鮮血少女と鮮血狼   作:熊田ラナムカ27

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 あかん……1日遅れた……。ネタがまとまらなくて1日遅れた………。…………一日ぐらいバレな──(ここで文章は途切れている)
 
 


15 終わりの前に

 

 

「馬鹿な馬鹿な馬鹿な!!!脳無があんなガキにやられただと!?ふざけるな!!!」

 

「死柄木 弔落ち着いて………」

 

あいつ(・・・)……俺に嘘を教えたのか!?」

 

「……お前等の見積もりがそれだけ甘かったってだけだろ。プロヒーローとヒーローの卵ってやつの底力って……やつ……を…な……」

 

 個性の反動であちこちから出血した俺は膝をつき、腰を地面に下ろした。これ以上はもう動けないだろう。

 

「狼、これ以上は喋らないで下さい。出血がひどいんですから」

 

「あーくっそ、これだからドーピングはやりたくなかったんだ………全身が痛てー……」

 

「出久君、そこを少し抑えておいて下さい。焼け石に水ですが止血をします。そこ!そこを強く!」

 

「は、はい!!」

 

 ……なんかこいつらの距離やたら近くなってね−か?まさか吊り橋効果とかで距離近くなったのか?

 

「お前にかれ……ゲフッン!ゲフンッ!!……なんてはや……ゲホッ!!ゲホッ!!!」

 

「だから喋るなって!!内臓も逝ってんだろ!!」

 

「うるさい鋭児!!俺にとっては内蔵なんぞよりこっちの方がもん……ゲッハ−……」

 

「だから喋らないでって言ってるでしょう!死ぬ気ですか!?」

 

 くっそ……こいつに彼氏なんぞ早───………待てよ?出久は良い奴だし頭もキレる……そして多分いいヒーローになる………。つまり…………

 

「ちくしょー!!!なっても問題ね−じゃね−か!!!!」

 

「おいおいなんか言い始めたぞ!?大丈夫なのかこれ!?」

 

「だから黙れって言ってるでしょう!!死ぬ気なんですかあなたは!?!?」

 

「ヒミコさん首から手を離して!!それこそ死んじゃうから!!」

 

 こちらで一悶着ある間に、相澤先生は氷で身動きできないヴィランに個性を発動し、二人の目の前に詰め寄る。

 

「一応言っておくが個性は使う事ができない上、お前のワープの座標も大体わかった。抵抗なんて非合理的な事をするなよ」

 

「黙れ……」

 

「お前達だけでこんな大層な事できたわけがない。大方協力者がいるってところか。お前等の協力者は誰だ?一体どうやってここに侵入した?」

 

「黙れ……………」

 

「お前達を影で操っているのは誰だ?一体誰の命令でこんな事をやった?」

 

 

「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れだ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!!!

 

 手袋の男は駄々をこねる子供のように喚き散らし、破壊できるはずのない氷の中でもがいた。無邪気な悪意とも言うべき者に相澤先生を含め全員が後ずさりし、息を呑む。

 

「操る?誰の命令?そんな事はどうでもいいんだよ!!俺は全てを壊せれば!!!何もかもを壊せればあとはどうでもいいんだよ!!!そのために脳無をくれた!!!そのために力をくれた!!!!先生が壊すための力をくれたんだ!!!!」

 

「下手な動きは──」

 

「黙れ!!!先生は嘘をついたのか!?オールマイトを殺せるものを作ったって言ったから来たのに、その脳無はあんな学生なんぞに壊された!!!!一体どうなってるんだ!?先生!!!!!」

 

「先生………?」

 

 

 

「それくらいにしようぜ自分の先生自慢は。下手な言動は敵に情報を与えてしまう。これも経験だ、次からは気をつけてくれ。死柄木 弔」

 

 

 

 ヴィラン二人から少し離れた場所からその声が聞こえ、泥のようなものが溢れるとともに形をなしていく。

 

「相澤先生!!その二人の個性は!?」

 

「もう既に抹消している!!なにもできないはずだ!!!」

 

「うっ……頭が………」

 

「狼!?どうしたんですか!?狼!!」

 

「なんだこの気持ち悪い匂いは………。頭が……割れる…………」

 

