鮮血少女と鮮血狼   作:熊田ラナムカ27

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11 人波サーフィンはやめましょう

 

 

 

「ふあぁーあ……。眠い……マジで眠い……」

 

「いつも欠伸なんてかかない狼が欠伸だなんて珍しいですね。夜ふかしでもしたんですか?」

 

「峰田の対策について考えてたら夜が明けちまってよ……ほとんど寝てないんだ………」

 

「そこまで気にしなくても大丈夫ですよ。少しお尻触られるくらいどうした事もありません」

 

「お前がそんな感じだから心配なんだ……。少しは羞恥心というものを身に着けて俺の胃に安らぎを与えてくれ………」

 

 俺は苦々しくそう言いながら、眠たい目をこすった。

 

 ほんと……こいつは天然というかなんというかそこら辺が鈍感すぎる………。

 

 それで毎度電車で尻を触られそうになるのを防ぐ俺の身にもなってくれ……。

 

 しかもそんな変態をこいつは笑顔で許すもんだから余計変な奴が増えるっていう無限ループ……早くなんとかなんないかな………。

 

 そんな感じで向かっていると、門が見える曲がり角で電気と響香が話しているのを見かけた。それもどこか困惑している様子でだ。

 

「おはよう御座います電気君!響香ちゃん!」

 

「朝からヒミコは元気だな。狼の方はなんか隈すごいけど」

 

「昨日少し夜ふかししてな……。まぁそんなことはどうでもいい。こんなところで止まってどうしたんだ?」

 

「実は門の前のマスコミがすごくて近づけないんだ。ほんといい迷惑だよ」

 

 門の方をちらっと見ると確かにマスコミがオールマイト、オールマイトと言いながらそこに集まっていた。出久や天哉、お茶子なんかはもみくちゃにされている。

 

「確かに面倒ですね。どうしますか狼?」

 

「やりたくないけどあれをやるしかないだろ。ヒミコ、あれは持っているな?」

 

「了解です。今出しますね」

 

 

 

 

 

─────────

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───

 

 

 

 

 

 

「………なぁ、これでほんとに行くのか?」

 

「気にしたら終わりでしょ。じゃあ行くよ上鳴、ここまで来たら度胸だ」

 

 そう言いながら近づく二人に、マスコミは餌を巻かれた鳩のように食いついた。質問の波が二人に押し迫る。

 

「あの!そこの君!オールマイトについて一言お願いします!」

 

「オールマイトの授業なんですけどすごかったですか!?コメントお願いします!!」

 

「雄英高校はペットの持ち込み可能なんですか?新しくルールが追加されたんですか?」

 

「この灰色のワンちゃん達かわいいね。兄妹?あなた達が飼っているの?」

 

 一人の女の記者が雌と見られる犬を撫でようとした瞬間、その女記者はもう一匹の犬に噛まれた。その犬の行動に上鳴は焦る。

 

「ちょっ!?お前!?何してるんだ!?大変だ!!こいつ人を噛んじまった!!!」

 

「この子まだワクチンを打ってないんです!!早く病院に行かないと不味いですって!!致死率100%ですよ!?」

 

 二人の焦った言動にマスコミは手に持っていたカメラやマイクを落とした。そして

 

 

 

 

 

 

「逃げろ!!狂犬病持ちの犬がいるぞ!!俺達も噛まれるぞ!!!」

 

 

「取材どころじゃないぞ!?急いで警察かヒーローを呼べ!!」

 

 

「ちょっと待って!?私を置いていかないで!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 蜘蛛の巣を散らしたかのように逃げていった。

 

「相変わらず肝の座ってない奴等。何度やってもワンパターンだな」

 

「何やってんだお前等。マスコミの奴等を騒がすことをやるんじゃない」

 

「痛いですよ相澤先生!俺を叩くことないじゃないですか!?」

 

「前にやるなって言っただろ。狂犬病はシャレにならないからやめてくれ」

 

 モード狼の俺を強く叩いた相澤さんはゼリーを飲みながら話を続ける。

 

