

 

 

─────超克の時空への後、反転世界─────

 

ムゲン「記憶のフラッシュバック?」

 

「ええ。あの後…えーっとあの時僕が15歳で、ムゲンさんが反転世界入って1年目の時です。その時から。」

 

ムゲン「俺からすればそれなりの頻度で変わらぬ姿のままの坊主と会っていたが…どうかしたのか?」

 

「それって、何回ぐらいでしたか?」

 

ムゲン「そうだなぁ…俺の発明の設計図を消すまでに10数回、ゼロの企みを防ぐまでに何回も…ホラ、落ち込んでただろ?」

 

「実は…僕自身は数回しか会った記憶がなかったんですが、最近あまり覚えのない反転世界での行動を思い出して……。」

 

ムゲン「というと?」

 

「ギラティナがゼロに捕まる前、ギラティナと一緒に現実世界に飛ばされたんですけど、何故かその時のギラティナを反転世界から見る記憶もあって…。」

 

ムゲン「うん?待てよ。その時坊主、湖に映ってたぞ。どっかの遺跡かなんかに居なかったか?」

 

「いえ、そんなはずは……。それなら、パルキアとディアルガが争っていた時はどうでした?」

 

ムゲン「そもそもそれが未来に起こると教えてくれたのは坊主だろう?」

 

「確かにそれも言いましたけど…僕自身の記憶だとあの毒の雲が通り過ぎるまで待っていたらもどりのいずみまで戻っていたんですけど…。」

 

ムゲン「うーむ…なあ坊主、詳しくは言わなくて良い。だいたい体感どのぐらいの記憶が戻ってきたんだ。教えてくれないか?その…割合で。」

 

最近は手が6本あるポケモンの記憶がフラッシュバックするようになっている。少し前まではシロナさんと、名前の知らないトレーナーの2人と共闘した記憶が戻ってきた。そして気になるのはシロナさんとそっくりな人物が古い着物を着てギラティナを使役している記憶だ。

 

「8割…?でしょうか。ディアルガ、パルキア、ギラティナ、アルセウスの記憶はほぼ完全に。」

 

ムゲン「もしかしてだが、坊主。度々こっちに来てないか?」

 

「確かに来てますけど……。」

 

ムゲン「それなら悪いことは言わない。早く現実世界に戻るんだ。」

 

「一体どうしたんです?」

 

ムゲン「お前さんが忘れている記憶の出来事が、もうすぐ起こるかもしれん。そうなれば、昔の坊主が来るはずだ!さっさと戻れ!」

 

徐々に語気が強くなるムゲンさんに圧されて、そそくさとその場を後にした。

 

 

 

 

 

───時間は戻って────

 

「う〜ん僕からすれば連続なんですけど…そーいう理由だったんですね。」

 

ムゲン「あの後坊主がギラティナを金の輪っかに通らせて事なきを得たんだがな。」

 

「そうでしたか?あの時って金の輪っかを通ろうとしたギラティナを止めてた気がするんですけど。」

 

ムゲン「やはりか…。じゃあ質問だ坊主。そうだな、今から話すタイミングで坊主はどういう経験をしたか教えてくれ。まず最初は……」

 

 

 

───ディアルガVSパルキアVSダークライの時───

 

「ケホッ…ケホッ…!!」

 

ムゲン「坊主、その霧を吸うな!こっちだ!!」

 

ムゲンさんに引きづられて黒紫の雲からなんとか抜け出せた。

 

「それでも…止めないと!!」

 

 

グォォォォォ─────!!!!!!!!

 

轟く轟音。ギラティナが反転世界に穴を開けている。

 

「ドロンチ、飛び込むよ!!!」

 

ムゲン「おい!坊主!?」

 

ドロンチ「ロ〜ンチ!!」

 

ドロンチに捕まってギラティナが入るより先に開いた穴に入った。

 

 

───時間は戻って───

 

ムゲン「ありゃ?あの時はギラティナを止めたんじゃ…いや……しかし…。」

 

「変でしたか?」

 

ムゲン「坊主、どうやら俺もらしい。お前がギラティナを止めて事なきを得る記憶もあればギラティナの開けた穴を通ってアラモスタウンに坊主が行く記憶もある…。」

 

「確かにループはするでしょうけど、そんなに変わりますかね?」

 

ムゲン「有り得なくはない。だが、結論は出せない。その続きを教えてくれないか?」

 

 

───アラモスタウン───

 

霧─いや雲のような何かに覆われている。

雷が近くで走る。

 

「ディアルガは居ない…あの町の中に、パルキアが…。ドロンチ、突っ込むよ!!」

 

入口らしき橋を目指してドロンチが突っ込む。

このまま行けば着地できる。

 

マキ「ドンカラス、きりばらい!」

 

「うおっ!?」

 

