待ってましたこの時を!書きたくて書きたくてウズウズしていました!!こんな感じのハイテンションで、USJ襲撃編どうぞ。
12 邪魔なものは切り捨てろ
5時間目、昼食を食い終わったのもあって少しばかり眠くなってくる時間帯だ。眠い目を擦りながら、俺は教壇に立つ相澤先生の話を聞く。
「今日のヒーロー基礎学だが…、俺とオールマイト、そしてもう1人の3人体制で見ることになった」
「ハーイ!何するんですか!?」
「災害災難なんでもござれ、人命救助訓練レスキュー訓練だ」
ほう、レスキュー訓練か。俺はどこの地形でも一通り動けるし、ヒミコは一通りの医療技術は持っている。そう、さんざん覚え……させ……られ………
「うっ………胃が………胃が痛い………」
「急にどうした狼!?顔真っ青だぞ!?」
自らトラウマを呼び起こしてしまった俺を放置し、相澤先生は淡々と話を続けた後、コスチュームに着替えバスに乗るように言った。
俺もどうにか胃痛を抑え、コスチュームへの着替えを始める。
「そういや狼の母ちゃんってどんな人なんだ?一応ヒーローなんだろ?」
「そうそう、ライフルを乱射したとか、雄英の教師陣にトラウマを与えたとかの断片的な情報しか知らないんだけど、いったいどんな人なんだよ?もしかして美人?」
「やめろ!俺のトラウマを………俺の胃痛の1要因を呼び覚まさせるな!!他の教師陣の前でその話題振ってみろ!?顔青くして泡吹くからマジでやめろよ!!!」
「狼のお母さんってそんなに怖いんだ。………逆にそんなトラウマを植え付けられるまで一体何させられたんだい?」
「猿夫……そんなに知りたいかトレーニングの内容……?トラウマを植え付けられると覚悟してのことなのか………?」
「………やっぱいいや。なんか怖くなってきた……」
「狼の目から完全に光が消えた!?一体何させられたんだ狼!?」
「バカ!そういうのは聞いたら駄目だろ!!俺達までトラウマ植え付けられるぞ!!」
「何を無駄話しているんだ!?着替えたら早く行くぞ!!」
そんな会話をしつつ、俺達は着替え終えバスに乗り込んだ。なんか天哉が張り切ってわりにうまくいかなかった事で落ち込んでいるが、まぁ気にしなくていいだろう。
「私思った事を何でも言っちゃうの緑谷ちゃん」
「あ!!ハイ!?蛙吹さん!!」
「梅雨ちゃんと呼んで」
「あなたの個性オールマイトに似てる」
ふと梅雨ちゃんがそんなことを言い出した。出久は明らかに動揺し、あたふたしている。
「そそそそそうかな!?いやでも僕はそのえー」
「待てよ梅雨ちゃん、オールマイトは怪我しねぇぞ。似て非なるアレだぜ」
鋭児がそんなことを言い出し、話の内容がまた変わった。その内容というのは誰の個性が強くて派手という内容だ。
「派手で強えっつったら爆豪と轟と狼、あとヒミコだな」
「ケッ」
「俺のはただ狼になるだけでそこまで派手じゃないと思うけどな」
「私の個性も誰かに変身するだけですよ?」
「俺みたいな地味な個性からしたら十分強くて派手ってーの。しかも本人達の戦闘力も高いしな」
「でも爆豪ちゃんはキレてばっかだから人気出なさそ」
「んだとコラ!!出すわ!!」
「確かに爆さんは人気でなそうです」
「むしろヴィランに間違われそう」
「犬顔に八重歯!テメェーらブチ殺すぞ!!」
ほら、こういうところが間違われそうだって言ってんだよ。子供の目の前にそんな顔出してみろ?間違いなくヴィランだーってボール投げられるぞ。
「この付き合いの浅さで既にクソを下水で煮込んだような性格と認識されるってすげぇよ」
「牛乳でも中に流し込んだら少しはマシになるんじゃね?あっ、けど牛乳の量が100Lぐらい必要になるだろうから無理か」
「だからなんでお前は牛乳を勧めんだよ!?毎日コップ1杯飲んどるわ!!」
「じゃあ、あともう一杯飲んどきましょうよ爆さん。丁度紙パックのがあったのでどうぞ」
「なんでそんなもん持ってんだよ!?あと誰が爆さんだ!?」
がっつり仲良くなっちゃって。さてはお前ツンデレだな?