「狼!?しっかりしろ!!狼!?」

 

 頭が割れるほどの頭痛が強まるとともに、それは現れた。

 

「ごきげんよう、ヒーローの卵達。なかなか面白い戦いをありがとう。全身の血が沸き立ち、快感にも似た素晴らしいものだったよ」 

 

 赤いコートを纏い、何もかもを嘲笑うような笑みを浮かべた白い仮面を身に着けた悪意の塊は今ここに現れた。

 

 体のあらゆる感覚が警笛を鳴らし、逃げろと大声を上げている。だが、それと同じ勢いで体が恐怖し、動くのを拒否している。

 

「お前は誰だ……?先生を知っているのか……?」

 

「そうだな、君の先生に雇われて君を回収しに来たとでも言っておこうか。残念だったな今回は。だが、まだチャンスはいくらでもある。次はもっとできるように頑張ろうな、死柄木 弔」

 

「俺の氷が砕けた!?!?一体なにをした!?!?」

 

「おいおい、同じ事を言うのは嫌いなんだ。下手な言動は敵に情報を与えてしまう、だからそう簡単に言うはずないだろ。もっとものを考え───」

 

 バアァンッ!!!!!!!

 

 突如動いた爆豪の篭手の大爆破が男を穿ち、辺りを爆煙で満たした。

 

「なら最初から何も言わずぶっ放せばいいじゃね−か!!相手を舐めすぎだ!!!この舐めプ野郎!!!!」

 

「ダメだ勝っちゃん!!今直ぐ逃げて!!!」

 

「黙れデク!!あいつは──」

 

「まぁその意見にも一理ある。奇襲からの大威力攻撃は敵に壊滅的なダメージを与えるからな。だがそれは敵の力量が自身より下だと確信した時にやった方がいい。君の攻撃はお世辞にも隙が少ないとは言い難い」

 

 そう飄々と男は爆煙の中から現れ、自身のコートに付いた汚れを払った。あまりに異様な光景に全員が驚きを隠せない。

 

「嘘だろおい……。ビルの一層をまるごと破壊する爆破だぞ……。それを耐えるってあいつ……あの脳味噌野郎の何倍も化物じゃねーか………」

 

「脳無と一緒にするなんて失礼な子供だな。俺はあいつほど馬鹿じゃないし頭も回るし、何よりあれは弱すぎる。あんな物、オールマイトと戦っててもボロ雑巾になっておしまいだろうさ」

 

「ヒミコちゃん、早く狼を持って逃げるわよ。あいつは強すぎる……!!」

 

「そうしたいけど無理です……。あの人には一切の隙がなく、殺意の途切れすらない……動いた瞬間殺されます………」

 

「そこの金髪も失礼なやつだな。俺は弔と黒霧、それとついでに見たかったものを見るために来ただけさ。それもほぼ終わったし、そろそろ帰らしてもらうさ」

 

「ふざけるな!!このままなにもできず下がるなんてこ────」

 

 ザッ……ザアァァーー………。

 

 

「あっ……ああ……………

あああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

 

 

 

「死柄木 弔!?!?!?!?貴様なにを!?!?!?」

 

「うるさい奴等だな。たかが腕が裂けたくらいで叫ぶな。筋肉にも骨にも損傷は一切ない、大人しく寝てれば直ぐ治るさ」 

 

「どういうつもりだよおい……?仲間じゃないのか………?」

 

「ああそうだ、最優先回収目標だ。だが、そいつに攻撃を与えてはならないとは一言も言われていない。死んでもいないし大した怪我でもない……こんなの心配するに値しないよ」

 

「例えそうだとしても、味方に損傷を与えてはいい理由にはならない。一体何が目的だ?」

 

「現実が一切見えてないガキに苛ついたから、ただそれだけさ。敵の心配をするなんて、プロヒーローでさえも甘ちゃんか?