突然飛んでくるきりばらい。トレーナーの誰かだろうか。

少しすると誰かが走ってくる。

上から眺めているとピカチュウを連れた少年だ。

 

霧で少年が見えなくなったと思うと、少年が走って引き返して来ている。

 

サトシ「何で……」

 

戸惑うような声。ドロンチに乗って霧の外へ出る。橋の先が見えるはずだが、そうした期待は裏切られ、僕も町からは出れなくなっていた。

 

「仕方ない。ドロンチ、バレないようにそっと行こう。初めからいたようにね。それと、あのピカチュウを連れた少年は避けよう。」

 

町の路地の人から見えづらいところに降り立つ。

ここならバレないはずだ。

ドロンチを出していると覚えられそうなので、何かいいポケモンは居ないだろうか。

 

「シンオウなら…ムウマかな〜。」

 

去年、いかにも不気味な屋敷で本来なら生息していないはずなのにいたムウマ。

変にツンケンしてるとおもったら、ちゃんとメス。

この子をゲットしてから、大人しくなったかと言われることも。

 

「ムウマ、ちょっと旅行客のフリするから手伝ってくれないかな?」

 

ムウマ「ム〜〜……ムウ!!」

 

「わかったよ…ポフィンね。」

 

何かといいように使われている気もするが、素直に応じてくれるのはありがたい。

 

 

───時間は戻って────

 

ムゲン「その場面、見たような見たことないような…。」

 

「やっぱり覚えてませんか?」

 

ムゲン「いや、俺もこんがらがってきた。こっからは一気に事の顛末まで行ってしまおう。」

 

「とりあえず今はアラモスタウンの中に入ったってところでしたね。」

 

ムゲン「ああ。それでそろそろパルキアが現れる頃合だったろう。」

 

───アラモスタウン───

 

アラモスタウンの中から見ると曇り空にしか見えない。

今できることはギラティナがこちらに来ることを防ぐだけ。

 

とりあえず、人が多そうな場所を目指して歩いていく。

ヤミカラスやその他のポケモン達がジッと見つめてくる。

着いた町の中心近くはそれなりに人がいた。

 

 

 

マキ「ねぇ、君コンテストの参加者?」

 

聞いた事のある声だと思えば先程ドンカラスにきりばらいを指示していたトレーナーだ。

 

マキ「1人みたいだけど……ねぇ、大丈夫?」

 

反応の無いこちらを心配してか顔を覗き込んでくる。

 

「あぁ、大丈夫ですよ。ちょっと変だなと思って、町の外側を回ってたんです。」

 

マキ「それで、何かわかった?」

 

「いえ、何も……。」

 

マキ「まぁ、仕方ないよね。今トレーナーみんなで話し合っててね、君もおいでよ。」

 

「分かりました。」

 

 

 

ダイ「お、帰ってきたか。見ない顔だな?」

 

マキ「えぇ、この子、1人でこの町の周りを探ってたみたいなの。」

 

カツミ「コンテストの参加者か?」

 

ドダイトス、エンペルトを連れているトレーナーと合流した。彼らは彼らでこの町から脱出する方法を探っていたらしい。

 

「えっと、初めまして。遠くの地方から来ました、ノアって言います。旅の途中でここに寄ったんですけど、一体何が……?」

 

アルベルト「ダークライの仕業だ。」

 

いかにも「貴族」と言った風体の男性がベロベルトと一緒に現れる。

 

アルベルト「もし君が腕の立つトレーナーなら、ダークライを倒すのを手伝って欲しい。」

 

事の発端を知っている側からすればなんとも見当違いのことを言っているのだが口に出す訳にも行かず了承した。

 

 

 

 

アルベルト「さて、ダークライは強敵だ。もしかすればトレーナーにだようと容赦なく攻撃を仕掛けてくるかもしれない。そこで、君の力を試そうと思う!!」

 

「い、いきなりですか!?」

 

多くのトレーナーが集まる中で、突如始まったテスト。別の地方から来たとしか言ってないのは後々身元を詮索されるのを防ぐため。こうなってしまってはやむを得ないが、出来ればドロンチ辺りは出さないようにしたい。

 

シンオウに来る少し前にあるポケモンをおばあちゃんから渡されていた。旅の途中で進化したその子ならこの地方でも違和感ないだろう。もっとも、言うことを聞いてくれるかは微妙だが。

 

ダイ「なら、俺のエンペルトとバトルしようぜ?」

 

前言撤回、みず、はがねタイプはきつい。エンペルトともなると全力でかかる必要があるだろう。

 

「分かりました。受けますよ。」

 

ダイ「よしっ!ダークライの前のウォーミングアップだ!エンペルト!!」

 

「勝ちに行くよ、シャンデラ!!!」

 