「マスコミの自業自得だからこれ以上咎めるつもりはないが、外で最低限個性を使うのはやめろ。それこそマスコミに叩かれる」

 

「つーかなんでリードなんてものを持ち歩いてんだよ。普通こんなの持ち歩かないだろ」

 

「っていうか狼にヒミコ、あんたらまるで豆柴みたいじゃん。なかなか可愛いよ」

 

「狼のなかなか見ることのできない豆柴モードです。なかなか触り心地いいんですよこれが」

 

「ほんとだ!めっちゃフワフワしてる!!なにこれ私の家にも欲しい!!」

 

「触るな響香近い!ヒミコも触ってないでちゃんと服を着直しなさい!」

 

「お前ずるいぞ女子二人にモフられるなんて!!俺にもモフらせろ!!」

 

「この姿はいろんな人にモフられるから嫌だったんだ!!相澤先生も撫でてないで止めてください!!!」

 

「………ハッ。すまん、ついさわり心地がよくて」

 

 結局、俺は教室に入るまでこの姿でモフられ続けた。

 

 その後俺は授業が始まるまで色んな人にモフらせてくれと頼まれ続け、授業が始まる頃には寝不足も合わさって力尽き倒れた。

 

 

 

 

 

 

                                    

                                             ◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「狼が意識を取り戻したことだし、ホームルームを始めるぞ。それと狼をモフった奴は今謝っとけ。悪かったな狼」

 

 

「「「「モフってすいませんでした」」」」

 

 

「マジでお前等二度とモフるんじゃねーぞ!!結構痛いんだからなあれ!!」

 

「だってあれをモフるなって言う方が無理だよ!手触り良すぎるもん!!」

 

「実にあれは肌触りが良かった。モフらずにはいられないないほどにな」

 

「私の家のクッションもあれほど肌触りは良くありませんわ。再現したいのでもう一度変身してくれませんか?」

 

「人工血液と引き換えなら引き受けてもいいですよ!10分辺り200mlでいかがですか?」

 

「まぁお安い!後でお願いします!!」

 

「私も後で学食おごるからお願い!!」

 

 

「私も!」「俺も!」「僕も!」「毛を全て毟ってやる!」

 

 

「人の体で勝手に商売を始めるな!!あと誰だ!?俺の毛を毟るって言った奴!?」

 

 

 あまりの声に俺は声を荒げそういった。

 

 真面目な百さんがそれを言い始めたら何もかもお終いなんですよやめてください。あとマジで誰だ!?俺の毛を毟るって言った奴!!俺をハゲにする気か!!

 

「話はこれくらいにして行くぞ。昨日の戦闘訓練お疲れ、Vと成績見させてもらった」

 

「「「!!」」」

 

「爆豪、お前もうガキみてえなマネするな。能力あるんだから」

 

「…わかってる」

 

「で、緑谷はまた腕ブッ壊して一件落着か。個性の制御…いつまでも「出来ないから仕方ない」じゃ通させねぇぞ。俺は同じことを言うのが嫌いだ。それさえクリアすればやれることは多い。焦れよ緑谷」

 

「っはい!」

 

 実際相澤さんは基本甘いが、同じ事を言わせる奴は容赦なく切り捨てる。ここからは自分との勝負だな出久。

 

「さてホームルームの本題だ…、急で悪いが今日は君らに…」

 

「「「(何だ…!?また臨時テスト!?)」」」

 

「学級委員長を決めてもらう」

 

 

「「「学校っぽいの来たーーー!!!」」」

 

 

 相澤先生があまりに普通のことを言ったので教室は一気に色めき出した。

 

 んっ?俺は興味ないのかだって?中学はヒミコの個性に関する教育にやっけだったから特に委員会だなんてものやってねーし、俺はパスするよ。

 

 

 そこからいろんな声が出る中、天哉が待ったをかける。

 

 

「静粛にしたまえ!!“多”をけん引する責任重大な仕事だぞ…!「やりたい者」がやれるものではないだろう!!周囲からの信頼があってこそ務まる聖務…!民主主義に則り真のリーダーを皆で決めるというのなら……

 

 

 

これは投票で決めるべき議案!!」ビシッ!