そう何度も笑わせてくれるなよ」

 

 

 

「ふざけるなよ……そんな理屈………!!」

 

 

「許されていいわけないだろ……!!」

 

 

 その光景で頭が冷えた俺と、一種の怒りに満ちた緑谷が立ち上がり、男にそう言い放った。

 

「なにが甘ちゃんだ……なにが攻撃を与えてはいけないとは言われていないだ………。そんなに自身を正当化したいのか?このイカレ野郎……!!」

 

「どんな理由があろうと……誰かを傷つけていい理由にはならない……。誰かから笑顔を奪ってはいけないんだ……。そんなことすらわからないのか……!?」

 

「ああ、わからないさ。私はとっくの昔に壊れた人間だからな。正当化?奪ってはならない?どうでもよすぎる問答だ。ならお前は一度も自身を正当化せず、ただ愚直に生きてきたと断言できるのか?お前は他者の事を思い、自ら蹴散らされ、奪われる事を認めるのか?できないだろうな。それが人間だからだ。何もかもを偽り、他者の全てを奪い奪われあう………それが重なり合ったことで世界はできている。世界が世界であり続ける限り、そんな問答意味をなさないさ」

 

 自身のコートの汚れを払い終え、それを着直しながら男は語った。こんな問答などどうでもよく、早く仕事を終わらせたいといった様子だ。

 

「黒霧、弔を連れて今直ぐ引け。俺は最優先回収目標を殺すほど、俺は仕事を舐めているつもりはない」

 

「脳無の方は……?」

 

「捨てておけあんな肉の塊。調べたところで何も出てこんさ。何よりまた作れる。そんなものより弔が優先だろう?早く連れて行ってやれ」

 

「野郎……!!逃がすとでも思っているのか………!?」

 

「そうだイレイザーヘッド、俺はなるべく卵は壊さないようにしているんだ。成長した時に壊した方が何倍も面白いからな。だが俺の邪魔をする卵なら話は別………一つ壊したところで変わらないだろう」

 

「まさか………!?」

 

 

「教師なんだろ?イレイザーヘッド。なら守ってみな、その大切な生徒を」

 

 

 男が少し腕を動かすと突如小規模の竜巻が発生し、爆豪を襲った。 

 

 とっさに相澤先生がかばい、爆豪への直撃は避けられたものの、先生の腕のあちこちに深い切れ目が入り血を飛ばす。その隙をついてあの黒い靄の男達は逃げてしまった。

 

「相澤先生!!腕が!!!」

 

「(弔とか呼ばれていた男に向けられた威力じゃない……。今のは目くらましか。そして受けた攻撃からして、男が発生させた個性は発動系か……?)」

 

「ヒゲモジャ!!防ぐ必要なんぞいらないぞ!!俺は!!!」

 

「そうだぜ相澤先生。私はその爆発坊主を殺したら大人しく帰る。そのガキの命とお前を含めた全員の命、比べるまでもないだろう?」

 

「ああそうだな、比べるまでもない。むざむざ目の前で殺させる選択肢なんてものは最初からない……!教師として、一人のプロヒーローとしてこいつを殺されるわけにはいかないんだよ……!!」

 

「立派な生徒愛だ。だが、それ以上に自分の心配をしないと君、死ぬぞ」

 

 男が再び腕を振るい、攻撃の仕草をする。

 

「(あいつの個性が発動系ならば俺の個性で消せる……!そう簡単には──)」

 

 

ダァアンッ!!!

 

 

 再び行われた不可視の攻撃をくらい、相澤さんは深く倒れ込んだ。口から大量の血を流している。

 

「今のでお前の個性に必要不可欠な目に後遺症が残った。やめるのなら今の内だぞ」

 

「なぜだ……個性は消したはずだ………」

 

「確かに個性は喰らったさ。なかなか悪くはないし、寧ろ強い個性だ。だがな、俺は少し特殊なんだよ」

 

 真の悪意を目の前に皆恐怖し、その場を動くことができなかった。底しれぬ悪意とその強さ、恐怖を与えるには十分だ。

 

「さてと、先生も怪我で動けなくなったことだし、さっさと殺すとするか。援軍が来ても面倒だからな」

 

「クソが……こんなところで死んでたまる───」

 

 爆豪が口を開き爆発を喰らわせようとするが意味をなさず、個性を使っていない拳で地面に背中をつけることとなった。そして仮面の男は爆豪の首に手をかける。

 

「君、個性は強いのに弱すぎるね。自身の実力を理解せず俺に向かって来るだなんておこがますぎる。さぁ、君は───」

 

 

 ダッアァ!