手持ちの中で唯一最終進化を迎えたポケモン。みずタイプがキツいがこちらから打点がない訳でもない。確実に勝ちに行くなら「相棒」を使うべきだ。

 

ダイ「見ないポケモンだな?まぁいい。エンペルト、れいとうビーム!!」

 

「確実に狙い撃て!れんごく!!」

 

エンペルトのれいとうビームが迫る中、シャンデラを中心に溢れる灼熱の業火は迫る氷の奔流を水蒸気に変え、辺りを焼き払う。

 

ダイ「うぉっ!?エンペルト!!!」

 

はがねタイプももつエンペルトに対してはほのおタイプはそこまで無力ではない。出せる最大火力をもって短期決戦に持ち込む。

 

「気を抜くな!かげうち!!」

 

シャンデラ「ラァァッ!!」

 

シャンデラが四方八方から飛びかかり、自らの位置を悟られないままエンペルトに打撃を与える。エンペルトがシャンデラを狙い大きく振り返った。

 

「シャドーボール!!!」

 

バァァァン!!!!

 

直後、エンペルトが先程まで向いていた方向から影の塊が襲いかかる。

火傷のダメージも伴い、エンペルトはダウンした。

 

ダイ「まったく、ぶっ飛んでやがるぜ。あっという間にやられちまったよ。」

 

カツミ「それにしても珍しいポケモンだな。この辺りじゃあ見ないポケモンだ。」

 

「えっと、このポケモンは…………」

 

 

 

 

───時間は戻って───

 

ムゲン「それで、あの塔から流れた音楽で2匹は去っていったんだよな?」

 

「えぇ、確か。」

 

ムゲン「しっかし、お前さんも大変だな〜。随分と振り回されてるようじゃない訳でもないか。」

 

「たしかにだいぶ振り回されてますね。」

 

ムゲン「ギラティナはお前さんに何をさせたいんだろうな。」

 

遠くを飛び回るギラティナを静かに眺めるムゲンさん。その目は自分の子どもを見るように穏やかだった。

 

ムゲン「しかし気になるのが、アラモスタウンのことについてはアイツら…サトシ達はお前さんのことを覚えてないということだ。」

 

「もしかしたら、あの世界だけは変わらないようになっていたのかもしれませんね。」

 

ムゲン「それはわからんが……そうそう。お前さんこの前落し物しただろう?」

 

確かにキズぐすりや未使用のボールの幾つかを反転世界から出る時に落としてしまっていた。

 

ムゲン「その中にこんなものがあったんだが…お前さんのか?」

 

石版だろうか?言いようのない妖しさを醸し出している。どこかで見た気もする。

 

「……えぇ。僕のですよ。拾ってくださって、ありがとうございます。」

 

ムゲン「??そうか、なら良かった。さて、そろそろ帰るのか?」

 

「えぇ。ギラティナに送ってもらいます。」

 

ムゲン「なら気をつけてな〜!」

 

ギラティナが近づいてくる。その背に飛び乗り、反転世界から抜け出す。カバンの中に重みが増す。反転世界を抜ける頃には確かな重みとなりやがて突然その重みを感じなくなった。

 

 

 

 

見下ろす先には大きなリュックを背負った人間。在りし日と今を紡ぐため、一人の少年の声を借り、もののけプレートを渡す。

 

???「これは……!!」

 

恍惚とした表情を浮かべ、石版を眺める人間。

 

ギラティナ「ギガゴガーーゴ!!!!!!」

 

共に下克上の為に協力してくれる「仲間」を手に入れ、再び今ある言葉を切り離す。

 

 

 

 

 

目が覚めるといつも通り大きな鏡の前に立っていた。

あの日以来、ギラティナの言葉が何となく分かるようになった。

妖しい石版は今でもカバンの中に入れて持ち歩いている。

でもプレート1枚が増えただけにしてはカバンが少し重たい気もする。

 

 

テレビ「続いてのニュースです。昨日未明───」

 

 

遠くの地方で、15歳程の子どもが行方不明になったそうだ。

少し気になり調べ直したが、その一報以降、その子に関する情報は見つけられなかった。

 

「それじゃあ、行こうか。」

 

いつも通り、ポケモン達を連れて外に出かける。

そう、何も変わらない。何も変わらない。”何も”変わらない。

 

 




さて、レジェンズ発売以降の続きとなりました。本来であればダイパリメイクと絡めるつもりだったのですが、レジェンズをクリアしてあの演出を見たのですこし変更。

最後に何やら意味深なシーンがありましたが、果たしてどうなのでしょうね?
一体誰がプレートを受け取ったのでしょうか。そして、なぜ一人の子どもが行方不明になったのでしょうか。
詳しくはレジェンズアルセウスをプレイしていただけばわかると思います。

それではまた会いましょう。
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