「もう着くぞ、いい加減にしとけよ…」
「「「はい!」」」
こっちもこっちで構ってほしい感じかな?どいつもこいつもデレばかりだなここは!!
◆◆
「すっげーー!!USJかよ!?」
「それは駄目だって絶対!USJの名前を出すのは駄目だって!!ユー・エス・ジェイさんに怒られるぞ!!」
「お前が怒られるからやめろ。次言ったら帰せるから二度と言うなよ」
「なんで!?」
無駄に広い敷地に驚いていると、奥から13号先生がやって来た。少し誇らしげに先生は語る。
「水難事故、土砂災害、火事…etc、あらゆる事故や災害を想定し僕が作った演習場です。その名も…
「ダメだってUSJは……。絶対に怒られるからダメだって……」
「狼はいったいなんの心配をしているんですか」
いろんな意味でアウトだと思いつつも、俺は胃を押さえながら13号先生の話を聞く。
「えー始める前にお小言を一つ二つ三つ四つ…」
「「「(増える…)」」」
前言撤回、聞く気になれないかもしれない。俺の体がそんな話より胃の方を心配しろと言っている気がする。実際問題それくらい痛い。
重要なところを抜き出しておくと、「簡単に人を殺せる力を人命のためにどう活用するか」ってところだな。確かに基本だが間違いなく重要なことだ。
個性は人を助ける可能性がある分、人を殺す可能性を秘めている。それを訓練で実感し、使えるようにしていくのはヒーローとしての基本事項だし、この授業も頑張らないとな。
「以上!ご清聴ありがとうございました」
「ステキー!」
「ブラボー!ブラーボー!!」
「そんじゃあまずは…」
相澤先生が話そうとした直前、人型でも鋭い俺の嗅覚が反応し、警笛を鳴らした。俺は恐る恐る口を開く。
「………相澤先生、後ろの血まみれの匂い……一体それはなんですか?」
俺の言葉にハッとなった相澤先生を見て俺とヒミコはいち早く個性と武器を構え、相澤先生が前に出て号令を出す。
「一かたまりになって動くな!!13号!!生徒を守れ!」
「何だアリャ!?また入試みたいなもう始まってんぞパターン?」
「動くな!あれは………
「13号に…イレイザーヘッドですか…、先日頂・い・た・(←ルビタグ振り忘れてます)教師側のカリキュラムではオールマイトがここにいるはずなのですが…」
「やはり先日のはクソどもの仕業だったか…」
「どこだよ…せっかくこんなに大衆引き連れてきたのにさ…オールマイト…平和の象徴が…いないなんて…
子供を殺せば来るのかな?」
突然現れた悪意。その現実に頭が追い付かない者やまともに動けない者がいる中、2人は違った。
「全員思考を止めるな!!思考を止めた瞬間一瞬でヴィランに殺される!!自身にできることを常に考えろ!!」
「まとまっていればヴィランも多少は攻撃できません!相澤先生の言うことをまず従ってください!!」
前に出て敵の動きの観察していた俺とヒミコは動揺するクラスメートにそう声を掛けた。
動きからして多くはチンピラ、下手な動きをするよりは相澤先生の言うことを聞いたほうがまだ生存率は上がる。まずは考えるより行動だ。
「先生、侵入者用センサーは!」
「もちろんありますが…!」
急にど真ん中に現れたことからして反応はしていない。もしくは妨害されてんのか?