 

 

 俺の隣にいた緑谷が突如跳躍し、ものすごい勢いで仮面の男に迫った。構えからして、あのデカい一撃を加える気だ。

 

「(足が完全に折れた!!右腕も折れてるけど左腕は残っている!!!)そこから離れろ!!!!」

 

 訓練の時に放たれた威力がそのままぶつかり男を揺らすが、出久は男のもう片方の腕で押さえつけられてしまう。

 

「痛って−な。今のは少し効いたぞ。だが、決定打には欠ける。お前もついでに終わりだ」

 

「お前ぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

 

「血まみれのくせに変身して騒ぐな。殺す価値もない。大人しく寝ていろ」

 

 不可視の攻撃を受けた俺は再び血を流し、大の字で倒れた。

 

「狼!!しっかりして下さい!!狼!!!」

 

「卵二つ、潰れて終わりだ」

 

 男は手を大きく振りかざし、攻撃の構えをとった。あれが振り下ろされたら最後、全ては終わりだ。

 

 

 

「やめろ……やめろ……やめろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「DETORIT ………SMASH……………!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 突如として聞こえた声はその絶望を全て吹き飛ばし、男を二人から完全に引き離した。

 

 

 

「よく全員耐えてくれた。遅くなってしまい申し訳ない。だがもう大丈夫だ。なぜって?私が来た!!!!」

 

 

 

 

「「「「オールマイト!!!」」」」

 

 

「遂に合間見ることができたな、平和の象徴オールマイト。とても会えて光栄だ」

 

「そうか。それは良かったな。だが大人しく捕まえさせて貰うぞ!!ヴィラン!!!」

 

「その意気だオールマイト!!そうでなきゃ面白くはない!!!」

 

 

「CAROLINA………」

 

 

「消えて……」

 

 

 

「SMASH!!!」

 

 

 

「なくなれ!!!」

 

 

 

 希望と絶望、そのぶつかり合いは辺りの全て吹き飛ばし、火花すら漂っているかのように見えた。一度のぶつかり合いを終え、両者は一旦距離を離す。

 

「流石は平和の象徴!!腕が痛くなっただなんてことは久しぶりだ!!!素晴らしいぞ!!!!」 

 

「マジで全然効いてないとはな。ならばダメージが入るまで殴るまでのこと!!!」

 

「そうだその調子だ!!私をもっと楽しませろ!!!オールマイト!!!!」

 

 辺りを吹き飛ばすほどの爆風が響き続け、あたりの木々を吹き飛ばしていく。

 

「(一体何なんだこの個性は!?風の刃を発生させる個性だけじゃない、別の個性も混じっているのか!?まさか……この男は………!!)」

 

「流石はオールマイト、俺も手加減ありじゃあ負けてしまいそうだ。少し本気を────」

 

「そこを動くなヴィラン!!無駄な抵抗をやめ投降しろ!!」

 

 スナイプの弾丸が男の足元に撃ち込まれ、現れた全ヒーローが臨戦態勢をとった。その最前線で根津校長が構える。

 

「動ける全ヒーローを連れてきた!君以外は全て拘束済み、抵抗すだけ無駄さ!!」

 

「確かに勢揃いだなこりゃ。セメントスにミッドナイト、スナイプ、エクトプラズム、ハウンドドッグ、パワーローダー、プレゼント・マイク、そして平和の象徴オールマイト。流石の俺も骨がおれそうだ」

 

「貴様には聞きたいこともある!逃しはしないぞ!!」

 

「そうとはいかないな、俺も手加減をしてまで隠したい秘密がある。なにより、君達は俺を捕えることはできない」

 

 男が現れたときと同様泥が溢れ、男の体に纏っていく。

 

「名残惜しいが、これにて祭りは幕引き。また次の祭りで会うとしよう。さらばだヒーローとその卵達。また会う日まで。そして、その終わりを楽しみにしているよ」

 

 男はこの言葉を残すと消え、拘束され倒れるヴィランと弔と呼ばれた男の血だけが証明として残された。

 

「ま……て………」

 

 そして限界を迎えた俺も完全に意識を失った。

 

 

 

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