 

 

 

「そびえ立ってんじゃねーか!!何故発案した!?」

 

 

 

 ついさっきのモフる発言と言い、こいつ意外と欲望に正直だし俺は結構好きだな。好感がかなり持てる。……まぁ、票は多分世話になるだろう百に入れるけど。

 

 

 

 そして数分後………

 

 

 

「僕4票ーーーー!!!?」 

 

 

 4票の票を集めた出久が委員長、百が副委員長になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                                    ◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかし出久が見事委員長になったな。特に驚きも異論もないが」

 

「緑谷なんだかんだアツいしな!試合も凄かったし!!」

 

「やり方はめちゃくちゃでしたけどカッコよかったですしね!狼が言う通り絶対いいヒーローになりますよ!」

 

「八百万は講評の時のかっこよかったしな!わりといい人選になったんじゃねーの?」

 

「百には人工血液販売の件で世話になったし、真面目だしで文句はない。ただ……血液を作ってもらう際にモフられるのはなんとかならなかったのかヒミコ?」

 

「百ちゃんがそれがいいって言ったんだから仕方ないでしょう。百ちゃんの伝で買えた人工血液で基本は我慢するのでそれくらいは我慢してください」

 

「はぁ………結局俺はモフられる運命なのか………」

 

 思わずため息をこぼしながら、俺は軟骨にかぶりついた。

 

 ヒミコの吸血行動が減るのはありがたいし、俺も飲ませてもらうから構わないが、モフられるのだけは慣れないし人が寄ってくるから何とかならなかったのかねー……。ほんと……またモフられると思うと気が重いよ………。

 

「そういやヒミコは人工血液で変身はできないの?もしできたらそれはそれで強くない?」

 

「病院から輸血用のものを少し貰えばいつだって変身できるじゃん。なんでそれはやらないの?」

 

 俺とヒミコの会話に興味を持ったのか、三奈と響香が口を開いた。俺は少し考えた上で口を開く。

 

「それを話すには”個性因子”についてから話さないといけないんだが……お前等はそれについて知ってるか?」

 

「個性因子ってあれだろ?誰の体にもあるやつ」

 

「そうそう。それだよそれ」

 

「個性因子ね………あれだあれ」

 

「なるほど、お前達が知らないのはよくわかった。響香は知ってるか?」

 

「確か基本の人体に特別な仕組みがプラスαされたのが個性、そのプラスαの総称が個性因子だっけ?」

 

「大方そうだ。もっとわかりやすく言うなら個性を使うのに必要な遺伝子情報の一つって言っていいのかもな。そこの3人と頭をハテナにさせてるヒミコ、これは個性の基本だからちゃんと覚えておけよ」

 

「なろほど、べんきょうになるな」

 

「へーそうなんだ。ぜんぜんしらなかった」

 

「全く持って知りませんでした!」

 

「ウェイウェーーーーーイ」

 

 こりゃダメだ、と思いながら俺は話を続ける。

 

「ヒミコや俺のような物質を取り込んで発動される個性は基本取り込んだものの生体情報を個性因子が分解、エネルギーへの変換や、個性発動のための生体物質の生成を行うことで個性が発動される仕組みになっている。故に血を取り込むヒミコの個性は血液の中にある個性因子を分解しないことには発動しないんだ」

 

「そっか、人工血液の中には個性因子なんてものないもんね。輸血用のは?」

 

「あっちも人体に害がないよう個性因子が除去されてるからダメだ。どっちも欲求を満たさせても個性を発動することはできない」

 

「けど百ちゃんが作ってくれた血はいつも吸う味に近いですよ?」

 

「それは百が作ったものだから多少個性因子が流れているからだ。まぁ、変身する分には全然個性因子の量が足りないけどな」

 

「へーそんな仕組みになってるんだ。勉強になるわ」

 

「俺にはちんぷんかんぷんだぜ」

 

「私も」

 

「ウェーーーーイーーーーー」

 

 呑気に人工血液吸っているヒミコと、なんか馬鹿になってる電気を眺めていると俺は異変に気づいた。なにかアラートが鳴り響いている。

 