「現れたのはここだけか学校全体か…、何にせよセンサーが反応しねぇなら向こうにそういったことができる個性のやつがいるってことだな。校舎と離れた隔離空間、そこにクラスが入る時間割…、バカだがアホじゃねぇ、これは何らかの目的があって用意周到に画策された奇襲だ」
「だが敵の殆どは間違いなくチンピラ、攻めるにしてはあまりに無謀すぎる。一体何を考えているんだ敵は?」
チンピラをかき集めただけなら相澤先生と13号先生でどうにか対応できる。だとするならば最も警戒するべきはあの黒い靄の男。もしくは………
「13号避難開始!学校に連絡試せ!センサーの対策が頭にある敵だ、電気系の個性が妨害している可能性がある。上鳴お前も個性で連絡試せ」
「っス!」
「先生は1人で戦うんですか!?あの数じゃいくら個性を消すっていっても!!イレイザーヘッドの戦闘スタイルは敵の個性を消してからの捕縛だ、正面戦闘は………」
「出久、相澤さんはこれでも長年実践を経験している。そんなプロが判断した以上俺達は下がるべきだ。下手に動いて的を増やすよりはよっぽどいい」
「そういうことだ。一芸だけじゃヒーローは務まらねぇんだよ。13号、狼、あとは任せたぞ」
そう言い残して相澤さんは広場に飛び降りる。そこから先は彼の独壇場だ。ゴーグルで目線を隠し、誰を消しているか悟られないように、そして相手の力を利用した戦闘で次々と敵を薙ぎ倒し殲滅していく。
「すごい…!多対一こそ先生の得意分野だったんだ!」
「分析している場合じゃない!早く避難を!!」
「させませんよ」
俺達が逃げようとした先に例の黒い靄の男が現れ行く手を阻む。
「初めまして。我々は
ヒミコの投げた3本のナイフが黒い靄の男を襲い言葉を遮るが、靄は一瞬揺らめいたかと思うと再び元に戻ってしまった。
「……人の話を最後まで聞かないとは礼儀がなっていませんね。まぁいい。わた」
ガァァァンッ!!
ヒミコの投げたナイフに合わせて宙に跳んだ俺の一撃が当たり、辺りに轟音を響かせた。やはり人間である以上実体はあるらしく、ちゃんと掴むことはできる。
「あいにくと命を狙うヴィランと話すなんて教育は一切されていないんだ。オールマイトを殺すとかなんとか言っていたが、そのために一体何を隠している?何を切り札としている?」
「あいにくと私もそれを喋る口は持ち合わせておりません。私は私の役目を果たさせてもらいます」
地面にワープホールらしきものを展開したあいつは少し離れた場所に移動してそう言った。それを予想していたのか、勝己と鋭児が移動した奴に攻撃を与える。
「その前に俺達にやられる事は考えてなかったのか!?」
「鋭治君!爆さん!離れてください!!こいつの狙いは───」
ヒミコが二人に声を掛ける暇もなく黒い靄が広がり、俺達は逃げることができなくなった。
「私の役目は散らして嬲り殺す」
男のその言葉とともにほとんどの者が暗い靄に覆われ空中に突如放り出された。下はいくつもの建物が倒壊しており、このまま落ちればただでは済まない。
「モード獣人……!ヒミコ乗れ!このまま着地するぞ!!」
ヒミコはナイフのワイヤーを投げつけ、俺はそれを引っ張る形でヒミコを背中に乗せた。それとともに地面は迫り、俺は大きな音とともに墜落した。とっさに防御力の高い獣人モードに変身したため大きな怪我はないが、それでもあちこち痛い上、周りにはヴィランがうようよいる。普通なら下がり気味で戦うところだが………
「今は時間がないんでな!!そこをどいてもらうぞ!!!」
「さっさと倒れてください!!!」
狼に変身した俺にヒミコを乗せ、俺はヴィランの群れに突っ込んだ。
いくつもの弾頭や拳が迫るが、今はそんなものどうでもいい。片っ端から斬り、殴り、骨を砕きながら出口に向かう。
「仮に奴等がオールマイトを倒せる戦力を持っているとしたら、今戦っている相澤さんが危険だ!!急いで加勢に行くぞ!!」
「そうですね!!そのために壁は邪魔です!!今は斬らせてもらいます!!!」
目の前にあったビルの壁という壁を全て切り捨て、俺達は最短距離で出口まで走った。