「ピーピーピーピーうるさいな。一体何の音だ?」

 

「この音って確かセキュリティーが作動した時のアラートじゃない?それも校内に誰か侵入してきた時の」

 

「待てよ。校内に誰か侵入してアラートが鳴り響いたってことは………」

 

 俺が言おうとした瞬間、目の前から人の波が現れ、俺達を飲み込んだ。俺はとっさに狼に変身して壁の隙間にしがみつく。

 

「お前等大丈夫か!?生きてるか!?」

 

「ちょっ!?お前!?一人だけ逃げるなんてずるいぞ!!」

 

「私達も背中に乗せてよ!!ここ人多すぎ!!!」

 

「ウェーーーイーーーーーー!!!」

 

「ちょっと待って!?ヒミコは!?ヒミコはどこいった!?」

 

 響香の言葉にハッとなり、俺はヒミコを探した。そこには

 

 

 

「ヒャッホー!!!!」

 

 

「「「何してんだヒミコ!?」」」

 

 

 何故か人の波の上に乗り、一人何故かサーフィンをしているヒミコがいた。

 

 考えられなかった事態に俺は唖然となり、豆柴姿で電気の頭に落下した。

 

「なにしてんだあいつ………?なんでサーフィンなんかしてるんだ……?あれっ?ここ海だっけ?」

 

「しっかりして狼!ぼやっとしてるとヒミコちゃん行っちゃうよ!!」

 

「なんかよくわかんねーけどあれを止められるのはお前しかいない!頼んだぞ狼!!」

 

「ウェーーーーーーーーイ!!!!」

 

 電気に投げられる形で、俺は鋭児の頭の上に着地した。ハッとなり俺は鋭治の頭を踏み台にして壁によじ登って追いかける。

 

「待てやヒミコ!!なに人の波でサーフィンやってんだ!?今すぐ止まれ!!!」

 

「嫌です。楽しいんですもん」

 

「楽しい楽しくないの問題じゃないんだよ!!迷惑だから降りろって言ってんの!!強めのチョップいれるぞお前!!」

 

「それも嫌です!もう少し楽しましてもらいます!!」

 

 そう言いながら泳ぎ、ヒミコは更に前に行ってしまう。

 

 この先には掴まれる足場も踏み台もなく、追いつくことは難しい。

 

 くっそ、ここまでなのか?ヒミコの愚行を止めることはできないのか?これでも保護者なのか俺は?

 

 

 

「大丈ー夫!!ただのマスコミです!何もパニックになることはありません、大丈ー夫!ここは雄英!最高峰の人間に相応しい行動をとりましょう!!」

 

 

 

 

 俺がそんなことを考えていると、いつの間にか非常口に張り付いていた天哉がそう叫んで周りを諌めた。それに伴い、人の波も途絶える。

 

「あれっ?なんで波が?あれっ?」

 

「やっと止まったなヒミコ」

 

 波の上でもがいていたヒミコを咥え、人気のない階段へと跳んだ。俺は人型に戻り、仁王立ちでヒミコを睨む。

 

「この緊急時に何をしているんですかヒミコ?やっちゃダメなこともわからないのかな?えっ?」

 

「あっ、いや、これは……」

 

「なに?そんなに説教喰らいたい?1時間コースになるけどいい?」

 

「い、一時間!?それはなが──」

 

「あんっ?なにか言いたいの?」

 

「……いえ、なんでもないです」

 

「よろしい。じゃあ行こうか」 

 

「はい………」

 

 その後俺がヒミコに説教している間に事態は収束、出久の辞退もあって天哉が委員長になった。

 

 誰が雄英バリアを壊したかなども気になるが今はどうでもいい。

 

 今は胃の痛みが天に召されて清々しい気分だからな!!

 

 

 

 

 

 




「ただのマスコミがこんなこと出来る?」

「まさか先輩が宣戦布告として攻めてきたんじゃ………」

「マスコミに苛ついて蹴破ったとか………」

「いやそれはないでしょ」

 
 書きたかったけど書けなかったネタ。
 
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